ヨーグルトの便秘解消・便秘予防効果を徹底解説【悪化する理由も】
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便秘解消や便秘予防効果で注目されるヨーグルトの栄養や効果について解説します。便秘改善に正しく効果を発揮するために守りたい摂取目安量やおすすめの食べ方なども解説するので、便秘にお悩みの方は参考にしてください。
ヨーグルトとは
ヨーグルト(yoghurt)とは、牛やヤギの乳を発酵させた乳製品です。
原産国はトルコで、「乳からつくった酸っぱいはっ酵乳」や「撹拌(かくはん)する」との言葉「ヨーウルトゥ(Yoğurt)」が語源と考えられています。
ヨーグルトは、作り方によって大きく5つに分類されます。
- プレーンヨーグルト:生乳100%で作られ、甘味料の加えられていないもの。
- ハードヨーグルト:生乳に甘味料やゼラチンなどを加えて硬さを付けたもの。
- ドリンクヨーグルト:液状にしたヨーグルトで、甘味料や果汁が加えて飲みやすくしている。
- ソフトヨーグルト:発酵により固まったヨーグルトを混ぜて柔らかくしたもの。甘味料や果汁を加えてあるものが多い。
- フローズンヨーグルト:ヨーグルトを原料にして、乳脂肪・甘味料・ゼラチンなどを加えて凍結したもの。
ヨーグルトの効果効能やヨーグルトダイエットの方法は、以下の記事をご覧ください。
ヨーグルトの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
ヨーグルトダイエットの効果と正しいやり方・継続のコツ・注意点|NANIWA SUPLI MEDIA
ヨーグルトが便秘改善に効果を発揮する理由
ヨーグルトが便秘改善に効果を発揮すると考えられる理由を解説します。
腸内の善玉菌を増加させる
ヨーグルトが便秘改善に効果を発揮する理由の1つが、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌が多く含まれていることです。
善玉菌とは、消化吸収を補助する働きがある乳酸菌や、ビフィズス菌などの腸内細菌の総称です。
ヨーグルトは商品によって、「L-92株」「R-1乳酸菌」「ビフィズス菌」などと記載されているものもあります。乳酸菌やビフィズス菌は、メーカーによって保有する菌株名が付けられており、ヨーグルトに使っている乳酸菌やビフィズス菌の種類を示しています。
善玉菌の働きは悪玉菌の繁殖を抑制し、腸内環境を整えることです。
そもそも腸内には、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌と、悪玉菌が存在します。悪玉菌が増加すると腸内細菌のバランスが乱れ、便秘や肌荒れなどを引き起こします。
そのため、便秘を改善するには、善玉菌を増やして悪玉菌を減らすことがポイントです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、生きて腸まで流れ、悪玉菌の増殖を抑制します。
乳酸菌の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビフィズス菌の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ぜん動運動を促して排便を促進する
ヨーグルトには、大腸のぜん動運動を促進する有機酸が多く含まれています。ぜん動運動とは、内容物が大腸内を移動するための消化管の動きで、排便には欠かせない機能です。
有機酸は、ぜん動運動を活発にする働きをもつことが知られています。有機酸とは、クエン酸や・酢酸・乳酸など、酸性の性質をもつ有機化合物です。
ヨーグルトには乳酸が多く含まれており、含有する有機酸のほとんどが乳酸です。厚生労働省でも、有機酸を多く含むヨーグルト・牛乳・りんごなどの摂取が便秘に効果的と記載されています。
食品名 | 有機酸含有量(100gあたりg) |
全脂無糖 | 0.9 |
低脂肪無糖 | 0.8 |
無脂肪無糖 | 1.1 |
脱脂加糖 | 0.9 |
ドリンクタイプ、加糖 | 1.0 |
クエン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
