ホタテの栄養と効果効能・調理法・保存法

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Scallop

ホタテの旬や可食部などの基本情報、似た種類との違い、ホタテに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ホタテとは

ホタテ(Scallop)とは、ホタテガイの通称で、二枚貝に分類される軟体動物の1種です。

成長したホタテガイは、約20cmの2枚の貝殻を持ち、表面にある放射線状の線の数で、何年物のホタテなのかがわかります。放射線状にできる線を放射肋と呼び、季節によってホタテガイの成長速度が変わることで、貝殻に波のような線ができる仕組みです。

ホタテの旬は、貝柱が大きく成長する5月~8月と、生殖器が発達する12月~翌年3月の2回です。出荷自体は通年行われていますが、大ぶりでおいしいホタテを食べたいときは、春~夏に採れたてのホタテを購入するとよいでしょう。新鮮なホタテは、刺身にしてプリプリとした食感が楽しめます。

ホタテの可食部

ホタテの貝殻を開けると、外側から外套膜・生殖巣・エラ・貝柱・中腸腺の順で器官が並んでいます。

外套膜(がいとうまく)

外套膜は、軟体動物特有の器官で、内臓を保護する役割があります。貝殻を作るために、炭酸カルシウムを分泌しています。

ホタテの外套膜は、通称「ヒモ」と呼ばれ、コリコリとした食感がクセになる部位です。新鮮なホタテのヒモは、そのまま刺身でも食べられますが、一般的にはバター焼きにしたり、和え物にしたりして食します。

生殖巣(せいしょくそう)

生殖巣とは、ホタテの生殖器で、通常ホタテは1つの貝に、オスとメス両方の生殖器を持っているのが特徴です。しかし、日本のホタテは1つの貝に性は1種類、つまりオスのホタテとメスのホタテが別々に存在しています。

ホタテの産卵期である冬~春にかけて、生殖巣が大きくなり、オスは白く、メスは赤くなります。産卵期を終えると、生殖巣は小さくなるため、時期によっては生殖巣がない場合もあることに注意しましょう。

エラ

エラは、ヒトでいう肺の役目を持つ器官で、ホタテが呼吸するときに用います。また、海水のプランクトンなどを取り込むためにも使われます。

エラの色はオレンジやベージュで、よく加熱すれば食べられますが、取り除くのが一般的です。

貝柱

貝柱は、正式には閉殻筋と呼ばれる器官で、貝殻を閉じるときに使われる筋肉です。

ホタテ以外の二枚貝にも貝柱がありますが、「貝柱」というと、一般的にはホタテの貝柱を指します。貝柱はホタテの可食部のなかで、メインになる部分です。

中腸腺(ちゅうちょうせん)

中腸腺とは、通称ウロと呼ばれ、ヒトでいう肝臓や膵臓、胃と似た器官です。貝殻の蝶番(2枚の貝のつなぎ目部分)に存在し、灰色~黒色に見えます。

ホタテの肝臓では、海中から取り込んだ有害物質を分解したり、貯蔵したりする働きをしており、ウロを食べると中毒を起こす可能性があります。いわゆる貝毒と呼ばれるもので、下痢などの症状を引き起こす原因です。

ホタテの貝毒はウロに集中しているため、ウロを外せばその他の部分は問題なく食べられます。

ホタテの種類

ホタテガイによく似た種類の二枚貝に、イタヤガイやアズマニシキガイなどがあります。ホタテガイの仲間で、見た目がよく似ており、日本でも食用として流通しています。

ベビーホタテ

ベビーホタテは、ホタテガイの稚貝です。1年目のホタテガイをベビーホタテと呼び、小ぶりで料理に使いやすいことから、シチューの具や和え物、おつまみなどとして流通しています。

イタヤガイ

イタヤガイは、ホタテガイと同じ二枚貝の仲間で、左殻の模様が板ぶき屋根に似ていることから、この名が付きました。

ホタテガイと比べて生息域が広く、日本では北海道から九州まで分布していると言われています。味もおいしく、ホタテにも引けを取らないとされていますが、養殖が難しいためほとんど流通はしていません。

アズマニシキガイ

アズマニシキガイは、殻長が6~8cmと、ホタテガイよりも小さいことが特徴です。産地は北海道から東北と、ホタテガイと同じように寒い環境を好みます。

日本では、アズマニシキガイを目的に漁をすることは少なく、たまたま網にかかったものが地元で流通することの多い貝です。近年は外国産を中心に流通量が増え、養殖のアズマニシキガイは、ベビーホタテの名で市販されることもあります。

