かんぴょうの栄養と効果効能・調理法・保存法

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かんぴょう

かんぴょうの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、かんぴょうに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

かんぴょうとは

かんぴょう(kanpyo,dried gourd shavings)とは、ユウガオの果肉を細く薄く剥き、乾燥させた食品です。水で戻して巻き寿司や煮物の具材として使われます。

原料となるユウガオはウリ科の植物で、ひょうたんのように細長い品種と丸い品種があります。実はひょうたんとは同種で、ユウガオは食用に改良されたものです。ユウガオの原産は北アフリカと考えられていますが、かんぴょうは国内生産のほとんどが栃木県産です。

かんぴょうを作る際は、ユウガオの果肉を細長く薄く剥き、天日干しさせます。晴天だと1~2日ほど干して完成です。甘辛煮にした茶色いイメージが一般的かもしれませんが、乾燥させた直後のかんぴょうは白色をしています。

かんぴょうの品種・種類

かんぴょうには、二酸化硫黄で燻蒸した一般的なかんぴょう(漂白かんぴょう)と、燻蒸していない無漂白かんぴょうがあります。それぞれの違いを解説します。

漂白かんぴょう

一般的なかんぴょうは、防虫・防カビの目的で二酸化硫黄を保存料として使用しています。無漂白かんぴょうよりも色が白く、切れにくいのが特徴です。

漂白されたかんぴょうを戻す場合は、保存料の二酸化硫黄を洗い流す必要があります。塩でもみ洗いをして、下準備をしてから調理します。

無漂白かんぴょう

無漂白かんぴょうとは、二酸化硫黄を使用していないかんぴょうです。保存料の入ったかんぴょうよりも色は茶色がかっています。

また、より早く軟らかくなったり、自然な甘味があったりするのが特徴です。水で戻す際も、軽く水洗いするだけで調理に使えます。

かんぴょうに含まれる成分・栄養素

かんぴょう100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

ミネラルが豊富な一方で、タンパク質や脂質などの栄養素は多くありません。炭水化物の含有量は多く、ほとんどが食物繊維に分類されます。

かんぴょうの調理方法によって栄養成分が変わるため、高血圧の人はかんぴょうの甘辛煮の食べ過ぎには注意が必要です。

食 品 名単位かんぴょう 乾かんぴょう ゆでかんぴょう 甘煮
廃 棄 率%000
エネルギーkJ100287619
kcal23921146
水 分g19.891.657.6
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g4.4-0.52
たんぱく質g6.30.72.3
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g---
コレステロールmg000
脂質g0.200.2
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g33.3-3.526.7
g
利用可能炭水化物(質量計)g33.2-3.525.5
差引き法による利用可能炭水化物g402.131.4
***
食物繊維総量g30.15.35.5
糖アルコールg---
炭水化物g68.17.236.5
有機酸g---
灰分g50.43.4
無機質ナトリウムmg311200
カリウムmg180010090
カルシウムmg2503444
マグネシウムmg1101021
リンmg1401634
mg2.90.30.5
亜鉛mg1.80.20.3
mg0.620.080.05
マンガンmg1.60.140.31
ヨウ素μg2-8
セレンμg2-2
クロムμg5-2
モリブデンμg13-8
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg000
α|カロテンμg000
β|カロテンμg000
β|クリプトキサンチンμg000
β|カロテン当量μg000
レチノール活性当量μg000
ビタミンDμg000
α-トコフェロールmg0.40.1Tr
β-トコフェロールmgTr00
γ-トコフェロールmg000
δ-トコフェロールmg000
ビタミンKμgTr00
ビタミンB1mg000.01
ビタミンB2mg0.040-
ナイアシンmg2.70.30.3
ナイアシン当量mg3.2-0.40.4
ビタミンB6mg0.0400.03
ビタミンB12μg00Tr
葉 酸μg99710
パントテン酸mg1.7500.07
ビ オ チ ンμg8-1.9
ビタミンCmg000
アルコールg---
食塩相当量g003.1
備 考硝酸イオン: 0.5 g硝酸イオン: 0.1 g硝酸イオン: 0 g
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

かんぴょうの効果・効能

かんぴょうに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

食物繊維で便通促進

食物繊維とは、人間の消化酵素では消化できない植物に含まれる成分です。消化できない栄養素のため、体内には吸収されません。しかし、腸内を流れることで腸の蠕動運動を促進し、溜まっている便の排泄を促す効果があります。

かんぴょうに含まれる食物繊維の多くが不溶性食物繊維で、水分を含んで膨れる性質があります。腸内で大きく膨れるため、腸が刺激を受けて動き出すメカニズムです。

食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カリウムがむくみを解消

カリウムとは、新機能や筋肉機能を調節するミネラルの1種です。ナトリウムの排泄を促し、体内の水分量を調節する働きもしています。

体内の水分量が増えると、血管外に水分が漏れだしてむくみが発生します。カリウムは血管内に水分を戻し、むくみを解消する働きのある栄養素です。

かんぴょうにもカリウムが多く含まれており、むくみ解消の効果が期待できます。

カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カルシウムが健康な骨や歯を形成

カルシウムとは、骨や歯の主成分になるミネラルの仲間です。

血中のカルシウムは神経情報の伝達に関わっている大切な栄養素のため、血中濃度は一定に保たれています。血中カルシウム濃度が低くなると、骨や歯を構成するカルシウムが溶け出して血液中に流れ出して濃度を調節するメカニズムです。

