マーガリンの栄養と効果効能・調理法・保存法

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margarine

マーガリンの原料や歴史などの基本情報、バターなどの似た食品との違い、マーガリンに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない食べ方や保存法などを紹介します。

マーガリンとは

マーガリン(margarine)とは、食用油脂に発酵乳や食塩などを加えて乳化させた加工食品です。乳化とは、分離しやすい油と水を混ぜ合わせて、均一にすることを指します。原料をよく撹拌したり、乳化剤を加えたりすることで、乳化が起こって滑らかなマーガリンになります。

マーガリンに使用される食用油脂は、パーム油・ヤシ油・大豆油・なたね油・コーン油などの植物性油脂や、魚油や牛脂などの動物性油脂です。

マーガリンが誕生したのは、1869年のフランスでした。当時、隣国との戦争によってバターが不足していたフランスは、牛脂と牛乳を使ったバターの代用品を発明します。このバターの代用品が、のちのマーガリンです。

マーガリンは、フランスからヨーロッパ、アメリカへと広がり、明治時代に日本に伝えられました。日本では、人工的に作ったバターという意味で人造バターと呼ばれ、バターよりも安価で手に入れやすいことから、一般市民に広く普及しました。

バターとマーガリンの違い

バターとマーガリンは、見た目・用途ともに似ています。バターとマーガリンの大きな違いは、使用される油(脂)の種類です。

マーガリンは植物性油脂を使用するのに対し、バターは牛乳の脂肪分だけを使用します。そのため、バターはより濃厚な味わいが特徴です。

バターはマーガリンよりも歴史が古く、紀元前2000年ごろからバターの原型ができていたと記録されています。当時は食用ではなく、美容や医療に使用されていましたが、紀元前60年ごろからは食品として食べられるようになりました。

ショートニングとマーガリンの違い

ショートニングとは、マーガリンと同様に植物の油を原料に作られた食用固形油脂です。水と添加物が含まれず、ほとんどが油脂成分のため、マーガリンのような味はしません。パンやお菓子などに添加することで、口あたりをよくする効果があります。

マーガリンはバターの代用品として生まれましたが、ショートニングはラードの代用品でした。19世紀に、動物性油脂のラードの代わりに植物性油脂で代用したのが、ショートニングの始まりです。

マーガリンの分類

スーパーマーケットに並んだマーガリンには、ファットスプレッドと名前のついた種類があります。ファットスプレッドもマーガリンの1種です。マーガリンとファットスプレッドの違いについて解説します。

マーガリン

原料のうち、含まれる油脂が80%以上のものをマーガリンと呼びます。JAS規格により、油分の含有量によって名称を定められているため、商品名が異なります。

マーガリンはファットスプレッドに比べて含まれる油脂が多く、カロリーが高いのがデメリットです。

ファットスプレッド

ファットスプレッドとは、マーガリンのうち油脂が80%未満のものです。油脂が少ないため、マーガリンよりもカロリーが低く、柔らかいというメリットがあります。

また、ファットスプレッドは、マーガリンには認められていない風味原料の添加が認められています。風味原料とは、風味をつけるための果実やチョコレートなどの原料です。

マーガリンに含まれる成分・栄養素

マーガリン100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

マーガリンには脂質が多く含まれますが、似たような用途に使われるバターと同程度です。マーガリン100gに含まれるコレステロールは約5mgで、バター100gのコレステロール量210mgと比べて42分の1。マーガリンに使用される植物性油脂にはコレステロールが少なく、バターに使われる動物性油脂に多く含まれるからです。

また、マーガリンにはβ-カロテンが豊富に含まれています。β-カロテンとは、植物の色素成分で、体内でビタミンAに変換される栄養素です。

食 品 名単位マーガリン 家庭用 有塩マーガリン 家庭用 無塩マーガリン 業務用 有塩マーガリン 業務用 無塩ファットスプレッドショートニング 家庭用ショートニング 業務用 製菓ショートニング 業務用 フライ有塩バター食塩不使用バター発酵バター
廃 棄 率%00000000000
エネルギーkJ29392939304630462383365436253645288029642938
kcal715715740740579889881886700720713
水 分g14.714.714.814.830.20.1Tr0.116.215.813.6
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g0.40.40.10.5-0.4-0.5
たんぱく質g0.40.40.30.30.20000.60.50.6
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g78.978.980.380.364.197.896.397.374.57774.6
コレステロールmg55554444210220230
脂質g83.183.184.384.369.199.999.999.9818380
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g0.90.90.60.6-0.6
g***
利用可能炭水化物(質量計)g0.80.80.60.5-0.6
差引き法による利用可能炭水化物g4.74.74.14.14.52.23.62.76.86.39.9
********
食物繊維総量g00000000000
糖アルコールg
炭水化物g0.50.50.10.100000.20.24.4
有機酸g
灰分g1.31.30.50.51.200020.51.4
無機質ナトリウムmg500(Tr)490(Tr)42000075011510
カリウムmg2727272717000282225
カルシウムmg141414148000151412
マグネシウムmg22222000222
リンmg1717171710000151816
mgTrTrTrTrTr0000.10.40.4
亜鉛mg0.10.10.10.1Tr0000.10.10.1
mgTrTrTrTrTr000Tr0.010.01
マンガンmgTrTrTrTrTr00000.010.01
ヨウ素μg2222100023
セレンμg11110000TrTr
クロムμg0000TrTrTrTr10
モリブデンμg2222100033
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg00000000500780760
α|カロテンμg1212Tr21
β|カロテンμg290290290290380190190
β|クリプトキサンチンμg00063
β|カロテン当量μg300300290290380000190190180
レチノール活性当量μg2525242431000520800780
ビタミンDμg111111111.10.10.10.10.60.70.7
α-トコフェロールmg15151515169.59.59.51.51.41.3
β-トコフェロールmg0.70.70.70.70.70.10.10.1000
γ-トコフェロールmg37373636211212120.10.10.1
δ-トコフェロールmg6.26.26.26.25.7555000
ビタミンKμg5353535371666172430
ビタミンB1mg0.010.010.010.010.020000.0100
ビタミンB2mg0.030.030.030.030.020000.030.030.02
ナイアシンmgTrTrTrTrTr0000Tr0
ナイアシン当量mg0.10.1(Tr)0.1Tr0000.1-0.1-0.1
ビタミンB6mg00000000TrTr0
ビタミンB12μg000000000.10.10.1
葉 酸μgTrTrTrTrTr000Tr11
パントテン酸mgTrTrTrTrTr0000.060.080
ビ オ チ ンμg0.20.20.20.20.10000.40.3
ビタミンCmg00000000000
アルコールg
食塩相当量g1.301.301.10001.901.3
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

