しらすの栄養と効果効能・調理法・保存法

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whitebait

しらすの旬や原産地、主要な種類などの基本情報、似た食品との違い、しらすに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

しらすとは

しらす(whitebait)とは、カタクチイワシやマイワシ、ニシン、ウナギ、アユなどの稚魚(幼魚)の総称です。

「イワシの子ども」のイメージの強いしらすですが、実際はイワシに限らず、体長2cm程度で、体の色が透明~白い全般をしらす(白子)と呼びます。流通量は、カタクチイワシの稚魚が大半を占めるため、一般的には「しらす」と言うと、カタクチイワシの稚魚を指します。

稚魚の骨は柔らかいため、茹でたり干したりして、骨ごと食べられます。水揚げされたばかりの新鮮なしらすは、生のまま生しらすとしても食べられます。

しらすの主な原産地は、愛知県・静岡県・大阪府・兵庫県・茨城県・愛媛県・鹿児島県などです。しらすの旬は、産地や原料となる魚の種類によって異なり、1年を通して水揚げされます。静岡県や神奈川県では、4月~5月がしらすの旬です。地域によっては、秋の水揚げ量が多いこともあります。

しらす製品の違い

しらすを原料とする製品の製法・食感の違いについて、解説します。

生しらす

生しらすとは、茹でたり干したりしていない、生の状態で食べるしらすです。

しらすのなかでも鮮度が落ちやすいため、新鮮な生しらすが食べられるのは、漁港に近い地域に限られます。また、漁のない日は流通しないため、貴重な食べ物です。

生しらすは、茹でたしらすよりも透明でみずみずしく、プチプチとした食感が楽しめます。刺身や丼にして食べるのが一般的です。

釜揚げしらす

釜揚げしらすとは、塩茹でしたしらすを指します。生しらすに比べて、水分量が80%程度のしらすで、見た目は白くなります。スーパーマーケットなどで広く流通するのも、釜揚げしらすに加工した状態のしらすです。

塩茹でしているため、そのままごはんに乗せてしらす丼にしたり、大根おろしとあわせてしらすおろしにしたり、サラダに入れたりして食べます。水分量が多いため、柔らかく、子どもから高齢者まで食べやすい食材です。

しらす干し

しらす干しは、しらすを干し、水分量を生しらすの約70%に減らしたしらす製品です。

水分量が少ない分、釜揚げしらすよりも食感が硬く、食べ応えがあります。ごはんに混ぜておにぎりにしたり、和風パスタの具にしたりと、食べ方もさまざまです。

ちりめんじゃこ

ちりめんじゃこは、水分量を生しらすの約40~50%になるまで乾燥させたしらす製品です。しらす干しよりも水分量が少ないため、さらに硬い食感をしています。

ただし、しらす干しとちりめんじゃこの呼び方は地域によっても差があり、関西地方では、しらす干しを「ちりめん」と呼ぶケースもあります。

畳いわし

畳いわしとは、カタクチイワシの稚魚を天日干しして、平たく加工した食べ物です。

軽く火で炙りそのまま食べたり、醤油やマヨネーズなどの調味料をつけたりして食べます。火で炙ることで、おせんべいのようなパリパリとした食感になり、お酒のつまみとして静岡県・神奈川県を中心に食べられています。

しらすに含まれる成分・栄養素

しらす100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

タンパク質の含有量は、水分量が少ない分、乾燥させたしらすのほうが多くなります。一方で、釜揚げしらすやしらす干しは食塩を使って加工するため、ナトリウムの多いことが特徴です。

