ハスカップの栄養と効果効能・調理法・保存法
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ハスカップの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、ハスカップに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
ハスカップとは
ハスカップ(Haskap Berry)は、シベリアのバイカル湖周辺が原産地とされるスイカズラ科スイカズラ属の落葉樹で、果実を食べることができます。別名は「クロミノウグイスカズラ」で、英語では「Haskap Berry」「Honeyberry」「Blue Honeysuckle」などと呼ばれます。
ハスカップの果実は、ブルーベリーに似た青紫色で、1~1.5cmほどの小さい楕円形をしています。ハスカップの味はブルーベリーより酸味が強く、すっきりとした爽やかな風味があるのが特徴です。
日本では、ハスカップは主に北海道で栽培されており、果実を使った菓子やジャムなどは北海道のお土産として人気があります。
ハスカップの実にはアントシアニンやビタミンEなどの栄養素が豊富で、アイヌ民族が古くから「不老長寿の薬」として用いてきた歴史もあります。
ハスカップの旬は夏で、6月下旬~8月中旬にかけて果実が収穫されます。果実は傷みやすいため生のまま流通することは少なく、冷凍フルーツ・ジュース・ジャムなど加工食品として販売されることがほとんどです。
ハスカップの主要品種としては、「ゆうふつ」「トカチカップ」「ゆうしげ」「あつまみらい」などがあります。
ハスカップに含まれる成分・栄養素
ハスカップ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食品名 | 単位 | ハスカップ 生 |
廃 棄 率 | % | 0 |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 53 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 222 |
水 分 | g/100 g | 85.5 |
たんぱく質 | g/100 g | 0.7 |
アミノ酸組成によるたんぱく質 | g/100 g | - |
脂 質 | g/100 g | 0.6 |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | - |
飽和脂肪酸 | g/100 g | - |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | - |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | - |
コレステロール | mg/100 g | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 12.8 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | - |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.6 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 1.5 |
食物繊維総量 | g/100 g | 2.1 |
灰 分 | g/100 g | 0.4 |
ナトリウム | mg/100 g | Tr |
カリウム | mg/100 g | 190 |
カルシウム | mg/100 g | 38 |
マグネシウム | mg/100 g | 11 |
リン | mg/100 g | 25 |
鉄 | mg/100 g | 0.6 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.1 |
銅 | mg/100 g | 0.06 |
マンガン | mg/100 g | - |
ヨウ素 | µg/100 g | - |
セレン | µg/100 g | - |
クロム | µg/100 g | - |
モリブデン | µg/100 g | - |
レチノール | µg/100 g | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | - |
β-カロテン | µg/100 g | - |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | - |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 130 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 11 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 1.1 |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0.3 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | Tr |
