なすの栄養と効果効能・調理法・保存法

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なす

なすの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、なすに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

なすとは

なすはナス科ナス属の淡色野菜です。原産はインドで、日本には奈良時代に入ってきたと言われています。

実の90%以上が水分で、ナトリウムの排出を促すカリウムを豊富に含んでいるのが特徴です。

当時はとても貴重な野菜で、一般庶民は食べることができませんでした。英語では「eggplant」と表記されますが、これはインドやアメリカで流通している「ホワイトベル」という卵の殻のように真っ白ななすからきています。

トマトやきゅうりと並ぶ夏野菜として知られているように、旬は6〜9月です。しかし、秋(初秋〜9月頃)に収穫されるなすは身がしまり、食感が良く味がしっかりしている傾向があります。

秋なすのおいしさを表現する言葉として、「秋なすは嫁に食わすな」という言い回しがあるほどです。

なすの品種・種類

なすの品種について解説します。

中長なす

中長なすは、もっとも流通している品種です。長さは12〜15cm、重さは70〜110gほどで、「長卵形(ちょうらんけい)なす」とも呼ばれます。

皮と果肉が柔らかく、水分も適度に含んでいて調理に使いやすいのが特徴です。

長なす

長なすは、大きさ20~30cmほどの品種です。特に大きいサイズのものは「大長なす」と呼ばれています。

全国で栽培されていますが、特に九州地方で多く収穫されます。柔らかい果肉が特徴です。

小なす

小なすは、大きさが3~8cmほどの小ぶりななすです。まん丸のものや、卵形のものがありります。

主に漬物用として栽培されている品種です。

米なす

米なすは、アメリカやヨーロッパの品種を、栽培しやすいように日本国内で改良したなすです。

一般的ななすとの違いは、ヘタの色。一般的ななすはヘタが濃い紫色なのに対し、米なすは緑色をしています。

果皮と果肉がしっかりしていて、煮崩れを起こしにくいなすです。

水なす

水なすは、長卵形や卵形をしていて、比較的小さめな品種です。

皮と果肉が柔らかく、水分が多いのが特徴。一般的ななすに比べてアクが少なく、生食に向いています。

白なす

白なすは名前の通り、果皮が真っ白ななすです。一般的ななすの皮が紫色をしているのは「ナスニン」というアントシアニン系色素によるものですが、白なすにはそれが含まれていません。

eggplantという英語表記の由来となっている「ホワイトベル」や、新潟県で長年栽培されている「越後白なす」が有名です。

なすに含まれる成分・栄養素

なす100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

日本食品標準成分表2015年版(七訂)に記載がある食品の中から、なすの生・ゆで・油炒め・天ぷら・漬物などのバリエーションに加え、米なすの素揚げなどの成分表を並記しています。

食品名単位なす 生なす ゆでなす 油いためなす 天ぷら米なす 生米なす 素揚げなす塩漬なすぬかみそ漬なすこうじ漬なすからし漬なすしば漬
廃 棄 率%10000303500000
エネルギー(kcal)kcal/100 g2219791802218323277911830
エネルギー(kJ)kJ/100 g92793317549276596113331494126
水 分g/100 g93.29485.871.99374.890.488.769.161.286.4
たんぱく質g/100 g1.111.51.61.111.41.75.52.61.4
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g0.7-0.7-1-1.1-0.9-0.8-0.9----
脂 質g/100 g0.10.15.8140.1170.10.10.10.20.2
トリアシルグリセロール当量g/100 gTr(Tr)-5.513.1(Tr)-16.5(Tr)----
飽和脂肪酸g/100 g0.03-0.03-0.430.97-0.03-1.22-0.03----
一価不飽和脂肪酸g/100 gTr(Tr)-3.398.13(Tr)-10.16(Tr)----
多価不飽和脂肪酸g/100 gTr(Tr)-1.483.39(Tr)-4.42(Tr)----
コレステロールmg/100 g1Tr(Tr)10000000
炭水化物g/100 g5.14.56.3125.36.75.26.118.230.77
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g2.6-2.3-3.210.4-2.7-3.2-----
水溶性食物繊維g/100 g0.30.70.90.70.30.70.50.60.810.6
不溶性食物繊維g/100 g1.91.41.81.32.11.12.22.13.43.23.8
食物繊維総量g/100 g2.22.12.61.92.41.82.72.74.24.24.4
灰 分g/100 g0.50.40.60.50.50.52.93.47.15.34.9
ナトリウムmg/100 gTr1Tr2111880990260019001600
カリウムmg/100 g2201802902002202202604302107250
カルシウムmg/100 g1820223110101821657130
マグネシウムmg/100 g1716211414141833223616
リンmg/100 g3027404126263344655527
mg/100 g0.30.30.40.20.40.40.60.51.41.51.7
亜鉛mg/100 g0.20.20.20.20.20.20.20.20.40.40.2
mg/100 g0.060.050.070.070.080.090.090.090.170.130.12
マンガンmg/100 g0.160.150.20.160.130.130.180.190.40.320.29
ヨウ素µg/100 g0----------
セレンµg/100 g0----------
クロムµg/100 g0----------
モリブデンµg/100 g10--7-------
レチノールµg/100 g000-0000000
α-カロテンµg/100 g001Tr0000008
β-カロテンµg/100 g1009819011045204426576570
β-クリプトキサンチンµg/100 g11330000005
β-カロテン当量µg/100 g1009819011045204426576580
レチノール活性当量µg/100 g881694242Tr648
ビタミンDµg/100 g000-0000000
α-トコフェロールmg/100 g0.30.31.42.60.32.50.30.30.50.20.7
β-トコフェロールmg/100 g000000.200TrTrTr
γ-トコフェロールmg/100 g001.85.507.500000.1
δ-トコフェロールmg/100 g000.10.101.500000
ビタミンKµg/100 g101011229311012272472
ビタミンB1mg/100 g0.050.040.060.050.040.050.030.10.030.060
ビタミンB2mg/100 g0.050.040.070.070.040.040.040.040.050.040.02
ナイアシンmg/100 g0.50.40.70.60.60.60.410.30.60.1
ビタミンB6mg/100 g0.050.030.060.040.060.050.070.150.030.090.03
ビタミンB12µg/100 g0000000Tr000
葉酸µg/100 g32223628191232439189
パントテン酸mg/100 g0.330.290.40.160.30.30.410.670.130.080.13
ビオチンµg/100 g2.3--2.3-------
ビタミンCmg/100 g412262780870
食塩相当量g/100 g0000.1002.22.56.64.84.1
アルコールg/100 g-----------
硝酸イオンg/100 gTrTrTrTrTr0(Tr)(Tr)(Tr)00.1
テオブロミンg/100 g-----------
カフェインg/100 g-----------
タンニンg/100 g-----------
ポリフェノールg/100 g-----------
酢酸g/100 g-----------
調理油g/100 g--5.6--16.9-----
有機酸g/100 g0.4----------
重量変化率%-1007679-938284---
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