葉酸やビタミンB12などのビタミンも豊富で、とくに生しらすや、しらす干し(半乾燥品)に多く含まれます。

食 品 名単位しらす 生しらす 釜揚げしらすしらす干し 微乾燥品しらす干し 半乾燥品
廃 棄 率%0000
エネルギーkJ285338480792
kcal6780113187
水 分g81.877.467.546
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g11.619.833.1
たんぱく質g1517.624.540.5
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g0.8-1.11.11.8
コレステロールmg140170250390
脂質g1.31.72.13.5
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-0.1(Tr)-0.1-0.5
g*
利用可能炭水化物(質量計)g-0.1(Tr)-0.1-0.5
差引き法による利用可能炭水化物g3.31.169.6
***
食物繊維総量g0000
糖アルコールg
炭水化物g0.1Tr0.10.5
有機酸g
灰分g2.42.95.69.5
無機質ナトリウムmg38084017002600
カリウムmg340120170490
カルシウムmg210190280520
マグネシウムmg674880130
リンmg340320480860
mg0.40.30.60.8
亜鉛mg1.11.11.73
mg0.020.030.060.07
マンガンmg0.070.090.10.17
ヨウ素μg1327
セレンμg3961
クロムμg33
モリブデンμg11
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg110140190240
α|カロテンμg000
β|カロテンμgTr00
β|クリプトキサンチンμg000
β|カロテン当量μgTr00
レチノール活性当量μg110140190240
ビタミンDμg6.74.21261
α-トコフェロールmg0.90.81.11.5
β-トコフェロールmg0000
γ-トコフェロールmg0TrTrTr
δ-トコフェロールmg000
ビタミンKμgTr00
ビタミンB1mg0.020.070.110.22
ビタミンB2mg0.070.040.030.06
ナイアシンmg3.72.12.67.4
ナイアシン当量mg6.4-5.37.515
ビタミンB6mg0.170.050.050.04
ビタミンB12μg4.21.53.26.3
葉 酸μg56262758
パントテン酸mg0.510.30.50.72
ビ オ チ ンμg9.912
ビタミンCmg5Tr0Tr
アルコールg
食塩相当量g12.14.26.6
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

しらすの効果・効能

しらすに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

高タンパク・低脂肪で筋力アップに効果的

タンパク質は、筋肉や内臓、皮膚など、人の身体を構成する主要な栄養素です。その他にも、ホルモンや酵素など、体内にある多くの物質がタンパク質からできています。

しらすは、タンパク質のうち動物性タンパク質を多く含む食べ物です。動物性タンパク質は、肉類や魚介類に含まれるタンパク質で、人間の身体に必要な必須アミノ酸を含有しています。

またしらすは、脂質が少なく、高タンパク質低脂肪な食材です。筋肉の材料補給・脂質摂取量の抑制に、しらすは適しています。

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

カルシウム・リンが骨格形成に作用

カルシウムは、主に骨と歯を構成する栄養素です。血中にも存在し、一定の濃度を保っています。血中カルシウム濃度が下がると、骨や歯に含まれるカルシウムが血液へ溶け出し、濃度を調節する仕組みです。

そのため、カルシウムの摂取量が減少すると、骨や歯からカルシウムが溶け出しやすくなり、骨粗しょう症を起こすリスクが高くなります。

またリンは、体内の約85%が骨組織に存在し、カルシウムと一緒に骨格形成に作用します。肉類や魚介類、乳製品に多く含まれる栄養素です。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

リンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・摂取量を減らす方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンDがカルシウム・リンの働きをサポート

ビタミンDは、カルシウムとリンの吸収を促進する役割のある、脂溶性ビタミンの1種です。

食べ物として吸収されたビタミンDは、肝臓・腎臓で活性型へと変化します。活性型ビタミンDが、小腸からのカルシウム・リンの吸収を促進します。

さらに、ビタミンDは血中カルシウムを、骨に運搬する作用をもった栄養素です。カルシウムが骨に沈着するのを助け、骨を強くします。

ビタミンDの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB12

ビタミンB12は、コバルトを含む5種類の成分の総称です。DNA合成をサポートし、細胞増殖に関与します。

ビタミンB12が不足すると、赤血球の生成がうまくできずに貧血になったり(巨赤芽球性貧血)、神経障害を引き起こしたりします。肉類や卵のほか、しらすなどの魚介類にも豊富に含まれる栄養素です。

ビタミンB12の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA

しらすの食べ方

しらすの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

生しらすの洗い方

新鮮な生しらすは、そのまま刺身やしらす丼として食べられますが、流水で洗いましょう。通常、水揚げ後に洗われることはなく、海藻やゴミが混ざっている可能性があるためです。

ザルに生しらすを入れ、身をつぶさないように真水でサッと洗います。水道水に長く漬けると鮮度が落ちるため、水にくぐらせる程度で十分です。

生しらすはかき揚げもおすすめ

生しらすといえば、しらす丼のイメージですが、実はかき揚げにするのもおすすめです。揚げたてのしらすのかき揚げは、プリプリのしらすと、サクサクした衣の食感が楽しめます。

