らっきょうの栄養と効果効能・調理法・保存法

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らっきょう

らっきょうの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、らっきょうに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

らっきょうとは

らっきょう(辣韭、pickled scallion)は、ふくらんだ鱗茎部を可食部とするネギ属の野菜で、おおにら・さとにらと呼ばれることもあります。原産地は中国で、日本では鳥取県・鹿児島県・宮崎県などが主な産地です。

ピリッとした辛味と、パリパリとした歯応えのある食感が魅力で、主に甘酢漬け・塩漬けなどの漬物として親しまれています。

らっきょうには、血行改善や殺菌作用が期待できるアリシンや、整腸作用のある食物繊維が豊富です。その栄養価の高さから「畑の薬」とも言われ、漢方薬の原料としても利用されてきました。

らっきょうの旬は短く、5~6月に最も多く出回ります。新鮮ならっきょうは、白くふっくらとしていて、表面にツヤがあります。芽が伸びているものや、全体が緑色がかっているものは、鮮度が悪いので避けましょう。

らっきょう・エシャレット・のびるの違い

らっきょうと比較されることの多い、エシャレット・のびる(野蒜)との違いを解説します。

らっきょうとエシャレットは同じ野菜ですが、栽培方法が異なります。エシャレットは、らっきょうを軟白栽培し若いうちに収穫したもののこと。らっきょうよりクセがなく、食べやすいのが特徴です。

のびるはらっきょうと同じネギ属に属しますが、別の品種です。日本全国に野草として自生しており、らっきょうと同じく根を食べることができます。らっきょうとにんにくの中間のような強い風味が特徴です。

らっきょうの品種・種類

らっきょうには、いくつかの品種・種類があります。

らっきょう

独特の辛味とパリパリした食感が楽しめます。主に漬物として食べられてきました。

日本では「らくだ」という大球の品種が代表的です。そのほか、中球種の「八房(やつぶさ」や台湾原産の「玉らっきょう」がよく使われています。

エシャレット

らっきょうの根に土寄せし、暗黒下で軟白栽培して若採りしたもの。通常のらっきょうより、辛味やクセがなくマイルドです。

生食用として販売されているものも多く、炒めもの・天ぷら・漬物などさまざまな料理にアレンジできます。

「エシャロット」と呼ばれることもありますが、エシャロットという野菜は別にあるので混同しないよう注意してください。エシャロットは玉ねぎの一種で、フランス料理によく使われている野菜です。

島らっきょう

沖縄県で主に栽培されているらっきょうの一種です。「だっちょう」とも呼ばれます。

らっきょう特有の辛味・香りが強いのが特徴です。塩漬けにし、かつおぶしをかけて食べるのが定番ですが、天ぷらや炒めものにも使えます。

らっきょうに含まれる成分・栄養素

らっきょう100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位らっきょう 生らっきょう 甘酢漬エシャレット 生
廃 棄 率%15040
エネルギー(kcal)kcal/100 g11811576
エネルギー(kJ)kJ/100 g494481318
水 分g/100 g68.367.879.1
たんぱく質g/100 g1.40.72.3
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g0.9-0.4-1.4
脂 質g/100 g0.20.20.2
トリアシルグリセロール当量g/100 g-0.1-0.1-0.1
飽和脂肪酸g/100 g-0.03-0.03-0.03
一価不飽和脂肪酸g/100 g-0.03-0.03-0.03
多価不飽和脂肪酸g/100 g-0.08-0.08-0.08
コレステロールmg/100 g000
炭水化物g/100 g29.32917.8
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g---
水溶性食物繊維g/100 g18.61.79.1
不溶性食物繊維g/100 g2.11.62.3
食物繊維総量g/100 g20.73.311.4
灰 分g/100 g0.82.30.6
ナトリウムmg/100 g28602
カリウムmg/100 g23038290
カルシウムmg/100 g141520
マグネシウムmg/100 g14414
リンmg/100 g352147
mg/100 g0.51.10.8
亜鉛mg/100 g0.50.20.5
mg/100 g0.060.070.06
マンガンmg/100 g0.45-0.37
ヨウ素µg/100 g1--
セレンµg/100 g1--
クロムµg/100 g0--
モリブデンµg/100 g14--
レチノールµg/100 g000
α-カロテンµg/100 g000
β-カロテンµg/100 g0018
β-クリプトキサンチンµg/100 g000
β-カロテン当量µg/100 g0018
レチノール活性当量µg/100 g002
ビタミンDµg/100 g000
α-トコフェロールmg/100 g0.80.20.4
β-トコフェロールmg/100 gTrTrTr
γ-トコフェロールmg/100 g000
δ-トコフェロールmg/100 g000
ビタミンKµg/100 g126
ビタミンB1mg/100 g0.070.010.03
ビタミンB2mg/100 g0.050.010.05
ナイアシンmg/100 g2.10.20.8
ビタミンB6mg/100 g0.120.020.11
ビタミンB12µg/100 g000
葉酸µg/100 g29055
パントテン酸mg/100 g0.5600.33
ビオチンµg/100 g0.9--
ビタミンCmg/100 g23021
食塩相当量g/100 g02.20
アルコールg/100 g---
硝酸イオンg/100 g--Tr
テオブロミンg/100 g---
カフェインg/100 g---
タンニンg/100 g---
ポリフェノールg/100 g---
酢酸g/100 g---
調理油g/100 g---
有機酸g/100 g---
重量変化率%---
備考別名: おおにら、さとにら廃棄部位: 根、膜状りん片及び両端別名: おおにら、さとにら液汁を除いたもの土寄せ軟白若採りのらっきょう別名: エシャ、エシャらっきょう廃棄部位: 株元及び緑葉部
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

