タンパク質ダイエットの効果と正しいやり方・継続のコツ・注意点
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タンパク質ダイエットの効果と正しいやり方、継続のコツから注意点までを解説します。タンパク質ダイエットにチャレンジしたい方はもちろん、すでにタンパク質ダイエットに取り組んでいるけれど、いまいち成果が出ないとお悩みの方もぜひご覧ください。
タンパク質ダイエットとは
まずはタンパク質ダイエットや、タンパク質の概要について解説します。
減量だけでなく美容効果も期待できるダイエット法
タンパク質ダイエットとは、タンパク質を積極的に摂取して健康的に痩せることを目的としたダイエット法です。
タンパク質ダイエットでは、タンパク質を多く含む食品を食べるだけでなく、ほかの栄養素も欠かさず摂取し、栄養バランスを重視して行うのがポイント。食事を減らしたり、同じ食品を食べ続けたりするダイエット法ではないため、急激な体重減少は起こりません。
ゆっくりと健康的に痩せ、リバウンドしにくい身体を作るためのダイエット法です。
タンパク質は皮膚や髪など身体を構成する栄養素で、タンパク質をしっかり摂ることにより美容効果も期待できます。運動や糖質制限などのダイエットと組み合わせると、より効果的です。
タンパク質とは
タンパク質とは、脂質・炭水化物と同じ三大栄養素の1つです。
エネルギー源になるだけでなく、身体を構成する主成分でもあります。筋肉や皮膚、髪など身体の約20%はタンパク質で構成されています。体内でも酵素やホルモンとして、生命を維持するために欠かせない栄養素です。
タンパク質は、アミノ酸が結合して作られます。アミノ酸には20種類あり、身体の部位・物質などによって異なるアミノ酸から構成されています。
20種類のアミノ酸のうち人間が体内で合成できず、食事から摂取しなければいけない9種類のアミノ酸が必須アミノ酸です。タンパク質ダイエットをするときは、アミノ酸の種類にも注目してみると、悩みを解決しやすくなるかもしれません。
以下の表は、必須アミノ酸の働きと多く含まれる食品例です。
必須アミノ酸の種類 | 働き | 多く含まれる食品 |
メチオニン | ・神経の正常化・アレルギー症状の軽減 | ・肉類・カツオ・牛乳 |
フェニルアラニン | ・神経伝達物質の産生・精神安定作用 | ・魚介類・卵・アーモンド・大豆製品 |
リジン | ・脂質の代謝促進・肝機能の向上・成長の促進 | ・肉類・魚介類・大豆製品 |
ヒスチジン | ・食欲の抑制・神経作用の補助・成長の促進 | ・肉類・チーズ |
トリプトファン | ・精神安定作用・鎮痛作用 | ・牛乳・大豆製品・バナナ・ナッツ |
イソロイシン | ・筋肉の増強・造血 | ・サケ・鶏肉・チーズ・牛乳 |
ロイシン | ・筋肉の増強・成長の促進・肝機能の向上 | ・牛肉・レバー・牛乳・チーズ |
バリン | ・筋肉の増強・成長の促進 | ・牛肉・レバー・チーズ |
スレオニン | ・成長の促進・脂肪肝の予防 | ・卵・さつまいも・ゼラチン |
必須アミノ酸はすべて重要な栄養素ですが、ダイエットでとくに注目したいのはリジンとヒスチジンです。それぞれ食欲を抑制したり、代謝を促進したりする機能をもちます。
また筋肉を増強する必須アミノ酸として、イソロイシン・ロイシン・バリンが重要です。3つの必須アミノ酸は、BCAA(Branched Chain Amino Acid:分岐アミノ酸)と呼ばれ、筋肉のタンパク質を構成する主成分です。
運動前の30分から運動中に、BCAAを2g以上摂取すると吸収量が多くなると考えられています。BCAA(2g)の摂取目安量は、牛肉70gまたは牛乳コップ2杯程度です。
タンパク質が多く含まれる食品
タンパク質が多く含まれる食品は、以下のとおりです。このほかにも、肉類全般・サケ・カツオ・チーズ・大豆製品全般に多く含まれます。
食品名 | タンパク質含有量(100gあたり) |
肉類/<畜肉類>/ぶた/[その他]/ゼラチン | 87.6g |
穀類/こむぎ/[その他]/小麦たんぱく/粉末状 | 72.0g |
豆類/だいず/[その他]/大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分調整タイプ | 79.1g |
魚介類/(さめ類)/ふかひれ | 83.9g |
卵類/鶏卵/卵白/乾燥卵白 | 86.5g |
乳類/(その他)/カゼイン | 86.2g |
