身長を伸ばす食べ物・飲み物と身長を伸ばす生活習慣

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身長と食べ物の関係について解説したうえで、身長を伸ばすのに有効と考えられる栄養素と、それぞれの栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。身長を伸ばすために心がけたい生活習慣も解説します。

身長と食べ物の関係

身長の伸びには、遺伝的要因・食事・運動・睡眠・ストレスなど、さまざまな要素が関係しています。そのため食事が身長の伸びにどれほど影響を与えるかは明らかではありませんが、成長期における食事から摂取する栄養素が、体の発育に影響を与えていることは明らかです。

特に、乳幼児のころの第一次性徴と、小学生・中学生の10歳~15歳に訪れる第二次性徴の時期は、身長が急激に伸びて骨格筋が大きく増えるため、「成長スパート」とも呼ばれています。この二回の成長期に栄養バランスのとれた食事をとることは、身長を伸ばすために重要と考えられます。

ただし、特定の栄養素や食品を多く摂取したからといって、必ずしも身長が伸びるわけではありません。健全な発育には、栄養バランスの良い食生活と、適度な運動や、睡眠をたっぷりとって成長ホルモンを分泌させることが大切です。

身長を伸ばす栄養素

骨や筋肉の発達に関わり、身長が伸びるのを助ける栄養素は次の通りです。

カルシウム:太く長い骨を形成する

カルシウムは、人間の体に最も多く含まれるミネラルで、骨や歯の主成分であり、健康な骨の発達には欠かせない栄養素です。

厚生労働省による日本人の食事摂取基準(2015年版)では、1日あたりのカルシウム摂取推奨量は、第一次性徴が起こる1歳~2歳では400~450gと定められています。

第二次性徴の12歳~14歳は、男性1000g・女性800gと、生涯のうち最も多い量のカルシウム摂取が推奨される時期です。カルシウムは、身長が伸びる時期にとても大切な栄養素の一つと言えます。

骨量が一気に増加する成長期にカルシウムを十分に摂取することで、丈夫で骨密度の高い骨が形成され、将来の骨粗しょう症のリスクを減らすこともできます。

カルシウムを多く含む乳製品・葉物野菜・大豆製品・海藻・魚類などは、身長が伸びる時期には積極的に摂取したい食材です。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンD:カルシウムの吸収を助け丈夫な骨をつくる

ビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける作用を持ち、骨の成長や発達をサポートする栄養素です。カルシウムとビタミンDを合わせて摂取することで、身長の伸びへの良い影響が期待できます。

食事から摂取できるビタミンDは、きのこ類に多く含まれる植物性のビタミンD2と、魚やたまごに豊富な動物性のビタミンD3の2種類です。ビタミンDは油に溶けやすい性質があるため、油炒めや揚げ物など油を使う料理で効率よく摂取しましょう。

また、ビタミンDは、日光に当たることで体内でも生成されます。身長が伸びる成長期には、屋外での運動や日光浴も積極的に行うようにしましょう。

成長期にビタミンDが不足すると、骨が軟化してくる病を発症したり骨折しやすくなったりします。

ビタミンDの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA 

ビタミンK:カルシウムの骨への沈着を促進する

ビタミンKには、骨に含まれるオステオカルシンというタンパク質に働きかけ、カルシウムを骨に沈着させる効能があります。丈夫な骨を育て、身長を伸ばすために大切な成分と言えるでしょう。

特に、ビタミンKの一種であるメナキノンは、骨粗しょう症治療薬にも用いられている成分です。メナキノン - 4は鶏肉やたまごに含まれ、メナキノン - 7は納豆に豊富です。成長期の骨の発達を助けるために、これらの食材を積極的に摂るようにしましょう。

また、ビタミンKには骨を丈夫にする効能のほか、血液を固まりやすくする作用もあります。

クエン酸:カルシウムを吸収しやすくするキレート作用

クエン酸は植物に含まれる有機酸の一種で、カルシウムの吸収効率を高めるキレート作用で骨の健康を保ちます。

キレートとはギリシャ語で蟹のハサミを意味し、カルシウムを体に吸収しやすい形に変化させる作用のことを言います。体内に吸収されにくい性質のあるカルシウムを、クエン酸が包み込むことにより、効率よく摂取することができます。

