米麹の栄養と効果効能・調理法・保存法

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malted rice

米麹の歴史や種類などの基本情報、似た食品との違い、米麹に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

米麹とは

米麹(malted rice)とは、原料となる米に麹菌を植え付けて、繁殖させた発酵食品です。

麹菌はカビの1種で、味噌や醤油、日本酒などの食品を作るときに欠かせません。麹菌が米を栄養として分解・発酵すると、うま味や甘味の成分が増えることから、古くから食事に利用されるようになりました。

そもそも麹とは、蒸した穀物に麹菌を繁殖させたものを指します。麹の製造に使われる穀類には、米・麦・大豆などがあります。麹は、紀元前から世界各地で用いられていたとされ、日本へは弥生時代から奈良時代に中国から伝わりました。

麹を「糀」と書くことがありますが、「糀」は一般的に米麹を意味する漢字です。日本では、米を蒸して麹菌を繁殖させた様子が、花が咲くように見えたことから、「糀」の漢字が使われるようになったと考えられています。

麹の種類

麹は製品によって、原料の穀類を使い分けます。3種類の麹について解説します。

米麹

米麹は、甘酒や味噌、日本酒、みりんなどの原料となる麹です。

米麹から作られる味噌を米味噌と呼びます。調味料として注目される塩麹も、その多くが米麹から作られています。

麦麹

麦麹は麦を原料とした麹で、味噌や焼酎を作るときに使われます。

米麹よりも香りが豊かで、甘味の少ないあっさりとした味が特徴です。米麹とは違った風味が楽しめるため、麦麹を塩麹の原料として使うこともあります。

豆麹

豆麹は、大豆と塩で作られ、大豆のうま味が強い麹です。

八丁味噌などの豆味噌だけでなく、米味噌や麦味噌にも豆麹が入っています。コチュジャンの原料としても使われます。

米麹の種類

市販の米麹には、生米麹と乾燥米麹の2種類があります。

生米麹

生米麹とは、作ってそのままの状態の米麹です。水分を含んだままなので、長期保存ができず、劣化しやすいデメリットがあります。

乾燥米麹より麹菌が活発で、麹の香りが強いのが特徴です。水で戻す必要はなく、そのまま使えるので手間がかかりません

乾燥米麹

乾燥米麹とは、米麹を乾燥させてほぐした状態の製品です。

生米麹よりも麹の香りが弱いので、麹の独特のにおいが苦手な人は乾燥米麹を使うとよいでしょう。乾燥米麹を使うときは、水で戻す必要があります。

米麹に含まれる成分・栄養素

米麹100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

米から作られる米麹は、炭水化物がたっぷりと含まれています。砂糖による味付けではなく、天然のブドウ糖であるため、自然な甘味が特徴です。

米麹はミネラルやビタミンを多く含み、特にビタミンB群を豊富に含んでいます。ビタミンは、水に溶けて体外に排出されやすい水溶性ビタミンと、体内にとどまりやすい脂溶性ビタミンの2つに分類されます。

米麹に多く含まれるビタミンB群は水溶性ビタミンのため、摂りすぎても身体への影響が小さいのが特徴です。ビタミンB群は、主に補酵素と呼ばれる体内活性物質として働き、身体を維持する役割をしています。

食 品 名単位米こうじ
廃 棄 率%0
エネルギーkJ1106
kcal260
水 分g33
たんぱく質アミノ酸組成によるたんぱく質g4.6
たんぱく質g5.8
脂質脂肪酸のトリアシルグリセロール当量g1.4
コレステロールmg0
脂質g1.7
炭水化物利用可能炭水化物(単糖当量)g60.3
g*
利用可能炭水化物(質量計)g55.9
差引き法による利用可能炭水化物g59.3
食物繊維総量g1.4
糖アルコールg
炭水化物g59.2
有機酸g
灰分g0.3
無機質ナトリウムmg3
カリウムmg61
カルシウムmg5
マグネシウムmg16
リンmg83
mg0.3
亜鉛mg0.9
mg0.16
マンガンmg0.74
ヨウ素μg0
セレンμg2
クロムμg0
モリブデンμg48
ビ タ ミ ンレチノール(ビタミンA)μg0
α|カロテンμg
β|カロテンμg
β|クリプトキサンチンμg
β|カロテン当量μg0
レチノール活性当量μg0
ビタミンDμg0
α-トコフェロールmg0.2
β-トコフェロールmg0
γ-トコフェロールmg0
δ-トコフェロールmg0
ビタミンKμg0
ビタミンB1mg0.11
ビタミンB2mg0.13
ナイアシンmg1.5
ナイアシン当量mg2.8
ビタミンB6mg0.11
ビタミンB12μg0
葉 酸μg71
パントテン酸mg0.42
ビ オ チ ンμg4.2
ビタミンCmg0
アルコールg
食塩相当量g0
備 考
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2020年版(八訂)

