グリシンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

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栄養素

グリシンの基本情報、種類、効果・働き、不足・欠乏・過剰摂取による影響、多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。

グリシンとは

グリシン(glycine)とは、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸の1種です。

主にコラーゲンを構成し、皮膚を正常に保つ働きをしています。また、赤血球に含まれるヘモグロビンや胆汁酸などの材料として利用される栄養素です。

アミノ酸は、体内で合成できない必須脂肪酸と合成できる非必須アミノ酸に分類されます。グリシンは、セリンから合成される非必須アミノ酸です。必須アミノ酸とは異なり、食事から摂取しなくても体内で合成されます。

グリシンは、肉類や豆類、チーズに多く含まれる栄養素です。とくに肉類のゼラチンに豊富に含まれます。

グリシンと類似成分の違い

テアニンやトリプトファンは、グリシンと類似した効果をもつ栄養素です。それぞれの違いを解説します。

テアニン

テアニンとは、主に緑茶に含まれる旨味成分の1つです。気持ちをリラックスさせ、睡眠を促す効果も期待されているため、グリシンと同様にサプリメントとしても利用されます。

しかし、テアニンはグリシンとは異なり、身体を構成するアミノ酸ではありません。人間の身体に必要不可欠な栄養素ではない点で、グリシンとは異なります。

トリプトファン

トリプトファンとは、人体に欠かせない必須アミノ酸の1つです。体内でセロトニンやメラトニン、ナイアシンへと変化します。

セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質を調整して、精神安定の効果をもちます。メラトニンは、体内リズムを調節するホルモンです。

トリプトファンは体内調節と抗うつ作用をもつ点で、グリシンと似ている栄養素です。

トリプトファンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

グリシンの効果・働き

グリシンの効果・効能について解説します。

抗うつ作用で気持ちが落ち着く

神経伝達物質の1つであるグリシンは、精神を安定させる抗うつ作用のあることが知られています。グリシンはGABAやセロトニンと同様に、神経の高まりを抑えて不安な気持ちを抑制する神経伝達物質です。

グリシンやGABAは、中枢神経系に存在するNMDA受容体に結合して、抑制性神経伝達を調節します。グリシンが不足すると不安や恐怖を感じやすくなるため、精神安定に欠かせない物質です。

GABAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

セロトニンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

体内リズムを整えて睡眠を促す

グリシンは、睡眠改善にも効果的な栄養素です。

動物にグリシンを経口投与すると、脳内に拡散して体温を調節し、概日リズム(サーカディアンリズム)を調節することが報告されています。概日リズムとは24時間周期の体内時計のことで、このリズムが崩れると睡眠障害が起こります。

グリシンは概日リズムを整えて、自然な眠りを促したいときに効果的です。

クレアチンの材料として筋肉増強に関与

グリシンの働きの1つは、クレアチンの材料になって筋肉増強を促進することです。

クレアチンは、グリシン・アルギニン・メチオニンから肝臓で合成されます。運動パフォーマンスの向上や筋肉量の増加など、主に筋肉に関わります。

筋トレやダイエットに欠かせないだけでなく、睡眠不足状態での活動を活性化する働きもある栄養素です。

クレアチンの効果・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

コラーゲンを作って肌トラブル予防

グリシンはコラーゲンのうち、3分の1を構成するアミノ酸です。

コラーゲンは皮膚の構成成分で、肌に弾力を与える働きをしています。コラーゲンは加齢によって減少し、たるみやしわ、毛穴の開きなどの肌トラブルを起こす原因です。

グリシンの摂取は、加齢で不足するコラーゲンを補って、肌トラブルを予防したり皮膚の健康を維持したりする効果が期待できます。

コラーゲンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・一緒に摂取したい栄養素|NANIWA SUPLI MEDIA