タンパク質を摂取するとダイエットになる理由
タンパク質には、筋肉増強や代謝促進などの働きがあるため、タンパク質の摂取量を増やすことでダイエット効果を発揮します。身体の引き締めや、基礎代謝を上げたいときに役立つ栄養素です。
タンパク質と同じ三大栄養素の1つである脂質は、脂質1gあたり9kcalのエネルギーに変換されます。タンパク質1gあたり、4kcalのエネルギーを生み出すのに比べると約2倍です。
エネルギーを摂りすぎると、内臓脂肪として体内に蓄積され、肥満の原因になります。つまり、タンパク質と脂質を同量摂取した場合、タンパク質のほうがエネルギーが少ないことから、内臓脂肪の蓄積を防ぎやすいダイエット向きの栄養素といえます。
炭水化物1gのエネルギー量は、タンパク質と同じ4kcalです。しかし炭水化物はグリコーゲンとして体内に蓄積され、貯蔵限界量を超えると中性脂肪へと変化します。炭水化物を摂取しすぎると、肥満の原因になるといわれるのはこのためです。
炭水化物の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA
タンパク質ダイエットの効果
次に、タンパク質ダイエットが身体にどのような効果を与えるのかを解説します。
脂質代謝を促進する
タンパク質には基礎代謝を上げる働きがあり、必須アミノ酸のリジンを中心に脂質代謝を促進する栄養素です。反対に、タンパク質の摂取量が不足すると代謝が抑制されます。
体内に吸収されると、脂質はまず脂肪酸とグリセリンに分解されます。脂肪酸は酸化によってエネルギーへと変換されて利用される仕組みです。作られたエネルギーが消費されると、AMPキナーゼと呼ばれる酵素が活性化し、脂肪酸が細胞内へ取り込まれます。
リジンは、AMPキナーゼの活性化の補助作用をもつため、脂質代謝を促進します。
筋肉が増えて身体が引き締まる
タンパク質を構成するアミノ酸のうち、BCAA(イソロイシン・ロイシン・バリン)はとくに筋肉の増強効果の高い栄養素です。
BCAAは筋肉のタンパク質が分解されるのを抑制し、タンパク質合成を促進します。タンパク質ダイエットをすると、BCAAが筋肉の維持・増強に働くため身体が引き締まります。
BCAAのなかでもとくに、筋肉のタンパク質合成とタンパク質分解抑制に働くのがロイシンです。ロイシンが多く含まれる食品(100gあたり)には、次のものがあります。
チーズや牛肉、牛レバー、青魚に多く含まれています。
食品名 | ロイシン含有量(mg) |
乳類/<牛乳及び乳製品>/(チーズ類)/ナチュラルチーズ/チェダー | 2,500 |
肉類/<畜肉類>/うし/[副生物]/肝臓/生 | 1,900 |
肉類/<畜肉類>/うし/[和牛肉]/もも/赤肉/生 | 1,800 |
魚介類/<魚類>/(かつお類)/かつお/春獲り/生 | 1,800 |
魚介類/<魚類>/(あじ類)/まあじ/皮つき/生 | 1,500 |
魚介類/<魚類>/(たら類)/すけとうだら/生 | 1,200 |
食欲抑制作用でダイエットを補助
必須アミノ酸であるヒスチジンは、食欲抑制の効果をもちます。研究報告では、ヒスチジンを多く摂取すると、エネルギー摂取量が少なくなることが示唆されています。
ヒスチジンの食欲抑制作用は、ダイエット中に食欲を抑えて食べすぎを防ぎたいときに役立つ働きです。ヒスチジンは、マグロやカツオなどの青魚やチーズなどの乳製品、鶏肉に多く含まれています。
各食品100gあたりのヒスチジン含有量は、次のとおりです。
食品名 | ヒスチジン含有量(mg) |
魚介類/<魚類>/(かつお類)/かつお/春獲り/生 | 2,500 |
魚介類/<魚類>/(まぐろ類)/くろまぐろ/養殖/赤身/生 | 2,300 |
肉類/<鳥肉類>/にわとり/[親・主品目]/むね/皮なし/生 | 1,200 |
乳類/<牛乳及び乳製品>/(チーズ類)/ナチュラルチーズ/チェダー | 800 |
肌や髪への美容効果も期待できる
タンパク質は皮膚や髪などを健康に保つため、タンパク質ダイエットは美容効果も期待できます。
人間の身体は60兆個もの細胞から作られており、常に新しい細胞へと置き換わっています。皮膚の古い細胞は角質となって剥がれ落ちる仕組みです。
皮膚を構成するのは、主にコラーゲンとエラスチンと呼ばれるタンパク質です。2つのタンパク質は肌に弾力を生み出す働きをしており、タンパク質が不足すると弾力が失われ、しわの原因になります。
