ナツメグの栄養と効果効能・調理法・保存法

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nutmeg

ナツメグの原産地や可食部などの基本情報、似たスパイスとの違い、ナツメグに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ナツメグとは

ナツメグ(nutmeg)はスパイスの一種で、ニクズクの種を乾燥させたもの。ニクズクは、インドネシアのモルッカ諸島を原産地とし、高さ15mにまで成長するニクズク科の常緑高木です。モルッカ諸島はナツメグの他にクローブなど貴重なスパイスの産地として知られており、中世ヨーロッパでは「スパイス諸島」と呼ばれていました。

ニクズクは直径約5cmの黄色い実を付け、熟すと果皮が割れて果肉と直径約2~3cmの種が露出します。種は仮種皮と呼ばれる真っ赤な膜に覆われており、この仮種皮をメースと呼び、ナツメグとは別のスパイスとして扱われます。

ナツメグと呼ばれるのは、種が発芽するときに養分となる中身の部分です。黒い種皮を取り除き、乾燥させたものをスパイスや漢方として利用します。

日本国内では、すりつぶしてパウダー状にしたナツメグが多く流通しています。国内で流通するナツメグはインドネシア産が約470トン以上、ベトナム産が8トンです。

ナツメグは甘い香りが特徴のスパイスです。刺激性が少なくわずかな苦味が特徴ですが、加熱により苦味はほとんどなくなります。肉料理の臭みをとったり、甘味を活かしてお菓子に利用されたりします。

ナツメグに似たスパイスの種類

ナツメグに見た目が似ているスパイスや、代用品として使われるスパイスを紹介します。

メース

メースはナツメグと同じく、ニクズクから採れるスパイスです。そのため、香りや味もナツメグによく似ています。メースの方が香りが繊細で、刺激性が少ないのが特徴です。

パウダー状で販売されるだけでなく、ホールの状態でも売られています。一般的に、ナツメグよりも高値で取引されます。

オールスパイス

ナツメグとシナモン、クローブの香りを持つオールスパイスは、ナツメグの代用品として使用できます。クローブの仲間で、1cm以下の小さな実をスパイスとして利用します。

ナツメグと同様に、肉料理に合うだけでなくお菓子にも合う万能スパイスです。

クミン

クミンは5mm前後の細長い形をしており、パウダー状にするとナツメグに似ています。しかしクミンの方が香りがスパイシーで、味も辛みが強いのが特徴です。

カレーなどのスパイシーさを引き立たせるために使用されます。ナツメグとは違い、一般的にお菓子や臭み消しには使われません。

シナモン

パウダー状のシナモンは茶褐色で、ナツメグによく似ています。甘い香りもナツメグに似ており、代用できるように感じるかもしれません。お菓子に使うときは、ナツメグの代用品として使えます。

しかし、ハンバーグなどの肉料理にナツメグの代わりにシナモンを使うことはおすすめできません。なぜなら、肉の味を引き立てるナツメグとは違ってシナモンの香りは甘味の主張が強いからです。

ナツメグに含まれる成分・栄養素

ナツメグ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

ナツメグ100gのカロリーは559kcalと高いことがわかります。しかし、ナツメグはスパイスとして使用されるため、一度に使うのは1g以下が基本です。高カロリーではありますが、摂取する際にカロリーを気にする必要はないでしょう。

ナツメグには、ミネラルが多く含まれています。特に、カリウム・カルシウム・マグネシウム・リン・マンガンが豊富です。

一般的な使用量(肉100gに対して0.2g)に換算すると、カリウム0.86mg・カルシウム0.32mg・マグネシウム0.36mg・リン0.42mgです。スパイスとして使用するだけでも、多くのミネラルを摂取できます。

食品名単位ナツメグ 粉
廃 棄 率%0
エネルギー(kcal)kcal/100 g559
エネルギー(kJ)kJ/100 g2339
水 分g/100 g6.3
たんぱく質g/100 g5.7
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g
脂 質g/100 g38.5
トリアシルグリセロール当量g/100 g-30.6
飽和脂肪酸g/100 g-10.76
一価不飽和脂肪酸g/100 g-13.28
多価不飽和脂肪酸g/100 g-5.22
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g47.5
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g
水溶性食物繊維g/100 g
不溶性食物繊維g/100 g
食物繊維総量g/100 g
灰 分g/100 g2
ナトリウムmg/100 g15
カリウムmg/100 g430
カルシウムmg/100 g160
マグネシウムmg/100 g180
リンmg/100 g210
mg/100 g2.5
亜鉛mg/100 g1.3
mg/100 g1.2
マンガンmg/100 g2.68
ヨウ素µg/100 g
セレンµg/100 g
クロムµg/100 g
モリブデンµg/100 g
レチノールµg/100 g0
α-カロテンµg/100 g
β-カロテンµg/100 g
β-クリプトキサンチンµg/100 g
β-カロテン当量µg/100 g12
レチノール活性当量µg/100 g1
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g
β-トコフェロールmg/100 g
γ-トコフェロールmg/100 g
δ-トコフェロールmg/100 g
ビタミンKµg/100 g
ビタミンB1mg/100 g0.05
ビタミンB2mg/100 g0.1
ナイアシンmg/100 g0.5
ビタミンB6mg/100 g
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g0
パントテン酸mg/100 g
ビオチンµg/100 g
ビタミンCmg/100 g0
食塩相当量g/100 g0
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g
重量変化率%
備考別名: にくずく
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ナツメグの効果・効能

