妊娠中におすすめの食べ物・飲み物

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妊娠中の身体の仕組みについて解説したうえで、妊娠中の症状・胎児の成長に効果的な鉄・葉酸を、豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

妊娠について

まずは、妊娠の基本的な仕組みについて解説します。

卵子と精子の受精が起こると、妊娠3週目に胎児(胎芽)が形成されます。この時期はまだ母体に変化がないため、妊娠には気付きません。妊娠の兆候に気付くのは、妊娠4週以降です。

そのため4週目までは、妊婦が避けた方が良いとされるアルコール・薬・タバコなどを気付かずに摂取してしまう可能性があります。しかし、胎児が本格的に発育を始めるのは妊娠4週目以降のため、大きな影響はないと考えられています。

妊娠すると、徐々に胎盤ができ始め、妊娠10週目以降にエコー検査で胎盤が確認できるようになります。胎盤は、子宮内にできる胎児と母体を繋ぐ基盤になります。胎盤と胎児を繋ぐのは、管状をした臍帯で、一般にへその緒と呼ばれる器官です。

臍帯には、胎児から母体に向かう血管と、母体から胎児に向かう血管の2種類があります。羊水の中にいる胎児は、大人のように肺呼吸ができないため、臍帯をとおして母体から酸素を受け取り、二酸化炭素を渡します。

同様に、胎児の成長に必要な栄養も、臍帯をとおして送られる仕組みです。胎児が栄養を取り込むには、母体に頼るしかなく、お母さんの食べた栄養が、胎児の発育に大きく影響します。

妊娠中に起こりやすい症状

妊娠中は、胎児の維持に必要なホルモンが多く分泌されるなど、ホルモンバランスが普段とは異なるため、体調に変化を生じやすい期間です。また、体内で大きくなった胎児によって母体の臓器が圧迫されることで、さまざまな症状が生じます。

妊娠中に起こりやすい症状は、次のとおりです。

  • つわり
  • 貧血
  • 便秘
  • 腰痛
  • むくみ
  • 糖代謝異常
  • 高血圧
  • 眠気

妊娠の時期別における身体の変化

妊娠中は、その時期によって初期・中期・後期に分けられます。それぞれの時期で、胎児の大きさやホルモンバランスが変化するため、母体に出る症状も異なります。

妊娠初期(1ヶ月~4ヶ月、0週~15週)

妊娠が発覚し、胎児ができ、胎盤が完成するくらいまでの妊娠1ヶ月~4ヶ月(0週~15週)の時期を、妊娠初期と呼びます。妊娠初期には脳や神経、心臓、肺など、重要な臓器が形成されるため、胎児にとって大切な時期です。

妊娠初期は、まだ胎盤が完成していないため、臍帯をとおして母体から胎児へ栄養が送られることはありません。胎盤ができるまでは、胎児が持っている卵黄嚢(らんおうのう)と呼ばれる器官から、栄養を取り込んでいると考えられています。

ただし、母体の栄養が無関係なわけではなく、血管はとおっているため、胎児の成長には母体から送られる栄養素が不可欠です。

妊娠初期の母体は、つわりや乳房が張るなどの症状が起こりやすくなります。胎児はまだ小さいため、母体の体型に大きな変化はありません。

妊娠中期(5ヶ月~7ヶ月、16週~27週)

妊娠中期とは、最終月経の開始日から数えて5ヶ月~7ヶ月(16週~27週)の時期です。胎盤や生命維持に必要な臓器が完成しているため、安定期とも呼ばれます。

妊娠中期になると、聴覚や触覚などの感覚機能や、毛髪といった細かい器官・機能が整ってきます。胎盤にある臍帯から、母体から栄養や酸素を取り入れ始める時期でもあり、胎児の発育にとって大切な時期です。

妊娠中期の母体は、腹部のふくらみが大きくなり、体重が増えます。つわりが終わって食欲が増えるため、急な体重増加に注意が必要です。

妊娠後期(中期以降~出産まで)

妊娠中期以降から、出産までの期間を妊娠後期と呼びます。胎児の脳や皮下脂肪、筋肉が大きく発達する時期です。

胎児が大きくなる時期のため、母体の臓器が圧迫されて、便秘や頻尿、息切れなどの症状が起こることがあります。胎児の重さで腰痛に悩まされる妊婦も少なくなく、出産が近づくにつれて身体を動かすことが難しくなってくる時期です。

妊娠中に摂りたい胎児の発育に大切な栄養素

胎児の発育を助ける栄養素について解説します。

妊娠中は、臍帯をとおして母体から胎児に栄養が送られます。お母さんが不摂生な食事をしていると、胎児の発育に影響が出ることもあるため、妊娠中の食事には注意を払いましょう。

妊婦の適正なエネルギー量

厚生労働省によると、成人の推定エネルギー必要量は、30~40kcal/kg体重/日です。妊婦の場合は、胎児の成長による体重増加が起こるため、体重の増加に応じたカロリーが必要になります。

