鶏むね肉の栄養と効果効能・調理法・保存法

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鶏むね肉

鶏むね肉の基本情報、似た食品との違い、鶏むね肉に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

鶏むね肉とは

鶏むね肉は、脂質が少なく、あっさりした淡白な味わいが特徴の部位です。旨味成分のイノシン酸を豊富に含んでおり、加熱しすぎると固くパサついた食感になることから、低温調理でしっとりと仕上げたサラダチキンや、調味料を付け置きして柔らかくして食べる方法などが人気です。

脂質の少なさに対して非常にタンパク質が豊富で、不足しがちなタンパク質をカロリーを抑えながら摂取できる食材として、健康志向な人や筋肉増強を目指す人に人気。また、牛や豚と比較して安価な鶏肉の中でも特に安価なことから、節約目的で摂取する人も多い部位です。

なお、鶏肉と鶏卵に含まれる栄養素の違いや、ブロイラー・地鶏・銘柄鶏といった品種の違いに関する詳細は下記記事をご覧ください。

鶏肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

鶏むね肉・鶏もも肉・鶏ささみの違い

鶏むね肉・鶏もも肉・鶏ささみの違いについて解説します。

鶏もも肉

鶏もも肉は、名前の通り、鶏のももから足にかけての部位です。から揚げや照り焼きをはじめ、鶏肉のなかでも特によく使われる部位と言えるでしょう。胸肉やささみと比べると脂肪分は多いものの、もも肉なので筋肉質でかみごたえがあり、鶏肉特有のおいしさが味わえます。

脂肪分が気になる場合は、皮を取り除くことで半分以上減らすことができます。そのほかの栄養素の特徴としては、胸肉やささみより鉄を多く含んでいるので、レモンや酢などとあわせて摂取することで鉄不足解消が期待できます。

鶏むね肉

鶏むね肉は、鶏の胸部分の肉です。鶏もも肉に比べて脂肪が少なく、タンパク質を豊富に含んでいるので、ダイエットや筋トレのお供にぴったりの部位と言えます。

鶏もも肉に比べてパサついた食感になるイメージがありますが、鶏肉の中で最も柔らかい部位です。加熱後の身のパサつきも、下ごしらえや調理法次第でしっとりジューシーに仕上げることができます。

鶏もも肉と同じく、さらにカロリーを抑えたい場合は皮を取り除くのがおすすめです。

鶏ささみ

鶏ささみは鶏むね肉の一部で、両手羽にひとつずつある新胸筋という部位です。羽をはばたかせる際によく動かす部位なので、鶏むね肉よりもさらに脂肪分が少ないのが特徴。

低脂質・高タンパク質なのに加え、ビタミンB群・ビタミンC・カリウムといったビタミンやミネラル類も含まれており、ダイエットや筋肉トレーニングに取り組む人が積極的に食べたい食材のひとつです。

