しその栄養と効果効能・調理法・保存法

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しそ

しその旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、しそに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

しそとは

しそ(perilla)とはシソ科シソ属の植物です。赤じそと青じその2種類があり、青じその葉の部分は大葉とも呼ばれます。また、えごまと混同されがちですが、えごまは同じシソ科の仲間です。

しその原産地は中国やヒマラヤ、ミャンマーと言われており、日本には中国から伝わりました。古くから日本でも栽培され、有名な生産地は愛知県です。農林水産省の「地域特産野菜生産状況調査 確報 平成30年産地域特産野菜生産状況」によれば、愛知県だけで全国の収穫量の4割以上を占めています。ほかにも静岡県や大分県で栽培が盛んです。

現在は温室栽培が増えているため、1年中スーパーで見かけることのできるしそですが、旬は5~7月頃です。特に6月頃が出荷の最盛期となっています。

そんなしそは苦味と爽やかな香りが特徴で、和製ハーブとも言われる存在です。刺身のつまや天ぷら、梅干しの色付けなど幅広く使われています。食用として用いられるほか、種や葉を乾燥させて漢方としても利用されてきました。

しその品種・種類

主に食用されている赤じそと青じそについて解説します。

赤じそ

茎・葉ともに、紫色をしているしそを赤じそと言います。葉が縮れている品種が一般的です。アクが強くえぐみが感じられるので、生のまま食べる方法はおすすめできません。

赤じそは主に梅干しの色付けやしそジュースなどに利用されます。日本人には、赤じそを乾燥させてふりかけにした「ゆかり」も馴染み深い存在でしょう。生の実と花が、刺身のつまとして使われることもあります。

青じそ

青じそは、茎と葉が緑色のしそです。香りが非常に良く、葉から花、実まで薬味や揚げ物などに使われます。

葉の部分は大葉と言い、一部の地域では「青蘇(セイソ)」という名称で呼ばれます。刺身のつまや天ぷら、薬味などに利用されることの多い種類です。

しそに含まれる成分・栄養素

しそ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

しそには食物繊維・β‐カロテン・鉄・ビタミン類がとりわけ多く含まれます。成分表には記載されていませんが、ほかにもペリルアルデヒドやロスマリン酸などしそ特有の栄養素が含まれ、さまざまな健康作用が期待できます。

食 品 名単位しそ 葉 生しそ 実 生
廃 棄 率%00
エネルギーkJ130132
kcal3232
水 分g86.785.7
タンパク質アミノ酸組成によるタンパク質g3.1-2.7
タンパク質g3.93.4
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量gTr0.1
コレステロールmg00
脂質g0.10.1
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g--
g
利用可能炭水化物(質量計)g--
差引き法による利用可能炭水化物g10.7
**
食物繊維総量g7.38.9
糖アルコールg--
炭水化物g7.58.9
有機酸g--
灰分g1.71.9
無機質ナトリウムmg11
カリウムmg500300
カルシウムmg230100
マグネシウムmg7071
リンmg7085
mg1.71.2
亜鉛mg1.31
mg0.20.52
マンガンmg2.011.35
ヨウ素μg6-
セレンμg1-
クロムμg2-
モリブデンμg30-
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg00
α|カロテンμg044
β|カロテンμg110002600
β|クリプトキサンチンμg00
β|カロテン当量μg110002600
レチノール活性当量μg880220
ビタミンDμg00
α-トコフェロールmg3.93.8
β-トコフェロールmg00.1
γ-トコフェロールmg00.7
δ-トコフェロールmg00.2
ビタミンKμg690190
ビタミンB1mg0.130.09
ビタミンB2mg0.340.16
ナイアシンmg11.8
ナイアシン当量mg2.4-3
ビタミンB6mg0.190.12
ビタミンB12μg00
葉 酸μg11072
パントテン酸mg10.8
ビ オ チ ンμg5.1-
ビタミンCmg265
アルコールg--
食塩相当量g00
備 考試料: 青じそ(別名 : 大葉)廃棄率: 小枝つきの場合40 %硝酸イオン: 0.1 g試料: 青じそ廃棄率: 穂じその場合 35 %硝酸イオン: Tr
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

