鶏肉ダイエットの効果と正しいやり方・継続のコツ・注意点
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鶏肉ダイエットの効果と正しいやり方、継続のコツから注意点までを解説します。鶏肉ダイエットにチャレンジしたい方はもちろん、すでに鶏肉ダイエットに取り組んでいるけれど、いまいち成果が出ないとお悩みの方もぜひご覧ください。
鶏肉ダイエットとは
まずは、鶏肉ダイエットや鶏肉の部位による栄養素の違い、豚肉・牛肉との違いを解説します。
ダイエット中でも肉は食べたい人におすすめのダイエット法
鶏肉ダイエットは、ダイエット中も肉を食べたい人におすすめのダイエット法です。
ダイエットでは、脂質の多い肉類は避けるのが一般的。しかし、肉類のなかでも脂質が少なく、カロリーの低い鶏肉を選択して食べることでダイエットするのが鶏肉ダイエットです。
鶏肉にはタンパク質が豊富に含まれており、筋肉を作るための栄養素としても重要な役割をします。良質なタンパク質で筋肉を作りつつ、カロリーを抑えてダイエットするのが鶏肉ダイエットです。
鶏肉とは
同じ鶏肉でも、部位によって栄養素にはばらつきがあります。鶏肉が肉類のなかでダイエット向きの食品とはいえ、脂質の多い部位ばかりを食べていてはダイエット効果が薄くなってしまうでしょう。
そこで、鶏肉の部位ごと(100gあたり)に含まれるカロリーと、三大栄養素(タンパク質・脂質・炭水化物)を比較しました。
鶏肉の部位100gあたり | エネルギー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) |
手羽(皮つき、生) | 210 | 17.8 | 14.3 | 0 |
むね(皮つき、生) | 145 | 21.3 | 5.9 | 0.1 |
むね(皮なし、生) | 116 | 18.8 | 1.6 | 0.1 |
もも(皮つき、生) | 204 | 16.6 | 14.2 | 0 |
もも(皮なし、生) | 127 | 19.0 | 4.3 | 0 |
ささ身 | 105 | 23.0 | 0.8 | 0 |
ひき肉(生) | 186 | 17.5 | 11.0 | 0 |
鶏肉のなかでも、むね肉やささ身はカロリーや脂質が低いことが特徴です。とくにささ身は脂質が少ないため、ダイエット向きの鶏肉といえるでしょう。
また、脂質は皮の部分に多く含まれる傾向にあります。たとえば、鶏もも肉の皮つきと皮なしを比較すると、脂質の差は3倍以上です。そのため鶏肉ダイエットでは、皮なしのむね肉やささ身を中心に食べるとよいでしょう。
鶏肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
豚肉や牛肉との違い
肉類にはタンパク質が多く含まれているため、豚肉や牛肉でもよいと思うかもしれませんが、豚肉や牛肉は鶏肉よりも脂質が多いため注意しましょう。
豚肉と牛肉のカロリーと栄養素は、以下のとおりです。
食品名100gあたり | カロリー(kcal) | タンパク質(g) | 脂質(g) | 炭水化物(g) |
和牛(ばら、脂身つき、生) | 517 | 11.0 | 50.0 | 0.1 |
和牛(もも、脂身つき、生) | 259 | 19.2 | 18.7 | 0.5 |
輸入牛(ばら、脂身つき、生) | 371 | 14.4 | 32.9 | 0.2 |
輸入牛(もも、脂身つき、生) | 165 | 19.6 | 8.6 | 0.4 |
豚(ばら、脂身つき、生) | 395 | 14.4 | 35.4 | 0.1 |
豚 (もも、脂身つき、生) | 183 | 20.5 | 10.2 | 0.2 |
牛肉でも和牛に比べて輸入牛のほうが、比較的カロリーと脂質が低い傾向にあります。しかしそれでも脂質は鶏肉よりも高く、タンパク質も低いことがデメリットです。
