熱中症対策におすすめの食べ物・飲み物

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栄養素

熱中症の症状や原因について解説したうえで、熱中症の予防・対策におすすめの栄養素とそれぞれの栄養素を豊富に含む熱中症におすすめの食べ物や飲み物を紹介します。

熱中症とは

熱中症(heatstroke)は、高温多湿の環境に体が適応できないことで起こる、体温上昇・めまい・頭痛・けいれんなど、さまざまな症状の総称です。

熱中症は、原因や症状の重症度別に、熱失神・熱疲労・熱けいれん・熱射病の4種類に分けられます。重度の熱中症になると後遺症が残る、死亡するなどの可能性もあり、体力のない子供や高齢者は特に注意が必要な病気です。

熱中症対策には、水分と塩分を補給する・クーラーを使う・屋外では日傘や帽子で日差しを避ける・涼しい服装を心がけるなどの基本的な予防策のほか、栄養バランスの取れた食事で体調を整え、熱中症になりにくい体をつくっておくことも大切です。

熱中症の重症度別の症状

熱中症の重症度別の症状は以下の通りです。

Ⅰ度(熱失神・熱けいれん)

  • めまい
  • 失神
  • 筋肉痛
  • 筋肉の硬直(こむら返り)
  • 手足のしびれ
  • 気分の不快

Ⅱ度(熱疲労)

  • 頭痛
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 倦怠感
  • 虚脱感

Ⅲ度(熱射病)

  • 意識障害
  • けいれん
  • 手足の運動障害
  • 高体温
  • 肝機能異常
  • 腎機能障害
  • 血液凝固障害

熱中症の原因

熱中症の症状は、暑さで大量に汗をかいて脱水状態となったり、体温調節がうまくできなくなり体内に熱がこもってしまったりすることで起こります。

人間は通常、汗をかくことで体温を調節しています。汗を多くかいたのに水分を摂らないと、脱水状態となり吐き気や頭痛など熱疲労の症状が出ます。

また、気温が高い環境で体温が上がると、皮膚表面の血流が増加して体外に熱を逃がそうとします。その結果、脳へ流れる血液の量が不足して、めまいや失神などの熱失神を引き起こすのです。

熱中症は多くの場合、炎天下の屋外や閉め切った屋内など気温と湿度が高い環境で発症します。また、梅雨明けなど急に気温が上昇したときも体が暑さに適応できず、熱中症患者が増加します。

高齢者・子供・乳幼児・糖尿病などの持病のある人は、暑さに弱く熱中症になりやすいため、特に注意が必要です。健康な成人でも、寝不足・二日酔い・風邪などの体調不良時には体温の調節機能が低下し、熱中症になりやすくなります。

熱中症を予防する栄養素

熱中症の予防・対策に役立つ栄養素は次の通りです。

ナトリウム

ナトリウムは、塩の主成分であり、人間の体にとって大切な必須ミネラルの一種です。体温が上昇し汗を多くかくと、水分だけでなくナトリウムをはじめとしたカリウム・マグネシウムなどのミネラル類も排出されてしまいます。

ミネラルが不足すると、こむら返り・足がつるなど熱中症の症状が引き起こされます。水を大量に飲むとミネラルと水分のバランスが崩れてしまうため、熱中症対策の水分補給にはスポーツドリンクや経口補水液が有効です。

スポーツドリンクや経口補水液のほか、コンビニで買える塩分タブレットにもナトリウムをはじめとした熱中症対策に有効なミネラル類が多く含まれています。

ナトリウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

カリウム

カリウムは、必須ミネラルの一種で、細胞内液の浸透圧を調節して塩分と水分のバランスを保つ働きを担っています。

汗をかくと、ナトリウムだけでなくカリウムも失われていきます。カリウムが不足すると細胞内が脱水状態となり、熱中症からの回復に影響を及ぼします。

汗を多くかく夏場は、塩分だけでなくカリウムも積極的に摂るよう心がけましょう。カリウムは、海藻・野菜・果物・豆類などに多く含まれているため、普段の食事から摂取することができます。

カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB群

ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6などのビタミンB群は、エネルギー代謝をサポートして体の回復力を高める栄養素です。ビタミンB群は、熱中症予防のためにスタミナを付けたいときや、熱中症にかかってから体の回復を早めたいときに有効なビタミンと言えます。

特に、ビタミンB1には体のエネルギー源となる炭水化物(糖質)の分解・吸収を助ける作用があり、体力が落ちているときの熱中症対策に最適です。ビタミンB1は、豚肉・うなぎ・ナッツ類などに多く含まれています。

一方、ビタミンB2は脂質の代謝を助け、ビタミンB6はタンパク質の代謝を助けます。熱中症にかかりにくい体を作るにはビタミンB群をバランス良く摂取することが大切です。

ビタミンB群の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

クエン酸

クエン酸は、酢や柑橘類に含まれる酸味成分で、有機酸の一種です。クエン酸には汗をかくことで失われるミネラル類の吸収効率を高める作用があり、熱中症対策に有効と考えられます。

クエン酸は、生物が活動するために必要なエネルギーを作り出すクエン酸回路の主幹物質です。エネルギーを効率的に利用し、猛暑に負けない健康な体づくりには欠かせない栄養素と言えるでしょう。

また、クエン酸の持つ酸味には食欲増進効果があり、夏バテにより食欲が落ちたときにも役立ちます。

クエン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

熱中症対策におすすめの食べ物・飲み物

熱中症対策に摂っておきたい栄養素を多く含む食べ物・飲み物を紹介します。

梅干し:ナトリウムなどのミネラル類・クエン酸が豊富

梅干しは、熱中症対策に効果的な食材です。梅干しには、不足すると熱中症を引き起こす可能性があるナトリウムに加え、ミネラル類の吸収をサポートするクエン酸が含まれています。

ナトリウムのほかにも、梅干しにはカリウム・カルシウム・マグネシウムといったミネラル類が豊富で、夏場の健康維持にはぴったりと言えるでしょう。また、調味梅干しでなければ糖質もほとんど含まれないため、生活習慣病の方の熱中症対策にも利用できます。

コンビニの梅干し入りおにぎりは、熱中症が心配されるシーンでの差し入れにもおすすめです。酸味の強い梅干しには食欲増進効果があるため、食欲が出ないときの食事にも取り入れてみてください。

梅の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

スイカ:塩をかけて食べるとより効果的

夏の風物詩ともいえるスイカは、水分のほか、カリウム・カルシウム・マグネシウムなどのミネラルや、エネルギーとなる糖質も豊富で、夏バテや熱中症対策に効果を発揮します。

ミネラル類のなかでも、特にスイカに多く含まれているのはカリウムです。カリウムは、水に溶けやすい性質を持っているため、食材を調理するときに流出しやすいのが難点ですが、生で食べられるスイカなら無駄なく栄養素を摂取できます。

また、スイカに塩をかけて食べると甘みを強く感じられるうえ、発汗で失われるナトリウムを補えて一石二鳥です。

スイカは、老若男女問わず人気のある果物なので、お祭りやマラソン、屋外でのスポーツ時の熱中症対策の差し入れにも向いています。

スイカの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

バナナ:果物のなかでトップクラスのカリウム含有量

バナナは、熱中症対策に有効なカリウムやマグネシウムなどのミネラル類が豊富な果物です。特に、バナナのカリウム含有量は100gあたり360mgと、りんごやスイカの約3倍のカリウムが含まれていて、効率的に栄養を補えます。

カリウムをはじめとしたミネラル類を多く含むバナナですが、熱中症予防に大切なナトリウムはほとんど含まれていません。

カリウムにはナトリウムと相互に作用する性質があるため、バナナに塩を振りかけてナトリウムを補った「塩バナナ」が、運動時など汗をたくさんかくシーンにおすすめです。

バナナの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

トマト:ミネラル類が豊富なトマトジュースが熱中症対策におすすめ

トマトは、血管の健康に関わるリコピンや、アンチエイジング効果のあるβ-カロテンやビタミンCなどの栄養素が豊富な夏野菜です。

トマトには熱中症対策に有効と考えられるカリウムも豊富です。生のトマトやホールトマトより、トマトジュースに多くのカリウムが含まれているため、熱中症対策にはトマトジュースがおすすめです。

