キムチの栄養と効果効能・調理法・保存法

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Kimchi

キムチの旬や原産地、主要な種類などの基本情報、キムチに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

キムチとは

キムチは、朝鮮半島発祥の辛味のある漬け物です。朝鮮漬けと呼ばれることもあります。

キムチは、塩やとうがらしなどの調味料を使い、白菜・大根などの野菜を漬け込み作られます。キムチという名前の語源は、野菜の塩漬けを意味する「沈菜(チムチェ)」が変化して定着したとするものをはじめ、いくつかの説があります。

日本におけるキムチは、昭和後期まで一般にあまり馴染みのない食材でしたが、キムチ味の調味料や激辛ブームがきっかけとなり、1980年代ごろから市場に出回るようになりました。

その後、キムチの人気は徐々に高まっていき、現在では国産のキムチも多く流通しています。

キムチは、漬け物としてそのまま食べられるほか、豚キムチ・キムチ鍋・キムチラーメンなど、具材や調味料として利用されることもあります。

キムチの種類

さまざまな具材および製法のキムチがあります。日本でもよく食べられている代表的なキムチの種類を紹介します。

キムチ

最も一般的な赤いキムチは、白菜や大根などの野菜を、塩・とうがらし・にんにく・しょうが・魚の塩漬けといった調味料で味付けしたものです。

白菜キムチ・大根キムチ(カクテキ)・きゅうりキムチ(オイキムチ)・ねぎキムチなど、さまざまな具材を使ったキムチがあります。

赤いキムチの味付けに使われるとうがらしの辛味成分カプサイシンには、脂肪燃焼・血行促進・食欲増進などの効果が期待できます。

白キムチ

白キムチ(ペッキムチ)は、とうがらしを使わずに作られる色の白いキムチです。辛味が少なくマイルドで、あっさりとした味わいを楽しめます。

赤いキムチと同じく、白菜や大根が白キムチの具材となります。白キムチは、とうがらしの辛さが苦手な方や、胃腸の弱い方におすすめのキムチです。

水キムチ

水キムチは、スープのように汁ごと楽しめるキムチの一種です。とうがらしやにんにくを入れないため、辛味が少ないのが特徴です。

水キムチは、白菜・大根・りんごなどの野菜と果物を水で漬け込んで作ります。

水キムチの漬け汁には乳酸菌が豊富で、赤いキムチの2倍以上の乳酸菌を含むとも言われているため、便秘を解消したいときにおすすめです。

キムチに含まれる成分・栄養素

キムチ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位はくさい 漬物 キムチ
廃 棄 率%0
エネルギー(kcal)kcal/100 g46
エネルギー(kJ)kJ/100 g192
水 分g/100 g85.8
たんぱく質g/100 g2.8
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-
脂 質g/100 g0.3
トリアシルグリセロール当量g/100 g-
飽和脂肪酸g/100 g-
一価不飽和脂肪酸g/100 g-
多価不飽和脂肪酸g/100 g-
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g7.9
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-
水溶性食物繊維g/100 g0.7
不溶性食物繊維g/100 g2
食物繊維総量g/100 g2.7
灰 分g/100 g3.1
ナトリウムmg/100 g870
カリウムmg/100 g340
カルシウムmg/100 g48
マグネシウムmg/100 g17
リンmg/100 g55
mg/100 g0.6
亜鉛mg/100 g0.3
mg/100 g0.06
マンガンmg/100 g0.17
ヨウ素µg/100 g-
セレンµg/100 g-
クロムµg/100 g-
モリブデンµg/100 g-
レチノールµg/100 g0
α-カロテンµg/100 g5
β-カロテンµg/100 g170
β-クリプトキサンチンµg/100 g72
β-カロテン当量µg/100 g210
レチノール活性当量µg/100 g18
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g0.5
β-トコフェロールmg/100 gTr
γ-トコフェロールmg/100 g0.1
δ-トコフェロールmg/100 g0
ビタミンKµg/100 g63
ビタミンB1mg/100 g0.05
ビタミンB2mg/100 g0.14
ナイアシンmg/100 g0.8
ビタミンB6mg/100 g0.21
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g45
パントテン酸mg/100 g0.43
ビオチンµg/100 g-
ビタミンCmg/100 g24
食塩相当量g/100 g2.2
アルコールg/100 g-
硝酸イオンg/100 g0.1
テオブロミンg/100 g-
カフェインg/100 g-
タンニンg/100 g-
ポリフェノールg/100 g-
酢酸g/100 g-
調理油g/100 g-
有機酸g/100 g-
重量変化率%-
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

キムチの効果・効能

キムチに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

乳酸菌で腸内環境を正常化し便秘・下痢を改善

発酵食品であるキムチには、便秘や下痢の改善に有効な乳酸菌が多く含まれています。乳酸菌は、糖を発酵させて乳酸を作る微生物の総称で、腸内での悪玉菌の繁殖を抑制して腸内環境を整えます。

乳酸菌には腸内細菌のバランスを整える作用のほか、コレステロールの低下・免疫力の向上・がん予防など、さまざまな効能が期待できます。乳酸菌は、キムチをはじめとする漬け物のほか、ヨーグルト・チーズ・納豆・日本酒などの発酵食品に含まれています。