クエン酸は、レモンやオレンジなどの柑橘類・梅・酢など、酸味のある食品に豊富です。身長を伸ばすためには、カルシウムを含む食品と一緒にクエン酸も積極的に摂取するよう意識してみましょう。

クエン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

タンパク質:筋肉や軟骨の成長に不可欠な栄養素

筋肉や血液のもととなるタンパク質は、カルシウムと共に健全な骨の発育には欠かせません。骨の先端に存在し、骨を伸ばす役割をもつ軟骨細胞の原料もタンパク質であり、骨の発達にとても大切な栄養素と言えます。

身長が伸びる成長期には、成人よりも多くのタンパク質を必要とします。動物性タンパク質は肉類・魚介類・卵類・乳製品に、植物性タンパク質は豆類・穀類などに多く含まれます。

これらの食品から良質なタンパク質を十分に摂取できるよう、食事のバランスを意識してみてください。

身長を伸ばす食べ物・飲み物

身長を伸ばす栄養素が豊富な食べ物・飲み物を紹介します。

牛乳:カルシウム・タンパク質を効率的に摂取できる

カルシウムが豊富な牛乳は、身長が伸び悩んでいるときに積極的に摂取したい食品の一つです。牛乳100gあたり110mgのカルシウムが含まれており、牛乳瓶1本(200ml)の摂取で、成長期のカルシウム摂取推奨量の20~30%程度を補うことができます。

さらに、牛乳のカルシウム吸収率は40%と、カルシウムが豊富な小魚や青菜類などと比べて高く、吸収効率が良いのが特徴です。

また、牛乳にはカルシウムだけでなく、筋肉のもととなる良質なタンパク質も豊富に含まれているため、成長期に最適な飲み物と言えます。

牛乳の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ケール:野菜ではトップクラスのカルシウム含有量

ケール100gあたりには、野菜のなかでも特に多い220gものカルシウムが含まれています。

ケールに含まれる植物性カルシウムの吸収率は、牛乳と同等かそれ以上に良いという研究結果も発表されています。カルシウムの摂取元として理想的なケールは、骨を育てて身長を伸ばしたいときに最適な野菜です。

ただし、ケールは一般的なスーパーなどでは手に入りにくいうえ、独特な苦味のある味わいは子供にとって受け入れづらいかもしれません。

チンゲン菜・ほうれん草・小松菜などの葉物野菜にも、ケールには及びばないもののカルシウムが豊富です。ケールを普段の食事に取り入れるのが難しいときは、これらの野菜も活用してみてください。

ケールの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

鮭:カルシウムと一緒に摂りたいビタミンD

鮭をはじめとする魚類には、カルシウムの吸収率を高め、骨の発育を助けるビタミンDが豊富に含まれています。

コンビニで買える鮭の缶詰やパウチタイプのサーモンからもビタミンDを摂取できるため、栄養バランスが気になるときは、いつもの食事に一品プラスしてみてください。特に、骨ごと食べられる鮭の水煮缶なら、鮭の骨に含まれるカルシウムも一緒に摂ることができます。

さらに、鮭など魚類の油には、脳の発達を助けるオメガ3脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれています。魚類は、体だけでなく脳も成長する子供にとって非常に有用な食材と言えるでしょう。

ビタミンDやDHAは、さんま・いわし・さば・まぐろ・ぶりなどの魚にも豊富に含まれています。

鮭の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

納豆:ビタミンKでカルシウムの働きをサポート

カルシウムを骨に沈着させる働きのあるビタミンKは、納豆に多く含まれています。納豆に豊富なビタミンKのメナキノン-7は、少量の摂取でも骨を健康に保つ効果が期待できる、良質な栄養素として注目されています。

