クエン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

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クエン酸の基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、1日の摂取目安量、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。

クエン酸とは

クエン酸(citric acid)とは、レモンやオレンジなどの柑橘類、酢や梅干しなどに含まれる酸味成分のことです。癖のない爽やかな酸味を持つことから食品添加物として多用され、原材料表では「酸味料」などと表記されます。

クエン酸は有機酸の仲間で、有機酸にはクエン酸のほかに、酢酸・リンゴ酸・乳酸・酒石酸などが含まれます。いずれも酸味を持っていますが、渋味があるものや苦味のあるものなどその特徴はさまざまです。

漢字では「枸櫞酸」と表記し、枸櫞とはシトロンのことを指します。柑橘類に多く含まれる成分であることからこの名前がつきました。

主な効果・効能はクエン酸サイクルにおける糖質の代謝で、体内の細胞が活動するために不可欠なエネルギー「ATP(アデノシン三リン酸)」を生み出すのに必要な栄養素です。

体によい効果効能を持つほか、水垢やカビなどの日常的な汚れを除去できる安全性の高い洗剤として掃除や洗濯にも用いられます。

クエン酸の効果・働き

クエン酸の効果効能を解説します。

エネルギーの代謝

クエン酸は、人をはじめとする生物が活動するために必要なエネルギー・ATPを生み出すクエン酸サイクルの中心となる主幹物質です。クエン酸の補給は、このクエン酸サイクルの活性化につながります。

クエン酸サイクルが正しく回ることで、食品から摂取した糖質や体脂肪がエネルギーに変換されることにもつながり、ダイエット効果や肌のターンオーバー正常化による美肌効果なども期待できるでしょう。

疲労感の軽減

クエン酸の数ある効果の中でも、疲労回復効果については多くの人の知るところでしょう。

ただし、これはクエン酸が血中の乳酸生成を抑制する作用によるものではありません。従来は「乳酸の分解を促進してたまりにくくすることで疲労回復に効果がある」と考えられていましたが、現在は乳酸は疲れのもとではなく、クエン酸サイクルの中でエネルギーとして再利用されることが分かっています。

国立健康・栄養研究所では「クエン酸の疲労回復効果について信頼できる十分なデータが見当たらない」として、疲労回復に対する有効性を否定しています。

しかしこれまでの研究結果の中には、クエン酸の適量の摂取が疲労感の軽減効果をもたらすことを示唆するものが含まれていることも事実です。一方で、クエン酸の疲労感軽減効果は、精神的疲労に対してのみ認められたとする研究もあります。

ミネラルの吸収効率を高めるキレート作用

クエン酸には、ミネラルの生体内での利用効率を高める作用があります。

カルシウムや亜鉛、鉄、マグネシウムといった各種ミネラルは、人体に必須な栄養素であり食品やサプリメントからの十分な摂取が推奨されます。ところが、ミネラルを単体で摂取しても、それらが人の体の中で十分に利用されるとは限りません。

そこでミネラルの吸収効率を高めるのがキレート作用です。キレートとは、ミネラルなどの金属原子と、それらに結合できる分子とが結合した化合物のことで、ミネラルはキレートされることによって体内に吸収されやすくなります。

たとえばカルシウムとクエン酸のキレートでは、そのままでは吸収されにくいカルシウムをクエン酸が包み込むことで、吸収効率を向上させるのです。キレート作用は、活性酸素を抑止しアンチエイジングにもつながります。

腎臓結石(カルシウム結石)の予防効果

クエン酸はカルシウムとキレートすることによって、シュウ酸とカルシウム、リン酸とカルシウムが結合するのを抑制するため、腎臓カルシウム結石の予防にも有効です。

さらに、尿中Phを上昇させることで尿酸結石やシスチン結石の予防にも有効。一方で、果物や野菜からクエン酸を大量に摂取しようとした場合、同時にシュウ酸を多く摂り過ぎる可能性がある点には注意が必要です。

胃酸分泌を促し食欲増進

クエン酸には、胃の粘膜を刺激して胃酸分泌を促す効果があります。この効果により消化を促進する作用が得られ、食欲増進につながり夏バテなどで食欲がないときにも効果的です。

一方で、空腹時に飲むと胃が荒れることがあるため注意しましょう。

血圧上昇ホルモンの抑制作用

クエン酸や、クエン酸を豊富に含むレモンにまつわる研究の中には、クエン酸に抗高血圧効果があることを示唆するものもあります。

理由のひとつとして考えられるのは、体内に取り込んだクエン酸が酢酸へと変わることにより、酢酸の効果効能として血圧抑制作用が得られるというものです。

食品を腐りにくくする抗菌・防腐作用

クエン酸は殺菌・防腐作用を持っています。たとえば、お弁当にクエン酸を多く含む梅干しを入れる理由は、周囲の食べ物を腐りにくくする効果を期待してのこととも言われています。

