貧血の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物
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貧血の症状や定義、原因について解説したうえで、貧血の予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。
貧血とは
貧血とは、血液中の赤血球や、赤血球の中のヘモグロビンが不足することにより、体の各組織に酸素が届けられない状態を指します。
厳密には貧血という名前の病気があるわけではなく、赤血球やヘモグロビンなどの減少によって酸素不足に陥る状態や、それに伴って現れる諸症状を貧血と呼びます。
貧血の主な症状
貧血の主な症状は次の通りです。
- 疲労感
- 倦怠感
- 顔面蒼白
- 動悸・息切れ
- 頭痛
- めまい
- 筋肉のけいれん
- 胸の痛み
貧血の原因
貧血になる原因は、大きく分けて下記の4つに分けることができます。
- 過剰な出血
- 栄養不足(赤血球の材料不足)
- 血液を作る機能の低下
- 赤血球を破壊する病気
過剰な出血による貧血は、月経や出産、外傷などにより一時的に血液を失うことにより引き起こされます。
栄養不足による貧血は、主に鉄の欠乏によって、赤血球の中で酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンを作れなくなることで引き起こされます。鉄不足による貧血を、鉄欠乏性貧血と呼びます。
血液を作る機能を低下は、再生不良性貧血・骨髄の病気・腎不全・関節リウマチなどの病気によって引き起こされます。
赤血球やヘモグロビンの構造に異常をきたしたり、免疫機能に異常をきたしたりすると、赤血球が壊されてしまい貧血を引き起こします。原因となる病気には、日本人に多い遺伝性球状赤血球症などがあります。
貧血の種類
貧血には、原因や症状の違いによっていくつかの種類があります。
鉄欠乏性貧血
鉄欠乏性貧血は、赤血球の中のヘモグロビンを作るために必要な鉄が不足すること起こる貧血です。
鉄欠乏性貧血の原因は、鉄の摂取不足、薬などの影響による鉄の吸収阻害、成長や妊娠に伴う鉄の必要量の増加、月経や怪我による過剰な出血などが上げられます。
ヘモグロビンの量は血液が酸素を体のすみずみまで運ぶ運搬能力と比例するため、鉄欠乏性貧血になると体の各組織が酸素不足に陥りさまざまな症状を引き起こします。
鉄欠乏性貧血の原因
- 鉄の摂取不足(偏食)
- 薬による鉄の吸収阻害
- 成長や妊娠による鉄の必要量の増加
鉄欠乏性貧血の症状
- 全身の倦怠感
- めまい
- 耳鳴り
- 動悸
- 息切れ
- 顔面蒼白
巨赤芽球性貧血
巨赤芽球性貧血は、巨赤芽球という未熟な赤血球ができて引き起こされる貧血です。
巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12と葉酸のどちらか、あるいは両方が欠乏することによって、DNAの合成が阻害されることに起因します。
ビタミンB12が欠乏する原因は、胃に異常が生じてビタミンの吸収が阻害されるほか、先天性の異常によって取り込めない場合もあります。もともと微量のビタミンなので、摂取不足により欠乏することは稀です。
葉酸が欠乏する原因は、野菜を食べないなどの偏食、アルコールの大量摂取による必要量の増加、妊娠・授乳中の必要量増加などが挙げられます。その他、薬の影響で吸収が阻害されたり、血液透析によって失われたりする場合もあります。
症状は鉄欠乏性貧血などと同様で、動悸、息切れ、倦怠感や疲労感などが現れます。
巨赤芽球性貧血の原因
巨赤芽球性貧血の原因はビタミンB12と葉酸の欠乏です。それぞれの原因は次の通りです。
ビタミンB12が欠乏する原因
- 胃の切除
- 胃粘膜の委縮
- 胃液の分泌低下
- そのほかの先天性の異常
葉酸が欠乏する原因
- 野菜の摂取不足
- アルコールの大量摂取
- 妊娠・授乳による必要量の増加
巨赤芽球性貧血の症状
巨赤芽球性貧血になると、一般的な貧血と同じ症状が現れるほか、ビタミンB12欠乏による症状や、葉酸欠乏による症状などが併発します。
ビタミンB12欠乏による症状
- 末梢神経障害(四肢のしびれや刺すような痛み)
- 筋力の低下
- 感覚の麻痺
- 認知症や錯乱などの意識障害
葉酸欠乏による症状
- 下痢
- 舌炎
- 味覚障害
再生不良性貧血
再生不良性貧血(低形成性貧血)とは、骨髄にある造血幹細胞が減少することによって、赤血球・白血球・血小板の数が少なくなる病気です。
赤血球・白血球・血小板のすべてが減少する状態を汎血球減少症と呼び、赤血球だけが少なくなった状態を赤芽球癆(せきがきゅうろう)と呼びます。
再生不良性貧血の原因
再生不良性貧血の原因は下記のような理由が考えられます。これらに該当せず原因が特定できない場合は、主に自己免疫疾患による骨髄の幹細胞の抑制が原因です。
- パルボウイルス・エプスタイン-バーウイルス・サイトメガロウイルスなどのウイルス感染症
- 放射線曝露
- 毒性物質(※)
