芽キャベツの栄養と効果効能・調理法・保存法
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芽キャベツの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、芽キャベツに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
芽キャベツとは
茎の側面に50~70個の芽をつけ、それぞれの芽は球状に葉を巻き、芽キャベツの形になります。1つの株に、小さな芽をいくつもつけることから、「コモチカンラン」との別名がつきました。
芽キャベツの原産地はベルギーで、キャベツと同じケールの1種が、原種と考えられています。日本に入ってきたのは明治時代と言われていますが、すぐに普及せず、一般に広まったのは昭和以降です。
平成30年のデータでは、国内の収穫量の9割を超える芽キャベツが、静岡県で栽培されています。収穫量第2位の山形県は2%、第3位の神奈川県は1%と、圧倒的な差があります。
高温・多湿に弱い性質から、芽キャベツの旬は11月~翌年3月です。静岡県の生産量が多いのは、夏も涼しく温暖な気候が、芽キャベツの栽培に適していたからと考えられます。
芽キャベツと似た食品
芽キャベツに似た食品に、キャベツやプチヴェールがあります。とくにキャベツは、芽キャベツの親と思われがちですが、実は異なる種類です。
キャベツとプチヴェールについて、芽キャベツとの違いを解説します。
キャベツ
芽キャベツは、キャベツの子どもと勘違いしがちですが、実は祖先が同じだけで、まったく別の種類の野菜です。
茎の側面に数十個の芽をつける芽キャベツとは異なり、キャベツは1株に1つの芽しかつけません。キャベツは1玉2kg程にもなり、1個20g程度の芽キャベツと比べると、およそ100倍もの大きさです。
芽キャベツは、ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含みます。その含有量は、キャベツよりも多く、栄養素に優れているのも芽キャベツの特徴です。
キャベツの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
プチヴェール
プチヴェールとは、芽キャベツやキャベツと同じアブラナ科の仲間で、芽キャベツとケールを交配させて作った野菜です。
見た目は、葉が球状をしている芽キャベツよりも、白菜やリーフレタスに近いですが、サイズ感は芽キャベツそのもの。芽キャベツをキャベツのミニチュアとするなら、プチヴェールは白菜のミニチュアと言えるでしょう。
ちなみにプチヴェールは糖度が12度前後と高く、甘味の強い野菜です。ただし、果物のような甘さはなく、葉の苦味とバランスが取れています。
静岡県が中心となり栽培され、旬も秋~春先と芽キャベツと似たような環境で栽培されます。
芽キャベツに含まれる成分・栄養素
芽キャベツ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
芽キャベツには、ビタミン・ミネラル全般が豊富に含まれます。なかでも、β‐カロテンやビタミンK、ビタミンC、葉酸を多く含有します。
ビタミン・ミネラルだけでなく、似た野菜であるキャベツよりも食物繊維が豊富です。茹でても、栄養素が大きく損なわれることはありません。
食 品 名 | 単位 | めキャベツ 結球葉 生 | めキャベツ 結球葉 ゆで | |
廃 棄 率 | % | 0 | 0 | |
エネルギー | kJ | 219 | 213 | |
kcal | 52 | 51 | ||
水 分 | g | 83.2 | 83.8 | |
たんぱく質 | アミノ酸組成によるたんぱく質 | g | -3.9 | -3.6 |
たんぱく質 | g | 5.7 | 5.3 | |
脂質 | 脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | g | -0.1 | -0.1 |
コレステロール | mg | 0 | 0 | |
脂質 | g | 0.1 | 0.1 | |
炭水化物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | g | -4.2 | -4.8 |
g | ||||
利用可能炭水化物(質量計) | g | -4.1 | -4.4 | |
差引き法による利用可能炭水化物 | g | 6.2 | 6.3 | |
* | * | |||
食物繊維総量 | g | 5.5 | 5.2 | |
糖アルコール | g | - | - | |
炭水化物 | g | 9.9 | 9.8 | |
有機酸 | g | - | - | |
灰分 | g | 1.1 | 1 | |
無機質 | ナトリウム | mg | 5 | 5 |
カリウム | mg | 610 | 480 | |
カルシウム | mg | 37 | 36 | |
マグネシウム | mg | 25 | 22 | |
リン | mg | 73 | 75 | |
鉄 | mg | 1 | 1 | |
亜鉛 | mg | 0.6 | 0.5 | |
銅 | mg | 0.07 | 0.07 | |
マンガン | mg | 0.29 | 0.25 | |
ヨウ素 | μg | - | - | |
セレン | μg | - | - | |
クロム | μg | - | - | |
モリブデン | μg | - | - | |
ビ タ ミ ン | レチノール(ビタミンA) | μg | 0 | 0 |
α|カロテン | μg | 0 | 0 | |
β|カロテン | μg | 710 | 680 | |
β|クリプトキサンチン | μg | 10 | 10 | |
β|カロテン当量 | μg | 710 | 690 | |
レチノール活性当量 | μg | 59 | 57 | |
ビタミンD | μg | 0 | 0 | |
α-トコフェロール | mg | 0.6 | 0.5 | |
β-トコフェロール | mg | 0 | 0 | |
γ-トコフェロール | mg | 0 | 0 | |
δ-トコフェロール | mg | 0 | 0 | |
ビタミンK | μg | 150 | 160 | |
ビタミンB1 | mg | 0.19 | 0.13 | |