しその効果・効能

しそに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

食物繊維の整腸作用

しそには、腸の調子を整える食物繊維が含まれています。食物繊維は腸内細菌のエサになったり、便のカサを増やして腸のぜん動運動を促したりして、腸を整える作用があります。

また、しそに含まれるポリフェノールのペリルアルデヒドも整腸作用が期待される成分です。これらの栄養素により、便秘改善を後押ししてくれるでしょう。

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ペリルアルデヒドの殺菌作用

ペリルアルデヒドは、大葉にもっとも多く含まれる香り成分です。強い抗菌作用や防腐作用があるため、長期保存を目的としてあらゆる料理に使われるようになりました。刺身のつまや海鮮丼にも殺菌の目的で入れられています。また臭み消しの効能もあります。

そのほか自律神経にアプローチすることによる食欲増進効果や、発汗作用もあると言われています。

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β-カロテンで視機能を健康に

しそに含まれるβ‐カロテンは、ビタミンAと同様の働きをする栄養素です。光の明暗を察知するロドプシンと呼ばれる物質の主成分となるため、視機能の維持に役立ちます。

また、粘膜を構成する上皮細胞の生成にも関わることから、目の健康にとって欠かせない存在です。

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ビタミンEの抗酸化作用

しそには、脂溶性ビタミンの一種であるビタミンEが多く含まれます。ビタミンEは高い抗酸化作用を持ち、体内の活性酸素を除去する効果が期待できます。

活性酸素が過剰に発生すると細胞が傷つき老化が促進されるため、ビタミンEは美容効果も期待できる栄養素と言えるでしょう。

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ビタミンB群が健康維持に

ビタミンB群は体内で補酵素として働き、糖質・脂質・タンパク質を効率よくエネルギー化してくれる成分です。体を健康に保つためにも積極的に摂取したい栄養素と言えるでしょう。

特にしそに多く含まれる葉酸はDNAの合成に関わるため、子どもの成長には欠かせません。妊娠時期には通常より240μg多く摂取することが推奨されています。

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ビタミンCで免疫力アップ

ビタミンCには白血球の働きを強化する作用があります。免疫力アップに期待ができるので、風邪や感染症の予防をサポートしてくれるでしょう。ビタミンCは体内で合成できないため、食品から積極的に摂取する必要があります。

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ビタミンCの美肌効果

さらにビタミンCは肌への効果が期待されている栄養素です。体内でコラーゲンの生成を促すことから、健康的な肌作りを後押ししてくれます。さらにメラニン色素の生成を抑制する効果もあるので、美白効果も期待できるでしょう。

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鉄が貧血予防に

しそにはミネラルの一種である鉄が多く含まれています。鉄は赤血球のヘモグロビンに存在する栄養素で、貧血予防に役立ちます。

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αリノレン酸の抗アレルギー作用

αリノレン酸には、アレルギーを抑制する効果が期待されます。また、種子に含まれるルテオリンやロスマリン酸にも、ヒスタミンの遊離を抑える抗アレルギー作用があると言われています。花粉症やアトピー性皮膚炎などの緩和に役立つでしょう。

特にしその種子を原料としたしそ油にはこれらの成分がとりわけ多く含まれます。ただし、しそ油はカロリーが高いので、過剰摂取に注意しましょう。

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しその食べ方や注意点

しその栄養素を損なわない選び方・調理方法・食べ方などを解説します。

新鮮なしその選び方

しそを選ぶときは、まず軸に注目してください。太さがあり、切り口が変色していないものを選びましょう。軸が細いものや曲がっているしそは鮮度が落ちている可能性があります。切り口が乾燥していたり、茶色く変色していたりするしそも収穫から時間が経っていると判断されます。