夏バテで食欲が出ないときの水分・栄養補給に、コンビニや自動販売機でも買えるトマトジュースを役立ててみてください。近年では塩分無添加のトマトジュースも増えていますが、汗を多くかいたときには塩分が添加されているタイプが良いでしょう。

トマトの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

豚肉:スタミナ不足を解消するビタミンB群

豚肉には、体のエネルギーとなる糖質を代謝するビタミンB1をはじめとし、記憶力を向上するビタミンB12が豊富に含まれています。夏場に体力を付けたいときには、ビタミンB群が豊富な豚肉を積極的に食べるようにしましょう。

熱中症対策に特に重要なビタミンB1は、赤身の多い部位に特に多く含まれています。熱中症の予防と対策には、豚ヒレ肉・豚モモ肉など赤身中心の部位がおすすめです。

なお、ビタミンB1は、ねぎ・にんにく・にらなどに含まれるアリシンと共に摂取すると体に吸収されやすくなる性質を持っています。

うなぎ:ビタミンB群・ビタミンA・タンパク質で丈夫な体に

うなぎは、熱中症や夏バテ予防に効果的と考えられるビタミンB群をはじめ、筋肉や血液のもととなる良質なタンパク質が豊富な魚です。スタミナをつけ、熱中症になりにくい体づくりをするのに最適な食材と言えるでしょう。

風邪などの感染症で体力が落ちると、熱中症になりやすくなります。うなぎには皮膚や粘膜の健康を保つビタミンAが多く含まれているのも特徴で、免疫力を高めて風邪を引きにくくする効果が期待できます。

スポーツドリンク・経口補水液:水より熱中症対策に効果的

熱中症対策として欠かせないのが水分補給ですが、水を飲み過ぎると水分とミネラル分のバランスが崩れ、熱中症を悪化させる恐れもあるので注意が必要です。

スポーツドリンク・経口補水液は、ナトリウムをはじめとしたミネラル類や糖質をバランスよく含んでおり、熱中症を予防するのに理想的な飲み物と言えます。

炎天下で作業する際や、夏のスポーツの水分補給には、水ではなくスポーツドリンク・経口補水液がおすすめです。

熱中症予防のために心がけたい生活習慣

熱中症を予防するために心がけたい生活習慣を紹介します。

こまめな水分補給

熱中症の原因のひとつは、汗を大量にかいて脱水状態となることです。汗で流出してしまう水分とミネラル分は、スポーツドリンクなどをこまめに飲んで補給しましょう。

「喉が乾いた」と感じる前に水分をこまめに摂っておくことで、熱中症を未然に防ぐことができます。

近年では、就寝中に熱中症になる例も報告されており、睡眠前にコップ1杯程度の水分を摂ることが対策となります。水分補給と合わせて、クーラーを適切に使う・冷感寝具を利用するなど、寝室の環境を整える対策も行うようにしましょう。

日傘や帽子で日差しを避ける

日差しの強い屋外で作業や運動をする際は、必ず日傘や帽子などで直射日光から体を守るようにしましょう。なるべく気温の低い日陰にいるようにすることも熱中症の対策になります。

冷感素材を使った薄手の衣服を着るなど、涼しい服装を心がけることも大切です。

冷房を適切に使う

屋外だけではなく、気温と湿度の高い室内で熱中症を発症する事例も増えています。特に室温が上昇しやすいと考えられる、建物の最上階や密閉性の高い空間がハイリスクです。

室温が高くなる夏場は、クーラーや扇風機を使って、部屋の温度と湿度を適切に保つようにしましょう。暑さを感じにくい高齢者や、自分で室温を調節できない子供が過ごす部屋は、特に注意を払う必要があります。

生活リズムを整えて十分な睡眠をとる

睡眠が不足していると、体温調節がうまくできなくなり熱中症になりやすくなります。生活リズムを整えることも熱中症対策のひとつです。

快適な寝室環境と言われているのは、室温28度以下・湿度50~60%です。気温の高い夏場は、寝苦しくなって睡眠の量だけでなく質も落ちてしまいがち。クーラーや冷感寝具、氷枕などを使って快適に眠れる環境を作り、熱中症を予防しましょう。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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