ケールの栄養と効果効能・調理法・保存法
4625views
ケールの旬・原産地・種類といった基本情報、ケールが持つ栄養素とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
ケールとは
ケールは、地中海沿岸が原産のアブラナ科の緑黄色野菜です。食物繊維・β-カロテン・ビタミンCなど豊富な栄養を含有することから、野菜の王様とも呼ばれます。
青汁の原料として用いられるほどの豊富な栄養素を持つものの、苦味が強いことから従来は敬遠される傾向にありました。
しかし近年は苦味の少ないケールも生産されており、生食に向く「サラダケール」などの品種も登場しています。
またケールの旬は11~2月ごろで、霜が降り始める晩秋から冬にかけて甘味が強くなる点は、同じアブラナ科の野菜であるキャベツなどと同様です。
ただし旬のケールは葉が厚いため、歯触りの気にならない青汁や、しっかり熱を通す煮込み料理に向いています。
ケールの種類
ケールには数多くの品種がありますが、なかでも代表的な3つの種類について解説します。
コラード系ケール:縮れが少なく食べやすい。加熱調理向き
葉は楕円形をしており、キャベツの一番外側の葉に似ています。
葉は比較的柔らかいですが、茎はキャベツほどではないものの固く生食には不向きです。調理の際は、葉と茎を別々に加熱するとよりおいしく食べられます。
カーリーケール:縮れた葉が特徴。苦味が少なくサラダ向き
葉に切れ込みが入っており、パセリのように縮れた葉が特徴です。
苦味が少なくクセもないうえに、縮れた葉がドレッシングによく絡むため、サラダ用の葉物野菜として使うのに向いています。
ベビーケール:ケールの新芽。生食向きの柔らかさで食べやすい
ケールの新芽であるベビーケールは、非常に柔らかく苦味などのクセも少ないため、生食で食べるのにぴったりです。
ケール特有の苦味が気になるという方は、ベビーケールからチャレンジしてみるといいでしょう。
ケールに含まれる成分・栄養素
ケール100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通り。
さまざまな栄養素を持つケールですが、そのなかでも特に豊富なものは、β-カロテン・葉酸・ビタミンC・カリウム・カルシウムなどです。
特にβ-カロテンにいたっては、同じアブラナ科の仲間であるキャベツの約60倍という豊富さを誇ります。
単位 | ケール(生) | |
% | 3 | |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 28 |
水 分 | g/100 g | 90.2 |
たんぱく質 | g/100 g | 2.1 |
炭水化物 | g/100 g | 5.6 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.5 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 3.2 |
食物繊維総量 | g/100 g | 3.7 |
ナトリウム | mg/100 g | 9 |
カリウム | mg/100 g | 420 |
カルシウム | mg/100 g | 220 |
マグネシウム | mg/100 g | 44 |
リン | mg/100 g | 45 |
鉄 | mg/100 g | 0.8 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.3 |
銅 | mg/100 g | 0.05 |
マンガン | mg/100 g | 0.55 |
ヨウ素 | µg/100 g | 1 |
セレン | µg/100 g | 4 |
クロム | µg/100 g | 1 |
モリブデン | µg/100 g | 38 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 2900 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 |
α-トコフェロール(ビタミンE) | mg/100 g | 2.4 |
ビタミンK | µg/100 g | 210 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.06 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.15 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.9 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.16 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 120 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.31 |
ビオチン | µg/100 g | 4 |
ビタミンC | mg/100 g | 81 |
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
β-カロテン当量(μg):β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ケールの効果・効能
ケールが持つ栄養素の効果・効能を解説します。
豊富なβ-カロテンと各種ビタミン・ミネラルで免疫力アップ
ケールに含まれるβ-カロテンには、皮膚や粘膜を正常に保つ働きがあります。
皮膚や粘膜が荒れてしまうと感染症への抵抗力が弱まるため、免疫力を高めるためには、β-カロテンなどの栄養素で皮膚や粘膜を正常に保つことが重要です。
さらにケールはβ-カロテン以外にも、抗酸化作用のあるビタミンC・ビタミンEなどを含んでおり、血行改善など基礎代謝のサポートにも力を発揮します。
抗酸化ビタミンによるアンチエイジング効果
β-カロテン(ビタミンA)・ビタミンC・ビタミンEは三大抗酸化ビタミンと呼ばれており、3つのビタミンを豊富に含んだケールは、老化を防ぐアンチエイジング効果が期待できる野菜のひとつです。
β-カロテンは肌に与えられたダメージを修復し、肌荒れや乾燥を防ぐことで肌や粘膜を正常に保ちます。
ビタミンCは、メラニン色素の生成を阻害してしみを予防するほか、コラーゲンの生成もサポート。
ビタミンEは血行を改善し肌の代謝やターンオーバーを促進します。
食物繊維が便秘予防・解消に効果を発揮
ケールは不溶性食物繊維を豊富に含んでおり、便秘の予防・解消に効果を発揮するでしょう。
不溶性食物繊維は、消化されないためエネルギーにならない代わりに、腸のぜん動運動を助けて便通をスムーズにしてくれます。
カリウムでむくみ解消
塩分を体外に排出するのを促すカリウムは、むくみの改善に効果を発揮します。
普段から塩分の多い食事を摂っている方や、汗をかくことの多い夏場などに不足しがちなミネラルです。
ケールの調理方法
ケールの栄養を損なわない食べ方を解説します。
ケールの洗い方
葉が縮れたケールの場合、ブロッコリーなどと同様に葉の間に砂や泥がついていることがあります。たっぷりの水でしっかりと洗いましょう。
茎についたままで洗いにくい場合は、葉を茎からしごき取ると洗いやすくなります。
ケールのおすすめ調理方法
ケールはビタミンCなどの水溶性ビタミンが豊富なので、栄養をできるだけ損なわずに食したい場合は生食が一番です。
ただケールは比較的熱が通りやすい野菜でもあるので、サッと湯がく程度でも食べられ、これなら栄養を損なう心配もほとんどありません。
鍋やスープなど汁物に入れて、溶けだした栄養含めて丸ごと摂取するのもいいでしょう。
ケールの保存方法
ケールを保存する際は、冷蔵か冷凍が基本になります。
冷蔵保存する場合は、余分な水分を吸収するためにキッチンペーパーを巻いて、ジップロックなどに入れて保存してください。
冷蔵庫で保管してしなびてしまった場合は、茎の下の部分をななめに切り落とし、水に20~30分程度浸すと元気になります。
冷凍保存する場合もほぼ同様で、水気を絞りフリーザ―バッグに入れて保存しましょう。刻んだ状態で冷凍保存すれば、炒め物などに使いやすく便利です。