三つ葉の栄養と効果効能・調理法・保存法

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Japanese parsley

三つ葉の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、三つ葉に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

三つ葉とは

三つ葉は、セリ科ミツバ属の植物で、葉・茎・根を食用とします。独特の香りがあり、香草として料理のアクセントに用いられる野菜です。1本の茎に3枚ずつ葉が付くことから三つ葉という名が付きました。

三つ葉の原産地は、日本をはじめとする中国・朝鮮半島・サハリンなどの東アジアです。日本の山地に自生している三つ葉は、春の山菜として親しまれています。野生の三つ葉は、ハウス栽培されたものと比較して香りが強く、サイズも大きめです。

三つ葉特有の香りには、食欲増進効果があると言われています。和食には欠かせない香味野菜であり、茶碗蒸しや、お吸い物・赤出汁といった汁もののトッピングとして定番です。たまごとの相性も良く、だし巻きたまごやかつ丼の具材にも用いられます。

三つ葉の品種・種類

三つ葉は、3種類に分類することができます。一般的に流通しているのは「糸三つ葉」で、栽培方法の異なる「切り三つ葉」「根三つ葉」があります。それぞれの特徴は次の通りです。

糸三つ葉

糸三つ葉は、最もポピュラーな三つ葉です。ハウスで水耕栽培され、根にスポンジが付いたまま販売されています。葉や茎が濃い緑色をしているため、青三つ葉と呼ぶこともあります。

葉がやや小さめで、葉・茎ともに柔らかいのが特徴です。香りが良く、主に料理に香りを付ける香味野菜として使われます。ハウス栽培のため、年間を通じて手に入れやすい種類です。

抗酸化作用のあるβ-カロテンや、骨粗しょう症の予防に効果的なビタミンKを三つ葉の中で最も多く含んでいます。

切り三つ葉

切り三つ葉は、根が切り取られ、茎と葉を束ねた状態で販売される三つ葉です。根元を日に当てないようにして軟白栽培するため、糸三つ葉と比較して茎が白く太いのが特徴です。その見た目から、白三つ葉とも呼ばれます。

正月料理にも使われる三つ葉で、11月~1月ごろにかけて多く出回ります。全体的に色が白っぽい切り三つ葉には、色素成分であるβ-カロテンがあまり含まれていません

根三つ葉

根三つ葉は、根付きのまま販売される三つ葉です。切り三つ葉と同様に軟白栽培される種類で、茎と葉は太く歯ごたえを楽しめます。根三つ葉の旬は春で、12月~4月に流通します。

ごぼうのように根まで食べられるのが特徴です。茎とともにお浸し・和え物など食感を楽しむ料理にしたり、鍋物の具材にしたりすることができます。

骨の健康維持に欠かせないカルシウムや、アンチエイジングに効果的なビタミンCが豊富です。

三つ葉に含まれる成分・栄養素

三つ葉100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食 品 名単位切りみつば 葉 生切りみつば 葉 ゆで根みつば 葉 生根みつば 葉 ゆで糸みつば 葉 生糸みつば 葉 ゆで
廃 棄 率%0035080
エネルギーkJ665180794860
kcal161219191214
水 分g93.895.292.792.994.693.7
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g-0.9-0.8-1.8-2.1-0.8-1
たんぱく質g10.91.92.30.91.1
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g------
コレステロールmg000000
脂質g0.10.10.10.10.10
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g------
g
利用可能炭水化物(質量計)g------
差引き法による利用可能炭水化物g1.60.71.30.80.71.1
******
食物繊維総量g2.52.72.93.32.33
糖アルコールg------
炭水化物g43.34.13.92.94
有機酸g------
灰分g1.10.51.20.81.20.9
無機質ナトリウムmg845433
カリウムmg640290500270500360
カルシウムmg252452644756
マグネシウムmg171321182118
リンmg503164544739
mg0.30.21.81.20.90.6
亜鉛mg0.10.10.20.20.10.1
mg0.070.050.070.070.020.02
マンガンmg0.140.150.420.350.420.48
ヨウ素μg3-----
セレンμg1-----
クロムμgTr-----
モリブデンμg3-----
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg000000
α|カロテンμg112424234854
β|カロテンμg7207701700200032004000
β|クリプトキサンチンμg3019204147
β|カロテン当量μg7307801700210032004100
レチノール活性当量μg6165140170270340
ビタミンDμg000000
α-トコフェロールmg0.70.91.11.40.91.3
β-トコフェロールmgTrTr00Tr0
γ-トコフェロールmgTr00000
δ-トコフェロールmg000000
ビタミンKμg6377120150220250
ビタミンB1mg0.030.020.050.030.040.02
ビタミンB2mg0.090.040.130.050.140.08
ナイアシンmg0.40.210.40.70.4
ナイアシン当量mg-0.6-0.4-1.4-0.9-0.9-0.7
ビタミンB6mg0.040.010.060.040.060.03
ビタミンB12μg000000
葉 酸μg441466436423
パントテン酸mg0.290.150.330.270.30.22
ビ オ チ ンμg1.9-----
ビタミンCmg812212134
アルコールg------
食塩相当量g000000
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