マーガリンの効果・効能

マーガリンに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

リノール酸がコレステロールを下げる

リノール酸とは、血中のコレステロールを下げる働きを持つ多価不飽和脂肪酸の1種です。大豆油やコーン油、ごま油、ひまわり油などの植物油に多く含まれています。

リノール酸には、心筋梗塞の発症率を下げるとの報告もあり、冠動脈疾患の予防に効果があることが示唆されています。一方、過剰な摂取により善玉コレステロールも下げるため、摂取量に注意が必要です。

飽和脂肪酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

α-リノレン酸で高血圧予防

α-リノレン酸とは、リノール酸と同じ多価不飽和脂肪酸の仲間で、植物油に多く含まれる栄養素です。

α-リノレン酸には、血中の悪玉コレステロールを下げ、善玉コレステロールに変える働きがあります。そのため、血圧を低下や血栓予防など、循環器疾患に一定の効果があると予想されていますが、厚生労働省では両者の相関は弱いと判断しています。

高血圧の予防・改善におすすめの血圧を下げる食べ物|NANIWA SUPLI MEDIA

β-カロテンが老化を防ぐ

β-カロテンとは、植物が持つ色素成分・カロテノイドの1種です。人間の体内で、ビタミンAになる前の前駆体として働きます。

ビタミンAは、目や皮膚、粘膜を保護し、正常に保つ機能を持ちます。また、体内に蓄積して老化の原因となる活性酵素を除去することも、ビタミンAの働きの1つです。

β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

マーガリンの食べ方

マーガリンの栄養素を損なわない食べ方などを解説します。

マーガリンの多彩な使い方

マーガリンの食べ方は、パンに塗るだけではありません。食塩入りのマーガリンは料理に、無塩マーガリンはお菓子作りに使えます。

バターほどの濃厚さはありませんが、バターを切らしたときの代用品としても使用可能です。また、植物油脂からできているため、サラダ油の代わりに炒め物にも使えます。

近年は、バター風味のマーガリンが販売され始めました。通常のマーガリンよりもバターに近い味で、安価なのが特徴です。マーガリンが1つあるだけで、パンにも料理にも使えるため、バターや油を使いきれない一人暮らしで役立ちます。

マーガリンに含まれるトランス脂肪酸について

マーガリンに多く含まれるトランス脂肪酸は、血中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすとの報告があります。そのため、マーガリンは身体によくないイメージがあるかもしれません。

しかし、トランス脂肪酸が生活習慣病のリスクとなるのは、過剰な摂取によるものです。WHOでは、トランス脂肪酸の摂取量は総エネルギー摂取量の1%以下にするよう勧告しています。

農林水産省によると、日本人が摂取するトランス脂肪酸の1日平均量は、0.92~0.96g(総エネルギー摂取量0.44~0.47%)と推定されています。また、食品安全委員会の評価では、トランス脂肪酸の摂取量は、平均総エネルギー摂取量の約0.3%です。

どちらもWHOが勧告する量を下回るため、日本人の食事では、トランス脂肪酸の摂取が健康に影響を与えるリスクは低いと判断しています。よって、マーガリンの過剰摂取は避ける必要があるものの、通常量を食べる分には健康に大きな影響はないと考えられます。

マーガリンの保存方法

マーガリンの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

マーガリンについているシートはそのまま使用

マーガリンの蓋を開けると、薄いシートが表面に被さっています。このシートには、マーガリンの風味が飛ぶことを防ぐ役割があります。開封後は外しても問題ありませんが、シートをつけたまま使用するのがおすすめです。

シートを捨ててしまったり、汚れてしまったりしたら、ラップでの代用も可能です。

マーガリンは室温保存すると分離しやすい

マーガリンは冷蔵保存が基本で、開封後は2週間程度で使い切りましょう。長く保存するとカビが生えることがあります。

また、室温・冷凍で保存すると、水と油脂が分離してしまいます。必ず10℃以下の冷蔵庫で保存しましょう。

ファットスプレッドはマーガリンよりも保存に注意

マーガリンよりも油脂の少ないファットスプレッドは、その分だけ水分など他の成分含有量が多いのが特徴です。そのため、マーガリンよりも痛みやすくカビが生えやすいため、冷蔵保存をして早めに消費しましょう。

参考文献