天つゆではなく、塩をつけて食べると、衣のサクサク感を失わずに食べられます。

釜揚げしらすはパスタの具材にも合う

主に和食に使われるしらすですが、パスタの具材としてもよく合います。

明太パスタなどの和風パスタだけでなく、ペペロンチーノやトマトパスタに入れるのもおすすめです。しらすに塩気がついているので、味付けの代わりにもなります。

カルシウムなどのミネラルを多く含むしらすを入れることで、少量を加えるだけで栄養面でもサポートします。

ちりめんじゃこなら和え物にぴったり

釜揚げしらすよりも、食感の硬いちりめんじゃこは、和え物にしたり豆腐やサラダのトッピングにするのがおすすめです。食材の食感に変化を与えられるため、料理のアクセントになります。

また混ぜるだけ・乗せるだけで、料理をよりおいしそうに見せられることも、ちりめんじゃこを使うメリットです。

妊娠中にしらすを食べても問題ない

妊婦がしらすを食べても、胎児への影響はないと考えられています。

魚類やイルカ・クジラの肉には、メチル水銀が多く含まれていることがあり、胎児への影響が懸念されます。メチル水銀は、食物連鎖の過程で、小さい魚から大きな魚(哺乳類)へと受け継がれるため、一般的には大型の魚類に多く含まれる有害物質です。

しかし、しらすは「妊娠中でもとくに注意が必要でない」とされている、イワシを原料としています。さらに、生まれたばかりの稚魚であるため、含まれるメチル水銀の量は少ないと考えられています。

そのため、妊娠中にしらすを食べても問題ありません。むしろ、しらすにはカルシウムが多く含まれているため、胎児の成長を促す食べ物です。

離乳食でしらすあげるときの注意点

しらすはカルシウムが豊富な食べ物で、乳幼児の骨の発達に役立ちます。

離乳食としてしらすをあげるときは、赤ちゃんの飲み込む力がついてからにしましょう。一般的に、離乳食を始めて1か月ほど経った頃がよいと考えられています。

赤ちゃんにあげるしらすは、塩抜きをして塩分量を減らし、すり潰してからお湯やお粥に混ぜます。スプーン1杯程度から始めるとよいでしょう。

しらすを塩抜きするときは、数分間しらすを熱湯に漬け、最後に湯切りをします。離乳食は、濃い味付けの食べ物は避けたいため、期間中は塩抜きしたしらすを用意しましょう。塩抜き後のしらすは、冷凍保存が可能です。

塩分の摂りすぎに注意

釜揚げしらすやしらす干しなどの加工製品は、塩気を含むため、塩分の摂りすぎに注意が必要です。

釜揚げしらす100gには2.1g、しらす干し100gには4.2~6.6gの食塩が含まれます。日本高血圧学会によれば、食塩の1日食塩摂取量を、男性7.5g未満、女性6.5g未満にすることを推奨しています。

一般的には、しらす100gを1度の食事で摂取する機会は少なく、少量を食べる分には塩分量を気にする必要はありません。ただし、塩分量を控えたほうがよい人の場合は、しらすの食べすぎに注意しましょう。

しらすの保存方法

しらすの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

水揚げ直後の生しらすはすぐに食べる

生しらすはとくに痛みが早く、水揚げ直後のものは早めに消費しましょう。

冷凍すれば1か月ほどの保存が可能ですが、せっかくの新鮮な生しらすですから、生のままいただくのがおすすめです。生しらすは水分量が多いため、冷凍保存すると食感が変わってしまう可能性もあります。

しらすを長期保存したいなら冷凍庫で

しらすは加工方法に限らず傷みやすいため、冷凍保存するのがおすすめです。とくに水分量の多い生しらすは1日程度、釜揚げしらすは数日で傷んでしまいます。

密閉容器や袋に入れて、冷凍保存することで、1か月程度の保存が可能です。

冷凍したしらすの解凍方法

冷凍したしらすを料理に使うときは、解凍せずにそのまま使用します。しらすは室温でもすぐに解凍されるため、サラダなど加熱しない料理でも、解凍は不要です。

おにぎりの具材にするときも、温かいごはんに混ぜるだけで、冷凍しらすが解凍されます。

参考文献