ズッキーニの栄養と効果効能・調理法・保存法
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ズッキーニの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、ズッキーニに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
ズッキーニとは
ズッキーニ(zucchini)は形や食感から、きゅうりやなすの仲間と思われがちですが、実はかぼちゃの仲間に分類される野菜です。
原産地は、メキシコなどの中南米と考えられています。ズッキーニの原種が、アメリカ大陸からヨーロッパに伝えられたのは16世紀です。しかしすぐには広まらず、本格的に栽培が始まったのは20世紀になってからでした。栽培が盛んになり、現在の細長い形が定着したと考えられています。
ズッキーニが日本に伝えられたのは1980年代で、国内では比較的新しい種類の野菜です。国内の収穫量は2018年時点で、長野県が約3割のシェアを誇ります。続いて、宮城県と群馬県の収穫量が、それぞれ約25%・約10%を占めています。
夏野菜として知られるズッキーニの旬は、6月~8月です。トマトやなす、きゅうりなどと一緒にスーパーマーケットに並びます。ズッキーニは、未成熟の果実を食用とします。成熟した実は繊維質が硬くなるため、食用には適しません。
ズッキーニに似た食べ物
ズッキーニによく似た食べ物に、ペポカボチャやきゅうり、なすがあります。それぞれの見た目・栄養の違いを解説します。
ペポカボチャ
ペポカボチャとは、日本かぼちゃ・西洋かぼちゃに並ぶかぼちゃの1種で、ハロウィーンに使われるおもちゃかぼちゃとしても知られています。形や色、模様もユニークで、細長い形やひょうたん型などさまざまです。
ズッキーニもペポカボチャの1種で、丸いものや細長いものなどがあります。おもちゃかぼちゃに使われるペポカボチャは、日本では食用にされることの少ない品種です。
かぼちゃの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
きゅうり
きゅうりは、ズッキーニと同じウリ科の植物ですが、キュウリ属に分類されます。
生のきゅうりはカリウムが豊富です。また、シリカと呼ばれる成分も含まれており、爪や髪の形成に役立ちます。
食物繊維やβ‐カロテンは、ズッキーニと同程度含まれます。
きゅうりの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
なす
細長い形がズッキーニとよく似ているなすは、ナス科の植物です。煮込んだときの食感もズッキーニと似ています。
ビタミンCやβ‐カロテンの含有量はズッキーニより少ないですが、食物繊維が豊富で葉酸などのミネラルも多く含みます。紫色系統のなすには、ポリフェノールの1種であるアントシアニンが多量に含まれるのも特徴です。
なすの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
ズッキーニの品種・種類
ペポカボチャの1種であるズッキーニは、色や形の異なるさまざまな品種があります。国内で流通しているのは細長い形が大半ですが、丸いものや花がついたものなども生産されています。
一般的なズッキーニ
スーパーマーケットなどで見かけるズッキーニの多くは、細長い形をしたものです。緑・黄・黒が一般的ですが、なかにはまだら模様をしたズッキーニも流通しています。皮がしっかりしているので、炒め物や煮込み料理に適した種類です。
色による食感の違いはほとんどないとされていますが、黄色のズッキーニは味が淡泊で、クセが少ないと言われることもあります。
丸ズッキーニ
丸ズッキーニは、かぼちゃのように丸い形をしたズッキーニです。6~10cm程度の球形で、味や食感は細長いズッキーニと変わりません。
通常種よりも白い果肉の割合が多いことが特徴で、中をくり抜いて、皮を器として詰め物にするのがおすすめです。
細長いズッキーニと同様に、黄色や緑色などさまざまな色があります。
花ズッキーニ
花ズッキーニとは、花のついた未成熟なズッキーニのことです。
ズッキーニには、雄株と雌株があります。果実をつけるのは雌株のため、花ズッキーニとして食用になるのは雌株です。
花の中にある雄しべと雌しべは取り除き、花の部分に詰め物をして調理します。フリッターやソテー、蒸し物にするのが一般的です。
UFOズッキーニ
UFOズッキーニとは、その名のとおりUFOの形によく似たズッキーニです。
円盤型をしており、本来のかぼちゃらしい姿とも言えます。白色品種は、大きめのニンニクにも見えます。