ビタミンB2 | mg | 0.23 | 0.16 | |
ナイアシン | mg | 0.9 | 0.6 | |
ナイアシン当量 | mg | -1.8 | -1.4 | |
ビタミンB6 | mg | 0.27 | 0.22 | |
ビタミンB12 | μg | 0 | 0 | |
葉 酸 | μg | 240 | 220 | |
パントテン酸 | mg | 0.76 | 0.65 | |
ビ オ チ ン | μg | - | - | |
ビタミンC | mg | 160 | 110 | |
アルコール | g | - | - | |
食塩相当量 | g | 0 | 0 |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
芽キャベツの効果・効能
芽キャベツに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
食物繊維で便秘予防
芽キャベツに含まれる食物繊維の量は、キャベツの約2.6倍です。つまり、芽キャベツ約38g(1個半程度)を摂取すれば、キャベツ100gを食べたときの食物繊維量と、等しくなります。
食物繊維は、人間が消化・吸収できない栄養素で、消化されずに胃腸を通過することで、整腸効果を発揮します。食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれで整腸作用の機序が異なります。
芽キャベツに多く含まれるのは、不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は、水に溶けにくく水分を含みやすいため、胃腸内で膨らみ大きな塊となります。食物繊維の塊が、胃腸を刺激し、動きを活発にすることで、便通を促進させる仕組みです。
水溶性食物繊維よりは発酵性が低いとされていますが、大腸内の腸内細菌を増やして、腸内環境を整える効果があります。
食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンCが体内の酸化を抑制
ビタミンCは、強い抗酸化作用のあるビタミンの1種です。酸化酵素の産生を、抑制する効果があります。
食物から、エネルギーを生み出すときに作り出される酵素は、活性化すると活性酵素と呼ばれる老廃物へと変わります。この活性酵素が大量に産生されることは、老化促進や生活習慣病の一因です。
ビタミンCには、活性酵素の働きを抑え、動脈硬化の原因となる過酸化脂質の産生を抑制します。また、活性酵素が起因となる老化やがんなどを予防する効果もあります。
ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
葉酸は胎児や乳幼児の成長に欠かせない
葉酸は、細胞を作るときに欠かせない、DNA合成作用にかかわる栄養素です。とくに胎児や乳幼児の成長には欠かせない栄養素で、妊娠中の女性は、成人女性の2倍量の摂取を推奨されています。
妊婦の葉酸1日推奨量は、480μgです。茹でた芽キャベツ100gには、220μgもの葉酸が含まれるため、葉酸補給に効果的な食べ物と言えるでしょう。
葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
イソチオシアネートによる抗菌作用
イソチオシアネートとは、芽キャベツやキャベツ、大根などのアブラナ科に含まれる辛味成分です。
がんを抑制する効果があると考えられている成分で、抗がん剤の成分として研究が進められています。イソチオシアネートの含まれる野菜を、そのまま摂取しても発がん抑制効果は得られませんが、抗菌作用や抗酸化作用などが認められている栄養素です。
肝臓の解毒作用も、イソチオシアネートにより促進すると考えられています。
芽キャベツの食べ方
芽キャベツの栄養素を損なわない下処理・調理方法・食べ方などを解説します。
芽キャベツの下処理・茹で方
芽キャベツは、食べるために下処理が必要な野菜です。苦味が強いため、生のまま食べることはできません。
水を沸騰させた鍋に塩を小さじ1杯入れ、洗った芽キャベツを2~3分茹でます。芽キャベツの大きさによって、下茹で時間が変わるため、味見をして苦味がなくなっているのを確認してからザルに上げましょう。
下茹での際に、芽キャベツをカットしてしまうと、茹で汁に栄養素が逃げてしまいます。芽キャベツを下茹でするときは、カットせず丸ごと茹でるのがポイントです。
芽キャベツは丸ごと煮込み料理へ
一口サイズの芽キャベツは、キャベツの代わりにポトフやスープなどに入れると、栄養素を逃さず食べられます。カットする必要もないため、調理の手間を省け、手軽に使える野菜です。
ただし芽キャベツを煮込み料理に入れるときは、煮崩れに注意しましょう。ほかの食材を煮込んだあとに、下茹でした芽キャベツを入れると、煮崩れしにくくなります。
下茹でした芽キャベツはサラダにもおすすめ
塩を加えて下茹でした芽キャベツは、黄緑色が濃くなり、彩りも増します。茹でた芽キャベツは、半分~4分の1にカットして、サラダに入れるのもおすすめです。
トマトやベーコンなど、赤い食材と一緒に入れると、色彩豊かなサラダになります。
芽キャベツは和食にも合う
ベルギー原産の芽キャベツは、洋食のイメージが強いですが、実は和食にも使える優れものです。和食に使うときも、なかまで熱がとおるように塩茹でします。色が悪くならないように、茹ですぎには注意しましょう。
芽キャベツを和食に使うなら、おひたしや和え物がおすすめです。芽キャベツのほろ苦さと、出汁の甘さを楽しめます。
芽キャベツの保存方法
芽キャベツの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
暑さに弱い芽キャベツは冷蔵保存を
芽キャベツは、暑さと湿気に弱い野菜です。そのため、夏場に常温保存すると傷みやすくなりますので、基本的には冷蔵庫で保存しましょう。
冷蔵保存するときは、乾燥に注意します。ほかの葉物野菜と同様に、芽キャベツも水分が足りないと鮮度が失われやすくなります。湿らせた新聞紙やキッチンペーパーに包んで、ビニール袋に入れて冷蔵庫で保存しましょう。
茹でれば冷凍保存も可能
茹でた芽キャベツは、冷凍保存もできます。芽キャベツが余ってしまったら、硬めに茹でて、粗熱を取ってから保存容器・袋に入れて冷凍庫で保存しましょう。
しっかりと水気を切れば、1か月程度は鮮度を保てます。