かいわれ大根の栄養と効果効能・調理法・保存法

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かいわれ大根の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、かいわれ大根に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

かいわれ大根とは

かいわれ大根(radish sprouts)はスプラウトの一種です。スプラウトとは食用植物の若芽を指し、かいわれ大根は大根の新芽のこと。日光に当てて緑化させるため同じスプラウトであるもやしとは異なり、かいわれ系に属します。

この「かいわれ」は、見た目が二枚貝が開く姿に似ているために名付けられたと考えられています。原産地は地中海沿岸という説が濃厚です。

日本では平安時代から食べられており、江戸時代の書物にはかいわれ大根のレシピが記載されていたと言います。古くから食されていたもののしばらくは高級品として扱われ、一般的に食べられるようになったのは昭和になってからです。

かいわれ大根は屋内で水耕栽培されるため、とくに旬はありません。一年中変わらず流通し価格も変動しにくいため、毎日の食生活で活用しやすい野菜と言えます。

その他のスプラウトの種類・品種

スプラウトと呼ばれる野菜はかいわれ大根以外にもさまざまあります。ここでは、かいわれ大根と似たスプラウトの種類・品種を紹介します。

ブロッコリースプラウト

ブロッコリースプラウトはブロッコリーの新芽です。ガン予防作用が期待されるスルフォラファンがとりわけ多く含まれています。

かいわれ大根に比べ、辛味がほとんどなくマイルドな味わいです。

ブロッコリースプラウトの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

豆苗

豆苗(とうみょう)は、えんどう豆の新芽です。ビタミンK・β-カロテン・葉酸などの栄養素をバランスよく含んでいます。

豆の香りが豊かな、風味の良いスプラウトです。

豆苗の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

マスタードスプラウト

マスタードの新芽を、マスタードスプラウトと言います。カリウムをはじめとしたミネラル類が豊富な野菜です。

ピリッとした辛味があり、料理のアクセントになります。とくに肉料理と相性のよいスプラウトです。

クレススプラウト

クレススプラウトとは、クレソンの一種であるガーデンクレスの新芽です。抗酸化作用のあるビタミンEがとくに多く含まれています。

ワサビのような辛さが特徴で、和食にも合わせやすいスプラウトです。

レッドキャベツスプラウト

レッドキャベツの新芽をレッドキャベツスプラウトと言います。抗酸化作用を持つアントシアニンという色素成分が豊富です。

ほかのスプラウトと異なり、鮮やかな色合いなので料理に彩りをプラスしてくれます。甘さが強く、辛味がほとんどないため食べやすい品種です。

かいわれ大根に含まれる成分・栄養素

かいわれ大根100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

若芽であるかいわれ大根には非常に多くの栄養素が含まれています。カリウムをはじめとしたミネラルのほか、ビタミンCや葉酸などのビタミン類も豊富です。さらにβ-カロテンは淡色野菜である大根にはほとんど含まれない栄養素で、強い抗酸化作用が期待できます。

また、成分表に記載はありませんが、フィトケミカルの一種であるイソチオシアネートや消化酵素などの成分が多く含まれています。カロリーが低いうえに健康作用も期待できることから、かいわれ大根は栄養価の高い食品と言えるでしょう。

食 品 名単位(だいこん類) かいわれだいこん 芽ばえ 生
廃 棄 率%0
エネルギーkJ88
kcal21
水 分g93.4
タンパク質アミノ酸組成によるタンパク質g-1.8
タンパク質g2.1
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g-0.2
コレステロールmg0
脂質g0.5
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-
g
利用可能炭水化物(質量計)g-
差引き法による利用可能炭水化物g2
*
食物繊維総量g1.9
糖アルコールg-
炭水化物g3.3
有機酸g-
灰分g0.6
無機質ナトリウムmg5
カリウムmg99
カルシウムmg54
マグネシウムmg33
リンmg61
mg0.5
亜鉛mg0.3
mg0.03
マンガンmg0.35
ヨウ素μg12
セレンμg0
クロムμg0
モリブデンμg6
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg0
α|カロテンμg0
β|カロテンμg1900
β|クリプトキサンチンμg0
β|カロテン当量μg1900
レチノール活性当量μg160
ビタミンDμg0
α-トコフェロールmg2.1
β-トコフェロールmg0.1
γ-トコフェロールmg0.5
δ-トコフェロールmg0
ビタミンKμg200
ビタミンB1mg0.08
ビタミンB2mg0.13
ナイアシンmg1.3
ナイアシン当量mg-2
ビタミンB6mg0.23
ビタミンB12μg0
葉 酸μg96
パントテン酸mg0.29
ビ オ チ ンμg5.6
ビタミンCmg47
アルコールg-
食塩相当量g0
備 考別名: かいわれ茎基部約1 cmを除去したもの硝酸イオン: 0.1 g
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

かいわれ大根の効果・効能

かいわれ大根に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

イソチオシアネートのガン予防作用に期待

イソチオシアネートは、大根にも含まれる成分です。辛み成分のもととなり、近年ではガンの予防作用が注目を浴びています。

イソチオシアネート化合物には、発ガン物質の無毒化や排出を促進する作用があることが研究により明らかになっています。さらに抗炎症作用により、ガンをはじめとした炎症性疾患の発症や進行を抑制する働きも期待されているのです。

カリウムで塩分の摂り過ぎを防ぐ

カリウムは筋肉や神経の働きに関わるミネラルです。多くは細胞内に存在し、浸透圧の調節をするうえでナトリウム(塩分)の排出を促します。塩分の摂り過ぎを抑制する働きがあるので、高血圧症の予防にも効果的です。