なお、ひきわり納豆には、一般的な粒納豆より1.5倍ほど多くのビタミンKが含まれています。多くのカルシウムを必要とする成長期には、ビタミンKが豊富なひきわり納豆がおすすめです。

納豆などの大豆製品には、子供の成長に大切な植物性タンパク質も豊富です。朝食にもおすすめなので、身長を伸ばすためには毎日1パックの納豆を取り入れてみてください。

納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

レモン:カルシウムの吸収率を高めるクエン酸が豊富

カルシウムを体に吸収しやすくするクエン酸は、レモン・みかん・オレンジ・グレープフルーツなどの柑橘類に多く含まれています。クエン酸が豊富な柑橘類とカルシウムを含む食品を合わせて摂取することで、カルシウムの作用をより高めることができます。

柑橘類のなかでも特にクエン酸が豊富なのはレモンで、みかんの約6倍・グレープフルーツの約3倍ものクエン酸を含んでいます。柑橘類のほか、キウイフルーツ・パイナップル・梅・酢などにもクエン酸が含まれています。

代謝を促進するクエン酸は、疲労回復にも効果的と考えられ、スポーツをしている成長期の子供にも役立つ栄養素です。

レモンの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

豆腐:消化吸収にも優れたタンパク質の摂取元

骨格を育てて身長を伸ばすためには、筋肉や軟骨の原料となるタンパク質を摂取することも欠かせません。

なかでも植物性タンパク質が豊富な豆腐は、消化吸収率が高く、子供の胃腸に負担をかけず、栄養素を効率的に摂取できる食材です。

また、豆腐には骨を強くするカルシウムが豊富なのもポイント。木綿豆腐には一丁(300g)あたり258mgと、絹ごし豆腐の約1.5倍のカルシウムが含まれており、身長を伸ばしたいときには木綿豆腐がおすすめです。

豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法 |NANIWA SUPLI MEDIA

身長を伸ばすために心がけたい生活習慣

身長を伸ばす食生活や生活習慣について解説します。

栄養バランスのとれた食事

身長を伸ばしたり体の成長を促進したりするためには、栄養バランスのとれた食事を3食とることが大切です。

食事をパンやご飯などの炭水化物だけで済ませるのではなく、体をつくるタンパク質が豊富な肉・魚・大豆製品や、骨を発達させるビタミン類・ミネラル類が豊富な野菜・果物なども食べるようにしましょう。

特に、カルシウムを多く含む牛乳やヨーグルトなどの乳製品・葉物野菜・小魚に加え、カルシウムの吸収を助けるビタミンDやクエン酸が豊富な食材を積極的に取り入れるようにしましょう。

スナック菓子やインスタント食品は控えめに

加工食品や清涼飲料水などの食品添加物に多く含まれるリンは、過剰に摂取するとカルシウムの吸収率を低下させ、骨量や骨密度を減少させる可能性があります。

骨を発達させ身長を伸ばすためには、食品添加物を含むスナック菓子やインスタント食品の摂取は、なるべく控えるようにしましょう。

また、コーラやコーヒーに含まれるカフェインも、過剰に摂取するとカルシウムの排出を促して骨への沈着を阻害してしまうため、飲み過ぎないよう気を付けてください。

睡眠をしっかり摂る

身長を伸ばすために不可欠な成長ホルモンが、最も多く分泌されるのは就寝中です。成長ホルモンは大人にとっても大切なホルモンですが、体が大きく発達する成長期には特に重要と言えます。そのため質の良い睡眠を十分な量とることを心掛けましょう。

良質な睡眠をとるためには、寝る3時間前までに食事を済ませる、覚醒作用のあるカフェインを夜に摂取しない、生活リズムを整えるために朝食は必ずとる、など食生活でも気を付けるべきポイントがあります。

適度に運動する

成長期の運動は、体の発達に大きな影響を及ぼします。適度な運動を習慣的に行うことで、食事や睡眠の生活リズムも整い、身長が伸びやすくなる環境を整えられます。

体育の授業や部活動での運動に積極的に参加するとともに、背骨をまっすぐに整えるようなストレッチも効果的と考えられます。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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