GABAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法

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栄養素

GABAの基本情報、GABAのもつ効果・働き、GABAが不足・欠乏・過剰摂取することによる影響、GABAを多く含む食品、効率よく摂取する方法について解説します。

GABAとは

GABA(ギャバ)は、γ-アミノ酪酸というアミノ酸の一種で、人間の脳や脊髄などの中枢神経に多く存在する成分です。英語名の「Gamma-Amino Buryric Acid」の頭文字をとってGABAと呼ばれます。

主に抑制性の神経伝達物質として働き、ストレスを鎮める作用や血圧降下作用を持ちます。さらに、抗ストレス作用によるリラックス効果や睡眠の質を高める作用も注目を浴びている成分です。近年では、これらの作用をうたった機能性表示食品が数多く販売されています。

人間は体内でもGABAを生成できますが、ストレスの増加とともに減ってしまうので、食品からもうまく摂取することが重要とされています。

GABAの効果・働き

GABAの効果・効能について解説します。

抗ストレス作用

抑制性の神経伝達物質として脳に存在するGABAは、ストレスによる興奮状態をやわらげる作用があります。興奮状態に関わるのは、アドレナリンやドーパミンなどの物質です。GABAはこれらの物質の過剰分泌を抑えるため、抗ストレス作用が期待されています。

「GABAによる小学生の学習ストレスの軽減効果」をテーマにした研究では、GABA入りのチョコレートを摂取したグループのほうが、唾液中のストレス成分が少なかったという結果が報告されています。

さらにGABAを摂取しない場合と比較し、テストの正答数が多くなったことから、GABAは学習効率を高める作用も期待できます。

リラックス効果

「抗ストレス作用」の項でもあげた通り、GABAはアドレナリンやドーパミンなど神経の興奮を招く物質を抑える働きがあります。これらの物質の過剰分泌が抑えられることで、リラックス効果が見込めます。

GABAの摂取30分後に、副交感神経が優位になったことを示す研究も存在します。副交感神経は心身を休ませる役割を持つ自律神経であることから、副交感神経を優位にするGABAにはリラックス効果が期待できると考えられます。

睡眠の質を高める

GABAは副交感神経を優位にし、リラックス効果を高めることで、睡眠の質向上にも役立つと考えられています。副交感神経は身体の緊張や興奮をやわらげてくれるので、身体は眠りに入りやすい状態になります。

また、昼間のGABA摂取が睡眠の質を高めるという研究結果もあります。睡眠時の脳波を調べたところ、GABAを摂取した被験者はより深い睡眠に入れたことが判明しました。

さらにGABAを摂取していない状態より、約5分ほど早く入眠できたとのことです。これらの研究結果から、GABAにはスムーズな睡眠を促す作用もあると考えられます。

集中力アップ

GABAはストレスの軽減作用により、集中力を高める効果が期待できます。

ある研究で勤務後の14名の男女に対し、GABA入りのチョコレートを摂取させたところ、唾液中のストレス物質が減少すると同時に、試験の正答数アップと集中力の持続効果が見られたと言います。

また、GABAの摂取により睡眠の質が向上するので、慢性的な睡眠不足の人は十分な睡眠によって集中力改善が見込めるでしょう。

健康的な肌へ導く

GABAは睡眠の質を高める作用やストレス軽減作用が期待されるので、美容にも良い影響を与えると考えられるでしょう。健康的な肌を保つターンオーバーは睡眠中に活発になるため、睡眠不足は肌にとって大敵です。

さらに過度なストレスは体内の活性酸素を過剰に発生させて、老化を招く危険性があります。これらの問題に同時にアプローチできるGABAは、健康的な肌作りに役立つでしょう。

また、成人女性40人に実施した研究では、GABAの摂取で季節の変化による頬の弾力性の悪化を抑制する作用が見られたと言います。

血圧低下作用

GABAは血管を収縮させるノルアドレナリンの分泌を抑えるため、血圧の低下作用が期待されています。研究では被験者にGABAを継続摂取させたところ、収縮期血圧・拡張期血圧ともに降圧作用が確認できました。