髪や爪もケラチンと呼ばれるタンパク質が主成分で、健康な髪・爪を作るためにタンパク質は欠かせない栄養素です。
タンパク質ダイエットの正しいやり方
ダイエットは正しく行わなくては効果が出ないばかりか、健康を害するリスクもあります。ここからはタンパク質ダイエットの正しいやり方について解説していきます。
タンパク質の摂取量を意識する
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によると、タンパク質の食事摂取推奨量は以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
18~64歳 | 65g | 50g |
65歳以上 | 60g | 50g |
18~64歳の男性で65g、女性で50gを1日摂取量として推奨しています。タンパク質ダイエットをするときは、まずこの数字を目安にしましょう。ただし、この推奨摂取量はあくまでも目安であり、継続的なタンパク質摂取量については、自分の体重や活動量、筋肉量などを鑑みたうえであらためて設定する必要があります。
とくに、タンパク質ダイエットを継続しても筋肉量が増えない、という場合は、タンパク質の摂取量が足りていない可能性が考えられます。その場合は、過剰摂取にならない範囲で少しずつタンパク質摂取量を増やし、様子を見るのもひとつの手です。
豚もも肉(焼き)なら100gあたりタンパク質含有量は30.2g、鶏むね肉(焼き)なら100gあたり38.8gです。食事から推奨量のタンパク質を摂取するのが難しい場合は、後述するプロテイン製品もあわせて利用するとよいでしょう。
プロテインの種類
タンパク質ダイエットでは、タンパク質だけを摂取しようとするよりも、普段の食事からタンパク質を摂るほうが、ビタミンやミネラルなどの栄養素をバランスよく摂取できます。
ただし、食品に含まれる脂質が気になる場合は、粉末やゼリー飲料などのプロテイン製品もおすすめです。
プロテインには、主に以下の3種類があります。
プロテインの種類 | 主成分 | 吸収速度 | 摂取のタイミング |
ホエイプロテイン | 牛乳 | 早い | 運動前後 |
カゼインプロテイン | 牛乳 | ゆっくり | 就寝前・運動をしない日 |
ソイプロテイン | 大豆 | ゆっくり | 就寝前・空腹時 |
ホエイプロテインは運動後、あるいは運動前に摂取すると、筋肉修復・増強効果を高められます。主成分は牛乳ですが、タンパク質以外の成分をできるだけ除去しているため、脂質や炭水化物の摂取を避けられます。
カゼインプロテインも原材料は牛乳ですが、体内への吸収速度がゆっくりなことが特徴です。運動の前後より、就寝前や運動をしない日に摂取するとよいでしょう。
大豆プロテインは大豆を原材料としているため、大豆イソフラボンなど大豆の栄養素も一緒に摂れることや、乳糖不耐症でミルク系プロテインが飲めない人でも飲める点などがメリットと言えるでしょう。食物繊維が豊富で、吸収速度がゆっくりかつ腹もちも良いので、空腹時の間食や就寝前の摂取に適しています。一方で、ホエイプロテインほどの筋肉増強効果は期待できないとされています。
大豆イソフラボンは女性ホルモンと似た働きをしており、とくにホルモンバランスの崩れやすい女性に向いています。もちろんプロテイン製品ではなく、豆腐や納豆などの大豆製品を食べるのもおすすめです。
大豆の栄養と効果効能・食べ方・注意点・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
ソイプロテインの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA
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脂肪燃焼を促進・糖質制限に適した食べ物と一緒に
タンパク質ダイエットは、ゆっくりと体質を変えていくダイエット法です。急激な減量にはつながらないため、脂肪燃焼を促進する食べ物や糖質制限も一緒に行うと、効果を実感しやすいかもしれません。
脂肪燃焼に効果的な栄養素は、L-カルニチンやパントテン酸です。脂肪燃焼を促進する食品については、以下の記事を参照ください。
脂肪を燃焼する食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA
炭水化物の摂取量を減らす糖質制限は脂肪の蓄積を防ぐため、リバウンド予防にも向いているダイエット法です。糖質制限におすすめの食品は、以下の記事で詳しく解説しています。
