納豆ダイエットの効果と正しいやり方・継続のコツ・注意点
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納豆ダイエットの効果と正しいやり方、継続のコツから注意点までを解説します。納豆ダイエットに挑戦しようとお考えの方だけでなく、普段から納豆を食べている方や、すでに納豆ダイエットに取り組んでいる方も、改めて正しい食べ方や注意点を確認しておきましょう。
納豆ダイエットとは
まずは納豆ダイエットと納豆の概要、ほかの大豆製品との違いについて解説します。
減量しながら美容効果も期待できるダイエット法
納豆ダイエットとは、健康によい納豆の栄養素を利用したダイエット法です。
普段の食事にプラスして納豆を食べるダイエット法で、厳しい食事制限は必要ありません。納豆には、肌や髪の代謝を高める栄養素も豊富に含まれるため、ダイエットしながら美容効果も期待できます。
食事をきちんと食べながらダイエットしたい人におすすめの方法です。
納豆とは
そもそも納豆とは、大豆を発酵させた発酵食品です。大豆に納豆菌を混ぜ、発酵を促して作られます。
市販されている納豆には、加工方法の違いによって、粒納豆とひきわり納豆があります。それぞれの違いは、以下のとおりです。
納豆の種類 | 特徴 |
粒納豆 | 粒のままで発酵させる納豆で、大豆の皮に含まれる食物繊維が多い。ひきわり納豆よりもミネラルを多く含んでいる。 |
ひきわり納豆 | 大豆の皮を取って砕いてから発酵させた納豆。粒納豆の1.5倍量のビタミンKが含まれている。 |
豆腐・豆乳との違い
同じ大豆製品である豆腐・豆乳との違いは、次のとおりです。
- 豆腐:豆乳を凝固剤で固めたもの
- 豆乳:大豆を煮詰めて繊維成分を除去したもの
大豆には、美容や健康に効果的とされる大豆イソフラボンが含まれています。イソフラボンは女性ホルモンに似た構造・作用をする成分です。皮膚の代謝を促進したり、髪を健康に保ったりする働きがあります。
納豆は、大豆製品の中でも大豆イソフラボン含有量の多いことが特徴です。食品安全委員会が報告している、大豆製品に含まれる大豆イソフラボンの量は、以下の表のとおりです。
食品名 | イソフラボン平均含有量(100gあたり) |
納豆 | 73.5mg |
豆腐 | 20.3mg |
豆乳 | 24.8mg |
納豆1パックは50g程度のため、納豆1食分に含まれる大豆イソフラボン含有量は約37mgです。豆腐や豆乳よりも、多く含まれることがわかります。
豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
豆乳の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
納豆ダイエットの効果
次に、納豆がダイエットに効果的な理由を解説します。
ビタミンB2が脂肪燃焼を促進
納豆に多く含まれるビタミンB2は、脂質代謝を促進させるビタミンB群の1種です。脂質を分解してエネルギーへ変換します。
またビタミンB2は、肌や髪を健康に保つ働きももっており、美容効果も期待されます。肌荒れや、髪のパサつきに効果的な栄養素です。
ビタミンB2は、大豆製品の中でも納豆に多く含まれます。
食品名 | ビタミンB2含有量(100gあたり) |
納豆 | 0.56mg |
豆腐(絹) | 0.11mg |
豆乳 | 0.03mg |
ビタミンB2の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
食物繊維たっぷりで便秘予防
大豆の皮には食物繊維が豊富で、粒納豆にも食物繊維が多く含まれます。
食物繊維は、人間の腸内で消化・吸収されない栄養素です。そのままの形で腸を流れ、排便を促す効果があります。また食物繊維には、血中コレステロールを下げる働きもあり、ダイエット中に積極的に摂取したい成分です。
納豆ダイエットでは、食物繊維の整腸作用とコレステロール低下作用が期待されます。ただし、ひきわり納豆は大豆の皮を除去しているため、粒納豆に比べてやや食物繊維が少ないことに注意しましょう。
納豆の種類 | 食物繊維含有量(100gあたり) |
粒納豆 | 6.7g |
ひきわり納豆 | 5.9g |
食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA
納豆菌が腸内環境を整える
納豆を加工する際に使用する納豆菌は、善玉菌の仲間です。乳酸菌と同様に、整腸作用があります。
人間の腸内には数多くの細菌が生息しており、腸内フローラと呼ばれる環境を作っています。腸内フローラには、腸の運動を促進する善玉菌と有害物質を産生する悪玉菌がおり、納豆菌は善玉菌に分類される細菌です。
納豆ダイエットをすることで、納豆菌が腸内フローラに働きかけ、腸内バランスを整えるのに役立ちます。
ナットウキナーゼで血液サラサラ効果も
納豆には、ナットウキナーゼと呼ばれる酵素が含まれています。ナットウキナーゼは血中の血栓を溶かし、動脈硬化を予防する働きのある酵素です。
そもそも血栓は、フィブリンという凝固物質が絡み合って作られます。ナットウキナーゼはフィブリンを分解して、血栓を溶かす働きをしています。
血管に良い食べ物【血液をサラサラに】|NANIWA SUPLI MEDIA
納豆ダイエットの正しいやり方
ここからは、納豆ダイエットの具体的な方法について解説していきます。
食べる時間帯は「朝」か「夜」