なすの効果・効能

なすに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

ナスニン:アンチエイジング効果・眼精疲労の緩和

なすの皮に多く含まれるポリフェノールの一種で、アントシアニン系色素の「ナスニン」。抗酸化作用があり、活性酸素の発生を抑制して細胞の老化を防止したり、がんや動脈硬化・高血圧といった生活習慣病の発症を予防したりします。

また、ナスニンにはブルーベリーと同様に眼精疲労をやわらげる効果もあります。

カリウム:むくみ予防・夏バテ解消

なすには100gあたり220mgのカリウムが含まれています。

カリウムは、体内にある過剰な水分(ナトリウム)を排出し、体液のバランスを整える働きがあります。カリウムを摂取することでむくみの予防や、熱を体外に逃がすして夏バテ解消効果も期待できます。

食物繊維:腸内環境の改善・便秘解消

なすには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方が含まれています。

水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌のエサになることで善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。不溶性食物繊維は、便のかさを増やすことで腸のぜん動運動を促し、便秘解消などに効果を発揮します。

なすの調理方法

なすの栄養素を損なわない洗い方や調理方法を解説します。

なすの下ごしらえ

なすにはアクがあるため、水洗いして切ったらすぐにボウルにはった水に浸します。

切ったなすをお皿やバットに並べ、断面に塩をかけて少し待ち、キッチンペーパーなどで水気と一緒に拭き取る方法もあります。

なすのおすすめ調理方法

アントシアニン系色素であるナスニンをはじめ、一部の栄養素は皮に多く含まれています。

そのため、皮を捨てずに一緒に調理することで、栄養を逃さず効率的に摂取することが可能です。

またナスニンは水溶性ビタミンの一種でもあり、切り口を油でコーティングすることで、成分の流出を防ぐことができます。この性質を活かして、野菜炒めや天ぷらなど、油を使って調理するのが良いでしょう。

なすを食べる際の注意点

なすにはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは体内の過剰な水分を排出する働きや、体の熱を逃がす働きがありますが、体を冷やしてはいけない妊婦などは、食べすぎには注意が必要です。

「秋茄子は嫁に食わすな」という言葉には、カリウムを豊富に含むなすをあまり食べさせ過ぎてはいけない、という嫁を大切に思う意味も含まれているといいます。

なすの保存方法

なすの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

なすは寒さや乾燥に弱く、温度8~12℃、湿度90~95%の環境で保存するのが好ましいとされています。

冷蔵保存する場合は、なすを1本1本ラップで包み、保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れます。この時、なすの表面に水気が付いている際は丁寧に拭き取ってください。冷蔵保存での保存期間は約10日です。

冷凍で保存する場合は、輪切りや乱切りなどにカットし、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫に入れます。冷凍保存の保存期間は約1ヶ月です。

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