UFOズッキーニも、普通のズッキーニと同様に調理しますが、熟しすぎると種が硬くなるため、早めに食べるのがよいでしょう。
ズッキーニに含まれる成分・栄養素
ズッキーニ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
かぼちゃの仲間だけあり、β‐カロテンが豊富に含まれています。ズッキーニ100g中のβ‐カロテンは310μgで、これはきゅうりやアスパラガスと同程度の量です。
ズッキーニは食物繊維も豊富な野菜で、食物繊維総量1.3gが含まれます。総量のうち、1.1gが不溶性食物繊維のため、腸内細菌の増殖に役立ち、整腸効果をもたらします。
食 品 名 | 単位 | ズッキーニ 果実 生 | |
廃 棄 率 | % | 4 | |
エネルギー | kJ | 66 | |
kcal | 16 | ||
水 分 | g | 94.9 | |
たんぱく質 | アミノ酸組成によるたんぱく質 | g | -0.9 |
たんぱく質 | g | 1.3 | |
脂質 | 脂肪酸のトリアシルグリセロール当量 | g | -0.1 |
コレステロール | mg | 0 | |
脂質 | g | 0.1 | |
炭水化物 | 利用可能炭水化物(単糖当量) | g | -2.3 |
g | * | ||
利用可能炭水化物(質量計) | g | -2.3 | |
差引き法による利用可能炭水化物 | g | 1.9 | |
食物繊維総量 | g | 1.3 | |
糖アルコール | g | - | |
炭水化物 | g | 2.8 | |
有機酸 | g | - | |
灰分 | g | 0.8 | |
無機質 | ナトリウム | mg | 1 |
カリウム | mg | 320 | |
カルシウム | mg | 24 | |
マグネシウム | mg | 25 | |
リン | mg | 37 | |
鉄 | mg | 0.5 | |
亜鉛 | mg | 0.4 | |
銅 | mg | 0.07 | |
マンガン | mg | 0.15 | |
ヨウ素 | μg | Tr | |
セレン | μg | Tr | |
クロム | μg | 1 | |
モリブデン | μg | 6 | |
ビ タ ミ ン | レチノール(ビタミンA) | μg | 0 |
α|カロテン | μg | 0 | |
β|カロテン | μg | 310 | |
β|クリプトキサンチン | μg | 10 | |
β|カロテン当量 | μg | 320 | |
レチノール活性当量 | μg | 27 | |
ビタミンD | μg | 0 | |
α-トコフェロール | mg | 0.4 | |
β-トコフェロール | mg | 0 | |
γ-トコフェロール | mg | 0.4 | |
δ-トコフェロール | mg | 0 | |
ビタミンK | μg | 35 | |
ビタミンB1 | mg | 0.05 | |
ビタミンB2 | mg | 0.05 | |
ナイアシン | mg | 0.4 | |
ナイアシン当量 | mg | -0.6 | |
ビタミンB6 | mg | 0.09 | |
ビタミンB12 | μg | 0 | |
葉 酸 | μg | 36 | |
パントテン酸 | mg | 0.22 | |
ビ オ チ ン | μg | 2.7 | |
ビタミンC | mg | 20 | |
アルコール | g | - | |
食塩相当量 | g | 0 | |
備 考 | 別名: つるなしかぼちゃ廃棄部位: 両端硝酸イオン: 0.1 g |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)
ズッキーニの効果・効能
ズッキーニに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
β‐カロテンで免疫力アップ
β‐カロテンは、体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAの1種で、緑黄色野菜に多く含まれる栄養素です。野菜の色素成分であるカロテノイドの1つであり、ズッキーニのカラフルな色も、β‐カロテンを多く含む証拠と言えます。
ビタミンAに変換されたβ‐カロテンは、免疫機能を向上させたり、抗酸化作用によって老化を予防したりする効果を発揮します。とくに自己免疫力を高める栄養素として、注目されている成分です。
β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンCが皮膚の健康を守る
ビタミンCは、皮膚の隙間を埋めるコラーゲンの合成に欠かせない栄養素です。