納豆ダイエットでは、朝あるいは夜に納豆を取り入れます。食事を納豆と置き換えるダイエットではないので注意しましょう。
納豆を食べる時間帯によって効果の現れ方が異なるため、得たい効果にあわせて食べる時間帯を決めるのがおすすめです。
食べる時間帯 | 期待できる効果 |
朝 | 美容・便秘・代謝促進の効果をより期待できる。 |
夜 | ナットウキナーゼによる血栓予防効果を高められる。 |
一般的に夜寝ている間は血圧が低く、起き上がったときに一気に血圧が上がります。寝ているときにできた血栓によって、朝方に脳梗塞が起こりやすくなる仕組みです。
そのため夜に納豆を食べると、寝ている間にできる血栓を予防できると考えられています。
1日の摂取目安量は「1パック」
納豆ダイエットで食べる量の目安は、1日1パック(50g程度)です。
納豆は健康や美容によい反面、カロリーの高い食品でもあります。粒納豆1パックのカロリーは約100kcal、ひきわり納豆は約97kcalです。
決してカロリーの低い食品ではないため、食べすぎには注意しましょう。
糖質制限ダイエットと組み合わせると効果的
糖質制限ダイエットとは、糖質の多い食品の摂取量を減らし、血糖値の上昇を防ぐダイエットです。
血糖値が急激に上昇すると、インスリンと呼ばれるホルモンが働きます。インスリンは、血糖値を下げるために糖を細胞内に貯蔵し、脂肪に変化させます。糖質の多い食品を制限することで、インスリンの働きを抑制し、脂肪を作りにくくさせるのが糖質制限ダイエットです。
納豆1パック(約50g)に含まれる糖質は約6gと少ないため、血糖値の上昇を防ぎます。そのため、糖質制限ダイエットと相性のよい食品です。
納豆ダイエット継続のコツ
ダイエットは継続しなくては効果が出ません。納豆ダイエットでは、納豆の味に飽きて失敗する人が多いと言われます。継続するためには、食べ方に工夫が必要です。
納豆キムチでより効果的に
納豆にキムチを混ぜて食べる納豆キムチは、キムチの辛さで味を変えられるため、納豆に飽きにくい工夫の1つです。
発酵食品であるキムチには乳酸菌が含まれており、血中のコレステロールを下げる効果があります。ダイエット食品としても、納豆とキムチは最適な組み合わせと言えるでしょう。
キムチの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
お酢を加えてフワフワ食感に
手軽に納豆の味を変えたいときは、お酢を小さじ1/2程度加えて混ぜてみましょう。お酢を入れない場合よりも、納豆がフワフワとした食感に変わります。
お酢には脂肪の貯蔵を抑制したり、高血圧を改善したりする効果があります。りんご酢や黒酢、バルサミコ酢など種類を変えて、味を楽しめるのもお酢を加えるメリットです。
納豆に加えるお酢の量は、お好みで調整して酸っぱさを変えるのもよいでしょう。
酢の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
千切りキャベツと混ぜて納豆サラダ
納豆を白米に乗せて食べるのに飽きたら、千切りキャベツと混ぜ合わせて納豆サラダにするのがおすすめです。味付けは付属のタレとマヨネーズなどお好みで。
キャベツには食物繊維が多く含まれており、便通をよくする効果があります。またキャベツをしっかりと噛んで食べることにより、満腹感が得られて食べすぎも防止します。
キャベツの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
納豆ダイエットの注意点
最後に、納豆ダイエットをする際に注意したいポイントについて解説します。
食べすぎが問題になることも
納豆は身体によい栄養素を多く含みますが、食べすぎは逆効果になることもあります。主に問題になる栄養素は、以下のとおりです。
栄養素 | 問題点 | 納豆50gの含有量 |
セレン | 過剰摂取によってセレン中毒を引き起こす。嘔吐・下痢・脱毛などの中毒症状が現れる。 | 8μg |
プリン体 | 痛風・腎結石の原因となる成分。穀類・魚類・肉類などに多く含まれる。 | 約57mg |
セレン・プリン体ともに、一般的な摂取量では問題になりません。しかし、納豆だけを食べたり、過剰に摂取したりすると、セレン中毒や痛風、腎結石の原因になるため、1日1~2パック程度を目安にしましょう。
セレンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
加熱するとナットウキナーゼが失活する
ナットウキナーゼは酵素の一種で、タンパク質から構成されています。タンパク質は熱によって構造が破壊されて、その効果を失う特徴を持っています。
そのため、納豆を加熱するとナットウキナーゼが壊れて効果がなくなるため、納豆ダイエットでは加熱調理は避けましょう。
ワーファリンを内服している人は要注意
血栓を抑制する薬剤・ワーファリンを飲んでいる人は、納豆の摂取は避けましょう。
納豆を摂取すると、体内でビタミンKが合成され、ワーファリンの効果を弱めます。血栓を抑制するため、と思ってワーファリン服用者が納豆を食べると、逆効果になるため注意しましょう。
参考文献
- 脳卒中の起こりやすい季節や時間帯はありますか|はしぐち脳神経クリニック
- ビタミンB2|大塚製薬
- 食物繊維の必要性と健康|e-ヘルスネット
- 納豆の健康効果について|岡山大学大学院
- 【研究報告】納豆が食後血糖値上昇を抑制|mizkan
- 病気がみえるvol.5血液(メディックメディア)
- 栄養学の基本がまるごとわかる事典(西東社)