グリシンが不足・欠乏すると起こる症状

一般的な食事を摂っていれば、グリシンは不足・欠乏するリスクが少ないと考えられています。

しかし、食事制限をするダイエットや偏った食生活をすると、グリシンが不足する可能性は否定できません。グリシンが不足すると、睡眠障害や老化の促進が起こります。

グリシンを過剰摂取すると起こる副作用

グリシンは食品に多く含まれているアミノ酸ですが、一般的な食事で過剰摂取は起こりにくいと考えられています。そのため、過剰摂取による副作用は明言されていません。

ただし、動物実験ではグリシンの大量投与により、成長の著しい阻害が報告されています。サプリメントとしてグリシンを摂る際は、容量を守って摂取しましょう。

グリシンを多く含む食品

グリシンの含有量が多い食品をランキング形式で紹介します。

全食品中でグリシンを多く含む食品ランキング

順位食品名成分量100gあたりmg
1肉類/<畜肉類>/ぶた/[その他]/ゼラチン24000
2魚介類/<貝類>/ほたてがい/貝柱/煮干し7700
3魚介類/<いか・たこ類>/(いか類)/加工品/するめ5000
4魚介類/<魚類>/とびうお/焼き干し4300
5魚介類/<魚類>/(たら類)/まだら/干しだら4000
6魚介類/<魚類>/とびうお/煮干し3900
6肉類/<畜肉類>/ぶた/[副生物]/軟骨/ゆで3900
8魚介類/<魚類>/(さば類)/ごまさば/さば節3800
9豆類/だいず/[その他]/大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分無調整タイプ3600
10魚介類/<貝類>/あわび/干し3500
10魚介類/<魚類>/(かつお類)/加工品/削り節3500
出典:食品成分データベース

豚の軟骨やゼラチン、魚介類に多く含まれています。

魚介類のなかでは、ほたて・するめ・タラ・サバなどに多く含有されている栄養素です。ゼラチンや軟骨は大量に摂取するのが難しいため、ランキングに入っている魚介類を中心に摂取するとよいでしょう。

また、ランキングには入っていませんが、グリシンはパルメザン・エダム・チェダーなどのナチュラルチーズにも多く含まれます。

グリシンを多く含む肉類ランキング

順位食品名成分量100gあたりmg
1肉類/<畜肉類>/ぶた/[その他]/ゼラチン24000
2肉類/<畜肉類>/ぶた/[副生物]/軟骨/ゆで3900
3肉類/<畜肉類>/うし/[加工品]/ビーフジャーキー2700
4肉類/<畜肉類>/うし/[副生物]/第一胃/ゆで2400
5肉類/<鳥肉類>/にわとり/[親・主品目]/手羽/皮つき/生2100
5肉類/<鳥肉類>/にわとり/[若どり・主品目]/もも/皮つき/焼き2100
7肉類/<鳥肉類>/にわとり/[若どり・主品目]/手羽さき/皮つき/生1900
8肉類/<畜肉類>/めんよう/[マトン]/ロース/脂身つき/焼き1700
8肉類/<畜肉類>/ぶた/[大型種肉]/ヒレ/赤肉/焼き1700
8肉類/<畜肉類>/うし/[ひき肉]/焼き1700
8肉類/<鳥肉類>/にわとり/[若どり・主品目]/もも/皮つき/ゆで1700
8肉類/<畜肉類>/うし/[輸入牛肉]/もも/皮下脂肪なし/ゆで1700
8肉類/<鳥肉類>/にわとり/[若どり・主品目]/むね/皮なし/焼き1700
8肉類/<畜肉類>/ぶた/[その他]/スモークレバー1700
出典:食品成分データベース

グリシンは牛・豚・鶏・羊に多く、肉類から摂取しやすい栄養素です。とくに、鶏のももや手羽さき、牛もも肉などに豊富に含まれています。

また、アミノ酸代謝を促進するビタミンB2は豚肉や牛肉に多く含まれるため、グリシン摂取に効率のよい食品です。

グリシンを多く含む野菜ランキング

順位食品名成分量100gあたりmg
1野菜類/らっかせい/未熟豆/生750
1野菜類/らっかせい/未熟豆/ゆで750
3野菜類/わらび/干しわらび/乾730
4野菜類/とうがらし/果実/乾630
5野菜類/えだまめ/冷凍560
6野菜類/えだまめ/生510
7野菜類/えだまめ/ゆで500
8野菜類/そらまめ/未熟豆/生390
9野菜類/そらまめ/未熟豆/ゆで380
10野菜類/(だいこん類)/切干しだいこん/乾330
出典:食品成分データベース

野菜類では、豆類に多く含まれます。グリシンはわらびや唐辛子にも多く含まれます。ただし、上記は100gあたりの含有量のため、料理に使いやすい豆類を選ぶのがおすすめです。

とくに、らっかせい・えだまめ・そらまめに多いため、普段の食事に取り入れやすいでしょう。

グリシンを効率よく摂取する方法

グリシンを効率よく摂取するには、アミノ酸代謝を促進するビタミンB2やビタミンB6が豊富な食品と一緒に摂取しましょう。

ビタミンB2・ビタミンB6が多く含まれる食品(100gあたり)は、次の通りです。

食品名ビタミンB2含有量(mg)ビタミンB6含有量(mg)
とうがらし(果実、乾)1.403.81
塩さば0.590.41
あわび(塩辛)0.7012.1
牛レバー3.000.89
鶏レバー1.800.65
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ビタミンB2の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

参考文献

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