オルニチンの効果・多く含む食品・効率よく摂取する方法

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栄養素

オルニチンの基本情報、オルニチンの効果・働き、オルニチンを多く含む食品、オルニチンを効率よく摂取する方法、オルニチンが不足・欠乏・過剰摂取することによる影響について解説します。

オルニチンとは

オルニチン(ornitine)とはアミノ酸の1種で、尿素の生成に関与する物質です。

アミノ酸は、タンパク質を構成する物質で、筋肉や骨、ホルモンなどを作っています。必須アミノ酸とそれ以外の非必須アミノ酸に分類され、それぞれの違いは以下の通りです。

分類アミノ酸の種類特徴
必須アミノ酸メチオニン・フェニルアラニン・リジン・ヒスチジン・トリプトファン・イソロイシン・ロイシン・バリン・スレオニン人間の体内では合成できず、食事から摂取する必要がある。
非必須アミノ酸オルニチン・グリシン・アラニン・セリン・チロシン・システイン・アスパラギン酸・グルタミン酸など体内で合成できるため、必ずしも食事から摂取する必要はない。

オルニチンは、アルギニンと水、あるいはアルギニンとグリシンから生成される非必須アミノ酸です。そのため、オルニチンを含む食品を摂取しなくても、体内で必要量を合成できます。

しかし、なんらかの理由でオルニチンが欠乏すると、尿の生成が阻害されるリスクがあります。

そもそも尿は、身体に有害なアンモニアを解毒したあとの老廃物です。有害なアンモニアは、カルバモイルリン酸と呼ばれる物質になって、オルニチンと結合します。つまりオルニチンが欠乏すると、アンモニアの解毒が抑制されて、体内にアンモニアがたまってしまいます。

アンモニアの蓄積は、意識障害や呼吸困難を起こして死に至る肝性脳症を引き起こします。オルニチンの欠乏や、アンモニアの原因物質の過剰摂取によって起こります。

またオルニチンには、疲労回復や筋肉増強、睡眠の質改善などの効果があると考えられており、サプリメントとしても販売されています。

オルニチンと類似成分の違い

オルニチンと似た効果を示すアミノ酸に、GABAとトリプトファンがあります。それぞれの違いを解説します。

GABA(ギャバ)

GABA(γ‐アミノ酸)とは、神経伝達物質として精神を安定させる作用のあるアミノ酸です。中枢神経系に存在し、精神を落ち着け、リラックスさせる効果があります。

オルニチンと同様に、GABAも疲労回復作用があると考えられている栄養素です。睡眠の質を高める効果をもっているオルニチンに対し、GABAは精神をリラックスさせて眠りやすくします。

トリプトファン

トリプトファンとは、必須アミノ酸の1種で、体内でセロトニンに変換される物質です。

セロトニンは抗うつ作用のある物質で、精神を安定させる働きがあります。オルニチンとは異なり、脳に存在してノルアドレナリンやドーパといった神経伝達物質を制御して、精神安定に働きます。

オルニチンの効果・働き

オルニチンの効果・効能について解説します。

疲労回復を促進する

オルニチンは、疲労回復に効果的な栄養素です。

疲労は、筋肉疲労・眼精疲労・肝臓疲労に分類され、オルニチンは肝臓疲労を改善する働きがあります。肝臓疲労は、食べすぎやアルコールの過剰摂取などが原因で起こり、肝機能が低下してエネルギー産生が抑制されます。

肝臓疲労によりアンモニアの分解が遅れ、体内にアンモニアが蓄積することも肉体的な疲労を感じる原因のひとつです。

オルニチンを積極的に摂取すると、アンモニアの分解を促進するため、肝機能が回復して疲労を軽減しやすくなります。

入眠しやすくなる

オルニチンには、入眠しやすくなる効果があります。

不規則な勤務や肉体労働に従事する人を対象とする実験において、オルニチンを摂取したグループは優位に入眠しやすい結果を示しました。またオルニチンを摂取していないグループよりも、睡眠時間が長い傾向にありました。

この研究結果から、オルニチンは睡眠の導入を促進し、睡眠を深くする効果があると考えられています。

二日酔いの症状を和らげる

前述の通り、オルニチンには肝機能をサポートする働きがあり、二日酔いの症状を緩和する効果が期待できます。

二日酔いとは、アルコールの過剰摂取により、肝臓で多量に生成されるアセトアルデヒドが血中にたまった状態です。血中にたまったアセトアルデヒドは、頭痛や吐き気などの二日酔いと呼ばれる症状を引き起こします。

本来、アセトアルデヒドの代謝は、肝臓で酢酸へ分解され、最終的に水と二酸化炭素になって無害化される仕組みです。しかしアルコールを多量に飲むと肝臓での処理が追いつかず、アセトアルデヒドの量が増えて二日酔いを起こします。

オルニチンは、肝機能を正常化する効果があると考えられている栄養素です。体内にたまったアセトアルデヒドを、肝臓が処理するのを助けます。

オルニチンが不足・欠乏すると起こる症状

オルニチンが不足・欠乏すると起こる症状は次の通りです。

  • 肝機能の低下
  • 高アンモニア血症
  • 肝性脳症

オルニチンが不足すると、アンモニアを尿素へ分解できなくなり、血中にアンモニアがたまります。有害物質であるアンモニアは、血中濃度が高くなると脳に達します。そして脳機能を低下させ、肝性脳症を起こすメカニズムです。

意識レベルの低下やけいれん、昏睡状態を引き起こし、最悪の場合は死に至る恐れがあります。

オルニチンを過剰摂取すると起こる副作用

オルニチンは、通常の食事から大量摂取するのは難しい栄養素です。しかし、サプリメントの利用により、過剰摂取する可能性も考えられます。

オルニチンのサプリメントは、「L-オルニチン塩酸塩」として販売されています。

本記事執筆時点では、L-オルニチン塩酸塩の副作用に関する報告はありません。しかし研究が十分ではないため、妊娠中・授乳中の女性はサプリメントからオルニチンを摂取することは控えたほうが良いでしょう。

またアルギニンなど、ほかのアミノ酸と大量に摂取すると胃腸障害が起こるリスクも示唆されています。オルニチンサプリメントを利用する際は、製品ごとに定められた用量を守り、過剰摂取に注意しましょう。

オルニチンを多く含む食品

オルニチンを多く含む代表的な食品は次の通りです。

  • しじみ
  • キハダマグロ
  • ヒラメ
  • パン
  • チーズ
  • きのこ類

とくに、しじみに多く含まれており、サプリメントでもしじみのエキスを使用したものが多く販売されています。しじみの栄養を余さず摂取するための調理方法・保存方法などについては、下記記事をご覧ください。

しじみの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

オルニチンを効率よく摂取する方法

オルニチンを食事から摂取するときは、しじみやチーズ、きのこ類を意識しましょう。

しかしオルニチンは、食事から大量に摂取するのが難しい栄養素です。そのため、積極的に摂取したいときはサプリメントで補うとよいでしょう。ただし前述の通り、妊娠中・授乳中のサプリメント摂取は要注意です。

なお、オルニチンを摂取する際は、肝臓によい食品と一緒に摂取するとより効果が期待できると考えられます。肝臓によい食品については、以下の記事をご覧ください。

肝臓にいい食べ物・飲み物・食事方法|NANIWA SUPLI MEDIA

参考文献

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