さんまの栄養と効果効能・調理法・保存法

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pacific saury

さんまの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、さんまに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

さんまとは

さんま(pacific saury)は、ダツ目サンマ科に分類される全長35~40cmの回遊魚です。北太平洋に多く生息しています。日本近海でも多く漁獲され、江戸時代から日本の食卓で親しまれてきました。

さんまの旬は、9月~10月。旬の時期に獲れる脂のりの良いさんまの塩焼きは、秋の味覚の代表格です。漢字で「秋刀魚」と表記するのは、秋に獲れる刀のような細長い魚という意味から名付けられたとされています。

新鮮なさんまは、下あごの先端が黄色をしています。目が濁っておらず澄んでいるものや、体全体に光沢があるものも鮮度の良いさんまです。

さんまは、塩焼きだけでなく、刺身・寿司・煮物・干物・酢漬け・缶詰など、あらゆる料理や加工食品に利用されています。

日本で主に食べられているのは、北太平洋で漁獲されるさんまです。さんまの仲間には、ハシナガサンマ・ニシサンマ・太平洋ミニサンマ・太西洋ミニサンマなどの種類があります。

さんまに含まれる成分・栄養素

さんま100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食 品 名単位さんま 皮つき 生さんま 皮なし 生さんま 皮つき 焼きさんま 開き干しさんま みりん干しさんま 缶詰 味付けさんま 缶詰 かば焼
廃 棄 率%0035301500
エネルギーkJ11931151117196815981081916
kcal287277281232382259219
水 分g55.65753.259.725.153.957
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g16.315.719.3-17.2
たんぱく質g18.117.823.319.323.918.917.4
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g22.721.719.815.820.317.211.7
コレステロールmg68547280989880
脂質g25.62522.81925.818.913
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-0.1-0.2-0.2-0.1
g
利用可能炭水化物(質量計)g-0.1-0.1-0.2-0.1
差引き法による利用可能炭水化物g4.44.76.55.525.97.311
*******
食物繊維総量g0000000
糖アルコールg
炭水化物g0.10.20.20.120.45.69.7
有機酸g
灰分g10.81.21.94.82.72.9
無機質ナトリウムmg1401201305001400540600
カリウムmg200200260260370160250
カルシウムmg28153760120280250
マグネシウムmg28253028503737
リンmg180160220140250350260
mg1.41.31.71.12.21.92.9
亜鉛mg0.80.60.90.71.31.10.1
mg0.120.130.150.120.220.160.14
マンガンmg0.020.010.030.020.070.080.09
ヨウ素μg223025
セレンμg322545
クロムμg2Tr1
モリブデンμg11
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg16261125312528
α|カロテンμg0000000
β|カロテンμg0000000
β|クリプトキサンチンμg0000000
β|カロテン当量μg0000000
レチノール活性当量μg16261125312528
ビタミンDμg16111314201312
α-トコフェロールmg1.72.611.50.52.82.4
β-トコフェロールmg0000000
γ-トコフェロールmg0Tr000.100
δ-トコフェロールmg0000000
ビタミンKμg1Tr0000
ビタミンB1mg0.010TrTrTrTrTr
ビタミンB2mg0.280.320.30.30.30.20.27
ナイアシンmg7.47.99.8433.56.2
ナイアシン当量mg111114-8-7.9-7.4-9.8
ビタミンB6mg0.540.580.420.540.350.30.28
ビタミンB12μg16151610111212
葉 酸μg15121710142912
パントテン酸mg0.740.570.930.841.340.550.55
ビ オ チ ンμg7.48.49.4
ビタミンCmg0100000
アルコールg
食塩相当量g0.40.30.31.33.61.41.5
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

さんまの効果・効能

さんまに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

記憶・学習など脳の機能を高めるDHA(ドコサヘキサエン酸)

さんまの脂には、多価不飽和脂肪酸の一種であるオメガ3脂肪酸が豊富です。

オメガ3脂肪酸に含まれるDHAは、記憶・学習機能をつかさどる「海馬」に多く存在し、脳の神経細胞の情報伝達に関わる成分です。記憶力・言語力など脳の認知機能を助け、アルツハイマー型認知症予防や子供の学力向上への効果も期待されています。