水分が多いため便を軟らかくする
ヨーグルトには、水分が多く含まれることも便秘解消に効果的な理由です。
便中の水分が減ると便が硬くなり、排便が困難になって便秘が生じます。便秘を解消するには、水分摂取も重要なポイントです。
ヨーグルト100gあたりの水分量は、約89%とそのほとんどが水分。食べるだけで水分も摂取できるので、水分量が足らず、便秘になりがちな人に適した食品です。
ヨーグルトで便秘が悪化する理由
ヨーグルトの摂取は便秘解消に効果的ですが、食べ方や体質によっては便秘が悪化する可能性も考えられます。
ここでは、ヨーグルトの摂取で便秘が悪化する理由を解説します。
乳製品の摂りすぎ
ヨーグルトは便秘解消や予防に効果的な一方、乳製品の過剰摂取は便秘を引き起こす原因にもなりえます。
乳製品に含まれる動物性タンパク質は、実は消化されにくい栄養素です。過剰に摂取すると胃腸の負担となり、腸の動きが緩慢になって便秘を引き起こす恐れがあります。
また、動物性タンパク質を過剰摂取すると、吸収しきれなかったタンパク質が腸内に残り、腸内細菌の栄養となって腸内環境を乱します。腸内バランスが乱れ、便通をよくする善玉菌の減少が、乳製品の摂りすぎによる便秘の原因です。
過敏性腸症候群の場合
ヨーグルトに含まれる糖質は、過敏性腸症候群を悪化させて腹痛や便秘を起こすことが報告されています。
過敏性腸症候群とは、ストレスや自律神経の乱れが原因で、腸が過敏反応を起こす疾患です。腸に炎症や潰瘍が起き、腹痛・下痢・便秘を引き起こします。下痢と便秘は相反する症状のように思えますが、過敏性腸症候群では数日ごとに下痢と便秘が繰り返されるケースも見られます。
過敏性腸症候群を悪化させる原因の1つがオリゴ糖や二糖類、単糖類などの糖質です。
ヨーグルトには単糖類が含まれており、過敏性腸症候群を悪化させる恐れがあります。ただし、体質や摂取量によって症状が悪化するかは個人差があり、適量のヨーグルトなら問題ない人もいます。
過敏性腸症候群と診断された人は、ヨーグルトの摂取や摂取量について主治医と相談してください。
糖質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
身体が冷えやすい人の場合
ヨーグルトで便秘解消を期待する場合、身体が冷えやすい人は食べ方の工夫が必要です。身体が冷えた状態でヨーグルトを摂取しても、腸の動きが鈍く、反対に便秘が促進される可能性もあります。
そもそも排便は、腸のぜん動運動により促進される作用です。腸は体温が下がると動きが悪くなり、ぜん動運動も抑制されます。
腸の働きを促進するため、食べる前に身体を温めたり、ヨーグルトを温めたりして便秘が悪化するのを防げます。
ヨーグルトの摂取目安量
ヨーグルトの効果を期待するなら、1日100g~200gを摂取目安量にしましょう。
1食分のカップに入っているヨーグルトは、1個80~120gが一般的です。1日1
~2個を目安にします。一度にすべて食べずに、1日数回に分けて食べても問題ありません。
ヨーグルトを摂取しすぎると脂質や糖質の摂りすぎになり、肥満・動脈硬化・糖尿病のリスクが高まります。脂質や糖質が気になる場合は、無脂肪や無糖のヨーグルトを選ぶのがおすすめです。
次の表に、ヨーグルト(100gあたり)の基本栄養素を示します。
低脂肪・無脂肪で無糖タイプのヨーグルトは、脂質と炭水化物が少なく、カロリーの低いことがわかります。
食品名 | カロリー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) |
全脂無糖 | 62 | 3.6 | 3.0 | 4.9 |
低脂肪無糖 | 45 | 3.7 | 1.0 | 5.2 |
無脂肪無糖 | 42 | 4.0 | 0.3 | 5.7 |
脱脂加糖 | 67 | 4.3 | 0.2 | 11.7 |
ドリンクタイプ、加糖 | 65 | 2.9 | 0.5 | 10.5 |
ヨーグルトのおすすめの食べ方・摂り方
ヨーグルトを手軽に、おいしく、より栄養豊富に、食べるための方法を解説します。
便秘解消・予防を期待するなら食後に食べる