鶏むね肉に含まれる成分・栄養素

鶏むね肉100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食 品 名単位むね 皮つき 生むね 皮つき 焼きむね 皮なし 生むね 皮なし 焼きもも 皮つき 生もも 皮つき ゆでもも 皮つき 焼きもも 皮つき から揚げもも 皮なし 生もも 皮なし ゆでもも 皮なし 焼きもも 皮なし から揚げささみ 生ささみ ゆでささみ 焼きささみ ソテーささみ フライささみ 天ぷら
エネルギーkJ558904445747790902920128247759361210454145155627861030806
kcal13321510517719021622030711314114524998121132186246192
水 分g72.655.174.657.668.562.958.441.276.169.168.147.17569.266.457.352.459.3
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g17.329.219.233.217-22.1-26.420.516.3-21.1-21.520.819.725.426.930.622.422.2
たんぱく質g21.334.723.338.816.62226.324.21925.125.525.423.929.631.736.126.825.7
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g5.58.41.62.813.514.212.717.24.34.24.510.50.50.60.84.612.26.9
コレステロールmg731207212089130130110871201201006677841007171
脂質g5.99.11.93.314.215.213.918.155.25.711.40.811.45.412.87.4
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-0.1-0.1-0.1-0.100014.300014.7-0.100-0.17.57.1
g***
利用可能炭水化物(質量計)g(Tr)-0.1-0.1-0.10001300013.4(Tr)00-0.16.96.5
差引き法による利用可能炭水化物g3.65.83.44.70.101.3172.34.64.717.32.83.13.54.711.19.6
***************
食物繊維総量g00000000.80000.90000--
糖アルコールg------------------
炭水化物g0.10.10.10.100013.300012.70.1000.16.76.2
有機酸g------------0.70.60.810.70.7
灰分g11.61.11.70.90.81.23.210.91.23.41.21.21.41.81.31.3
無機質ナトリウムmg426545736247929906956811100403853619565
カリウムmg340510370570290210390430320260380440410360520630440430
カルシウムmg46475961151071245551424
マグネシウムmg274029472123293224252934323441443634
リンmg200300220340170160230240190190220250240240310340260250
mg0.30.40.30.50.610.910.60.80.910.30.30.40.40.40.4
亜鉛mg0.610.71.11.622.52.11.82.22.62.30.60.80.810.80.8
mg0.030.050.020.040.040.070.050.070.040.050.060.070.030.030.040.030.040.03
マンガンmg0.010.010.020.010.010.020.010.170.010.010.010.180.010.010.020.010.080.06
ヨウ素μg0000Tr0TrTr0--Tr0--021
セレンμg17281729173292519--2522--332622
クロムμg11Tr100010--10--0Tr1
モリブデンμg232420362--64--654
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg18279144047252816141316544844
α|カロテンμg0000------------00
β|カロテンμg00000--50--5----49
β|クリプトキサンチンμg0Tr00---3---4----00
β|カロテン当量μg0000---6---7TrTrTr-49
レチノール活性当量μg18279144047252816141317544845
ビタミンDμg0.10.10.10.10.40.20.40.20.2000.20000--
α-トコフェロールmg0.30.50.30.50.70.20.22.50.60.30.32.20.70.10.11.83.22.3
β-トコフェロールmg0000000Tr000Tr0000TrTr
γ-トコフェロールmgTr0.1Tr0.10.10.10.13.60.1TrTr3Tr002.452.8
δ-トコフェロールmg00000000.10000.1000Tr0.10.1
ビタミンKμg23441629294734452325293312811263525
ビタミンB1mg0.090.120.10.140.10.070.140.120.120.120.140.150.090.090.110.10.090.09
ビタミンB2mg0.10.170.110.180.150.210.240.230.190.180.230.250.110.130.160.180.150.16
ナイアシンmg111712184.84.66.865.55.36.76.8121118181211
ナイアシン当量mg152417278.5-9.4-13109.5-11-1212171825261717
ビタミンB6mg0.570.60.640.660.250.220.280.210.310.360.370.230.620.630.590.650.390.51
ビタミンB12μg0.20.40.20.30.30.30.50.30.30.30.40.40.20.20.20.20.10.1
葉 酸μg121713181378231081022151113191516
パントテン酸mg1.742.511.922.580.811.061.21.191.060.991.331.112.071.722.372.951.841.79
ビ オ チ ンμg2.95.43.25.33.50.25.64.83.6--5.62.8--5.53.93.8
ビタミンCmg333432223232322423
アルコールg------------------
食塩相当量g0.10.20.10.20.20.10.22.50.20.10.22.70.10.10.10.20.20.2
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

鶏むね肉の効果・効能

鶏むね肉に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

タンパク質が筋肉増強に効果

鶏むね肉は、鶏肉のなかでも特に多くのタンパク質を含んでいるので、筋トレの効率を高めるためにタンパク質を摂りたいときにおすすめです。

タンパク質は、筋肉・内臓・皮膚・髪の毛などを構成する重要な栄養素です。タンパク質が不足すると、免疫力や体力の低下を引き起こします。人が生きていくうえで欠かせないタンパク質は、食事から摂取する必要があります。

良質な動物性タンパク質をたっぷりと含んだ鶏むね肉は、タンパク質の摂取元として理想的な食材です。さらに脂質を抑えたいときは、皮を取り除きましょう。

タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

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ビタミンA(レチノール)が眼の健康を維持

鶏むね肉は、目の健康維持に役立つビタミンAも豊富に含んでいます。ただし、ビタミンAは体内に蓄積しやすい性質があり、食べ過ぎると過剰症を引き起こす可能性があります。鶏レバーなど、特にビタミンAが豊富な食材の食べ過ぎには気を付けましょう。

ビタミンAは、眼や皮膚の粘膜の健康維持に必要なビタミンです。ビタミンAを摂取することで、視力低下・ドライアイ・暗いところで眼が見えにくくなる夜盲症などの改善効果が期待できます。

また、ビタミンAは、眼だけでなく喉や鼻の粘膜にも作用するため、免疫力の向上にも役立ちます。

ビタミンAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ | NANIWA SUPLI MEDIA

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免疫力を高める食べ物・飲み物と心がけたい生活習慣 | NANIWA SUPLI MEDIA

メンタルの不調に作用するナイアシン(ビタミンB3)