三つ葉の効果・効能

三つ葉に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

食欲増進効果のある香り成分のクリプトテネン・ミツバエン

三つ葉特有の香りは、クリプトテネンやミツバエンといった成分によるものです。これらの成分が発する香りには、食欲増進や精神を安定させる効果が期待できます。夏バテなどで食欲が出ないときは、いつもの食事に三つ葉を取り入れてみてください。

なお、国内の研究によると、三つ葉の香り成分は、土耕栽培のもののほうが水耕栽培で育てられた三つ葉より強いことがわかっています。最も一般的な糸三つ葉は水耕栽培で、切り三つ葉や根三つ葉は土耕栽培です。

より香りの強い三つ葉を選びたい場合は、切り三つ葉や根三つ葉を選ぶと良いでしょう。

がん・生活習慣病予防に効果的なβ-カロテン

三つ葉は、β-カロテンを一定の基準量以上含む緑黄色野菜です。β-カロテンは、植物に含まれる天然の色素成分で、強い抗酸化作用やプロビタミンAとしての作用を持っています。

抗酸化作用とは、がんや生活習慣病の原因となる活性酸素による酸化を抑える働きのことです。三つ葉から抽出された成分に、セリ科植物の中でもトップクラスのがん抑制効果が期待できる抗炎症作用があることも研究で発見されています。

活性酸素は、老化を進行させる要因でもあります。β-カロテンはエイジングケアにも有効な栄養素と言えるでしょう。

さらに、β-カロテンは、体内で必要な量だけビタミンAに変わって同様の働きをするプロビタミンAでもあります。ビタミンAは、皮膚・粘膜の健康維持や、夜盲症・眼精疲労の予防に効果が期待できるビタミンです。

β-カロテンを最も多く含むのは糸三つ葉で、軟白栽培される切り三つ葉の約5倍もの量を含んでいます。

β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンKで骨の健康を守る

ビタミンKは、血液凝固に関わるビタミンで、骨や歯の健康維持にも重要な役割を果たしています。骨に存在するたんぱく質を活性化し、カルシウムが骨に沈着するのを促す作用があり、骨粗しょう症の治療薬にも用いられる成分です。

ビタミンKは、骨が発達する成長期の子どもや、女性ホルモンが変動する影響で骨粗しょう症になりやすい閉経後の女性にとって大切な栄養素と言えるでしょう。

ビタミンKが最も豊富なのは糸三つ葉です。根三つ葉は糸三つ葉の約半分、切り三つ葉は糸三つ葉の約3分の1程度しかビタミンKが含まれていません。

三つ葉は、骨と歯の主成分であるカルシウムも含む野菜です。カルシウムを最も多く含むのは根三つ葉です。

美肌効果が期待できるビタミンC

ビタミンCには強い抗酸化作用があり、アンチエイジングや美容効果をはじめ、免疫機能の維持や壊血病の予防など多くの効能を持っています。人体にとって有益なビタミンCですが、人間の体内で生成できないため食事やサプリメントから摂取する必要があります。

