必見!痩せホルモンの増やし方|ホルモンを制する者はダイエットを制する

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結局のところダイエットって「食べ過ぎ」をコントロールして代謝を維持すればいいという話。だって運動で消費できるカロリーなんてごくわずか。日常生活でいかに食べ過ぎず、しかも勝手に脂肪が燃える体質を維持できれば、太ることとは無縁でいられるはず。でも私たちは「欲」に負けてしまうし、年齢とともに痩せにくい体質になってしまうのです……。

この食欲や体質を支配しているものは一体何なのでしょう?  そう、それが「ホルモン」。ここではダイエット成功の鍵を握る5つの「痩せホルモン」の増やし方について徹底解説。

「食べたい!」、この欲求もホルモンによって起こっている?!

そもそも私たちヒトの体内には約100種類以上のホルモンがあるとされています。ホルモンとは、体内のさまざまな部分で合成分泌される化学物質で、主な働きは各臓器などに「指令を出すこと=メッセンジャー」だと理解して良いでしょう。例えば、空腹や眠気を感じられるのもホルモンがメッセンジャーとなり、脳や必要な臓器にそれを伝えてくれるから。これだけでもホルモンが重要な理由は理解できると思います。

体内でホルモンが作られる最も重要な理由は「恒常性(ホメオスタシス)」を保つ必要があるからとされます。例えば、私たちは夏でも冬でも大体36〜37度くらいの体温が維持されるようになっていますし、睡眠時間も大体6〜8時間くらいで維持されているはずです。女性であれば毎月の月経も27〜33日周期で起こります。

このように体を健康に維持するために、体はある程度一定のリズム・状態を保つように作られていて、このバランスを維持するのにホルモンが役立っているのです。そしてこのホルモンは食欲や代謝のスイッチとも密接に関係しているのです。

1.痩せホルモン「アディポネクチン」は食事と運動で増やす

無数にあるホルモンの中でも、ダイエット成功の鍵となるホルモンがいくつかあります。その1つが「アディポネクチン」です。アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種で、脂肪を燃焼させる働きがあることがわかっています。

運動をすると筋肉の中にある酵素(AMPキナーゼ)が活性され、この酵素は体内の糖や脂肪を燃焼してくれるのですが、アディポネクチンには運動の有無に関わらずAMPキナーゼを活性する働きがあることが解明されています。基本的にホルモンは私たちの意思とは関係なく、私たちの知らないうちに体内合成されるのでセルフコントロールが難しいですが、アディポネクチンについては近年の研究で「食事」によって増やすことができると報告されています。

現在わかっている範囲では、大豆製品と緑黄色野菜、そして海藻類やナッツ類に含まれるマグネシウムがアディポネクチンを増やす食材とされています。健康な100歳以上の長寿者の血中アディポネクチン濃度は非常に高い傾向があるという報告もあり、別名「長生きホルモン」とも呼ばれるアディポネクチン。ここ数年研究が進み、アディポネクチンには血管の修復や拡張作用があることもわかり、そのため高血圧・動脈硬化・心筋梗塞といった生活習慣病のリスクの低減作用が期待されるほか、がん細胞の抑制作用なども確認されています。

アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるのですが、内臓脂肪が増えすぎるとその分泌が低下することもわかっており、適正体重を維持しておくことが、アディポネクチンの出やすい体とされています。

2.食欲抑制ホルモン「レプチン」は咀嚼と睡眠で増やす

満腹を感じて食欲を減退させるホルモンが「レプチン」です。そのためレプチンは「痩せホルモン」とか「食欲抑制ホルモン」と呼ばれることもあります。またレプチンは脂肪細胞から分泌され、脂肪の蓄積を抑制し、エネルギー消費を促す作用も持っています。レプチンは、通常、食事をして20分経過すると分泌されます。

食事が口の中に入り、咀嚼がはじまると脳内ヒスタミンという物質が分泌され、そのヒスタミンの刺激により脂肪細胞からレプチンが分泌されます。そのためにも「咀嚼をしてゆっくり食べる」ことが推奨されているのです。逆にいうと、食事をはじめて20分以内に食べ終えている人は要注意!その20分で食べ過ぎている可能性が高いからです。丼ものではやはり20分以内で食べ終わってしまうでしょう。汁物、副菜があるような定食を心がけ、先にそれらを食べることで時間を稼ぎましょう。

さらに、睡眠不足状態になるとレプチンの分泌が減少し、代わりに食欲を増進させるホルモン「グレリン」が増えることがわかっています。睡眠不足で太りやすくなる理由はこのホルモンにあるのです。実際、睡眠不足を解消するだけで間食が減るという人は少なくありません。自分の睡眠にストレスや問題を感じている人は、ぜひ一度自分の睡眠を見直してみてください。

朝から幸せな気分で目覚まし時計なしで目が覚める。熟睡感がある。1日のスタートがやる気に満ちている。このような「幸せな目覚め」からスタートした一日はアクティブに過ごせるので、過食や間食をしないはずです。

3.ハッピーホルモン「セロトニン」は朝日とリズム運動で増やす

「幸せホルモン」や「ハッピーホルモン」の別名を持つ「セロトニン」もダイエットには不可欠な物質。セロトニンは正確にはホルモンではなく「脳内神経伝達物質」ですが、特に心の安定に不可欠な物質で、鬱傾向やイライラ傾向が強い人は体内のセロトニン量が少ないことがわかっています。