ヒオウギガイ

ヒオウギガイは、貝殻は約10cmとホタテガイより小さく、オレンジや黄色などのカラフルな見た目が特徴のホタテガイの仲間です。ホタテガイのように海中を泳ぐことはなく、岩場に張り付いています。寒い地域を好むホタテガイとは違い、房総半島以南の沿岸で養殖されています。

貝の中身はホタテガイと似ていて、可食部も同じです。甘味が強く、濃厚さを味わえます。

ホタテに含まれる成分・栄養素

ホタテ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

生のホタテは、ヨウ素やセレン、モリブデンなどの微量ミネラルが多く含まれます。その他の栄養素は、加熱前と加熱後で大きく変わることはなく、栄養素が保たれているのがわかります。

貝柱のみの栄養価とその他の可食部も含む場合とを比べると、その他の可食部も含む方がβ-カロテンやビタミンA、ビタミンB2、葉酸、カルシウムなどを豊富に含んでいます。これは、ヒモや生殖巣、エラにある栄養も含むためです。

食 品 名単位ほたてがい 生ほたてがい 水煮ほたてがい 貝柱 生ほたてがい 貝柱 焼きほたてがい 貝柱 煮干しほたてがい 貝柱 水煮缶詰
廃 棄 率%50600000
エネルギーkJ2793793475211279371
kcal66898212330187
水 分g82.376.878.467.817.176.4
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g10-12.712.318-46.9-13.9
たんぱく質g13.517.616.923.865.719.5
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g0.40.80.10.10.50.2
コレステロールmg3352355215062
脂質g0.91.90.30.31.40.6
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-1.5-1.9-3.5-4.6-7.6-1.5
g
利用可能炭水化物(質量計)g-1.4-1.7-3.1-4.2-6.8-1.4
差引き法による利用可能炭水化物g5.57.97.912.427.37.5
******
食物繊維総量g000000
糖アルコールg
炭水化物g1.51.93.54.67.61.5
有機酸g
灰分g1.81.81.31.78.22
無機質ナトリウムmg3202501201502500390
カリウムmg310330380480810250
カルシウムmg22247133450
マグネシウムmg5957415612037
リンmg210250230320610170
mg2.22.80.20.31.20.7
亜鉛mg2.73.11.52.26.12.7
mg0.130.170.030.040.080.03
マンガンmg0.120.120.020.030.10.07
ヨウ素μg2
セレンμg18
クロムμg3
モリブデンμg1
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg101511TrTr
α|カロテンμg1200
β|カロテンμg15023000
β|クリプトキサンチンμg0000
β|カロテン当量μg15023000TrTr
レチノール活性当量μg233411TrTr
ビタミンDμg000000
α-トコフェロールmg0.91.70.81.12.51.1
β-トコフェロールmg000000
γ-トコフェロールmg000000
δ-トコフェロールmg000000
ビタミンKμg120Tr00
ビタミンB1mg0.050.040.010.010.12Tr
ビタミンB2mg0.290.290.060.080.30.05
ナイアシンmg1.71.91.92.74.61
ナイアシン当量mg3.4-4.14.15.9-14-3.7
ビタミンB6mg0.070.060.110.140.120.09
ビタミンB12μg11181.72.15.22.6
葉 酸μg87836141227
パントテン酸mg0.660.640.280.340.750
ビ オ チ ンμg1.7
ビタミンCmg322100
アルコールg
食塩相当量g0.80.60.30.46.41
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

ホタテの効果・効能

ホタテに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

タウリンが心機能を高める

タウリンは、アミノ酸に似た物質で、魚介類に多く含まれる栄養素です。

タンパク質が分解されるときに作られたタウリンは、消化管でのコレステロールの吸収を阻害します。また、心臓や肝臓の機能を高めたり、高血圧の予防をしたりといった効果があると考えられています。

タウリンは、サプリメントや栄養ドリンクの主成分として利用されていて、ホタテには約1,000mgものタウリンが、含まれているのが特徴です。

水に溶けやすい物質のため、ホタテを茹でた出汁は捨てずに使うか、スープなどにホタテを入れると、タウリンの成分を逃しにくいでしょう。

亜鉛が胎児に必要な成長を促す

亜鉛は、DNAやタンパク質の合成に関与するミネラルの1種です。

体内には約2gしか存在しませんが、亜鉛が欠乏すると味覚異常や成長遅延、免疫機能の異常が生じる可能性があります。特に遺伝子を作る機能を補助し、成長に欠かせないため、妊娠中の女性は意識して摂取したい栄養素です。