豚肉は、ばら肉の脂質のほうがもも肉よりも高く、いずれも鶏ささ身を上回っています。
牛肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
豚肉の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
鶏肉ダイエットの効果
次に、鶏肉ダイエットにより期待できる効果を解説します。
糖質制限ダイエットとしても有効
鶏肉は糖質が少ないため、糖質制限のための食品としても効果的です。
糖質制限とは、炭水化物のうち糖質の摂取量を減らすダイエット法。そもそも炭水化物は糖質と食物繊維に分けられます。そのうち糖質は、砂糖や果物に含まれる果糖などが分類されます。
過剰に糖質を摂取すると、エネルギーとして使われなかった糖質は脂肪細胞へと取り込まれ、のちに脂肪へと返還される仕組みです。つまり、脂肪の原料となる糖質の摂取量を制限することで、ダイエットするのが糖質制限です。
鶏肉には糖質がほとんど含まれないため、糖質を過剰に摂取してしまうことはほとんどありません。鶏肉は、糖質制限をして減量したいときにも適した食品です。
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良質なタンパク質で筋肉をつける
鶏肉には、良質なタンパク質が多く含まれており、筋肉の材料になります。とくにささ身には、100gあたり23.0gものタンパク質が含まれています。
タンパク質は動物性食品に含まれる動物性タンパク質と、大豆や小麦に含まれる植物性タンパク質に分類されます。なかでも、動物性タンパク質は良質で、身体作りにかかせない栄養素です。
筋肉は、タンパク質を原料として作られます。とくに、バリン・ロイシン・イソロイシン(BCAA)は筋肉の合成に欠かせないタンパク質です。
鶏肉のバリン・ロイシン・イソロイシンの含有量は、以下のとおりです。
鶏肉の部位100gあたり | バリン(mg) | ロイシン (mg) | イソロイシン(mg) |
手羽(皮つき、生) | 1,100 | 1,700 | 980 |
むね(皮つき、生) | 900 | 1,400 | 830 |
むね(皮なし、生) | 1,200 | 1,900 | 1,100 |
もも(皮つき、生) | 950 | 1,500 | 890 |
もも(皮なし、生) | 1,100 | 1,700 | 1,000 |
ささ身 | 1,200 | 2,000 | 1,200 |
筋肉の原料となるバリン・ロイシン・イソロイシンは、ささ身やむね肉に多く含まれています。上記のバリン・ロイシン・イソロイシンの含有量から見ても、鶏肉ダイエットではささ身やむね肉を食べるのがおすすめです。
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睡眠の質を高めて生活習慣を改善
ダイエットでは、生活習慣を改善することも重要です。鶏肉には、睡眠の質を改善するトリプトファンが豊富に含まれます。
鶏肉に含まれるトリプトファンの量は、次のとおりです。
鶏肉の部位100gあたり | トリプトファン(mg) |
手羽(皮つき、生) | 240 |
むね(皮つき、生) | 230 |
むね(皮なし、生) | 300 |
もも(皮つき、生) | 230 |
もも(皮なし、生) | 280 |
ささ身 | 300 |
トリプトファンはタンパク質を構成するアミノ酸の一種で、人体では合成できない栄養素です。食事から摂取する必要があり、不足すると抑うつ症状や不安感、糖尿病を引き起こすと考えられています。
体内に吸収されたトリプトファンは、メラトニンへと変化します。メラトニンは、脳内で合成され、体内時計を整える役割のホルモンです。睡眠や覚醒のリズムを作っており、睡眠の質を高める効果があります。