「魚を食べると頭が良くなる」と言われるのは、さんまをはじめとする魚の脂にDHAが豊富なためです。

DHAには脳に関係する作用のほか、脂肪燃焼の促進・免疫の調整・血管壁の収縮といった機能もあり、生活習慣病の予防にも効果的です。

血液サラサラ効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)

さんまに豊富なEPAは、血管・血液の健康に関わるオメガ3脂肪酸の一種です。血液をサラサラにして血管を健康に保つ働きがあり、血栓症・動脈硬化・高血圧・脂質異常症・心筋梗塞・脳卒中といった疾患を予防します。

健康診断で高血圧や中性脂肪値の高さを指摘された方は、積極的にEPAを含む食品を摂取するようにしましょう。

DHAやEPAは、主に魚の脂に含まれており、脂ののった旬の時期のさんまから多く摂ることができます。DHA・EPAは調理時に流出しやすいため、生のまま刺身や寿司で食べるか、煮物やスープを汁ごと食べると余さず摂取できるでしょう。

オメガ3の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

鉄で貧血予防

さんまは、貧血気味の人や、通常時より多くの鉄の摂取が推奨される妊娠中・授乳中の女性にとって嬉しい効果のある食材です。

さんまに豊富な鉄は、人の体にとって大切な必須ミネラルの一種です。鉄が不足すると鉄欠乏性貧血を発症し、動悸・めまい・頭痛・食欲不振などの症状が生じます。

鉄は、さんまの血合い部分に特に多く含まれるため、血合いも残さずに食べるようにしましょう。また、さんまを丸ごと加工した缶詰からも鉄を効率的に摂取することができます。

鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カルシウムで丈夫な骨・歯を維持

さんまにはカルシウムが豊富に含まれています。

骨・歯の主成分であるカルシウムは、人体に最も多く含まれるミネラルです。カルシウムが不足すると骨が脆くなり、骨折・骨粗しょう症のリスクが高まります。

骨格が大きく発達する成長期の子供や、女性ホルモンの影響で骨粗しょう症になりやすくなる閉経後の女性にとって、カルシウムは特に大切な栄養素と言えるでしょう。

さんまを骨ごと食べられる缶詰からは、より多くのカルシウムを摂ることができます。また、圧力鍋を使えば骨まで食べられるほど柔らかく煮込むことができ、カルシウムを効率よく摂取できます。

また、さんまには小腸からのカルシウム吸収を促進するビタミンDが豊富なのもポイントです。

カルシウムの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

眼の疲れを和らげるビタミンA

さんまに豊富なビタミンA(レチノール)は、皮膚や粘膜の機能をサポートしている栄養素です。視覚機能とも関係しており、眼精疲労・夜盲症・視力低下など眼のトラブルにも良い影響があります。

ビタミンAは、さんまの内臓(わた)に豊富です。下処理の段階で取り除くことも多い内臓ですが、新鮮なさんまの内臓には苦味が少なく、焼き魚や煮物にすれば内臓ごと美味しく食べられます。

ビタミンAを多く摂取するには、さんまの缶詰もおすすめです。

ビタミンAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA

悪性貧血の予防に効果的なビタミンB12

さんまにはビタミンB群の栄養素が豊富で、なかでもビタミンB12を多く含んでいます。

ビタミンB12は、赤血球に存在するヘモグロビンの生成を助け、葉酸と共に巨赤芽球性貧血という悪性貧血を予防する栄養素です。

ビタミンB12は水にやや溶けやすい性質を持っており、調理するときに流出してしまうことがあります。さんまから効率的にビタミンB12を摂るには、刺身や寿司として生のまま食べるのがベストです。

ビタミンB12の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA

妊娠中・授乳中に摂っておきたい葉酸

さんまに多く含まれる葉酸は、ビタミンB群に分類されるビタミンの一種で、胎児の健康な発育を助ける機能があります。妊娠を考えている女性や、妊娠中・授乳中は積極的に摂りたい栄養素のひとつです。