亜鉛の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB2でダイエットや美容効果に期待

ビタミンB2は、タンパク質や脂質、炭水化物の代謝を促進するビタミンB群の1つです。

摂取した栄養素を、効率よくエネルギーに変換する補酵素として働きます。また、体内の老化を促進したり、動脈硬化を引き起こしたりする過酸化脂質を分解する効果もあり、ダイエットの味方になる栄養素です。

ビタミンB2は、皮膚や髪を健康に保つ働きもあります。過酸化脂質の生成を抑制する、ビタミンEと一緒に摂ると効果的です。

ビタミンB2の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

葉酸が健康な妊娠をサポート

葉酸は、DNAやRNAなどの遺伝子合成に必要な、核酸と呼ばれる構成物を生成するときに必要なビタミンの1種です。

特に、血液成分の1つである赤血球の合成に欠かせない栄養素なため、妊娠中の女性は積極的に摂るとよいでしょう。妊娠中に葉酸が欠乏すると、胎児の神経管閉鎖障害の原因にもなります。

葉酸には、消化管や口の中の粘膜を、正常に保つ役割もあります。粘膜が健康に保たれることで、細菌やウイルスの侵入を阻害し、免疫力を高めるのが、葉酸の働きです。

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ホタテの食べ方

ホタテの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

殻付きホタテの選び方

殻付きで売られているホタテは、どれも同じではありません。新鮮でおいしいホタテは、貝殻を手で少し開くと、ホタテがすぐに閉じるものです。貝殻が開きっぱなしのものは、鮮度が落ちて弱っている可能性があります。

一方、貝殻が開かずに閉じたままのホタテは、すでに死んでいる可能性が高く、鮮度が落ちているため避けましょう。ホタテの貝殻を触るときは、指を挟まれないように注意してください。

殻付きのホタテを選ぶときは、貝殻が少し開いているものを選びましょう。

殻付きホタテのさばき方

殻付きのホタテをさばくときは、包丁やステーキナイフを用意しましょう。

ホタテの膨らんでいる側を手のひらに乗せ、包丁を貝殻の間に差し込みます。包丁を貝殻の天井に当てながら一周させると、貝殻が開くようになります。

貝殻を外すときのポイントは、慌てずにゆっくりと包丁を沿わせることです。急いで作業すると、貝柱が崩れてしまう原因になります。

貝殻を外せたら、中身をより分けていきます。一番内側にある中腸腺(ウロ)を最初に外し、その後は外側から、ヒモ・エラ・生殖巣・貝柱の順に取り外しましょう。

殻付きホタテを調理する際の注意点

殻付きのホタテを下処理するときは、中腸腺(ウロ)を必ず取り除きましょう。

貝殻が合わさる側にある灰色~黒色をした器官がウロです。他の部位に影響はないため、指で外してかまいません。

ホタテのヒモの食べ方

ホタテのヒモは、貝柱よりも外側に付いているため汚れています。また独特のぬめりもあるため、調理する前にしっかりと流水で洗い、塩もみしてぬめりを落としましょう。

新鮮なヒモは刺身にしたり、酢の物や和え物にしたりと、お酒のつまみとしておすすめです。

ホタテの保存方法

ホタテの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

ホタテを冷蔵保存するときは1つずつラップで包む

ホタテは新鮮なうちに食べるのがおすすめですが、2~3日であれば冷蔵庫で保存することも可能です。ホタテを冷蔵保存する場合は、乾燥を防ぐために1つずつラップで包んで、密閉容器に入れるとよいでしょう。

殻付きのホタテも、殻のままラップに包めば、そのまま冷蔵保存できます。ただし、貝柱以外の可食部は傷みやすいため、できるだけ新鮮なうちに食べるのがよいでしょう。

下処理してから冷凍保存する

2~3日で食べ切れない量のホタテがある場合は、冷凍保存すれば2週間程度は保存できます。

冷凍保存するときは、殻を外して、貝柱・ヒモ・生殖巣・エラなどの可食部をそれぞれ切り離します。下処理したホタテを、それぞれ1つずつラップで包んで、密閉容器に入れましょう。下茹でしてから、冷凍保存することも可能です。

冷凍保存するときのポイントは、冷凍庫のにおいが移らないように、できるだけ密閉すること。また冷凍やけを起こさないように、早めに食べるのがおすすめです。

参考文献