糖質制限中におすすめの食べ物&飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA
タンパク質と一緒に摂取したい栄養素
タンパク質の吸収や利用には、ビタミンB群が大きな影響を及ぼします。ビタミンB群の働きについて、特徴を簡単にまとめました。
- ビタミンB1:炭水化物の代謝を促進する。
- ビタミンB2:脂質代謝を促進する。
- ビタミンB6:タンパク質の代謝をサポートする。
- ビタミンB12:タンパク質合成や造血作用に関与する。
とくにビタミンB6とビタミンB12は、タンパク質を有効利用するために必要なビタミンです。ビタミンB6は脂質代謝にも関与して、肝臓への脂質蓄積を防ぐ働きをします。
ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB12の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA
タンパク質ダイエット継続のコツ
タンパク質ダイエットは食事制限をするわけではないため、すぐに効果が現れるダイエット法ではありません。またタンパク質を多く摂るための食事が必要なため、継続しにくい側面ももっています。
そこでここでは、タンパク質ダイエットを継続するコツを説明します。
プロテイン製品も利用する
タンパク質ダイエットでは、タンパク質を多く摂取する必要があります。しかし食品に含まれるタンパク質量は意外と少なく、推奨目安量(男性65g・女性50g)を摂取するのは大変です。
普段の食事からタンパク質を摂るのが難しいときは、プロテイン製品も利用してみましょう。プロテイン製品の1食分のタンパク質含有量は10~20g程度ですが、食事とあわせれば推奨量をクリアすることも難しくありません。
粉末タイプを豆乳に混ぜて飲んだり、バータイプの製品をおやつに食べたりと工夫しましょう。最近はコンビニでも多くのプロテイン製品を扱っています。好みのプロテイン製品を探してみるのも面白いかもしれません。
運動とあわせると効果的
食事制限をするダイエット法とは異なり、タンパク質ダイエットは急激に体重が落ちるものではありません。健康的に痩せるため、運動をしながら行うのがおすすめです。
タンパク質は筋肉の増強効果をもっているので、運動前後にタンパク質を摂取すると筋肉の修復を効率的に行ってくれます。脂肪を筋肉に変え、引き締まった身体を作りたいなら、タンパク質ダイエットと一緒に運動も取り入れてみましょう。
タンパク質ダイエットの注意点
最後に、タンパク質ダイエットを行うときの注意点を解説します。
脂質や炭水化物の量にも注目
タンパク質ダイエットで肉類や乳製品、小麦製品を摂取するときは、脂質や炭水化物の量に注意しましょう。例として、食パン・和牛サーロイン・牛乳・チーズ(100gあたり)の三大栄養素の含有量を示します。
食パンは炭水化物、肉類や乳製品は脂質の多いことがわかります。タンパク質が豊富な食品だからといって、食べすぎは禁物です。
食品名 | エネルギー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) |
穀類/こむぎ/[パン類]/角形食パン/食パン | 248 | 8.9 | 4.1 | 46.4 |
肉類/<畜肉類>/うし/[和牛肉]/サーロイン/脂身つき/生 | 460 | 11.7 | 47.5 | 0.3 |
乳類/<牛乳及び乳製品>/(液状乳類)/普通牛乳 | 61 | 3.3 | 3.8 | 4.8 |
乳類/<牛乳及び乳製品>/(チーズ類)/ナチュラルチーズ/チェダー | 390 | 25.7 | 33.8 | 1.4 |
過剰摂取で腎臓や肝臓に負担がかかる可能性も
タンパク質の過剰摂取は、その処理を行う肝臓や腎臓に負担をかけるとの研究報告があります。厚生労働省の見解では、慢性腎臓病とタンパク質の摂取における関係性を示す根拠が十分ではないとして、判断を避けています。
しかし、過剰摂取による慢性腎臓病の発症が否定されたわけではないため、推奨量を超えての摂取は控えましょう。
タンパク質だけを摂ると栄養バランスが崩れる
タンパク質ダイエットは、タンパク質だけを摂るダイエット法ではありません。タンパク質が正常に作用するには、ビタミンやミネラルの助けが必要です。
ダイエット中は肉・魚・野菜・乳製品など、栄養バランスの摂れた食事を心がけましょう。