きんかんの栄養と効果効能・調理法・保存法

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きんかんの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、きんかんに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

きんかんとは

きんかん(金柑/kumquat)とは、ミカン科キンカン属の木になる果実です。みかんやレモンなど他の柑橘類と違い、皮が薄いため丸ごと食べることができます。

きんかんの原産地は中国とされており、江戸時代に中国船によって静岡県に伝わってきました。現在、国内では主に宮崎県や鹿児島県、熊本県など暖かい気候の地域で生産されています。

きんかんは温室栽培のものと露地ものがあり、温室栽培のきんかんは11月末ごろ、露地もののきんかんは1〜3月ごろに旬を迎えます。

きんかんの品種・種類

きんかんの代表的な品種を紹介します。

寧波きんかん

寧波きんかん(ネイハキンカン、ニンポウキンカン)は、江戸時代から日本に伝わった際の品種です。形は楕円形で重さは12〜16gほどで、生食のほかにジャムなどの加工にも用いられます。甘みが強いのが特徴です。

完熟きんかん「たまたま」

完熟きんかん「たまたま」は、宮崎県のブランドきんかんです。2010年に「たまたま」と命名される前は「丸かじり」という呼称で出荷されていました。

温室で栽培され、糖度16度以上(メロン並みの甘さ)と甘みが非常に強く、特に大粒のものは皮が柔らかく食べやすいのが特徴です。

完熟きんかん「たまたまエクセレント」

完熟きんかん「たまたまエクセレント」は、完熟きんかん「たまたま」と同様に宮崎県のブランドきんかんです。

違いは、糖度が18度以上(ぶどう並)という点と、直径が3.3mm以上の2Lサイズであることです。

春姫

春姫は鹿児島県産のきんかんです。木になったまま完熟させるため、実が大きいのが特徴です。

糖度が16度以上、大きさがLサイズ(2.8mm~3.3 mm)以上、濃いオレンジ色といった厳しい基準をクリアしたものだけが出荷されます。

きんかんに含まれる成分・栄養素

きんかん100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位きんかん 全果 生みかん 生オレンジ ネーブル 生
廃 棄 率%62535
エネルギー(kcal)kcal/100 g714546
エネルギー(kJ)kJ/100 g297188192
水 分g/100 g80.887.486.8
たんぱく質g/100 g0.50.70.9
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g--0.40.5
脂 質g/100 g0.70.10.1
トリアシルグリセロール当量g/100 g0.3(Tr)-0.1
飽和脂肪酸g/100 g0.09-0.01-0.01
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.06-0.02-0.02
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.18-0.01-0.02
コレステロールmg/100 g000
炭水化物g/100 g17.511.511.8
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-9.88.3
水溶性食物繊維g/100 g2.30.20.4
不溶性食物繊維g/100 g2.30.20.6
食物繊維総量g/100 g4.60.41
灰 分g/100 g0.50.30.4
ナトリウムmg/100 g211
カリウムmg/100 g180150180
カルシウムmg/100 g801524
マグネシウムmg/100 g19109
リンmg/100 g121522
mg/100 g0.30.10.2
亜鉛mg/100 g0.10.10.1
mg/100 g0.030.030.06
マンガンmg/100 g0.110.050.06
ヨウ素µg/100 g-Tr0
セレンµg/100 g-00
クロムµg/100 g-00
モリブデンµg/100 g-Tr0
レチノールµg/100 g000
α-カロテンµg/100 g003
β-カロテンµg/100 g2819023
β-クリプトキサンチンµg/100 g2001800210
β-カロテン当量µg/100 g1301100130
レチノール活性当量µg/100 g119211
ビタミンDµg/100 g000
α-トコフェロールmg/100 g2.60.40.3
β-トコフェロールmg/100 g000
γ-トコフェロールmg/100 g0.200
δ-トコフェロールmg/100 g000
ビタミンKµg/100 g000
ビタミンB1mg/100 g0.10.090.07
ビタミンB2mg/100 g0.060.030.04
ナイアシンmg/100 g0.60.30.3
ビタミンB6mg/100 g0.060.050.06
ビタミンB12µg/100 g000
葉酸µg/100 g202234
パントテン酸mg/100 g0.290.230.28
ビオチンµg/100 g-0.40.6
ビタミンCmg/100 g493360
食塩相当量g/100 g000
アルコールg/100 g---
硝酸イオンg/100 g---
テオブロミンg/100 g---
カフェインg/100 g---
タンニンg/100 g---
ポリフェノールg/100 g---
酢酸g/100 g---
調理油g/100 g---
有機酸g/100 g--0.9
重量変化率%---
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

