タコの栄養と効果効能・調理法・保存法

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Octopus-slices

タコの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、タコに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

タコとは

タコ(Octopus)とは、タコ目に分類される軟体動物の総称で、吸盤が付いた8本の足を持った海洋生物のことを言います。一見頭に見える丸く大きな部分は胴で、本当の頭は足の付け根部分にあることから、イカなどと同様に頭足類と呼ばれています。

タコは世界中の海で獲れますが、日本近海でも多く漁獲されるため、日本人にとって馴染み深い魚介類の一つです。

プリプリとした食感と旨味が楽しめるタコは、刺身として食べられるほか、煮物・炒め物・揚げ物などあらゆる料理に用いられます。スーパーなどでは、下茹でされた状態で販売されていることがほとんどです。

一般的にタコの食用とする部位は足ですが、北海道など一部地域では頭(胴)や卵も食べられています。タコの卵は「たこまんま」と呼ばれ、刺身のように食せる珍味です。

タコの名前の由来は諸説ありますが、足が多いことを意味する「多股(たこ)」が語源だと言われています。

タコの品種・種類

多くの種類が存在するタコですが、日本で一般的に食用とされている3種類のタコの特徴や旬、栄養価について説明します。

マダコ

マダコは、食用タコの代表的な種類で、タコというと一般的にマダコのことを指します。身が引き締まっており、しっかりとした歯応えを楽しめます。

マダコの旬は、瀬戸内近海で獲れるものは6~8月、三陸で獲れるものは11~12月です。マダコには、健康を維持するのに大切なたんぱく質やカリウムなどが多く含まれています。

イイダコ

イイダコは、マダコの仲間で小ぶりなサイズの食用タコです。コモチダコとも呼ばれ、子持ちのイイダコの胴には卵がたっぷり詰まっています。

イイダコが子持ちになる旬の時期は1~3月。マダコと比較して、イイダコには造血作用のある葉酸がより多く含まれています。

ミズダコ

ミズダコは、最大5mほどにもなる大型のタコで、身が柔らかく甘みがあるのが特徴です。身が水っぽいことからミズダコの名が付いた言われています。

ミズダコは、タコ類のなかでもタウリンが豊富です。茹でても硬くなりにくいため塩茹でにされることが多いですが、生食も可能。1年を通して水揚げされ、旬の時期は11~2月です。

タコに含まれる成分・栄養素

タコ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位いいだこ 生まだこ 生まだこ ゆで
廃 棄 率%0150
エネルギー(kcal)kcal/100 g707699
エネルギー(kJ)kJ/100 g293318414
水 分g/100 g83.281.176.2
たんぱく質g/100 g14.616.421.7
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-10.611.4-15.1
脂 質g/100 g0.80.70.7
トリアシルグリセロール当量g/100 g0.40.20.2
飽和脂肪酸g/100 g0.110.070.06
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.060.030.02
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.20.140.12
コレステロールmg/100 g150150150
炭水化物g/100 g0.10.10.1
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g
水溶性食物繊維g/100 g000
不溶性食物繊維g/100 g000
食物繊維総量g/100 g000
灰 分g/100 g1.31.71.3
ナトリウムmg/100 g250280230
カリウムmg/100 g200290240
カルシウムmg/100 g201619
マグネシウムmg/100 g435552
リンmg/100 g190160120
mg/100 g2.20.60.2
亜鉛mg/100 g3.11.61.8
mg/100 g2.960.30.43
マンガンmg/100 g0.060.030.04
ヨウ素µg/100 g8
セレンµg/100 g28
クロムµg/100 g1
モリブデンµg/100 g1
レチノールµg/100 g3555
α-カロテンµg/100 g00
β-カロテンµg/100 g90
β-クリプトキサンチンµg/100 g00
β-カロテン当量µg/100 g900
レチノール活性当量µg/100 g3655
ビタミンDµg/100 g000
α-トコフェロールmg/100 g2.71.91.9
β-トコフェロールmg/100 g000
γ-トコフェロールmg/100 g000
δ-トコフェロールmg/100 g000
ビタミンKµg/100 g0Tr0
ビタミンB1mg/100 g0.010.030.03
ビタミンB2mg/100 g0.080.090.05
ナイアシンmg/100 g3.22.21.9
ビタミンB6mg/100 g0.110.070.07
ビタミンB12µg/100 g21.31.2
葉酸µg/100 g3742
パントテン酸mg/100 g0.70.240.17
ビオチンµg/100 g5.6
ビタミンCmg/100 g1TrTr
食塩相当量g/100 g0.60.70.6
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g
重量変化率%81
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

タコの効果・効能

タコに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

肝臓の機能を高め、生活習慣病を予防するタウリン

タウリンは、魚介類や軟体動物に多く含まれるアミノ酸に似た成分です。肝臓の機能を活発にし解毒能力を高める作用があるため、栄養ドリンクにも使われています。人間の体内では十分な量のタウリンを合成できないので、食品から摂取する必要があります。