これはノルアドレナリンの分泌抑制で、血圧上昇に関わるレニンの活性が滞り、腎臓からのナトリウム排出が促進されたからだと考えられています。このナトリウムも血圧を上げる原因のひとつです。

腎臓や肝臓機能を助ける

GABAには腎臓の働きをサポートする作用もあります。GABAがノルアドレナリンを抑制し、腎臓中のレニンの分泌を抑えられるためです。レニンは適切な量であれば血圧の調節に役立ちますが、過剰に分泌されると腎臓の働きを低下させてしまいます。

GABAによって間接的にレニンの分泌を抑えれば、腎臓の機能であるナトリウムの排出が正常に行われ、血圧降下にも役立ちます。

さらに、GABAに肝臓をサポートする作用があることも示唆されています。研究によれば、肝臓でのタンパク質合成を促進する働きが確認されたとのことです。

中性脂肪の低下作用 

近年、GABAには中性脂肪を低下させる作用も期待されています。メカニズムは明らかになっていませんが、成長ホルモンの分泌を促進する作用が関係しているようです。

成長ホルモンの分泌により、脳や肝臓でのタンパク質合成が進むと、その過程でエネルギー源が必要になります。そのエネルギーとして中性脂肪が使われるため、脂肪の燃焼が促進されると考えられます。

さらにホエイプロテインと同時に摂取することで、より筋肉量の増大や代謝量アップが見られたという研究結果も。GABAは健康的な身体づくりにも役立ちそうです。

GABAが不足・欠乏すると起こる症状

GABAが不足・欠乏すると起こる症状は次の通りです。

  • 不安感
  • ストレスの蓄積
  • 免疫力低下
  • 不眠
  • 集中力低下
  • 疲労感
  • イライラしやすくなる

また、GABAの不足・欠乏と直接的な関係はありませんが、ストレスが溜まるとうつや不安神経症などにつながるケースも考えられます。

GABAを過剰摂取すると起こる副作用

過剰摂取による副作用はいまだに解明されていませんが、現在までGABAが原因となる重篤な健康被害は報告されていません。 

GABAの1日の摂取目安量

GABAの不足量は人によって異なるため、1日の摂取目安量に明確な基準はありません。

ただ、明確ではないものの、1日30mg以上の摂取が適切とする論文もあります。そのため多めに摂りたい場合は、50〜100mg程度を目安にすると良いでしょう。

GABAを多く含む食品

GABAを多く含む食品は次の通りです。

  • 発芽玄米
  • トマト
  • なす
  • ケール
  • かぼちゃ
  • パプリカ
  • メロン
  • バナナ
  • チョコレート
  • ココア

またはサプリメントでの摂取も手軽でおすすめです。

GABAを効率よく摂取する方法

GABAを効率的に摂取する方法や、分泌を促す方法を解説します。

寝る直前に摂取

GABAは2時間程度しか効果が持続しないと言われています。そのためストレス軽減や集中力アップを期待するなら、作業に入る直前に摂取する方法がおすすめです。

また、睡眠の質向上を目指すなら寝る直前に摂取しましょう。その場合はサプリメントのほうが手軽です。

腸内環境を整える

GABAは血液と脳をつなぐ血液脳関門を通過できないため、脳に直接作用するわけではありません。GABA摂取後は腸にあるGABA受容体が、中枢神経を介して脳に刺激を届けます。その影響により、GABAの産生能力が高まると考えられているのです。

そのためGABAの摂取だけでなく、腸内環境を整えることで、より作用の効率アップが期待できます。腸を整えるには、食物繊維が豊富な食品や発酵食品が効果的です。

GABAの分泌を促進する成分を摂取

GABAを直接摂取するのではなく、GABAの生産を高める栄養素の摂取も大切です。

ビタミンB6はアミノ酸の代謝に関わっているので、GABAをはじめとした神経伝達物質の合成を促します。にんにくや豚肉に多く含まれているので、毎日の食事に取り入れてみましょう。

参考文献

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