また、葉に黒い斑点が見られるしそは、品質の悪いしそである可能性が高いため避けましょう。葉に張りがあり、青じその場合は緑色が鮮やかなものが新鮮と言えます。大きすぎるしそは硬くなりすぎている場合があるので、適度なサイズ感のものを選ぶのも重要です。

油を使った料理がおすすめ

しそに含まれるβ‐カロテンやビタミンEを効率よく摂取するなら、油を使った調理方法がおすすめです。これらの栄養素は脂溶性なので、油に溶けやすい性質があります。例えば、天ぷらやオイルパスタの材料として使うとよいでしょう。

魚や肉などの、動物性タンパク質を豊富に含んだ肉類の脂質とも相性抜群です。そのため、主菜の薬味として活用しても良いでしょう。

生で食べて水溶性ビタミンを摂取

しそは生のままでも食べられる食品です。加熱調理と異なり、生食すると熱に弱い性質のあるビタミンB群やビタミンCを効率よく摂取できます。

さらに細かく刻むことで、その豊かな香りも楽しめます。しばらくすると香りは消えてしまうので、食べる直前に刻む方法がおすすめです。

野菜や肉類と一緒に鉄を摂取

しそに含まれる鉄を効率よく摂取するなら、ビタミンCやタンパク質などの栄養素と合わせましょう。ビタミンCには鉄の吸収効率を高める作用があります。また、しその非ヘム鉄は、動物性タンパク質に含まれるヘム鉄を利用することで吸収しやすくなります。

ビタミンCが豊富なトマトやパプリカ、タンパク質が多く含まれる肉類などがおすすめの食品です。

妊婦も摂取可能

しそは妊婦でも問題なく食べられる食品のひとつです。特に香り成分のペリルアルデヒドには胃腸の働きを整える作用があるので、吐き気を緩和させる効果が期待できるでしょう。

さらにしそには、胎児の正常な成長を促進してくれる葉酸も豊富です。十分な量の葉酸を摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減につながると言われています。

しその保存方法

しその栄養素を損なわない保存方法を解説します。

しそは痛みやすい食材のひとつです。すぐに変色したり、水分が出たりしてしまうので、新鮮な状態を保つためにも正しく保存しましょう。

冷蔵保存の方法

基本的にしそは冷蔵庫で保存します。乾燥に弱いので、保存中も水分を補給してあげると長持ちしやすくなります。

まず大葉を立てて入れられる、コップや瓶などの容器を用意します。大葉の軸を2~3mmほどカットしたら、軸を下にした状態で立てて入れましょう。葉が浸からない程度の量の水を入れれば完了です。葉に水が触れると、劣化しやすくなるので気をつけてください。2~3日ごとに水を入れ替えれば、2週間ほど日持ちします。

冷凍保存の方法

さらに長期保存したい場合は、冷凍庫で保存しましょう。しそを2~3枚ずつ重ねてからラップで包み、密閉できる保存袋に入れます。もしくは、薬味として刻んでから保存袋に入れても構いません。

この状態で3ヶ月程度は日持ちます。しかし日が経つと鮮度が落ちてしまうので、1ヶ月以内に使い切るのがおすすめです。また、自然解凍して生のままでも使えますが、冷凍後はどうしても水っぽい仕上がりになってしまいます。凍ったまま天ぷらや炒め物に使いましょう。

塩漬け保存の方法

塩漬けにする場合は、最初にしその軸を取り除き洗います。水分をよく拭き取ったら、保存容器に大葉と塩を交互に重ねて入れるだけなので簡単です。最後に乾燥しないようラップで密閉させましょう。重しとして小さいお皿を上にのせるとさらによく漬かります。

保存期間は1~3ヶ月程度です。塩気がついているので、おにぎりに巻いてもおいしく食べられます。

参考文献

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