タピオカの栄養と効果効能・調理法・保存法

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タピオカ

タピオカの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、タピオカに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

タピオカとは

タピオカ(tapioca)とは、キャッサバという植物の根茎を原料としたデンプンおよび、それを使った料理のことを指します。菓子の材料や料理に使われる以外に、紙の増強剤や糊として工業利用もされています。近年人気を集めている、スイーツとして人気のタピオカドリンクなどに入っている球状のタピオカは、原料となるタピオカ粉と区別してタピオカパールと呼びます。また、タピオカに加工する前の刻んで乾燥したキャッサバをタピオカチップとも呼びます。

キャッサバのデンプンを加工して作るタピオカパールは、本来デンプンと同じ白色ないし透明です。近年人気のスイーツなどに利用される黒色や茶色のタピオカパールはカラメルやブラウンシュガーなどで着色されたもの、カラフルなタピオカパールは着色料などで着色されたものです。なお、コンビニなどで購入できるタピオカドリンクの中には、タピオカの代用品としてこんにゃくを使用したものも多くありますが、タピオカとこんにゃくは原料も食感も全く異なります。

タピオカの原料であるキャッサバは、キントラノオ目トウダイグサ科イモノキ属の熱帯低木です。外見はサツマイモと長いもを合わせたような見た目をしており、表面は固い皮で覆われています。世界のほとんどの熱帯地域で栽培されており、特にアフリカ地域ではトウモロコシに次ぐ第2の主食として重宝されています。

近年はタピオカドリンクに用いられるタピオカパールの原料としてのイメージが強いですが、戦後の食糧難の時代には、主食用として日本でもキャッサバが栽培されていました。また2019年時点の全世界における生産量は3億356万トンで、主食にするイモ類第1位のジャガイモの生産量3億7043万トンに次いで第2位となっています。

キャッサバの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

タピオカの種類

タピオカパールには、さまざまな色・サイズのものがあり、それぞれ白いものはホワイトタピオカ、黒いものはブラックタピオカ、カラフルなものはカラータピオカなどと呼ばれます。しかし原料は同じキャッサバのため、基本的に味に違いはありません。

市販されているタピオカパールは乾燥タピオカと生タピオカがあり、乾燥タピオカは水に一晩つけて茹でると、タピオカドリンクに入っているぷるぷるもちもちとした生タピオカになります。

もどした乾燥タピオカは、冷凍することで多少日持ちさせることが可能です。

タピオカに含まれる成分・栄養素

タピオカ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

タピオカの主成分はでん粉で、タンパク質やビタミン、ミネラルといった各種必須栄養素はほとんど含まれていません。主食として食べられているだけあって、カロリーは非常に高いですが、それだけに食べ過ぎには注意したほうが良いでしょう。

もう一点注意したいのが、ビタミンCや食物繊維もほとんど含まれていないという点です。タピオカの原料であるキャッサバにはもともとビタミンCや食物繊維が含まれていますが、キャッサバを原料とするキャッサバでん粉にはそれらの栄養素は含まれていません。

ネット上の一部情報では、原料のキャッサバにビタミンCや食物繊維が含まれていることを理由に、タピオカも健康によいと喧伝するものがあります。しかしこれは、「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとにした下記表を見る限り、誤りと考えたほうがよさそうです。

食 品 名単位キャッサバでん粉タピオカパール 乾タピオカパール ゆで
廃 棄 率%000
エネルギーkJ15101494260
kcal35435261
水 分g14.211.984.6
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g---
たんぱく質g0.100
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g---
コレステロールmg000
脂質g0.20.2Tr
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g-93.8--
g*
利用可能炭水化物(質量計)g-85.3--
差引き法による利用可能炭水化物g85.387.415.1
**
食物繊維総量g00.50.2
糖アルコールg---
炭水化物g85.387.815.4
有機酸g---
灰分g0.20.1Tr
無機質ナトリウムmg15Tr
カリウムmg48121
カルシウムmg28244
マグネシウムmg530
リンmg681
mg0.30.50.1
亜鉛mgTr0.10
mg0.030.010
マンガンmg0.090.130.01
ヨウ素μg---
セレンμg---
クロムμg---
モリブデンμg---
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg000
α|カロテンμg-00
β|カロテンμg-00
β|クリプトキサンチンμg-00
β|カロテン当量μg000
レチノール活性当量μg000
ビタミンDμg000
α-トコフェロールmg-00
β-トコフェロールmg-00
γ-トコフェロールmg-00
δ-トコフェロールmg-00
ビタミンKμg000
ビタミンB1mg000
ビタミンB2mg000
ナイアシンmg000
ナイアシン当量mgTr00
ビタミンB6mg000
ビタミンB12μg000
葉 酸μg000
パントテン酸mg000
ビ オ チ ンμg---
ビタミンCmg000
アルコールg---
食塩相当量g0Tr0
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

タピオカの効果・効能

タピオカに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

糖質ですばやいエネルギー補給

糖質は、タンパク質・脂質と並ぶ三大栄養素のひとつです。エネルギー源として利用される栄養素で、不足すると疲労感や判断力の低下などを招きます。

タピオカの原料であるでん粉は糖質の一種で、脂質やタンパク質に比べて代謝が速いことから即効性の期待できるエネルギー源でもあります。世界中で主食として利用される由縁はこの糖質にあると言えるでしょう。

取りすぎると中性脂肪として蓄積され、肥満や糖尿病などにつながることから制限される傾向にあります。しかし糖質を極端に制限すると、タンパク質がエネルギー源として利用されるため、筋肉量の減少につながりかえって太りやすい体を作ることになりかねません。

糖質の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法 | NANIWA SUPLI MEDIA

難消化性再結晶アミロースが糖の吸収抑制や便秘解消に効果

タピオカのでん粉には、通常のでん粉と異なり「難消化性再結晶アミロース」と呼ばれる成分が含まれているといいます。

難消化性再結晶アミロースは、名前の通り消化されにくい性質をもつことから、糖質として吸収されにくく、その結果、食事のあとにみられる血糖値の急激な上昇が抑えられると考えられています。

糖尿病の予防・改善におすすめの血糖値を下げる食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA

便秘の予防・解消におすすめの食べ物・飲み物【食物繊維・有機酸】 | NANIWA SUPLI MEDIA

タピオカの保存方法

シロップ漬けなどの生タピオカは、開封した後は日持ちしないのですぐに食べきるようにしてください。

乾燥タピオカは、未開封の場合は直射日光の当たらない冷暗所で、開封後は密閉容器に入れて同じく冷暗所で保管しましょう。

ゆで戻した乾燥タピオカは日持ちしないので、冷蔵保存の場合は早めに食べきること。食べきれない分は、ラップなどで1食分ずつを小分けして冷凍すれば2週間程度保存が効きます。使うときは500Wの電子レンジで30秒から40秒ほど温めてから使います。

参考文献

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