授乳中におすすめの食べ物&避けるべき食べ物

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授乳中におすすめの栄養素を含む食べ物・飲み物と、授乳中に避けるべき食べ物・飲み物を紹介します。

授乳中の食生活で気を付けること

母乳育児中の母親は、妊娠前よりも多くのエネルギーを必要とします。そのため厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、授乳中は通常時より1日あたり350kcal多くのエネルギーを摂取することが推奨されています。

主食を中心とした栄養バランスのよい食事を摂ることをいつも以上に心がけ、授乳に必要な栄養素を食事から補いましょう。

ちなみに母乳には、赤ちゃんを病気から守る免疫物質やホルモンが含まれており、乳幼児期突然死症候群(SIDS)の発生リスクを低下させることがわかっています。

授乳中におすすめの栄養素

授乳中の体の健康を維持し、母乳の出を良くするためには、栄養に偏りのないバランスの取れた食生活が大切です。その中でも、授乳中に特に積極的に摂っておきたい栄養素について解説します。

妊娠中や授乳中の女性は、特に多くの鉄を必要とします。出産時に多く出血した場合や、もともと貧血気味だった女性は、授乳期に貧血を起こしやすい傾向にあります。

母乳を与えている期間は、通常時より1日に2.5mg多くの鉄を摂ることが厚生労働省により推奨されています。母乳に含まれる鉄が不足すると、乳児が貧血を発症する可能性もあるため注意が必要です。

鉄には、レバーや魚の血合いに豊富な動物性のヘム鉄と、野菜や海藻に含まれる植物性の非ヘム鉄の2種類があります。吸収効率が良いのはヘム鉄で、非ヘム鉄はビタミンCや動物性タンパク質と共に摂取することで体に吸収されやすくなります。

鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カルシウム

カルシウムは、乳製品・緑黄色野菜・大豆製品・海藻類などに多く含まれるミネラルの一種です。

母乳に含まれるカルシウムは、赤ちゃんの生育にとって大切な栄養素であり、授乳中は積極的にカルシウムを摂ることが求められます。

カルシウムの吸収率を高めるビタミンD・クエン酸や、カルシウムの尿からの排出を抑えるビタミンKも合わせて摂取してください。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

葉酸

葉酸は、胎児の細胞分裂に必要な栄養素です。妊娠前・妊娠中・授乳中は特に多く摂取することが推奨されています。

また、葉酸とビタミンB12が不足すると巨赤芽球性貧血を引き起こします。貧血気味のお母さんは特に、産後も継続して葉酸を摂取するようにしましょう。葉酸は、緑黄色野菜や豆類などから摂取できます。

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムの吸収率を高めて、丈夫な骨・歯の維持を助ける脂溶性ビタミンです。

乳児がビタミンD不足に陥ると、くる病や低カルシウム血症を引き起こすことも。ビタミンDは母乳にも含まれるため、授乳中は相応の摂取が必要です。

ビタミンDは日光に当たることでも生成されますが、日照時間の短い冬場や太陽光に当たる機会が少ない人は、きのこ類などから摂取するようにましょう。

ビタミンDの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA

授乳中におすすめの食べ物・飲み物

授乳中におすすめの栄養素を豊富に含む食べ物・飲み物について解説します。

小松菜:鉄・カルシウムが豊富な野菜

小松菜は、鉄・カルシウムなど授乳中に嬉しいミネラル類が豊富な野菜で、ほうれん草より多くの鉄・カルシウムが含まれています。

小松菜に含まれる非ヘム鉄は、吸収率をアップする動物性タンパク質やビタミンCが豊富な食材と共に料理するのがおすすめです。肉や卵と炒めたり、ビタミンCが豊富なレモン汁とあえてナムルやサラダにしたりしても良いでしょう。

小松菜の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

枝豆:葉酸を摂取するのにおすすめ

授乳中に欠かせない葉酸を摂取するなら、枝豆がおすすめです。枝豆は、野菜・果物類のなかでも特に多くの葉酸を含んでいます。

また、枝豆には女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするイソフラボンが含まれており、ホルモンバランスが乱れがちな産後の女性の健康を助ける効果も。イソフラボンは、大豆や豆腐・豆乳などの大豆製品にも豊富です。

きのこ類:カルシウムの吸収を助けるビタミンD

きのこ類は、授乳中に必要なカルシウムの吸収を促進するビタミンDを多く含有しています。きのこ類の中でもビタミンDが豊富なのはまいたけで、しいたけの約10倍ものビタミンDが含まれています。