一般的に男性に比べると女性の方がセロトニン分泌量が少ないとされます。女性の方が情緒不安定になりがちだったり、不安な時に「過食」や「甘いもの」に手が伸びやすいのもこのことと関係があるのではないかとされます。他にもセロトニンが低下すると過食、パニック障害、依存症、慢性疲労、向上心の低下などが起こりやすくなると指摘されています。一方、セロトニンが安定している人は安定感、平常心、高い集中力の発揮がみられるなど、特にメンタル面の健康度が高いことがわかっています。つまり、甘いもの依存症や、ストレスによる過食を阻止するには、セロトニンを安定的に分泌させておく必要があるのです。

セロトニンを上手に分泌させる方法は3つ。1つが朝日。朝日を15〜30分ほど浴びるとセロトニンが増えることが報告されています。冬になると季節性のうつ病に悩む人が増えますがこれも、日照時間が関係しているとされます。さらに、セロトニンの分泌にはリズム運動も効果的

リズム運動とは激しい運動ではなく、一定のリズムで繰り返される運動で、ウォーキング、咀嚼、呼吸法が推奨されています。そして食事。セロトニンの原料は必須アミノ酸のトリプトファンです。トリプトファンが多く含まれる大豆製品や赤身の魚、バナナやチーズなどを意識して食べるとセロトニン分泌に効果的とされます。

4.脂肪燃焼スイッチオン「アドレナリン」は30秒ダッシュで増やす

「アドレナリン」は有名なのでご存知の方が多いと思いますが、何かに集中したり、夢中になっている時などちょっとした興奮状態(交感神経がオンの状態)の時に分泌されるホルモンです。お腹が空っぽになると脳から空腹を感じるような信号が発せられ、それが食欲に繋がります。

ところがアドレナリンが出ている状態では空腹に気がつきにくくなります。好きなアーティストのコンサートで盛り上がっている時、デートで緊張している時、ゲームに集中している時などがまさにその時。最近は、ちょっと運動量の多いヨガや暗闇エクササイズ、クライミングなども人気ですが、これらの「集中・興奮」状態の時は、アドレナリンが体内に分泌されているので、空腹がかき消されてしまうのです。

さらにアドレナリンには脂肪を分解する酵素リパーゼを分泌させる働き、つまり脂肪燃焼作用があることもわかっています。何かに夢中になっていたり、恋愛をしている人はアドレナリンが出やすい状態ですが、そうでない人がアドレナリンを効果的に分泌させる方法は「運動」しかないとされます。 ウォーキングやジョギングなど軽い運動でもアドレナリンが分泌されることがわかっています。

個人的に最もおすすめしたい「アドレナリン分泌方法」は「空腹を感じたら、30秒その場で全力ダッシュ!」です。たったこれだけでもアドレナリンが出ることは科学的に確認されています。30回スクワット、30回腕立てなど自由にアレンジしながら、空腹を感じたら取り入れてみてください。

5.恍惚感が得られる「エンドルフィン」はコーピングリストを用意

「エンドルフィン」は脳内ホルモンで、極限に追い詰められた時や、癒しを感じた時に得られる多幸感、それより強い恍惚感の正体とされています。多幸感がある時に人は満足するので飢餓感や空腹からも開放されるのです。

さらにエンドルフィンには痛みや苦痛を和らげる作用や集中力を高める効果、記憶力を高める効果なども報告されています。エンドルフィンは食事、特にチョコレートなどの甘いものを食べた時などにも出ますので、ストレスを感じた時に甘いものを食べてしまう人は要注意!エンドルフィンが分泌されるのは良いことですが、エンドルフィンには中毒性があり手が止まらなくなってしまう可能性もあるから。

エンドルフィンは息が上がるくらいの運動や、サウナで温冷の刺激(ストレス)を繰り返すことでも分泌されます。ランナーズハイの正体ともされますし、サウナで「生き返る」という人が多いのもエンドルフィンと関係があるのでしょう。

おすすめなのは自分の中でエンドルフィンが分泌されるような「コーピングリスト」を作っておくこと。コーピングリストとは「ストレス対処リスト」のこと。例えば「聞くと必ず体が動いてしまう大好きな曲」「見ると絶対泣ける漫画や映画」「行くと気分が変わるお気に入りの場所(神社や公演やホテルなどどこでもOK)」など、自分のストレス発散になることをあらかじめリストアップしておきます。

リストに挙げておく対処法は多ければ多いほうが良いでしょう。依存を避けるためです。少なくともエンドルフィンが出るような自分にとって「特別」なコーピングを20個くらい用意しておけば、ストレスを感じた時だけでなく、マンネリを感じた時や退屈な時、なんとなく元気がでない時でもそのリストから何か1つピックアップして自分にプレゼントできます。すると簡単に「あ〜生きていてよかった♡」と多幸感が得られるはず。

いかがでしたか? 紹介した5つの痩せホルモンを大きく分類すると「アディポネクチン・レプチン・アドレナリン」は食べ過ぎを予防し、脂肪を燃焼してくれるホルモン。「セロトニンとエンドルフィン」は多幸感を与えてくれることで食欲を正常化してくれるホルモンといえます。

健康食&美容食の代表素材とも言える大豆製品は、アディポネクチンとセロトニン増加に効果的ですし、好きなことに集中しアドレナリンを出しておけば食べ過ぎを予防してくれます。さらに睡眠をしっかり取ることで、痩せホルモンレプチンが分泌し、時々自分に食べ物以外のご褒美をあげることでエンドルフィンが出ます。

自分の好きなことに集中し、適度な運動をしつつ、しっかり睡眠、時々ご褒美。このようにストレスフリーな生活を送ることが、痩せホルモンを味方につけ、食べ過ぎを防ぐ方法だということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

この記事を書いた人

AYA ARAHARA
AYA ARAHARA
https://aya-works.com/
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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