うどんの栄養と効果効能・調理法・保存法

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うどん

うどんの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、うどんに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

うどんとは

うどんとは、小麦粉・水・塩のみで作られ、ある程度の太さを持つ麺類の総称です。乾麺類に関してはJAS規格により、長径1.7mm以上の麺類がうどんと定められています。

一般的にうどんの特徴として挙げられるのは、コシの強さです。うどんは材料を混ぜてこねる過程で、タンパク質からグルテンが形成され、独特のコシが生まれます。薄力粉・中力粉・強力粉でタンパク質の含有量が異なるため、うどんの種類によってそのコシの強さもさまざまです。

さらにうどんは食物繊維量がそこまで多くなく、消化が容易な糖質が多いため、胃腸に優しいというメリットがあります。運動前や風邪を引いたときの栄養食にもぴったりです。

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ご当地別のうどんの種類

うどんは地域ごとに特徴が異なります。主なご当地うどんを以下で紹介します。

稲庭うどん

稲庭うどん(いなにわうどん)は、日本三大うどんに数えられる秋田県の特産品です。江戸時代の初期から製造が始まり、贈答品としても重宝されていました。そうめんのような手延べ製法によって作られるのが特徴で、平べったく細い形状になり、滑らかな口当たりと上品な喉越しが生まれます。

秋田県稲庭うどん協同組合では、稲庭うどんの製法規定を以下に定めています。

  • 原料は小麦粉・食塩・打ち粉のみ
  • 加水量は小麦粉に対して食塩水が55%以上
  • 1日目:生地を一晩熟成させる
  • 2日目:細い丸状にした生地を2本の棒にかけ、1時間ほど熟成した後平たくつぶす。さらに1時間ほど熟成させてから、手作業による延ばし作業を行う
  • 3〜4日目:本乾燥を行い、完成

讃岐うどん

讃岐うどん(さぬきうどん)は、香川県のご当地うどんです。県特産品の小麦粉を使用し、足踏みという製法で生地を練り込むことで、とりわけコシの強いうどんが生まれます。ツルツルとした喉越しの良さも特徴のひとつです。

一般社団法人全国公正取引協議会連合会では「生めん類の表示」に関して、讃岐うどんの基準を以下に制定しています。

  • 香川県内で製造されたものに限る
  • 加水量は小麦粉の重量に対して40%以上
  • 食塩は小麦粉の重量に対して3%以上
  • 熟成時間は2時間以上
  • 15分以内に茹で上がるもの

きしめん

きしめんは愛知県名古屋市の名物料理です。厚さは1mmほどで、幅が7~8mmほどの平たい麺をしています。中国菓子の「碁石麺(きしめん)」が名前のルーツと言われています。

伝統的なつけ汁はムロアジとたまり醤油などで作られ、比較的しっかりとした味付けです。温かくして食べるのが一般的ですが、麺もつゆも冷たくする「きしころ」と呼ばれる食べ方もあります。

水沢うどん

水沢うどん(みずさわうどん)とは、群馬県渋川市伊香保町で食べられるご当地うどんです。江戸時代に水澤寺の参拝客に僧侶たちが振舞まったうどんが起源と言われています。水沢山から湧き出る名水を使うのが特徴で、弾力と滑らかな喉越しが魅力です。

店では冷たいざるうどんで提供されるのが一般的で、つけ汁は醤油やごまを使ったものなど店によってさまざまです。

ひもかわうどん

群馬県桐生市で生まれたひもかわうどんは、薄く平べったい形状が特徴です。野菜を煮込んで作る郷土料理の「おっきりこみ」に使われます。現在はつけ麺やせいろでも食べられています。

お店によって麺の幅がさまざまで、中には10cmを超えるひもかわうどんもあるようです。名前のルーツは、きしめんの発祥と言われる愛知県の「芋川うどん」と言われています。

氷見うどん

氷見うどん(ひみうどん)は、富山県氷見市発祥のうどんです。稲庭うどんと同じく手延べ製法で作られます。細めの麺ながらもしっかりとした弾力があり、ツルツルとした喉越しが人気。温かくしても冷たくしてもおいしく食べられます。

伊勢うどん

伊勢うどん(いせうどん)は、三重県で愛される郷土料理です。ほかのうどんと違い、コシがないのが特徴で、太めの麺を柔らかくなるまでよく煮て、たまり醤油に絡めて食べます。

うどんに含まれる成分・栄養素

うどん100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

うどんは炭水化物の含有量が多く、そのほかモリブデン・セレン・銅などが含まれています。脂質が少ない分、主食類の中ではヘルシーな存在です。

茹でたうどん1玉の重量がだいたい180~200g程度なので、1人前のカロリーは171~190kcalほどになります。お米1杯分(150g)のカロリー234kcalと比べると、うどんのカロリーの低さがわかるはずです。同じ麺類であるスパゲティやラーメンだけでなく、ヘルシーなイメージのあるそうめんやそばよりも低カロリーなうどんは、ダイエットに向いている食品と言えます。