ビタミンCにはコラーゲンの生成を促す働きがあり、肌のハリや血管の健康を維持する効果が期待できます。シミやそばかすを引き起こすメラニン色素を抑制する機能もあるため、紫外線が気になる春~夏にも大切になる栄養素です。

三つ葉は、ビタミンCが豊富な野菜です。種類別にみると、根三つ葉・糸三つ葉・切り三つ葉の順にビタミンCを多く含んでいます。より効率的にビタミンCを摂取したいときは、根三つ葉を選ぶようにしましょう。

ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

カリウムで高血圧・むくみを解消

三つ葉には、必須ミネラルの一種であるカリウムも多く含まれています。カリウムには、細胞内液の浸透圧を調整する働きや、神経や筋肉が正常に機能するのをサポートする役割があります。

余分なナトリウムを体外に排出する作用があるため、摂りすぎた塩分を調節するのにも大切な栄養素です。塩分の多い食生活が原因で引き起こされる、高血圧やむくみの解消に役立ちます。

カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

三つ葉の食べ方

三つ葉の栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

β-カロテン・ビタミンKは油を使うと吸収効率アップ

三つ葉に含まれるβ-カロテンやビタミンKは、脂溶性の栄養素です。サラダ油・ごま油といったオイルや、肉や魚に含まれる脂と共に摂取すると吸収されやすくなります。

三つ葉の栄養素を効率的に摂りたいときは、かつ丼など脂の多い料理のトッピングに使用したり、お浸しにする場合はごま油をかけたりするのがおすすめです。

なお、三つ葉の中で最もβ-カロテンとビタミンKが豊富なのは糸三つ葉です。

三つ葉は妊婦もうれしい食材

三つ葉は、妊娠中や授乳中でも問題なく食べられる野菜です。妊娠中にうれしい栄養素も多く含まれています。

妊娠高血圧症候群やむくみを予防するには、塩分の摂取量に気を付ける必要がありますが、三つ葉にはナトリウムの排出を助けるカリウムが豊富です。

また、胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを低減する葉酸や、貧血を予防する鉄や亜鉛も含まれています。これらの栄養素は、妊娠中・授乳中には通常時より多くの摂取が推奨されているものです。

体調不良やつわりなどで食欲が出ないときに、香りの良い三つ葉を添えて料理の味に変化をもたせることもできます。

三つ葉の保存方法

三つ葉の栄養素を損なわない保存方法を解説します。

糸三つ葉・根三つ葉は水に挿して常温保存できる

糸三つ葉と根三つ葉は、根っこが付いたままの状態で、水をはったコップなどの容器に入れて常温保存できます。使用するときは、使いたい量だけキッチンバサミで切り取ってください。

容器の水は、毎日替えると清潔で新鮮な状態を長く維持でき、1週間程度は保存できます。気温が高い時期は特に水が腐りやすいため、注意してください。

冷蔵保存するときは乾燥に気を付ける

三つ葉を冷蔵庫で保存するときは、葉や茎が乾燥して傷まないように気を付けましょう。

乾燥を予防するには、適当な大きさにカットした三つ葉を水をはったボウルに入れて冷蔵するか、水で湿らせたキッチンペーパーで根元を包んでおくと良いでしょう。冷蔵保存では、1週間程度日持ちします。

生のまま・加熱しても冷凍保存できる

三つ葉を1週間以上保存したいときは、冷凍するのがおすすめです。三つ葉は、生のままでも火を通してからでも冷凍できます。

生の三つ葉を冷凍する場合、使いやすい大きさに切ってから冷凍保存用袋に入れて凍らせてください。

茹でる・電子レンジなどで加熱調理した三つ葉は、氷水で冷やして色止めしてから冷凍します。水気をよく切り、ラップで少量ずつ包んでから凍らせると三つ葉同士がくっつかず、料理に使うときに便利です。

冷凍保存の期間は、1ヶ月を目安としましょう。生・加熱調理したもの共に、凍ったまま調理に使用すると食感を損なわず、おいしく食べられます。

参考文献

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