米麹の効果・効能

米麹に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

モリブデン:鉄の代謝を促進

モリブデンは、炭水化物・脂質の代謝や有害物質の除去に働くミネラルの1種です。

尿の生成過程で必要なミネラルで、途中で生成された有害物質を排泄するときにもモリブデンが活躍します。また、鉄の代謝を助ける働きもあるため、鉄不足の人が積極的に摂取したい栄養素です。

モリブデンが不足すると、脳の萎縮や痙攣などが起こるリスクがあります。一般的に、通常の食事で不足することはないと考えられています。

モリブデンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

ビオチン:皮膚の炎症を抑える

ビオチンは、皮膚や髪を構成するコラーゲンなどの材料となる、ビタミンB群の1つです。

タンパク質や炭水化物、脂質の代謝をサポートする補酵素として働きます。食事を効率よく代謝するために必要な栄養素です。

さらに、ビオチンは抗炎症作用もあります。皮膚の炎症を引き起こすヒスタミンの増加を抑制し、皮膚を健康に保つ役割をしています。

ビオチンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

パントテン酸:ストレスを和らげるホルモンの合成に関与

パントテン酸は、エネルギー産生に働きかけるビタミンB群の仲間です。

食品中には、コエンザイムAの形で含有されており、消化管でパントテン酸に分解されて吸収されたあと、肝臓で再びコエンザイムAになります。パントテン酸は、ホルモンの合成に関与する栄養素で、ストレスを和らげるホルモンの合成に関与します。

パントテン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA

葉酸:造血機能を正常に保つ

葉酸は、細胞の遺伝子を合成するときに、補酵素として働くビタミンB群の1つで、細胞の増殖に関与するため、妊娠中の女性や新生児に必要不可欠な栄養素です。

赤血球の合成にも関与するため、造血機能を正常に保つのに役立っています。また、動脈硬化のリスク因子であるホモシステインの増加を、抑える効果を持つと考えられています。

葉酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA

米麹の食べ方

米麹の栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。

塩麹の作り方と食べ方

塩麹とは、麹と塩から作られる調味料の1つです。

米麹100gに対して、食塩を35g、水100g程度を用意し、混ぜ合わせて塩麹を作ります。1日1回混ぜる作業が必要ですが、2週間程度で塩麹の完成です。

塩麹には、うま味をアップしたり、肉を軟らかくしたりする効果があります。唐揚げやサラダチキン、炒め物にも使えるため、下味をつけるときの調味料として重宝します。

醤油麹の作り方と食べ方

醤油麹とは、麹を醤油に漬けて発酵させた調味料の1種です。

生米麹100gに対しては醤油を同量、乾燥米麹を使うときは倍量の醤油を混ぜ合わせます。塩麹と同様に毎日混ぜ、醤油が少なくなったら継ぎ足して、2週間程度で完成します。

下味をつけるための塩麹とは異なり、醤油麹は料理の味をつけるために、後から使用する調味料です。そのまま和え物の味付けにしたり、サラダのドレッシングとして使ったりと、幅広い料理に使えます。

酒粕甘酒と米麹甘酒の違い

甘酒は、米麹や酒粕から作られる飲み物です。米麹から作られる甘酒を「米麹甘酒」、酒粕から作られたものを「酒粕甘酒」と呼びます。

日本酒を製造するときの搾りかすである、酒粕を使う酒粕甘酒とは異なり、米麹甘酒は、米麹とお米、水で作られています。酒粕の独特の風味が苦手な人でも飲みやすいことが、米麹甘酒の特徴です。

また酒粕甘酒の甘味は砂糖によるものなのに対し、米麹甘酒の甘味はお米の炭水化物を利用しています。そのため、より自然な甘味になり、余計な砂糖が入っていないことも、米麹の魅力です。

米麹を自宅で作るときの注意点

米麹を自宅で作るときや、塩麹・醤油麹を作る際には、周囲の雑菌が入らないように注意しましょう。

麹菌以外の雑菌が入ってしまうと、痛む原因になります。米麹を作るときに使う器具は、煮沸するなどして殺菌してから使いましょう。

米麹の保存方法

米麹の栄養素を損なわない保存方法を解説します。

生米麹は早めに使い切る

生米麹は水分を多く含んでいるため、傷みやすいのが特徴です。できるだけ早く使い切りましょう。

冷蔵庫で生米麴を保存するなら2週間程度、冷凍庫なら3か月程度が、栄養素を損なわずにおいしく食べられる期間です。自作した塩麹や醤油麹も同様に、早めに使い切るようにしましょう。

乾燥米麹も夏場の保管方法に注意

乾燥米麹は、水分を含まないため、生米麹よりも長期間の保存が可能です。一般的に3か月~1年程度の賞味期限が設定されています。

涼しい季節は常温保存ができますが、夏場は傷みやすいため、冷蔵保存するとよいでしょう。

参考文献