ビタミンK | µg/100 g | 0 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.02 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.03 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.5 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.04 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 7 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.29 |
ビオチン | µg/100 g | - |
ビタミンC | mg/100 g | 44 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 |
アルコール | g/100 g | - |
硝酸イオン | g/100 g | - |
テオブロミン | g/100 g | - |
カフェイン | g/100 g | - |
タンニン | g/100 g | - |
ポリフェノール | g/100 g | - |
酢酸 | g/100 g | - |
調理油 | g/100 g | - |
有機酸 | g/100 g | - |
重量変化率 | % | - |
備考 | 別名: くろみのうぐいすかぐら果実全体 |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ハスカップの効果・効能
ハスカップに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
アントシアニンが眼精疲労・眼病予防・視力維持に効果
ハスカップの青紫色は、色素成分のアントシアニンによるもの。アントシアニンは、ポリフェノールの一種で強い抗酸化力があり、眼の健康に密接に関わる成分です。
植物を紫外線から守る作用のあるアントシアニンは、眼精疲労の改善や眼病予防、視力の維持などに効果的と考えられています。また、体に有害な活性酸素を除去する抗酸化作用も持っているのが特徴で、がんや生活習慣病の予防にも役立ちます。
ラットを使った実験で、ハスカップから抽出したアントシアニンが、酸化剤が誘発する腎障害や肝障害への抑制効果を示したことからも、ハスカップには強い抗酸化力があることが証明されています。
ビタミンEがアンチエイジングに効果的
ビタミンEは、老化を進行させる活性酸素を抑える働きがあることから「若返りのビタミン」とも呼ばれる脂溶性ビタミンです。細胞が酸化するのを防ぎ、老化や生活習慣病を予防します。
ビタミンEは、4種のトコフェロールと4種のトコトリエノールの計8種類の成分の総称ですが、特にαトコフェロールに最も強い生理作用があることがわかっています。
アイヌ民族に不老長寿の薬として用いられてきたハスカップには、アンチエイジング効果が期待できるαトコフェロールが豊富に含まれています。いつまでも若々しい体を維持したい方にぴったりのフルーツと言えるでしょう。
美肌・美白など美容に役立つビタミンC
ハスカップには、美容成分としても注目されているビタミンCが豊富です。ビタミンCは水に溶けやすい水溶性のビタミンで、野菜や果物などの食品に多く含まれています。
ビタミンCには、免疫機能を維持して菌やウイルスへの抵抗を高めたり、生活習慣病を予防する効果があります。
また、体の健康を維持する作用のほか、肌のハリを維持するコラーゲンの生成を助ける、シミやそばかすの原因となるメラニン色素を抑制するなどの働きがあり、ビタミンCは美容面でも役立つ栄養素です。
丈夫な骨・歯を構成するカルシウム
カルシウムは、人体に多く含まれるミネラルの一つで、丈夫な骨や歯を維持するために欠かせません。カルシウムが不足すると、骨粗しょう症を発症する可能性があります。
さらに、カルシウムには骨に対する作用のほか、筋肉の収縮作用や、血液の凝固を促し出血を予防する働きもあります。
ハスカップには、100gあたり38mgとブルーベリーの5倍近くのカルシウムが含まれています。果物のなかでもトップクラスのカルシウム含有量を誇るハスカップは、骨の健康が気になる方や成長期の子供にもおすすめです。
ストレス軽減・睡眠不足解消にも
ハスカップの果実から作ったハスカップ茶には、ストレスを軽減したり、睡眠を良好にする効果があることが実証されています。
睡眠不足にお悩みの方や、リラックス効果を得たい方におすすめです。
ハスカップの食べ方
ハスカップの栄養素を損なわない食べ方や食べる際の注意点などを解説します。
生食がおすすめ!酸味が気になるならシロップ漬けや酢漬けも
ハスカップの栄養を効率的に摂取するには、新鮮な生の果実を食べるのが一番です。
ただし、ハスカップの実はブルーベリーなどと比較して酸味が強く、酸っぱい味が苦手な方は食べづらいと感じる可能性があります。
酸味が気になるときは、ハスカップの実をシロップ漬けや酢漬けにするのがおすすめです。
加工品に含まれる糖質やカロリーに注意
ジャムや菓子の材料として使われることも多いハスカップですが、加工方法によっては糖質やカロリーの多い食品となってしまうことがあります。ダイエット中の方は、ハスカップを含む菓子やケーキの食べ過ぎには注意しましょう。
ハスカップの保存方法
ハスカップの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
冷蔵保存
ハスカップの生の果実は、冷蔵庫で1週間程度保存できます。皮が柔らかく傷みやすいため、早めに食べきるようにしましょう。
冷凍保存
ハスカップに含まれるビタミンCは、凍結させても1年ほどは減少しないことが報告されているため、長期保存したい場合は冷凍するのがおすすめです。
冷凍したハスカップの食べ方としては、凍ったままヨーグルトやアイスクリームのトッピングとするほか、常温で自然解凍してからジャムなどの材料に使えます。