鶏肉に含まれるトリプトファンは、脳内でメラトニンとなって体内リズムを整え、睡眠の質を高めるのに効果的です。
トリプトファンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
鶏肉ダイエットの正しいやり方
鶏肉ダイエットの方法や食べるタイミング、効率よい調理方法を紹介します。
1日1食主菜を鶏肉にする
鶏肉ダイエットでは、1日のうち1食の主菜を鶏肉に変えます。鶏肉だけを食べるのではなく、野菜や穀類などもバランスよく食べるのがポイントです。
ただし、普段の食事にプラスして鶏肉を食べるのではないことに注意しましょう。あくまで、主菜を鶏肉に変更するのが鶏肉ダイエットです。
主菜を鶏肉に変えて食べるタイミングは、とくに決まりはありません。3食のうちいつ鶏肉を食べても問題ありませんが、夕食に鶏肉を取り入れるのがおすすめです。寝ている間に食べ物が消化・吸収され、効率よくタンパク質を体内に取り入れられます。
調理方法を工夫してより効果的に
鶏肉ダイエットでは、鶏肉の調理方法も重要です。鶏肉の皮には脂質が多く含まれているので、皮つきの鶏肉を扱う場合は皮を取り除きましょう。
また、油で揚げたり焼いたりすると脂質の摂取量が増え、ダイエットには逆効果です。鶏肉ダイエットで鶏肉を食べるときは、茹でて調理しましょう。
鶏肉を茹でることで余分な脂質が出て、脂質の摂取量を抑えられます。どうしても鶏肉を焼きたいときは、フッ素加工のフライパンを使って油なしで焼くのがおすすめです。
鶏肉ダイエット継続のコツ
カロリーが少なくダイエット向きの鶏肉ですが、よりカロリーの少ない鶏むね肉はパサついて食べにくいため、ダイエットに挫折してしまうケースもあります。
食べにくい鶏むね肉を食べやすくしたいときは、次のポイントに気を付けて調理しましょう。
- 調理前の鶏むね肉はフォークでまんべんなく刺す
- 砂糖・塩・水で茹でる
- 低温でじっくり中まで熱を通す
調理前に、フォークで鶏むね肉に穴を開け、砂糖と塩を中に浸透させやすくします。砂糖と塩、水で食べにくい鶏むね肉がしっとりやわらかくなります。
また、強火で調理するのではなく、弱火でじっくり火を通すとパサつきが抑えられるでしょう。
鶏肉ダイエットの注意点
最後に、鶏肉ダイエットの注意点やポイントを解説します。
鶏肉の摂り過ぎはダイエットに逆効果
鶏肉は肉類の中でカロリーや脂質が少ないため、ダイエットに向いている食品です。しかし、鶏肉を食べ過ぎればカロリーの摂りすぎにもつながります。
ダイエット中の食事には主菜として1食に鶏肉を取り入れ、食べ過ぎは避けましょう。
運動も並行して行う
鶏肉ダイエットは、鶏肉でカロリーを抑えつつ良質なタンパク質を摂るダイエット法です。
しかしタンパク質を摂るだけでは、効率的な身体作りはできません。筋肉を作るには、良質なタンパク質の摂取と運動が必要です。
そのため、鶏肉ダイエットと並行して適度な運動を生活に取り入れましょう。ランニングや筋トレなど、自宅や近隣で気軽に行える運動がおすすめです。
サラダチキンは自作がおすすめ
鶏肉の中でも低カロリーな鶏むね肉を使ったサラダチキンは、美味しく鶏肉が食べられると話題です。しかし市販のサラダチキンは味付けが濃く、化学調味料を使ったものもあります。
そのため、鶏肉ダイエットで食べるサラダチキンは自作するのがおすすめです。
皮と脂を取り除いた鶏むね肉に砂糖と塩で味付けし、袋に入れてよく揉み込みます。水が沸騰したら火を止め、鍋に袋ごと鶏むね肉を入れて30分ほど置いて完成です。
調理の手間が少なく作り置きもして置けるので、鶏肉ダイエットでは自作のサラダチキンを作ってみるとよいでしょう。
参考文献
- 糖質「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省(PDF)
- メラトニン|e-ヘルスネット
- 栄養学の基本がまるごとわかる事典(西東社)