また、成人の推定エネルギー必要量は身体活動レベル(運動量)によっても異なり、厚生労働省の推定では、普通の生活を送る20~40代の女性では約2000kcal/日となっています。

妊娠の時期によるエネルギー付加量は、次のとおりです。成人の推定エネルギー必要量に付加量を加えたものが、適正エネルギー量と考えられています。

  • 妊娠初期:+50kcal/日
  • ◎妊娠中期:+250kcal/日
  • ◎妊娠後期:+450kcal/日

タンパク質:胎児の内臓や筋肉を作る

タンパク質は、内臓や筋肉など胎児の身体を作るうえで欠かせない栄養素です。ホルモンや酵素として胎児の発育に大きく関与しています。また、神経系を正常に作用させるのに必要な神経伝達物質や、ビタミンの生成に必要な栄養素でもあります。

妊娠中は、成人の必要量0.66g/kg体重/日に、次の付加量を加えたタンパク質量が必要です。妊娠初期は、成人量と同程度のタンパク質を摂りましょう。

  • 妊娠中期:+10g/日
  • 妊娠後期:+15g/日

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

カルシウム:胎児と母体の骨を作る

カルシウムは、骨や歯の成分となる栄養素です。胎児の骨格を作るときに必要不可欠な栄養素であるとともに、妊娠中は母体のカルシウムが胎児に移行してしまうため、積極的に摂りたい栄養素でもあります。

カルシウムは体内で産生できないため、摂取量の不足は、母体・胎児ともに骨量や骨密度が低下する原因となります。

成人のカルシウム推奨量は、約660mg/日です。

なお、妊娠時は腸からのカルシウム吸収率が上がるため、妊婦だからといって、追加でカルシウムを摂らなくてもよいと考えられています。しかし、成人のカルシウム推奨量が摂取できていない妊婦の場合は、妊娠中は特にカルシウムの摂取を意識しましょう。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

鉄:妊娠中の貧血を予防する

鉄は、血液の成分であるヘモグロビンを構成し、酸素の運搬に関与するミネラルの1つです。鉄が不足すると、全身に酸素が送られにくくなり、息切れや疲労感、頭痛などの症状が起こります。

妊娠中は、臍帯をとおして胎児に血液を送るため、普段以上に鉄不足になりやすいと考えられています。

妊娠中の鉄の摂取推奨量は、成人女性(月経あり)の推奨量10.5mg/日に、次の付加量が必要です。

  • 妊娠初期:+2.5mg/日
  • 妊娠中期・後期:+9.5mg/日

鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

葉酸:遺伝子の合成に関与し細胞を作る

葉酸とは、DNAやRNAなどの遺伝子、タンパク質の合成に関与するビタミンB群の1種です。遺伝子を合成することで、細胞の増殖を促進させ、胎児の発育に作用します。

妊娠中に葉酸が不足すると、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが上がると考えられています。神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄のもととなる神経管がうまく発達せず、脳の形成不全が起こる病気です。

神経管閉鎖障害のリスクを減らすためには、葉酸の1日摂取量を450μg以上とする報告があるものの、厚生労働省はこの量でリスクが回避できるとは限らないとしています。妊娠中は、最低でも450μg/日以上の葉酸を食事から摂取しましょう

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

亜鉛:DNA合成を促進して胎児の発育に関わる

亜鉛とは、筋肉・骨・皮膚・内臓・脳に存在し、タンパク質の合成や免疫機能の維持に関与する栄養素です。

また、DNA合成にも関わり、新しい細胞を作るときに重要な役割をしているため、胎児の発育に欠かせません。亜鉛が不足すると、味覚障害などの感覚障害や免疫機能障害、成長遅延、生殖器の発達障害が起こる可能性があります。

成人における亜鉛の推奨量は、8mg/日です。妊婦は、成人量に+2mgの付加量が必要と考えられています。

亜鉛の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

妊娠中におすすめの食べ物・飲み物

妊娠中におすすめの食べ物・飲み物について解説します。

ブロッコリー

ブロッコリーは、鉄・葉酸・カロテンを多く含みます。DNA合成に関与する葉酸、胎児に酸素を運搬するときに働く鉄は、妊娠中に意識して摂取したい栄養素です。

また、カルシウムの吸収を促進させるビタミンKも豊富で、胎児の骨形成に有効と考えられます。

ブロッコリーの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ほうれん草

ほうれん草には、妊娠中に不足しがちな鉄が多く含まれています。鉄の吸収を助けるビタミンCも豊富に含むため、貧血予防に効果的な野菜です。

また、胎児の発育に欠かせない葉酸もたくさん含みます。ほうれん草の根元は、調理の際に捨てることが多いですが、根元にはマンガンと呼ばれるミネラルが豊富に含まれています。ほうれん草を食べるときは、根元も一緒に調理するのがおすすめです。