また、葉酸とビタミンB12が欠乏すると、巨赤芽球性貧血が引き起こされることがあります。葉酸・ビタミンB12のどちらも含むさんまは、貧血になりやすい方や妊婦にも嬉しい食材です。

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

さんまの食べ方

さんまの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

さんまの三枚おろしの手順

塩焼きとしてそのまま食べることも多いさんまですが、刺身やフライ、マリネに利用するときは三枚おろしが便利です。

さんまの三枚おろしの手順は次の通りです。

①胸びれの後ろに包丁を入れて頭を落とす
②腹から肛門まで包丁で切り込みを入れる
③内臓をかき出す
④水で血や残った内臓を洗い流す
⑤腹の切り目から尾のつけ根まで、中骨に沿わせるように包丁を進めて身を切り離す
⑥さんまの向きを逆にし、尾から頭へ包丁を入れて下身を切り離す
⑦3枚におろしたさんまの身に包丁の刃を寝かせて当て、腹骨を取り除く

さんまは内臓も食べられる

さんまは、胃を持たない無胃魚であり、他の魚類と比べて内臓の苦味が少ないのが特徴です。そのため、新鮮なさんまの内臓であれば、加熱調理すれば問題なく食べられます。

さんまの内臓はビタミンAやビタミンDが豊富なため、なるべく捨てずに食べるようにしましょう。

大根おろしと食べ合わせて胃もたれを予防

さんまの塩焼きに添えられる大根おろしは、味だけでなく栄養価の相性も良い食材です。

大根には、アミラーゼやジアスターゼなどの消化酵素が多く含まれています。脂が多くのったさんまを食べるときの胃腸への負担を和らげ、胃もたれを予防する効果が期待できます。

また、大根に含まれるビタミンCには酸化防止作用があるのもポイント。さんまに含まれる不飽和脂肪酸は酸化しやすく、ビタミンCが豊富な大根と食べ合わせることで、成分の変質を防ぐことができます。

大根おろしと一緒に添えられることの多い、すだちやレモンなどの柑橘類にもビタミンCが多く含まれており、同様の効果が見込めます。

さんまは魚類の中では脂質が多くカロリーが高い

ヘルシーなイメージのある魚類ですが、さんま(皮つき生)は100gあたり1193kcalと、さばやかつおなどと比べてカロリーが高めです。

脂乗りが良いさんまは脂質も多いため、ダイエット中に食べ過ぎないように気を付けましょう。脂質量が気になるときは、魚焼きグリルや七輪でしっかりと焼き、脂を落としてから食べるのがおすすめです。

脂質を多く含む一方で、さんまには中性脂肪を減らす効果のあるオメガ3脂肪酸や、脂質の代謝に関わるビタミンB群も含まれています。適量を食べる分には、むしろダイエットの効率を高める効果も期待できるでしょう。

みりん干し・蒲焼きは糖質量に注意

さんま自体に糖質(炭水化物)はそれほど含まれていません。ただし、みりん・蒲焼きのタレなど、糖質の多い調味料で味付けされた加工食品は、糖質量が非常に多いことがあるため注意してください。

ダイエットや糖質制限をしている方は、刺身や塩焼きなど甘い調味料を使わないレシピが安心です。

さんまの保存方法

さんまの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

一度水洗いしてから冷蔵保存する

新鮮な生さんまを1~2日以内に食べる場合は、冷蔵庫のチルド室で保存できます。さんまをパックや袋から取り出したら、表面に付着した雑菌を取り除くため、一度冷たい水で洗い流しましょう。

水洗いしたさんまは、水気をしっかりふき取ってからラップに包んで冷蔵庫に入れてください。

冷凍保存は内臓を除去しなくてもOK

さんまを長期間保存したい場合、冷凍保存することもできます。内臓を取り除いた部分が変色する可能性もあるため、さんまを凍らせるときには内臓は取り除かず、そのまま冷凍するのがおすすめです。

冷凍したさんまは、数時間かけて冷蔵庫で解凍してから加熱調理してください。煮物にする場合、半解凍の状態のまま煮込むと煮崩れしにくくなります。冷凍保存できる期間はおよそ1ヶ月が目安です。

参考文献