- 化学療法薬(※)
- 妊娠
- 肝炎
- 自己免疫疾患による骨髄の幹細胞の抑制
※再生不良性貧血との因果関係が明らかな化学物質や薬剤は、すでに販売が中止されています。
再生不良性貧血の症状
再生不良性貧血では、赤血球・白血球(好中球)・血小板が減少するのに応じてさまざまな症状が引き起こされます。
- 数週間から数ヶ月かけて徐々に表れる
- めまい
- 頭痛
- 倦怠感
- 疲労感
- 胸の痛み
- 浅く速い呼吸、心拍数の増加(動悸)
- 顔面蒼白
- ウイルス感染への抵抗力低下
- 出血しやすい(皮膚の点状出血、鼻血、歯肉出血など)
- 血小板減少が進むと眼底出血・脳出血・血尿・下血などが起こる
溶血性貧血
溶血性貧血とは、赤血球が破壊されることによって起こる貧血です。赤血球が破壊されることを溶血と呼びます。
溶血性貧血の原因
溶血性貧血の原因は、遺伝性球状赤血球症や、サラセミアなどが挙げられます。後天性のもので代表的なものには、自己免疫性溶血性貧血や発作性夜間ヘモグロビン尿症などがあります。
溶血性貧血の症状
溶血性貧血では、一般的な貧血と同様の酸素不足によるめまいなどに加えて、眼球の黄疸、胆石などの症状が表れます。
- めまい
- 息切れ
- ふらつき
- 頭痛
- 眼球が黄色くなる(黄疸)
- 胆石
- 褐色尿(ヘモグロビン尿)
- 腰痛
貧血の予防・改善に効果的な食事のポイント
貧血の予防・改善には、次のようなポイントを守ることが大切です。
- 鉄を多く含む食品(特にヘム鉄)を摂取する
- 葉酸を多く含む食品を摂取する
- ビタミンB12を多く含む食品を摂取する
- 鉄の吸収効率を高めるビタミンCを摂取する
- 鉄の吸収効率を高める動物性タンパク質を摂取する
- 鉄の吸収を阻害する食品を避ける
- よく噛んでゆっくり食べる
貧血の予防・改善に効果的な食べ物・飲み物
ここからは、貧血の予防・改善に効果的な栄養素について解説し、各栄養素を豊富に含む食べ物を紹介します。
鉄:ヘモグロビンを構成する
ヘモグロビンを構成する鉄は、貧血の予防・改善に欠かせない栄養素のひとつです。鉄には動物性食品に多く含まれるヘム鉄と、海藻や野菜など植物性食品に多く含まれるヘム鉄の2種類があります。
吸収率が良いのはヘム鉄なので、鉄が不足しがちな人は、ヘム鉄を意識的に摂取するようにしましょう。
1日の摂取目安量は、成人男性で7~7.5mg、月経のない成人女性で6~6.5mg、月経のある成人女性で10.5~11mgです。
ヘム鉄を豊富に含む食品なら、豚レバー100gで13mg、カツオの刺身100gで1.9mgが摂取できます。
ヘム鉄を多く含む食品
- 豚レバー
- カツオの刺身
- 赤身肉
非ヘム鉄を多く含む食品
- ひじき
- わかめ
- 切り干し大根
- 海苔
- ごま
- きなこ
- ほうれん草
- あさり、しじみ
鉄の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB12:赤血球を合成する
ビタミンB12は、神経機能やDNAの合成に必須なほか、葉酸と協力して赤血球中のヘモグロビンを生成する働きがあります。
ビタミンB12の1日の摂取目安量は、成人男性・女性ともに2.4μg、妊婦は+0.3~0.4μg、授乳婦は+0.7~0.8μgです。
これは牛レバーで摂取した場合、およそ5gで十分な量となります。味付け海苔で摂取した場合でも、およそ2~3枚(1g)で1日のビタミンB12の摂取推奨量のうち20%ほどに達します。
ビタミンB12を多く含む食品
- レバー
- 肉全般
- 魚介類全般
ビタミンB12の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA
葉酸:赤血球を合成に関わる
葉酸は、植物の葉に多く含まれる栄養素で、ビタミンB12とともに赤血球を作ることから「造血のビタミン」と呼ばれます。葉酸やビタミンB12が欠乏すると、ヘモグロビンが十分に巨赤芽球性貧血に陥ります。
重要なビタミンであることから、アメリカでは1998年に穀類に葉酸を添加して販売することが義務付けられたほど。
葉酸の1日の摂取目安量は、成人男性・成人女性ともに200μgです。食品からの摂取については過剰摂取の心配はありませんので、特に妊娠を控える女性はより多くの葉酸を目指しましょう。
葉酸を多く含む食品
- のり
- わかめ
- 昆布
- ひじき
- ほうれん草
- モロヘイヤ
- アスパラガス
- パセリ
- 枝豆
葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
銅:赤血球の合成に関わる
銅は赤血球の合成に関わっており、鉄から赤血球が作られるのをサポートするミネラルのひとつです。
銅の1日の摂取目安量(推奨量)は、成人男性で0.9mg、成人女性で0.7mg。これは、銅を豊富に含む魚介類で摂取した場合、かき(缶詰)ならおよそ25~30g、ホタルイカならおよそ6~7.5gで十分な量となります。
銅を多く含む食品
- レバー
- ほたるいか
- 干しエビ
- ココア
- 湯葉