ほうれん草の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

納豆

納豆は、胎児の成長に欠かせないタンパク質を多く含む食べ物です。筋肉や内臓など身体を作り、ホルモンや酵素といった機能維持に欠かせない体内物質の産生にかかわります。

納豆は、胎児の組織や、血液を作るときに必要な葉酸や鉄も豊富です。イソフラボンの過剰摂取は健康によくないとの報告もありますが、1日1パック程度の摂取は問題ないと考えられています。

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

玄米

玄米は、精米する前のお米です。白米とは異なり、見た目が茶色いのが特徴で、白米には含まれない栄養素がたっぷり含まれています。玄米は低GI値食品のひとつで、血糖値が上がりにくいのが特徴です。

妊娠中は、血糖を下げる働きをするホルモン・インスリンが分泌されにくくなるため、妊娠糖尿病を発症するリスクが高まります。玄米は、血糖値が上がりにくい穀物のため、妊娠中の主食におすすめです。

玄米の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

牛乳

牛乳に含まれるカルシウム量は、乳飲料のなかでも非常に多いのが特徴です。カルシウムは、胎児の骨形成に欠かせないだけでなく、母体の骨を健康に保つために役立ちます。

牛乳に含まれる脂質が気になる場合は、低脂肪乳がおすすめです。ただし、牛乳を飲むと下痢をしやすくなるなど、体質に不安がある場合は無理をせず、他の食べ物でカルシウムを補いましょう。

牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

妊娠中に避けたい食べ物・飲み物

妊娠中に気を付けたい、妊婦が控えた方がよい食べ物・飲み物を解説します。

妊娠中は、免疫力が落ちているため、通常よりもかかりやすい病気に気を付けなくてはいけません。また、胎児の発育に影響を与える食べ物や飲み物も避けたほうがよいでしょう。

加熱していないチーズや生ハム

加熱していないチーズや生ハムは、リステリア菌と呼ばれる細菌の1種による食中毒の原因となります。そのため、チーズを食べるときは、加熱処理されたプロセスチーズを選び、賞味期限と保存方法に気を付けましょう

リステリア菌による食中毒をリステリア症と呼び、妊婦では、発熱・頭痛・関節痛などのインフルエンザ様の症状を起こします。リステリア菌が胎児に感染すると、早産や死産の原因となり、新生児髄膜炎など重篤な症状を引き起こしやすいのが特徴です。

妊婦は、妊娠していない成人よりもリステリア症の感染リスクが約20倍高いとの報告もあります。

刺身や寿司などの生魚

チーズや生ハムなどの未加熱の食べ物と同様に、刺身や寿司などの生魚も、リステリア菌に汚染されている可能性があります。胎児の健康に影響するリステリア症のリスクを下げるためにも、妊娠中は生魚の摂取には気を付けましょう。また、生魚は、サルモネラ菌など他の食中毒の原因にもなります。

ただし、魚にはカルシウムやDHAなど、胎児の発育に大切な栄養素も多く含まれます。生魚を避け、焼き魚や煮魚を食べるなど、リスクを下げて必要な栄養素をきちんと摂取しましょう。

コーヒー・紅茶・お茶などカフェインの多い飲み物

コーヒーや紅茶、お茶、烏龍茶などに多く含まれるカフェインを過剰摂取すると、流産・死産のリスクが高まると考えられています

カフェインの上限摂取量については、個人差が大きいことから日本での設定はありません。イギリスでは、妊婦のカフェイン摂取量を200mg/日にすることを推奨しています。各国おおむね200~300mg/日を推奨しており、マグカップでいうとコーヒー2杯程度です。

カフェインの効果効能・1日の摂取目安量・効果的な摂取方法・副作用|NANIWA SUPLI MEDIA

アルコール飲料

妊婦が摂取したアルコールは、臍帯をとおして胎児へ送られ、胎児性アルコール症候群を引き起こす原因になります。

胎児性アルコール症候群とは、脳の形成不全や難聴、栄養障害、歩行困難などの症状を引き起こす疾患です。ADHDや、成人後に依存症になるリスクが、高くなると報告されています。

妊娠中の飲酒は、飲んだ量にかかわらず胎児へ影響を及ぼします。妊娠がわかった時点で飲酒はやめましょう。

妊娠中に心がけたい生活習慣

妊娠中に心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

バランスよく食べる

妊娠中の食事は、胎児によい食べ物を食べることと、胎児に悪影響を与える食べ物を食べないことも大切ですが、なによりもバランスよく食べることが重要です。

米やパン、麺類など主食で十分なエネルギーを摂り、ビタミンとミネラルを副菜でしっかり摂取します。主菜には、胎児の成長に欠かせないタンパク質を多く含んだ肉や魚を摂りましょう。

喫煙はやめる

妊娠中の喫煙や受動喫煙は、胎盤異常や早産を起こしたり、未熟児として生まれたりするリスクが高まると考えられています。妊娠中に喫煙していた場合、出産後に乳児突然死症候群を引き起こす可能性もあり、非常に危険です。

自身だけでなく、周囲に喫煙者がいる場合も、副流煙による影響が懸念されますので、妊娠中は副流煙を吸わないような対策をしましょう。

参考文献