ヘンプシードの栄養と効果効能・調理法・保存法

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ヘンプシードの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、よく似た野菜との栄養価の違い、含む栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ヘンプシードとは

ヘンプ(hemp)とは、日本に古くから根付いているアサ科の植物であり、麻(大麻)のこと。その実をヘンプシード(麻の実)と呼びます。

タンパク質や鉄、マグネシウム、亜鉛、必須脂肪酸、不溶性食物繊維などの栄養が豊富に含まれており、宇宙食として採用されるほどのスーパーフードです。

ヘンプシードは食品や食用油として使われるほか、化粧品や油性塗料にも使われています。

その他に、茎は繊維質を活かして紙・建材・ロープ・糸などに、根は肥料に、葉は飼料に、とさまざまな用途に用いられ、古代から3,000年近くにわたって人類の暮らしを支えてきました。

日本では「八穀」の1つとして縄文時代から食べられ、また蕎麦などにかける七味唐辛子の一味としても使われています。

原産地は中央アジアとされており、日本では麻の栽培が規制されているため、国内で手に入るほとんどのものは海外から輸入したものです。

ヘンプシードに含まれる成分・栄養素

ヘンプシード100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位ヘンプシード(麻の実・乾燥)
エネルギー(kcal)kcal/100 g470
水 分g/100 g4.6
たんぱく質g/100 g29.9
脂 質g/100 g28.3
飽和脂肪酸g/100 g2.95
一価不飽和脂肪酸g/100 g3.5
多価不飽和脂肪酸g/100 g19.62
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g31.7
水溶性食物繊維g/100 g1.2
不溶性食物繊維g/100 g21.8
食物繊維総量g/100 g23
ナトリウムmg/100 g2
カリウムmg/100 g340
カルシウムmg/100 g130
マグネシウムmg/100 g400
リンmg/100 g1100
mg/100 g13.3
亜鉛mg/100 g6.1
mg/100 g1.32
マンガンmg/100 g9.97
ヨウ素µg/100 g0
セレンµg/100 g4
クロムµg/100 g9
モリブデンµg/100 g45
β-カロテン当量µg/100 g25
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g1.8
β-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g0.1
γ-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g22
δ-トコフェロール(ビタミンE)mg/100 g1.1
ビタミンKµg/100 g51
ビタミンB1mg/100 g0.35
ビタミンB2mg/100 g0.19
ナイアシンmg/100 g2.3
ナイアシン当量mg/100 g8.1
ビタミンB6mg/100 g0.4
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g82
パントテン酸mg/100 g0.57
ビオチンµg/100 g27.7
ビタミンCmg/100 gTr
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ヘンプシードの効果・効能

ヘンプシードに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

アミノ酸:内蔵や皮膚など体の組織をつくる

筋肉や臓器、血液、骨、髪など、人間の体の機能を健康な状態に維持するタンパク質は、アミノ酸を材料としています。

アミノ酸には、体内で合成できる「非必須アミノ酸」と、食べ物でのみ摂取することのできる「必須アミノ酸」の2種がありますが、ヘンプシードはこの両方を豊富に含んでいます。

特に必須アミノ酸に至っては9種すべてを含有しており、それぞれ次の効果があります。

  • スレオニン:脂肪肝の予防と成長促進
  • バリン:筋肉強化と肝機能の改善
  • メチオニン:抗うつ効果
  • イソロイシン:筋肉強化や肝機能・神経機能向上
  • ロイシン:肝機能向上
  • フェニルアラニン:鎮静作用と抗うつ効果
  • トリプトファン:精神安定や鎮痛・睡眠効果
  • リジン:体の組織修復
  • ヒスチジン:食欲調節と脂肪燃焼などのダイエット効果

必須脂肪酸:アレルギー症状の緩和や血流改善に効果的

ヘンプシードに含まれる油分のうち、80%が必須脂肪酸です。特に「リノール酸(オメガ6)」と「α-リノレン酸(オメガ3)」が豊富に含まれています。

さらにリノール酸とα-リノレン酸の割合が、WHO(世界保健機関)や厚生労働省が推奨する割合に非常に近く、理想的なバランスで含まれている点も特徴です。

リノール酸(オメガ6)は、アレルギー症状の緩和、コレステロール値の低下、がんや糖尿病を含む生活習慣病の予防・改善といった効果があり、α-リノレン酸(オメガ3)は、血流改善、血栓予防、アレルギー抑制、老化予防、うつ症状の軽減といった効果が期待できます。

不溶性食物繊維:便秘を解消・腸内環境を整える

ヘンプシードには、さつまいもの約7倍もの不溶性食物繊維が含まれています。

不溶性食物繊維は、便のかさを増やして腸の働きを刺激し、便秘解消を助けます。また、大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌など善玉菌が増えて腸内環境が良くなります。

整腸効果によって、便秘の予防や解消だけでなく、大腸がんなど病気の抑制にも効果が期待できます。

ヘンプシードの副作用

特に体に有害な副作用は確認されていませんが、不溶性食物繊維を豊富に含んでいるため、食べ過ぎるとお腹がゆるくなったり、下痢になったりといった可能性があります。

ヘンプシードの食べ方

ヘンプシードは主に、「パウダー(粉末)」「オイル」「ナッツ」の3種類に加工されて販売されています。

ヘンプシードパウダー(粉末)

オイルを抽出した後のヘンプシードを、殻ごと粉砕し、粉末状にしたもの。スムージーに混ぜたり、クッキーなどの生地に混ぜたりといった方法で食べます。

ヘンプシードオイル

多くのヘンプシードオイルは、コールドプレス(低温圧搾)によって抽出されます。

人間の体に必要な必須脂肪酸を約80%含んでおり、特筆すべきは、前述の通りリノール酸とα-リノレン酸が理想的なバランスで含まれていることです。

食べ方としては、ドレッシングにしたり、そのままパンにつけたり、冷製スープに混ぜたり、といったものがあります。

ヘンプシードナッツ

ヘンプの殻を取り除いた部分を、ヘンプシードナッツと呼びます。ナッツのような香ばしい風味を楽しむことができます。

生のままで食べられるので、サラダにかけたり、スムージーにに混ぜたり、ヨーグルトにかけたり、おにぎりに混ぜたりと、さまざまな方法で食べることができます。

ヘンプシードを調理する際の注意点

ヘンプシードには不溶性食物繊維が豊富に含まれているため、食べ過ぎると便秘になる可能性があります。

また、40℃以上の熱を加えると、栄養分が損なわれてしまいます。パウダー、オイル、ナッツのいずれも、常温もしくは冷温で摂取するようにしましょう。

ヘンプシードの保存方法

ヘンプシードは光で酸化が進み劣化してしまうため、冷蔵庫で保存します。一度開封したヘンプシードは、2ヶ月を目安に食べるようにしましょう。