ヨーグルトは食べるタイミングによって、期待できる効果が変わります。便秘の解消・予防を期待するなら、食後に食べるのがおすすめです。
食前にヨーグルトを食べると、乳酸菌やビフィズス菌が胃液によって消化されて死滅してしまいます。しかし食後では、ほかの食品によって胃液の影響を受けにくくなっているため、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が腸に届きやすくなるからです。
消化管は寝ているとき活発に働く器官のため、ヨーグルトを夕食後に食べると、寝ている間に効果を発揮しやすくなります。
便秘に効果的な食べ方はホットヨーグルト
より便秘に効果的な食べ方をするなら、ホットヨーグルトがおすすめです。
ホットヨーグルトとは、電子レンジで20~45℃に温めたヨーグルトのこと。ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌は、35度前後で活発になり増殖します。この温度にヨーグルトを調節すると、乳酸菌やビフィズス菌が体内で活発に働きます。
ただし、高温になると菌が死滅してしまうため、ヨーグルトの温めすぎには注意しましょう。
一緒に摂ると高い効果を発揮する食品
ヨーグルトと相性がよく、より便秘解消に役立つ食品は次のとおりです。
- オートミール:オーツ麦を脱穀して乾燥させたもの。ビタミンやミネラルが豊富。
- おから:豆腐製造の過程で残る絞りかす。ヘルシー食品として注目されている。
- ブルーベリー:北アメリカ原産の果実で、ビタミン・アントシアニンが豊富。
上記の食品は、便秘解消に効果的な食物繊維を多く含みます。各食品100gあたりの食物繊維総量と主要な栄養素の含有量は、以下のとおりです。
食品名 | 食物繊維総量(g) | カロリー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) |
オートミール | 9.4 | 350 | 13.7 | 5.7 | 69.8 |
おから(乾燥) | 43.6 | 333 | 23.1 | 13.6 | 52.3 |
ブルーベリー(乾燥) | 17.6 | 280 | 2.7 | 1.9 | 72.5 |
ブルーベリー(ジャム) | 4.3 | 174 | 0.7 | 0.3 | 43.8 |
オートミールにヨーグルトを加えたり、ヨーグルトにおから・ブルーベリーをかけたりして食べるのがおすすめです。おからはパウダー状のものをトッピングとして使うと良いでしょう。
ブルーベリーは生・乾燥・ジャム、どれも食物繊維が豊富です。ただし、乾燥・ジャムに加工したブルーベリーは糖質が多いことに注意しましょう。
オートミール(オーツ麦)の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
おからの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
ブルーベリーの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
ヨーグルトを食べる・摂取する際の注意点
最後に、便秘解消のためにヨーグルトを食べる際の注意点を解説します。
冷たいヨーグルトを大量に摂取すると下痢や腹痛の原因に
ヨーグルトに限らず冷たい食品を大量に摂取すると、内臓が冷えて下痢や腹痛を引き起こします。消化管の働きも鈍くなるため、便秘解消のつもりが腸の働きを弱らせる結果につながる可能性もあります。
胃腸の働きを守るため、冷たいヨーグルトは一度にたくさん食べず、100~200gを1日数回に分けて食べるのがおすすめです。一度にたくさん食べたいときは、電子レンジで適温に温めてホットヨーグルトとして食べるとよいでしょう。
加糖のヨーグルトは摂取量に注意
ソフトヨーグルトやヨーグルトドリンク、フローズンヨーグルトには、甘味料が含まれており、大量に食べると肥満や糖尿病のリスクが高まります。脂質も多いため、便秘は解消されてもほかの問題が起こる可能性もあります。
便秘解消のためにヨーグルトを食べるときは、できるだけ無脂肪・無糖のヨーグルトを選びましょう。ヨーグルトにかけるハチミツやジャムの量も、かけすぎないように注意が必要です。