ナツメグに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

豊富なミネラルが骨粗しょう症を予防

ナツメグに豊富に含まれるカルシウムやマグネシウム、リンは骨の形成を促進する栄養素です。

カルシウムは必要量を摂取しないと、骨粗しょう症になるリスクが高まります。カルシウムの1日の必要量は、成人男性で600~658mg、女性で517~556mgです。

血中のカルシウムは常に一定量になるよう調節されていて、骨にあるカルシウムとバランスをとっています。食事からのカルシウム摂取量が不足すると、血中のカルシウムを補充するため骨のカルシウムが血中に溶け出す仕組みです。

カルシウムだけでなく、マグネシウムとリンも骨の形成に重要な栄養素です。マグネシウムはリン酸マグネシウムとして骨や歯の成分になります。リンもハイドロキシアパタイトとして、カルシウムと協力して骨を作ります。

鉄や銅で貧血予防

ナツメグに含まれる鉄は、血液の成分である赤血球を作るときに必要な栄養素です。鉄が不足すると赤血球の生成が阻害され、貧血になります。

また、銅も血液を作るときに欠かせない栄養素です。銅は肝臓でセルロプラスミンと呼ばれるタンパク質となり、血中に送り出されます。セルロプラスミンは、鉄の代謝に作用します。

そのため、血液を作る鉄を正常に働かせるためには銅が必要です。銅が欠乏すると、貧血や神経異常が起こります。

ピネンが胃腸をサポート

ナツメグの香りの主成分となるピネンには、胃腸の作用を助ける働きがあります。これが、ナツメグが漢方薬として使用される理由です。

ピネンは有機化合物の一種で、香料としてアロマオイルに利用されることもあります。漢方として利用されるときは、下痢や腹痛に効果があります。

オイゲノールで口臭予防

オイゲノールも香り成分で、抗菌作用があることが知られています。口臭の原因となる細菌を抑制し、口臭を予防します。市販の口臭予防剤に含まれる成分です。

またオイゲノールには抗酸化作用もあり、身体の酸化を抑えて免疫力を上げる作用や老化の予防効果があります。

ナツメグの食べ方

ナツメグの栄養素を損なわない調理方法・食べ方・食べるときの注意点などを解説します。

ナツメグの基本的な使い方

ナツメグはパウダー状で販売されていることが多く、そのまま振りかけて使用できます。ホールで購入したときは、おろし金を使ってすり潰して使用しましょう。

ナツメグは熱が加わると、香りと甘味が強くなります。そのため、調理前にひき肉に混ぜ込むとナツメグの風味を高められます。

ナツメグのおすすめの使い方

ナツメグには肉の臭みを消す効果があるため、肉料理に使うのがおすすめです。また、牛乳やバター、生クリームなどの乳製品の臭みをとるためにも使用できます。

ナツメグの香りと甘味を引き立たせる食べ方は、ハンバーグなどの肉料理やシチュー、ポタージュがおすすめです。

ひき肉にひとつまみ加えるだけで、肉の臭みを消して旨味を引き出せます。乳製品の臭みが苦手な人は、シチューやホワイトソースなどにも入れると良いでしょう。味に癖が少ないため、さまざまな料理に使えます。

また、肉や乳製品だけでなく野菜の臭みを消す効果もあります。野菜の青臭さが苦手な人には、ドレッシングに加えてサラダにかけるのがおすすめです。

ナツメグを使うときの注意点

ナツメグを大量に摂取すると中毒症状が起こることがあります。興奮や錯乱などの精神症状や吐き気、呼吸困難、頻脈などの症状が起こります。ナツメグに含有されるミリスチシンや、エレミシンなどの成分が原因です。

中毒が起こる摂取量は、5~15g以上とされています。そのため、料理には適量を使用しましょう。肉100gに対して0.1~0.2gが適量とされており、レシピでは「ひとつまみ」などの表現がされます。

ナツメグの保存方法

ナツメグの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

ホールの場合は調理の直前にすり潰す

ナツメグはホールの状態でも販売されていることがあり、使用前に自分ですり潰してから使用します。すり潰しても栄養に変わりはありませんが、パウダー状になると香りが飛びやすくなります。

そのためホールで購入したときは、使用直前にすり潰すとよいでしょう。そうすることで、ナツメグの特徴である香りを最大限に活かせます。

パウダー状の場合は密閉容器で保存

パウダー状のナツメグを保存するときは、香りが飛ばないように密閉容器に入れて冷暗所に保管します。冷蔵庫に入れると結露で湿気が生じる可能性があるので、長く保存するときは冷蔵庫ではなく冷凍庫に入れます。

一般的には1年程度保存できますが、香りや風味がなくならないうちに使用するとよいでしょう。

参考文献