ただしうどんにはタンパク質・ビタミン・ミネラルが豊富に含まれているわけではないので、うどんだけでは栄養素が偏りがちになります。食べるときは入れる具材や副菜で足りない栄養素を補うようにしましょう。

食 品 名単位こむぎ [うどん・そうめん類] うどん 生こむぎ [うどん・そうめん類] うどん ゆでこむぎ [うどん・そうめん類] うどん 半生うどんこむぎ [うどん・そうめん類] 干しうどん 乾こむぎ [うどん・そうめん類] 干しうどん ゆで
廃 棄 率%00000
エネルギーkJ105840212581420497
kcal24995296333117
水 分g33.57523.813.570
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g5.22.3-6.68-2.9
たんぱく質g6.12.6-7.88.53.1
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g-0.5-0.3-2.9-1-0.4
コレステロールmg00000
脂質g0.60.4-3.41.10.5
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g5521.4-63-76.8-26.7
g****
利用可能炭水化物(質量計)g50.119.5-57.4-69.9-24.2
差引き法による利用可能炭水化物g54.220.7-6070.225.4
*
食物繊維総量g3.61.34.12.40.7
糖アルコールgTr0-0.1--
炭水化物g56.821.6-62.571.925.8
有機酸g-----
灰分g30.4-2.550.6
無機質ナトリウムmg1000120-12001700210
カリウムmg909-9813014
カルシウムmg186-22177
マグネシウムmg136-15194
リンmg4918-647024
mg0.30.2-0.60.60.2
亜鉛mg0.30.1-0.30.40.1
mg0.080.04-0.090.110.04
マンガンmg0.390.12-0.450.50.14
ヨウ素μg2Tr-20-
セレンμg62-610-
クロムμg21-21-
モリブデンμg72-812-
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg00000
α|カロテンμg00000
β|カロテンμg00000
β|クリプトキサンチンμg00000
β|カロテン当量μg00000
レチノール活性当量μg00000
ビタミンDμg00000
α-トコフェロールmg0.20.1-0.20.30.1
β-トコフェロールmg0.20.1-0.20.20.1
γ-トコフェロールmg00000
δ-トコフェロールmg00000
ビタミンKμg---00
ビタミンB1mg0.090.02-0.10.080.02
ビタミンB2mg0.030.01-0.030.020.01
ナイアシンmg0.60.2-0.70.90.2
ナイアシン当量mg1.70.7-2.12.5-0.8
ビタミンB6mg0.030.01-0.030.040.01
ビタミンB12μg00000
葉 酸μg52-692
パントテン酸mg0.360.13-0.410.450.14
ビ オ チ ンμg0.80.3-0.91.3-
ビタミンCmg00000
アルコールg-----
食塩相当量g2.50.3-34.30.5
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

うどんの効果・効能

うどんに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

糖質でエネルギーチャージ

うどんは炭水化物が豊富な食品です。特に易消化性炭水化物である糖質が多く含まれているため、エネルギー補給に役立ちます。筋肉の修復する際のエネルギー源にもなり、筋トレ時にも活躍してくれるでしょう。

さらにうどんは消化が良いのもメリットです。風邪を引いて体力がないときや、消化機能が低下しているときにも、重宝してくれます。

糖質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

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消化にいい食べ物・飲み物 | NANIWA SUPLI MEDIA

銅で健康な体を作る

うどんにはミネラルの一種である銅が多く含まれています。銅は酵素を構成する物質で、エネルギーの産生を促したり、赤血球の形成をサポートしたりなどさまざまな作用がある栄養素です。さらに抗酸化物質として、体に悪影響を与える活性酸素の過剰生成も抑制してくれます。

ミネラルは互いに影響を与えながら作用するので、ミネラルが豊富な野菜や海藻類などと一緒にうどんを食べるとなお良いでしょう。

銅の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

モリブデンで貧血予防

モリブデンはミネラルの一種で、体内で鉄を効率よく利用するには欠かせない栄養素です。そのため貧血を予防する効果が期待されています。

ただしモリブデンには銅の排泄を促す作用もあることから、過剰摂取には注意が必要です。銅は鉄の吸収や利用を高める働きを持つので、鉄・銅・モリブデンをバランス良く摂取するのが理想的です。うどんには銅も多く含まれているので、鉄の豊富なほうれん草やあさりなどと合わせると良いでしょう。

モリブデンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

セレンが疾患予防に役立つ

ミネラルのセレンは、体内で抗酸化酵素を構成する物質のひとつです。グルタチオンペルオキシダーゼ(GPX)の生成を促し、過酸化脂質を抑制することで動脈硬化予防に役立ちます。

また、DNAの修復や免疫系に作用することから、がんの予防効果も期待されている栄養素です。

セレンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

うどんの食べ方や注意点

うどんの栄養素を損なわない食べ方・アレンジ方法・注意点などを解説します。

うどんの栄養価を高めるアイディア

うどんには体のエネルギー源となる糖質が多く含まれていますが、うどんだけですべての栄養素はカバーできません。栄養バランスを整えるために、不足している栄養素を補う必要があります。以下でいくつかのアイディアを紹介しますので、参考にしてください。