ビタミンCが欠乏すると、皮膚や細胞が弱くなり、コラーゲンに支えられている血管ももろくなります。その結果、出血や呼吸困難などを引き起こします。
ビタミンCのもう一つの効果は、強力な抗酸化作用です。体内に蓄積した老廃物を除去し、老化や動脈硬化、がんを防ぎます。
ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
食物繊維で腸内環境を整える
食物繊維は、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の2つに大別されます。水溶性食物繊維は、わかめや里芋など、ねばねばが特徴の食品に多く含まれる食物繊維です。粘着性が高いため、腸内をゆっくり移動し、空腹を感じにくくさせたり、糖質の吸収を穏やかにしたりする効果があります。
ズッキーニに多く含まれるのは、不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は、保水性が高く、腸内で水分を吸収することで、腸の活動を促します。また、腸内細菌を増やして、腸の調子を整える役割もあります。
食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA
葉酸が動脈硬化を予防
葉酸は、細胞に欠かせないDNAやRNAを構成する、核酸の合成に関与する栄養素です。不足すると、貧血や動脈硬化の原因になると考えられます。
葉酸の吸収率は、一緒に摂取するほかの食品に影響を受けると考えられており、とくにビタミンCやビタミンB6などを多く含む食品と、一緒に摂取すると吸収率が上がります。
葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ズッキーニの食べ方
ズッキーニの栄養素を損なわない食べ方・調理方法・注意点などを解説します。
ズッキーニは生でも食べられる
ズッキーニはかぼちゃの仲間ですが、ウリ科の植物でもあり、生で食べることも可能です。
生でズッキーニを食べるときは、薄くスライスして、塩もみします。きゅうりのようにサラダに入れると、みずみずしさをそのままに食べられます。
皮の硬さが気になる場合は、ピーラーで皮をむくとよいでしょう。
ズッキーニに合うのは洋食だけじゃない
ラタトゥイユなど、洋食のイメージの強いズッキーニですが、実は和食にも合う野菜です。
天ぷらにしたり、味噌汁の具材として使ったりと、調理方法はさまざま。なすと同じ感覚で、料理に使えます。お浸しや煮物にするのもおすすめです。
β‐カロテンの効果を上げたいなら油で調理する
ズッキーニに多く含まれるβ‐カロテンは、油と一緒に摂取すると、吸収率がよくなる栄養素です。そのため、炒め物や揚げ物など、油で調理するほうが、β‐カロテンをより効果的に吸収できます。
β‐カロテンの吸収率を上げたいなら、フリッターやフライにするのがおすすめです。ズッキーニを薄切りにして揚げ、塩をかけてチップスにすると、おつまみにもなります。
ウリ科植物・ブタクサにアレルギーがある人は注意
ズッキーニは、ウリ科の植物のため、きゅうりやメロンに食物アレルギーのある人は医師に相談してから摂取しましょう。
またズッキーニは、口腔アレルギー症候群の原因になります。口腔アレルギー症候群とは、花粉症のある人が、似た構造をした食べ物を食べることで起こるアレルギーです。主な症状として、口腔内の痒みや喉のイガイガ感が現れます。
ズッキーニは、ブタクサにアレルギーのある人で、口腔アレルギー症候群を起こす可能性があります。食べたときに違和感を覚えたら、すぐに食べるのをやめ、症状がひどい場合は医師の診察を受けましょう。
ズッキーニの保存方法
ズッキーニの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
常温保存するときは乾燥に注意
ズッキーニを保存するときは、冷蔵保存のほか、常温でも保存が可能です。
常温で保存するときは、乾燥しないように新聞紙に包むのがポイントです。ズッキーニは、水分の多い野菜のため、乾燥すると水分が抜けてみずみずしさが損なわれてしまいます。
乾燥に注意して常温保存した場合、1週間程度は栄養を損なわずに保存できます。ただし、直射日光が当たる場所や高温になる場所では、痛みが早くなりますので、冷暗所で保存しましょう。
冷凍すれば1か月程度保存できる
ズッキーニは水分の多い野菜ですが、冷凍保存もできます。
丸ごと、あるいはカットしたズッキーニの水分を拭き取り、ラップに包んで冷凍庫にて保存します。栄養素を損なわずに保存できる期間は、およそ1か月です。
丸ごと冷凍すると解凍に手間がかかりますが、一口サイズにカットしてから冷凍すれば手間を省けます。