きんかんの効果・効能

きんかんに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

ビタミンC

きんかんはビタミンCを多く含んでいます。みかんのおよそ1.5倍の含有量です。

ビタミンCは、骨・皮膚・血管・歯などをつくる上で必須のコラーゲンの生成を助ける働きがあり、肌にハリを与えてシワを予防したり、傷の治りを早くしたりする効果があります。

また、強い抗酸化作用があり、活性酸素を除去して老化を遅らせる、免疫力を高めて風邪などの感染症を予防する、といった効果を発揮します。

シミや日焼け、そばかすの原因となる皮膚のメラニン色素生成を抑制して、美肌・美白を助けるという美容面で嬉しい効果もあります。

ヘスペリジン

きんかんの皮には、ヘスペリジンという成分が含まれています。

ヘスペリジンには、ビタミンCの吸収を助ける、毛細血管を強くする、毛細血管への血行を促進する、善玉コレステロールの数値を安定させて血中コレステロールを改善する、などの効果があります。

カルシウム

果物の中では珍しく、きんかんはカルシウムを豊富に含んでいます。きんかんのカルシウム含有量は、オレンジの3.5倍、みかんの5倍ほどです。

カルシウムは骨や歯の形成に大きく関わるミネラルで、骨や歯を丈夫にして骨折予防に効果を発揮します。

そのほかにも、皮膚や粘膜を健康に保つ、出血を止める、神経の情報伝達や筋肉の働きを正常に保つ、精神を安定させる、ホルモン分泌を調節する、などの効果があります。

食物繊維

きんかんには、水溶性と不溶性の2つの食物繊維を含んでいます。

水溶性食物繊維とは、水に溶けやすい性質を持っており、便を柔らかくして出しやすくする働きを持つ食物繊維です。また、乳酸菌などの善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える働きがあります。

不溶性食物繊維は、便のカサを増やし、腸を刺激することで腸のぜん動運動を促します。その結果、便秘の予防や解消につながります。

きんかんの食べ方

きんかんは皮が薄いため、そのまま食べることができます。

その他の柑橘類と違い、きんかんは皮に強い甘みがあり、またビタミンCをはじめとした栄養も多く含まれているため、皮を剥かずに食べ方がより効果的に栄養を摂取することができます。

水洗いしてからまるかじりするのも良いですが、中に種があるので、気になる方は半分にカットして種を取り除いてから食べるのが良いでしょう。

きんかんの保存方法

きんかんの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

常温保存

きんかんは寒い時期であれば常温保存することができます。暖房がきいていない場所に置いておきましょう。常温での保存期間は約1週間です。

冷蔵保存

気温が高い季節や室温が高い場合は冷蔵保存します。乾燥しないようにきんかんを保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。冷蔵保存の期間は約2週間です。

冷凍保存

生のみずみずしい食感や風味は失われてしまいますが、もう少し長持ちさせたい場合は冷凍保存が良いでしょう。

まず、きんかんを水洗いし、キッチンペーパーなどで丁寧に水気を拭き取ります。爪楊枝でヘタを取ってからきんかんを半分に切り、種を取り除きます。いくつかをまとめてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。

冷凍での保存期間は約1ヶ月です。

解凍方法

冷凍したきんかんを解凍する際は、10分ほど常温で置いておきます。完全に解凍された状態だと水っぽくなるので、気になる人は半解凍の状態で食べるのが良いでしょう。

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