肝機能を高めるほかにも、コレステロールや中性脂肪を低下させる、心臓の機能を高める、視力の衰えを防ぐ、高血圧を予防する、インスリン分泌を促し糖尿病を予防するなど、タウリンはさまざまな効能を持っています。

また、タウリンは母乳にも含まれており、新生児の脳や網膜の発育に関わる栄養素でもあります。

タウリンを特に多く含むと言われているのはミズダコです。タウリンによる健康効果を期待するなら、ミズダコを選ぶようにしましょう。

皮膚・粘膜の健康を維持するビタミンB群

タコには、ビタミンB2やナイアシンなど、皮膚・粘膜や神経の健康維持に必要なビタミンB群が豊富です。ビタミンB群は互いに助け合って効果を発揮するため、どれか一つだけでなくバランス良く摂取する必要があります。

ビタミンB2は、脂質の代謝を助け、口内炎や肌荒れを予防する効果がある美容にも嬉しい栄養素です。子供の成長を促進する成分でもあり「発育のビタミン」と呼ばれることもあります。

ナイアシンには皮膚や粘膜の炎症を予防する作用のほか、アルコールの分解を助け二日酔いを防ぐ効果も。血管を拡張し血行を促す作用もあり、冷え性や肩こりに効果的です。

亜鉛で味覚障害を予防

タコには、亜鉛・鉄・リン・カリウム・マグネシウムなど体の健康維持に不可欠なミネラル類も含まれています。

カキなどの魚介類に豊富な亜鉛は、皮膚や粘膜の健康を維持するほか、効率良く筋肉を付けるためにも大切な成分です。日本人に欠乏しがちな成分ですが、亜鉛不足は味覚障害を引き起こす可能性もあるため、食品から適切に摂取する必要があります。

亜鉛には、乳幼児の健康な発育を助ける作用もあり、妊婦や授乳中の女性に特に必要になる栄養素です。

イイダコにはマダコの約2倍もの亜鉛が含まれているため、亜鉛不足が心配な方にはイイダコがおすすめです。

高たんぱく質低脂質でダイエットや筋トレに最適

タコには、良質なたんぱく質がたっぷりと含まれています。たんぱく質は、筋肉・臓器・皮膚・髪など人間の体を構成する主成分で、不足すると成長障害や免疫力の低下を引き起こします。

タコは、筋肉のもととなるたんぱく質を多く含む一方、脂肪分が少なく、ダイエットや筋トレなど体づくりに励む方にもぴったりの食材です。

タコのなかでも、特に高たんぱく低脂質なのはマダコ。筋トレの効率を向上させたいときにはマダコがおすすめです。

タコの食べ方

タコの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

刺身や鍋なら水に溶けやすい栄養まで余さず摂取できる

タコに含まれるタウリンやビタミンB群は、水に溶けやすい性質を持っています。栄養価を余さず摂取するには、生食用のタコなら刺身としてそのまま食べるのがベストです。

加熱する場合、汁ごと食べられるスープや鍋などの料理がおすすめです。タコを使った鍋料理では、最後に雑炊にして食べることでより多くの栄養を摂取できます。

ビタミンC・クエン酸と合わせて亜鉛の吸収率を高める

タコに含まれる亜鉛は、体内での吸収率が低く、食品から摂取できる量は30%程度と言われています。そのため、亜鉛の吸収を促進するビタミンC・クエン酸・動物性たんぱく質などを含む食材と一緒に食べるようにしましょう。

ビタミンCやクエン酸を多く含むレモンは、タコと味の相性も良いためおすすめの食材です。

食べ過ぎはNG!1日の摂取目安量を守ろう

栄養豊富なタコですが、痛風の原因となるプリン体が多く含まれています。タコ100gあたりに含まれるプリン体は137.3mgです。カツオ・マグロ・イカなどに比べると少ないものの、決して低い数値ではありません。

高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインではプリン体の1日の摂取目安量は400mg以下にすることが推奨されており、タコを1日に300gほど摂取すると推奨値を超える計算になります。

尿酸値や痛風の症状が気になる場合は、タコの食べ過ぎに気を付けましょう。

タコの保存方法

タコの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

冷蔵保存

すでに茹でてあるタコは、2~3日程度は冷蔵保存が可能です。冷蔵保存する場合、タコを食べやすい大きさにカットしてから水気を拭き取り、ラップで一つずつくるんで保存袋に入れてください。タコは傷みやすい食材なので、温度の低いチルド室で保存するのがおすすめです。

冷凍保存

タコは、一度凍らせても食感や風味が損なわれにくいという特徴があるため、数日内に食べきれない場合は冷凍しましょう。タコの表面の水分をキッチンペーパーでふき取って一つひとつラップで包み、冷凍用の保存袋に入れて凍らせてください。

このとき、タコをめん棒などで叩いておくと、筋繊維が壊れて解凍したときの食感が柔らかくなります。叩く力は、タコの表面にヒビが入るくらいの強さが理想です。

なお、タコは完全に解凍すると切りづらくなるため、半解凍のまま調理するのがおすすめです。流水解凍か、冷蔵庫解凍で半解凍の状態にします。

参考文献