肉・魚・大豆製品でタンパク質を追加

うどんに不足しがちなタンパク質を追加するには、まず動物性タンパク質がおすすめです。甘辛く炊いた豚肉をトッピングしたり、鶏肉を一緒に煮込んだりしても良いでしょう。仕上げに卵を落とすだけでも手軽にタンパク質をプラスできます。そのほか鯖缶・海老・あさり・ちくわなどの魚介類や水産加工品もおすすめです。 

また、厚揚げや豆腐、納豆などの大豆製品にもタンパク質が多く含まれています。ビタミンやミネラルが豊富な野菜と合わせて大豆製品を取り入れると、ヘルシーな上に栄養価も高くなります。

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品 | NANIWA SUPLI MEDIA

野菜でビタミンとミネラルをプラス

うどんと一緒に野菜を煮込めば、ビタミンとミネラルを追加できます。ビタミンAの豊富なニンジンや、カリウムが含まれる白菜をあんかけにしてトッピングするのも良いでしょう。

さらにトマト缶を使えば、洋風のアレンジも可能です。リコピンやビタミンCなどが含まれる栄養満点のトマトを使えば、栄養価がぐんと高まります。また、ネギやキムチを仕上げに振りかけるだけでも野菜を摂取できるのでおすすめです。

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きのこ・海藻・芋類を入れて食物繊維も

胃腸の調子を整えたいなら、食物繊維が豊富な食品を取り入れましょう。きのこ類や海藻類はカロリーが低い上に、ビタミンやミネラルも多く含まれています。特にビタミンDの含有量が高いまいたけや、ビタミンCの豊富なわかめなどがおすすめです。

長いもや里芋をはじめとした芋類にも、食物繊維が多く含まれています。生の長芋には消化酵素のアミラーゼが含まれているので、さらに胃腸の働きをサポートしてくれるでしょう。

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食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

副菜をつけて栄養アップ

足りない栄養素を補うには、一品料理やサラダなどの副菜をつける方法もおすすめです。例えば、ほうれん草のおひたしやきんぴらごぼう、なめたけなどをプラスすると、ビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素が摂取できます。

つゆにも栄養あり

和風だしで食べる方法が一般的なうどん。実はこの出汁の原料であるかつお節や煮干しにも、体の良い栄養素が多く含まれています。

これらの原料は高タンパク質で低脂質な上に、アミノ酸・カルシウム・鉄などの栄養素が豊富です。さらに製造工程で栄養素が凝縮されるので、効率的に栄養が摂取できるメリットもあります。ただし塩分が多く含まれるので、ダイエット中の人や高血圧の人は飲み干さないようにしましょう。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

アレンジ方法はさまざま

うどんは食べ方が非常に多い食品です。水を切ったうどんをつゆにつけて食べるざるうどんや汁に浸すかけうどん、具材と一緒に炒める焼きうどんなどさまざまな方法で楽しめます。

しかもうどん自体がクセのない味なので、味付けのバリエーションが豊富なのも魅力です。和風だしだけでなく、中華風や洋風の味付けでもおいしく食べられます。乳製品を使ってクリームうどんにすれば、タンパク質やカルシウムも補えるのでおすすめです。

妊婦が摂取してもOK

うどんは妊婦に小麦粉アレルギーがなければ、妊娠中も摂取して良い食べ物です。妊娠中にアレルゲンを含む食品を多く食べると、胎児がアレルギー体質になるという説がありますが、医学的な根拠はありません。

ただしうどんのつゆには塩分が多く含まれるので、つゆを飲み干すのは避けたほうが良いでしょう。また、うどんだけを食べるのではなく、さまざまな食品を摂取して栄養不足にならないよう気をつけてください。

うどんの保存方法

うどんの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

乾麺の場合は、製品ごとの保存方法に従って保存するようにしましょう。ここでは生麺と茹でたうどんの保存方法を紹介します。

生麺の保存

生麺を長持ちさせたい場合は、冷凍保存がおすすめです。強力粉を打ち粉代わりにしてふるったら、ラップに包んで保存します。1食ずつまとめて保存すると、食べるときに便利です。ラップに包んだうどんをさらに保存袋に入れたら、冷凍庫で凍らせましょう。

冷凍保存では2週間程度までおいしく食べられます。食べる際は凍ったまま茹でてください。

茹でたうどんの保存

茹でたうどんを長期保存する場合は、生麺と同様にラップに包んでから保存袋に入れて保存します。しっかり密封することで、冷凍やけを防げます。

ただし凍らせると、独自の食感や弾力が失われてしまうので注意しましょう。高齢者向けの食事や胃腸が弱まっているときなど、消化を良くしたい場合に活用してください。保存期間は3~4週間ほどで、凍ったまま加熱して食べられます。

参考文献

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