らっきょうの効果・効能

らっきょうに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

血行促進や疲労回復を助けるアリシン

らっきょうは、体が疲れているときや風邪を引きやすい方におすすめの食材です。

らっきょうに多く含まれる、硫化アリルの一種「アリシン」は、にんにく・ねぎなどにも含まれている香り成分。らっきょうが発する、独特のツンとした香りはアリシンによるものです。

アリシンは、ビタミンB1の吸収を良くするため、血行促進・疲労回復を早める・免疫力アップなど、さまざまな効果が期待できます。強力な抗菌・抗カビ作用があることでも知られています。

カリウムで高血圧やむくみを予防

らっきょうには、必須ミネラルの一種であるカリウムが豊富です。

カリウムは、細胞の浸透圧を調整して維持する成分です。また、塩の主成分であるナトリウムの排出を促進するため、高血圧・むくみなどにも効果的とされています。

なお、漬けたものより生のらっきょうに多くのカリウムが含まれています。カリウムを積極的に摂りたいときは、生のまま食べられるエシャレットがおすすめです。

食物繊維がダイエットや便秘予防に効果的

食物繊維は、便の体積を増やし、腸のぜんどう運動を活発にするため、便秘の予防・改善に有益な栄養素です。

さらに、脂質・糖・ナトリウムを体外に排出するのを助け、肥満や糖尿病など生活習慣病の予防にも役立ちます。

生のらっきょうには、ごぼうの約4倍もの食物繊維が含まれています。特に「フルクタン」という水溶性の食物繊維が豊富で、ダイエットに適した食材の一つと言えるでしょう。

らっきょうの食べ方

らっきょうの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

らっきょうの洗い方・下処理方法

泥付きらっきょうの、洗い方および下処理の方法です。

まず、根や茎が付いた状態のらっきょうをボウルに入れ、水の中で洗っていきます。何度か水を替えながら、表面の土をざっと落としてください。

次に、らっきょうの根と、先端(茎)の長すぎる部分を包丁で切り落とします。

もう一度ボウルに水を張ってらっきょうを入れ、薄皮を剥がしていきます。水中で揉むようにゴシゴシと擦ると、皮が剥がれやすくなります。薄皮を取り除いたらっきょうを再度水洗いしたら、下処理は終了です。

らっきょうの調理方法

らっきょうは、甘酢漬け・醤油漬け・塩漬けなど、漬物として食べるのが一般的です。

洗いらっきょうの場合はそのまま漬けることができますが、泥付きらっきょうは前述のように下処理してから漬けてください。

漬けたらっきょうは冷蔵庫で保存し、1週間~10日ほどで食べられるようになります。

らっきょう漬けは、カレーに添えたりサラダの具材としても活躍します。また、炒め物の材料にも向いていて、パリパリした食感が料理のアクセントになります。

らっきょうの食べ方

らっきょうに含まれているミネラル・ビタミン・食物繊維などの栄養素は、水溶性のものが多く、漬け汁に溶け出してしまう可能性があります。

そのため、より栄養を効率的に摂取したいなら、らっきょう漬けを食べるときに漬け汁を一緒に飲むのもおすすめです。ただし、漬け汁には塩分や糖分が多く含まれているので、少量にとどめておいてください。

らっきょうを調理する際の注意点

らっきょうを調理するとき、辛味や香りの元となる成分アリシンが空気中に拡散することで、においがきつく感じたり、目に染みて涙が出ることがあります。

換気を十分に行う・マスクやゴーグルを付けるといった対策もありますが、耐えられない方は、下処理の必要ない洗いらっきょうや、加工食品を使うのがおすすめです。

らっきょうを食べる際の注意点

らっきょうの食べ過ぎは、胃痛・腹痛や下痢を引き起こすこともあります。

らっきょうに含まれるアリシンは、疲労回復などの効果が期待できる一方、食べ過ぎると胃腸への刺激となる成分なのです。

また、摂りすぎると下痢になる場合もある食物繊維も多く含んでいます。胃腸の弱い方は、1日に食べる量を数粒程度にしておきましょう。

らっきょうの保存方法

らっきょうの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

らっきょう漬けは、常温でも冷蔵でも保存でき、半年~1年ほどは日持ちします。漬け汁ごと密閉できる清潔な容器に入れて、保管しておきましょう。

市販のらっきょう漬けは、商品ごとに記載されている賞味期限を守ってください。

漬けたらっきょうは、冷凍保存も可能です。解凍するときは、常温か冷蔵庫で自然解凍します。

一方、生のらっきょうは成長が早いため、すぐに芽が伸びてきて鮮度が落ちてしまいます。数日程度しか持たないため、早めに食べきるか、できるだけ早く漬物にしてしまうのがおすすめです。

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