- きな粉
銅の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB6:ヘモグロビンを合成する
ビタミンB6は赤血球中のヘモグロビンの合成に関わっており、鉄・葉酸・ビタミン12・ビタミンCなどとともに、貧血の予防に効果を発揮します。
ビタミンB6の1日の摂取目安量は、成人男性で1.4mg、成人女性で1.1mg、妊婦が+0.2mg、授乳婦が+0.3mgです。
これは、鶏むね肉で摂取した場合、およそ120~140gで十分な量となります。
また、バナナ1本におよそ0.4mgのビタミンB6が含まれているため、1日1本摂取することで30~40%ほどの必要量をカバーすることができるでしょう。
ビタミンB6を多く含む食品
- まぐろの刺身
- かつおの刺身
- にんにく
- ブロッコリー
- バナナ
- マンゴー
- アボカド
- プルーン
ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンC:鉄の吸収を良くする
ビタミンCは、鉄とあわせて摂取することで鉄の吸収効率を高めて貧血の予防・改善につながります。
ビタミンCの1日の摂取目安量は、成人男性・成人女性ともに85mg、推奨量は100mgです。
これは、最もビタミンCを豊富に含む果物であるアセロラで摂取した場合、およそ5~6gで推奨量を満たします。
ビタミンCを多く含む食品
- アセロラ
- ケール
- パセリ
- せん茶
- グァバ
- 海苔
- ブロッコリー
- ピーマン(パプリカ)
- キウイフルーツ
- 柿
ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
動物性タンパク質:鉄の吸収効率アップ&ヘモグロビンの原料となる
タンパク質はヘモグロビンの材料となるほか、鉄と合わせてタンパク質やビタミンCを摂取すると非ヘム鉄を効率よく吸収することができます。
タンパク質の1日の摂取推奨量は、成人男性で65g、成人女性で50g、妊婦・授乳婦で最大+20gが推奨されます。
動物性タンパク質を多く含む食品
- 肉類(ささみ、ハム、サラダチキン)
- 魚介類(魚肉ソーセージ、いわし、するめ)
- 卵類(ゆで卵)
- 大豆製品(納豆、豆腐、豆乳)
- 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
タンパク質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンE:赤血球が壊れるのを防ぐ
ビタミンEは強い抗酸化作用を持つビタミンで、赤血球が破壊されるのを防ぎます。ビタミンEが欠乏すると、溶血性貧血のリスクが増大します。
ビタミンEの1日の摂取目安量は、成人男性で6~7mg、成人女性で5~7mgです。
これは、ヒマワリ油で摂取した場合およそ18g(大さじ1杯半)、アーモンドで摂取した場合およそ23g(約20粒)で十分な摂取量となります。
ビタミンEを多く含む食品
- せん茶
- 抹茶
- ひまわり油
- アーモンド
- ピーナッツ
ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
亜鉛:赤血球が壊れるのを防ぐ
貧血の原因として、鉄欠乏性貧血と同程度に多いとされているのが亜鉛欠乏性貧血です。亜鉛が欠乏すると赤血球の膜が壊れやすくなるため、亜鉛の十分な摂取が貧血の予防につながります。
亜鉛の1日の摂取目安量(推奨量)は、成人男性で11mg、成人女性で8mg、妊娠中の女性で10mg、授乳中の女性で12mgとなっています。
なお、亜鉛は単独で過剰摂取すると銅の吸収を妨げる可能性があり、また鉄を過剰摂取すると亜鉛の吸収を妨げるため、3つのミネラルはバランスよく摂取することが重要です。
亜鉛を多く含む食品
- 牡蠣
- 小麦胚芽
- パプリカ
- 卵
亜鉛の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
貧血のときに避けた方が良い食べ物・飲み物
貧血のときには、鉄の吸収を阻害する食べ物は避けましょう。
カルシウム・炭酸・食物繊維・シュウ酸・タンニン・フィチン酸・リン酸塩を含む食品は鉄の吸収を阻害するため、摂り過ぎに注意し、なるべく鉄の豊富な食品とずらして摂取するようにしてください。
成分名 | 主な食品 |
カルシウム | 牛乳・乳製品 |
炭酸 | 炭酸飲料 |
食物繊維(不溶性) | 玄米・おから・ふすま |
シュウ酸 | ほうれん草などの葉野菜・コーヒー・ココア・紅茶・緑茶など |
タンニン | 赤ワイン・コーヒー・紅茶・緑茶・ウーロン茶 |
フィチン酸 | 赤ワイン・コーヒー・紅茶・緑茶・豆類・ライ麦・玄米 |
リン酸塩 | ハム・ソーセージ・練りもの・清涼飲料水・スナック菓子 |
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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