ただし腎臓疾患によりカリウムの摂取量が制限されている人は、摂取量に気を付けましょう。かいわれ大根を茹でこぼしたり、水につけたりするとカリウムの含有量を減らすことができます。

カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

ビタミンとβ-カロテンの抗酸化作用

かいわれ大根にはビタミンC・ビタミンE・β-カロテンなどの抗酸化物質が多く含まれます。とくにβ-カロテンは大根の身にはほとんど含まれない成分です。

これらの成分は高い抗酸化作用を持ち、体内で発生する活性酸素を抑制する働きがあります。活性酸素は適切な量であれば免疫機能によい影響をもたらしますが、過剰に発生すると細胞を傷つける恐れのある物質です。

抗酸化物質を意識して摂取することで、ガンや老化の予防に役立つと考えられています。

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

酵素が消化をサポート

かいわれ大根には、ジアスターゼやオキシダーゼなどの消化酵素が含まれます。このうちジアスターゼは胃腸薬にも利用される成分です。主に炭水化物の消化を助ける働きがあります。

消化酵素には消化活動を促進する働きがあるので、胃もたれや食べ過ぎを緩和する作用が期待できるでしょう。肉のように脂っぽい食品や炭水化物の多い麺類などの付け合わせにもぴったりです。

葉酸が神経管閉鎖障害のリスク低減

葉酸は、妊娠前から十分な量の摂取が推奨されている栄養素です。体内でDNAの合成に関わり細胞増殖に欠かせないことから、胎児の発育に影響すると考えられています。欠乏すると、胎児の神経管閉鎖障害が起きる場合がありますので注意しましょう。

妊婦の場合、通常に比べ1日あたり240μg多く葉酸を摂取する必要があります。サプリメントからの摂取も重要ですが、食品からも取り込むようにしましょう。

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

かいわれ大根の食べ方

かいわれ大根の栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

かいわれ大根の選び方

新鮮なかいわれ大根を選ぶには茎・葉・スポンジの状態を確認しましょう。茎が白色で太さの均一なかいわれ大根は鮮度が良いと考えられます。茎がまっすぐ伸びていてハリがあるものも良いでしょう。茎がしおれていたり、折れていたりするものは避けてください。

葉はみずみずしく、緑色が濃いものを選びましょう。葉先までハリがあり、ピンとしているかいわれ大根も良質です。一方、葉に黒い点が見られるものは鮮度が落ちています。

最後にスポンジが乾いていないかを確認してください。しっかり潤っていて、汚れがないものは入荷して間もない状態と考えられます。

かいわれ大根の洗い方

かいわれ大根はきれいにパック詰めされているのでそのまま調理に使えそうですが、種の殻を落とすためにもしっかり洗いましょう。また、生食する場合も多い野菜なので、食べる前はよく洗ったほうが安心です。

水を張ったボウルに根元からカットしたかいわれ大根を入れるだけで、簡単に種の殻を取り除けます。根元をカットせずに、ボウルでゆすり洗いする方法も手軽ですのでチャレンジしてみましょう。

かいわれ大根は生食がおすすめ

かいわれ大根に含まれるジアスターゼやビタミンCは、熱に弱い性質があります。そのため加熱すると栄養素が損なわれてしまいます。

理想的な食べ方はサラダや和え物などの生食。ビタミンEをはじめとした脂溶性ビタミンも効率よく摂取するなら、ドレッシングをかける方法もおすすめです。脂溶性ビタミンは油に溶けやすいので、吸収効率を高めてくれます。

加熱調理のポイント

脂溶性ビタミンは油で炒めても吸収しやすくなりますが、熱に弱い栄養素が含まれるので加熱時間には注意が必要です。ジアスターゼやビタミンCが壊れないよう短時間でさっと炒めましょう。

煮汁ごと食べられる味噌汁やスープも溶け出た栄養素も余すことなく摂取できるのでおすすめです。ただし煮過ぎてしまうと食感と栄養素を損なってしまいますので、仕上げに投入するようにしましょう。

自宅で栽培が可能!

スプラウト野菜の一種である豆苗と異なり、かいわれ大根は再生野菜ではありません。豆苗の場合はカット後に水耕栽培すると茎や葉がまた生えてきますが、かいわれ大根は再収穫が望めません。

ただし、若芽の状態で収穫できるかいわれ大根は比較的栽培が簡単で、自宅でも種から育てることができます。かいわれ大根は水耕栽培の状態で、暗所に置いておくと次第に成長してきます。大きな鉢は必要なく、食器やペットボトルで代用可能なので手軽です。

かいわれ大根の保存方法

かいわれ大根の栄養素を損なわない保存方法を解説します。

かいわれ大根は日持ちしない野菜のため、購入後はなるべく早く食べ切りましょう。すぐに使い切れない場合は冷蔵庫か冷凍庫で保存します。

冷蔵保存

冷蔵の場合は購入したときの状態でそのまま保存できます。長持ちさせるなら、ビニールを開けてスポンジに水を追加しましょう。水が腐らないよう、2日から3日に1回水を換えるとなお鮮度が保てます。

季節にもよりますが、保存期間の目安は1週間程度です。使うときは必要な分だけ、根元からカットしましょう。

冷凍保存

冷凍保存する際は、あらかじめ根元から切り離しておきます。使いやすい大きさに切ったら、保存袋に入れて冷凍庫へ入れましょう。冷凍しておくと酵素も失われないので、栄養面から見てもメリットがあります。

保存期間の目安は1ヶ月程度です。調理に使う際は自然解凍させるか、凍ったまま加熱調理してください。解凍すると水分が多く出て、食感があまり良くないので生食には向かないかもしれません。和え物や加熱調理で活用すると良いでしょう。

参考文献

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