クエン酸を多く含む食品ランキング

厚生労働省の「食品成分データベース」によれば、クエン酸を多く含む食品は次の通りです。

順位食品名成分量100gあたりg
1レモン果汁 生6.5
2梅干し 塩漬3.4
3冷凍カシス3.3
4レモン果実 生3
5チーズホエーパウダー2
6脱脂粉乳1.8
7青大豆 炒り大豆1.7
8青大豆 きな粉1.6
8黄大豆 炒り大豆1.6
8青大豆 きな粉 脱皮大豆1.6
11国産黒大豆 乾燥 全粒1.5
11国産黄大豆 乾燥 全粒1.5
11黒大豆 炒り大豆1.5
11国産青大豆 乾燥 全粒1.5
15乾燥マッシュポテト1.1
15あずき 乾燥 全粒1.1
15グレープフルーツ 白肉種 砂じょう 生1.1
18キウイフルーツ 緑肉種 生1
19バレンシアオレンジ ストレートジュース0.9
20ぽん酢しょうゆ0.8
20ネーブルオレンジ 砂じょう 生0.8
出典:食品成分データベース

クエン酸の1日の摂取目安量

クエン酸の1日の摂取量は、厚生労働省では定められていません。

一部の研究によれば、疲労回復を目的としてクエン酸を摂取する場合、1日あたり10~15gの摂取が必要とされています。ただしこれは、あくまでも「乳酸の抑制作用が確認された摂取量」であり、厳密に疲労回復効果が確認される量とは限りません。また「クエン酸の効果・働き」の項でも触れた通り、クエン酸の疲労回復効果は厳密には証明されているとは言い難い状況にあります。

また、クエン酸は人体に蓄積しにくいため過剰症の心配はあまりない栄養素ですが、一気かつ大量に摂取すると胃腸に負荷をかける場合もあります。そのため、推奨摂取量にとらわれすぎないように注意しましょう。副作用や過剰症に関する詳細は「クエン酸の副作用」の項で説明します。

クエン酸を効率よく・効果的に摂取する方法

クエン酸の効果を最大限発揮するための効果的な摂取方法を解説します。

糖質を一緒に摂ることでエネルギー代謝をさらに促進

クエン酸はエネルギーの代謝を促進する作用がありますが、このとき肝心のエネルギーが不足していてはせっかくのクエン酸の効果も十分に発揮されません。

ご飯やパンなどの炭水化物(糖質)をクエン酸と一緒に摂取して、エネルギー源を確保しましょう。特に、スポーツの後などでエネルギーを消耗している状態のときは、バナナなどの消化吸収の早い食べ物をクエン酸と一緒に食べてください。

蓄積されないので継続することが大切

食品から摂取したクエン酸は人の体に蓄積しにくく、使い切れなかった分は尿として排泄されてしまいます。そのため、まとめて一気に摂取しようとするのではなく、毎日継続的な摂取を心がけることが大切です。

粉末(原末)を水に混ぜて飲むのがお手軽

「クエン酸の1日の摂取目安量」で挙げた通り、疲労回復を目的としてクエン酸を摂取するなら、1日10~15gを摂取する必要があるという研究結果があります。

しかし、クエン酸を最も多く含むレモン果汁でさえ、100gあたり6.5gしか含んでおらず、この量をすべて食品に含まれる天然のクエン酸から摂取するのはなかなか大変です。

そこでお手軽にクエン酸を摂取したい方におすすめなのが粉末状のクエン酸。1包あたりの内容量は製品によってさまざまですが、普段の飲み物に加えるだけで簡単にクエン酸を摂取することができます。水、お茶、ジュース、牛乳などどんな飲み物に加えても問題ありませんので、飲みやすいオリジナルのクエン酸ドリンクを探してみてください。

粉末状のクエン酸が酸っぱすぎて十分に飲めないという場合は、粉末をオブラートに包んで飲む方法もおすすめです。

クエン酸の副作用

クエン酸は人体にあまり蓄積されず排泄物として体外へ出ていくため、過剰症による副作用の心配はほぼありません。

ただし、胃腸の弱い人が摂取すると、胃酸分泌作用によって胃が荒れてしまったり腹部膨満感を引き起こしたりします。疲労回復のためといって過剰に摂取せず、様子を見ながら徐々に摂取量を調整していきましょう。

参考文献

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