キムチのなかでも乳酸菌をより効率的に摂取できるのは水キムチなので、腸の調子が気になるときは水キムチがおすすめです。水キムチには便秘解消効果のある食物繊維も豊富に含まれています。

キムチ由来の乳酸菌がアトピー性皮膚炎に効果的

キムチ由来の乳酸菌が、アトピー性皮膚炎の症状を緩和するのに有効という研究結果が発表されています。

キムチ由来の乳酸菌は、アトピー性皮膚炎を悪化させると考えられている黄色ブドウ球菌に対して強い抗菌作用を示すことが判明しました。マウスを使った実験では、乳酸菌を経口投与することで、皮膚の状態が改善し搔き傷が減少したことが証明されています。

ダイエットに効果的なとうがらしのカプサイシン

赤いキムチの味付けに使われるとうがらしは、辛味成分のカプサイシンを豊富に含んでいます。

カプサイシンには、代謝や発汗を促進するアドレナリンを分泌させる作用があります。カプサイシンの作用により代謝が良くなることで、脂肪燃焼・血流改善・若返り・美肌などの効果が期待できます。

なお、白キムチや水キムチなど、とうがらしを使わないで作られるキムチにはカプサイシンによる効能は期待できません。

免疫力アップに最適なアリシン

アリシン(硫化アリル)は、にんにくやねぎなどネギ属の野菜に含まれるにおいの成分で、強力な殺菌作用があります。免疫力を活性化し、菌やウイルスに対する体の抵抗力を高める効果が期待できます。

キムチは、味付けににんにくを使用するうえ、具材としてねぎを用いることもあるため、アリシンを効率的に摂取するのに適した食材と言えます。風邪やインフルエンザが流行する季節にもおすすめです。

食物繊維で生活習慣病を予防

野菜が原材料のキムチには多くの食物繊維が含まれています。食物繊維は、胃で消化されずに腸まで届いて、便秘など腸内のトラブルを改善する栄養素です。

また、食物繊維には整腸作用のほかにも、生活習慣病の原因となる脂質・糖・ナトリウムなどを吸着して体外へ排出する働きがあります。食物繊維が豊富なキムチを摂取することで、高血圧・脂質異常症・糖尿病などの予防効果も期待できます。

キムチの食べ方

キムチの栄養素を活かした食べ合わせや、一部の栄養を過剰摂取しないための選び方などを解説します。

納豆キムチはダイエット食に最適

キムチと同じ発酵食品である納豆は、栄養価・風味共にキムチとの相性が良い食材として知られています。キムチと納豆にはダイエットをサポートする栄養素が多く含まれているため、減量中にもおすすめです。

キムチには脂肪燃焼効果のあるカプサイシンが含まれており、納豆には脂質や糖質の代謝を促すビタミンB2が豊富です。また、どちらの食材にも腸内環境を整えて便秘を解消する食物繊維・乳酸菌が含まれているのもポイント。

納豆キムチは、栄養素の相乗効果でダイエットに最適なメニューと言えるでしょう。

キムチで塩分を摂りすぎないよう注意

キムチをはじめとする漬け物類は、保存食であるがゆえに塩分を多く含む食材です。一般的な白菜キムチ100gあたりには870mgのナトリウムが含まれています。

栄養素が豊富なキムチですが、塩分の摂取量に気を付けている人にとって食べ過ぎは禁物です。高血圧などの生活習慣病や、むくみの症状にお悩みの方は、キムチの摂取を適量にとどめることはもちろん、減塩タイプのキムチを選んでみてください。

糖質の多いキムチはダイエットに不向き

脂肪燃焼効果のあるカプサイシンや、便秘解消に効果的な食物繊維が豊富なため、ダイエットに良い食材という印象もあるキムチ。しかしながら、市販されているキムチのなかには、辛みを和らげるために砂糖や甘味料を多く添加しているものもあります。

糖質の多いキムチの食べ過ぎは、ダイエットを妨げる可能性があります。減量中の方は、製品ごとの成分表示の糖質量をチェックしてキムチを選ぶようにしましょう。

キムチの保存方法

キムチの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

市販キムチの保存方法

市販のキムチは、冷蔵庫で保存し、記載されている賞味期限や消費期限を目安に食べきるようにします。

韓国のキムチには商品を消費者に販売することができる期間を表す「流通期限」が記されていることがあります。流通期限は賞味期限とは異なり、過ぎたからといって食べられないことはありませんが、あまりにも古いものは避けたほうが良いでしょう。

自家製キムチの保存方法

手作りのキムチは、作って5日後ごろからが食べ頃です。冷蔵庫で保存しておけば、1週間~10日程度なら美味しく食べられます。酸味が強くなって味が落ちたり、カビが生えたりしたものは廃棄してください。

キムチは冷凍保存も可能

キムチを長期間保存したいときは冷凍することもできます。冷凍保存用袋に空気を入れないようにしてキムチを入れ、凍らせてください。

キムチは冷凍保存している間も発酵し続けるため、冷凍したキムチは1ヶ月以内には食べきるようにしましょう。

冷凍キムチは、常温や冷蔵庫で解凍すると水分が出てしまい味が落ちます。凍ったまま料理に使うのがおすすめです。

参考文献

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