ナイアシンは、ビタミンB群の一種で神経細胞に作用する栄養素です。幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの減少を抑える効果があり、うつ・不眠・不安など心の不調に効果的です。

ナイアシンを多く含む鶏むね肉は、気分が落ち込みがちなときにもおすすめの食材です。ナイアシンが特に豊富な部位はささみで、もも肉の約3倍のナイアシンが含まれています。

ナイアシンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

セロトニンを増やす食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA

睡眠の質を高めるトリプトファン

鶏むね肉のタンパク質には、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンが多く含まれています。

トリプトファンは、精神を安定させる作用のあるセロトニンの材料です。鶏むね肉からトリプトファンを摂取することで、気分を向上させたり、精神状態を安定させる効果が期待できます。

また、セロトニンは、夜になると睡眠ホルモンのメラトニンになり、睡眠の質を高めて眠りにつきやすくする作用を発揮します。トリプトファンが豊富な鶏むね肉は、不眠にお悩みの方にもおすすめの食材です。

トリプトファンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

抗酸化作用をもつイミダゾールペプチド

鶏むね肉には、抗酸化作用をもつイミダゾールペプチドが含まれています。

イミダゾールペプチドには、疲労回復効果やアンチエイジング効果、運動能力を向上させる効果、生活習慣病を予防・改善する効果などが期待されます。

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アンチエイジングにおすすめの抗酸化作用のある食べ物・飲み物 | NANIWA SUPLI MEDIA

鶏むね肉の食べ方

鶏むね肉のおすすめの食べ方を解説します。

下ごしらえにひと手間かけてジューシーな仕上がりに

脂質が少ない鶏むね肉は、鶏もも肉などと同じように調理するとパサパサとした食感になってしまいます。

次のようなひと手間をかけることで、ぐっと食べやすくなるのでぜひ試してみてください。

・繊維に沿って一口大のそぎ切りにする
・マヨネーズをもみ込んで浸け置きする
・炊飯器や低温調理器を使って加熱しすぎを防ぐ

パサつきを抑える方法はほかにもいろいろありますので、興味があればネット検索してみるといいでしょう。

脂質を減らしたい場合は皮を取り除いて

ヘルシーな鶏むね肉ですが、鶏皮には多くの脂質が含まれているので注意しましょう。低カロリーなむね肉でも、皮付きだと100gあたり244kcaとカロリーが2倍近くになります。

摂取カロリーを抑えたいときは、皮なしのむね肉を選ぶか自分で皮を除去するようにしましょう。

ビタミンB6と合わせて摂取するとタンパク質の利用効率アップ

ビタミンB6は、皮膚や髪の毛を健康にする作用があり、タンパク質からエネルギーを生成するのに役立つ栄養素です。

タンパク質を多く含む鶏むね肉は、ビタミンB6を含む食材と一緒に食べることで栄養素の吸収効率が高まります。ビタミンB6が豊富な食材は、かつお・まぐろ・牛レバー・バナナ・納豆などです。

ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カンピロバクター菌による食中毒に注意

生や加熱が十分でない鶏肉を食べると、カンピロバクター食中毒を引き起こす恐れがあります。カンピロバクター菌は、ニワトリやウシなどの腸管に生息している細菌です。

カンピロバクター食中毒になると、下痢・腹痛・発熱などの症状が起こり、まれにギラン・バレー症候群を引き起こすこともあります。

カンピロバクター食中毒の予防には、肉の中心部を75度以上で1分以上加熱することが効果的です。特に鶏むね肉を使った人気メニューのひとつである鶏ハムは、低温調理を意識するあまり加熱不足になってしまいがち。最低限の加熱時間を意識して調理しましょう。

鶏肉の保存方法

最後に、鶏むね肉の保存方法を解説します。

冷蔵保存

水分を多く含む鶏肉は、豚や牛よりも傷みやすい食材です。冷蔵で生の鶏肉を保存できる期間の目安は2~3日ですが、なるべく早く加熱調理するようにしましょう。

冷蔵保存する場合、鶏肉をパックから取り出し、臭みの原因となるドリップや水分をキッチンペーパーなどでふき取ってからラップで包み、冷蔵庫に入れてください。

冷凍保存

鶏肉を長期間保存する場合は、冷凍がおすすめです。鶏肉を冷凍するときは、冷蔵する場合と同じくドリップや水分をしっかりふき取ってから冷凍保存用袋に入れてください。

冷凍の鶏肉は、1ヶ月程度なら問題なく保存できます。空気に触れている部分の多いひき肉は、2週間以内に使い切るのがおすすめです。

参考文献

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