まいたけをはじめとするきのこ類には整腸作用のある食物繊維も多く、産後の便秘にお悩みの方にもおすすめの食材です。

まいたけの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

レバー:吸収されやすいヘム鉄を摂取できる

牛・豚・鶏などのレバーには、体に吸収されやすいヘム鉄が豊富に含まれています。授乳中に不足しやすい鉄を補うにはぴったりの食材と言えるでしょう。

また、牛ヒレ・豚もも・鶏ささみ・鶏むねなど、脂質が少なく赤身中心の部位もレバーに次いで鉄が豊富に含まれています。レバーが苦手な方は、赤身肉で鉄を補いましょう。

カツオ:授乳中に嬉しい栄養素が豊富

カツオには、授乳中の貧血を予防するヘム鉄が多く含まれています。かつお節やカツオの油漬けフレーク(ツナ缶)といった加工食品からも鉄を摂取できるため、毎日の食事にも手軽に取り入れられます。

また、カツオにはカルシウムや、カルシウムの吸収を促すビタミンDも豊富です。授乳中に必要な成分を多く摂れるカツオですが、味付けしてあるカツオの塩分量や、寄生虫のアニサキスには注意しましょう。

カツオの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

あさり:授乳中の貧血予防に最適

貧血気味のお母さんにはあさりがおすすめです。あさりは、ヘモグロビン不足が原因で起こる鉄欠乏性貧血の予防に効果的な鉄を多く含んでいます。

また、巨赤芽球貧血を予防する葉酸やビタミンB12も豊富。ビタミンB12の含有量は、あさ貝類のなかでもトップクラスです。

あさりの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

ノンカフェイン飲料:授乳中は1日2リットル~2.5リットル水分補給

母乳に多くの水分が使われるため、授乳期間は通常よりも多く水分補給することが推奨されています。1日2リットル~2.5リットルは水分を摂ってください。

授乳中の水分補給には、水・麦茶・黒豆茶などのノンカフェイン・ノンシュガーの飲み物が安心です。

なお、ハーブティーもノンカフェインですが、セージなど一部のハーブには母乳の分泌を抑える作用があることが指摘されています。効能に不安がある場合、ハーブティーは避けた方がよいでしょう。

授乳中に避けるべき食べ物・飲み物

母体や赤ちゃんの健康のために授乳中に避けたい食べ物・飲み物について解説します。合わせて、乳腺炎を予防する食べ物・飲み物も紹介します。

アルコール飲料

お酒を飲むとアルコールが母乳に移行してしまうため、授乳中の飲酒はなるべく控えましょう。

母乳中のアルコール濃度は、お酒を飲んでから30分~1時間後にピークを迎えます。どうしてもお酒を飲みたい場合は、授乳する2時間以上前に飲むようにし、アルコール度数の低いお酒を少量飲むだけにとどめましょう。

カフェインを含む食べ物・飲み物

授乳中は、コーヒー・紅茶・エナジードリンク・チョコレートなど、カフェインを多く含む食品の過剰摂取には気を付けましょう。海外の各機関では、妊娠中や授乳中の1日のカフェイン摂取量を、コーヒー1~2杯程度(200~300mg)にとどめるよう推奨しています。

カフェインの感受性は個人差が大きく、子どもは影響を受けやすいことがわかっています。授乳が終わるまでは、カフェインレスのコーヒーや、ノンカフェインの麦茶・ルイボスティー・黒豆茶などを飲むのがおすすめです。

塩分・脂質の多い食事

塩分や脂質の多い食事は、乳腺炎のリスクを高める恐れがあり、母乳の出にも悪影響を及ぼす可能性があります。

塩分・脂質の摂りすぎは、肥満・高血圧など生活習慣病の原因にもなります。産後ダイエットや母体の健康維持のためにも、油を多く使ったスナックや甘いケーキ・お菓子などを食べ過ぎないように心がけましょう。

香辛料を含むカレーなどの料理

カレーなどの香辛料を多く含む味の濃い食事は、母乳の味や香りに変化を及ぼす可能性があります。

乳児の下痢・湿疹の原因が母乳の成分によるものとは必ずしも断定できませんが、心配な場合はスパイスを含む刺激の強い食事は控えた方が良いでしょう。

授乳中は新鮮な生ものなら食べてもOK

生ハム・ユッケなどの生肉や、刺身・寿司などの生魚、生卵・非加熱のナチュラルチーズなどを食べると、リステリア菌やトキソプラズマによる食中毒を発症することがあります。

妊娠中の女性は抵抗力が落ちているためにこれらの食中毒にかかりやすく、感染した場合は胎盤を通して胎児に深刻な影響を及ぼすため、注意が必要です。

一方、授乳中の母親が食中毒に感染しても、母乳を通して赤ちゃんにうつることはありません。そのため授乳中は、生肉や生卵などの生ものを妊娠中ほど過度に避ける必要はないでしょう。

ただし、妊娠中よりリスクは低いものの、産後の女性も食中毒にかかる可能性はゼロではありません。そのため、鮮度の悪い食材を食べるのは控えましょう。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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