かんぴょうにはカルシウムが豊富に含まれるため、丈夫で健康な骨や歯を形成するのに効果的。またカルシウムは、筋肉の働きを調整する働きももっており、運動機能にも大きく関与します。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

マンガンが代謝を高める

マンガンとは、人体に微量に存在するミネラルです。糖質やタンパク質の代謝に関与したり、酵素の構成成分になったりします。

土壌中に多く含まれる成分で、土壌で育った植物に豊富に含まれる栄養素です。かんぴょうにもマンガンが多く含まれており、代謝を高める働きをしています。

マンガンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

ヨウ素が赤ちゃんの成長を助ける

ヨウ素とは、体内に約25mgしか存在しない微量ミネラルです。体内にあるヨウ素のほとんどが甲状腺に存在し、甲状腺ホルモンの合成に関与しています。

甲状腺ホルモンは、成長促進や生殖機能の発達など成長に大きく関わる栄養素です。そのため、ヨウ素は胎児や赤ちゃんの成長にかかせません

妊娠中にヨウ素が不足すると、流産や死産のリスクが高まると考えられています。

ヨウ素の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

葉酸が造血を促す

葉酸とは、ほうれん草の抽出物から発見されたビタミンB群の仲間です。

新しい細胞を合成するときのサポートをしたり、正常な造血を促したりする働きがあります。葉酸も妊娠中の女性に欠かせない栄養素で、とくに妊娠初期から授乳期に積極的に摂取する必要があります

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

かんぴょうの食べ方

かんぴょうの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

かんぴょうの洗い方

かんぴょうは調理前に水洗いをしてから、ボウルに入れて水で戻します。ボウルにかんぴょうを入れ、水をひたひたにして3~5分ほど置きます。浸していた水にはかんぴょうの旨味が溶け出ているため、茹でるときに再利用すると旨味を逃がしにくいでしょう。

保存料が使われているかんぴょうの場合は、水で戻す前に塩もみしてよく洗う必要があります。

水で戻したかんぴょうを沸騰した鍋に入れ、10分程度茹でましょう。味見して軟らかくなっていたら、水を切って料理に使います。

かんぴょうのスタンダードな食べ方

かんぴょうといえば、巻き寿司や昆布巻きです。甘辛煮にしたかんぴょうをのりで巻いたり、昆布で巻いた塩鮭やニシンを結んだりして食べます。

おせち料理やお祝い料理などで大活躍するでしょう。

かんぴょうのナムル

かんぴょうの食感を活かしたレシピが、かんぴょうのナムルです。

豆もやしやピーマンと一緒に和えて味付けし、最後にごまを振ると立派なおつまみになります。さっと1品作りたいときにもおすすめです。

かんぴょうのトマトパスタ

水で戻しただけのかんぴょうは、わずかな甘さがあるだけの淡白な味をしています。淡白さを利用して、洋食に使うと新しい発見があるかもしれません。

イカや貝などの魚介にかんぴょうを加えてでトマトソースを作り、パスタにすると和食で食べるかんぴょうとは違った味を楽しめます。同様に、クリームパスタにも応用できます。

かんぴょうを食べる際の注意点

前述のとおり、かんぴょうには保存料を使っている漂白かんぴょうと、保存料を使っていない無漂白かんぴょうとがあります。保存料に使われる二酸化硫黄にはわずかに毒性があるため、下準備を正しく行いましょう。

しっかりと塩もみして流水で洗うか、吹きこぼして保存料を取り除きます。吹きこぼしで使ったお湯は捨て、茹でるときに使わないように気を付けましょう。

甘辛煮にしたかんぴょうの食べ過ぎは塩分過多に注意

甘辛煮にしたかんぴょうには、塩分が多く含まれており、食べ過ぎに注意が必要です。

一般的な調理方法では、かんぴょうの甘辛煮に含まれる食塩量は100gあたり3.1g。厚生労働省が推奨する1日食塩摂取量は成人男性で7.5g、成人女性は6.5gです。

かんぴょうの甘辛煮100gを食べると、1日の食塩摂取量の半分に達する計算になります。塩分過多になると、高血圧を引き起こし脳血管障害などの重大な疾病のリスクが高まるため注意しましょう。

かんぴょうの保存方法

かんぴょうの栄養素を損なわない保存方法について解説します。

乾燥状態なら密閉して冷蔵庫で保存

水で戻す前のかんぴょうは、直射日光を避けて涼しい場所で保管します。

袋を開けてしまっている状態だと、カビが生えたり虫が湧いたりする原因になります。密閉容器に入れて、冷蔵庫で保存するのがおすすめです。

戻した後のかんぴょうは冷凍保存も可能

水で戻したかんぴょうは、冷凍保存も可能です。

調理に使うサイズに切り、密閉できる袋に入れて冷凍保存します。使う分だけ小分けにしておくか、冷凍する際にときどき取り出してバラバラにしておくと取り出しやすくなります。

調理後のかんぴょうは、できるだけ早く消費しましょう。

参考文献

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