アレルギーの予防・改善におすすめの食べ物・飲み物
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アレルギーの症状や定義、原因について解説したうえで、アレルギーの予防・改善に役立つ抗アレルギー作用のある食べ物や飲み物を紹介します。
アレルギーとは
アレルギーとは、身体を守るために働く免疫機能が、過剰に作用して起こる反応です。本来は正しく働くはずの免疫が、アレルギーの原因物質・アレルゲンによる過剰反応で、病的な症状を引き起こします。
アレルギーは、反応の作用機序によって、4つ(あるいは5つ)に分類されます。そのうち、アレルゲンが原因となるのはⅠ型アレルギーです。Ⅰ型アレルギーは、即時型アレルギーとも呼ばれ、他のアレルギー型よりも比較的速く症状が起こります。
アレルギー反応がより重症となった病態を、アナフィラキシーショックといいます。アナフィラキシーショックの作用機序も、Ⅰ型アレルギーと同じです。
アレルギーの症状
アレルギーの症状は、特に鼻・呼吸器・目などの粘膜や皮膚に表れます。主な症状は、次のとおりです。
- 鼻水・鼻づまり
- くしゃみ
- 呼吸困難
- 目のかゆみ・充血
- 蕁麻疹
- 皮膚のかゆみ
アレルギー性の鼻水は、風邪などで見られる黄色い鼻水ではなく、水のような無色透明で、さらさらとしているのが特徴です。皮膚の症状には、蕁麻疹やかゆみの他に、皮膚が赤くなったり腫れたりすることもあります。
アレルギーが起こる仕組み
人間の身体は、外部から異物が侵入するのを防ぐシステムとして、免疫機能を持っています。侵入してきた異物を感知して、排除するのが免疫反応です。異物を排除するときに、細胞がケミカルメディエーターと呼ばれる物質を放出し、これが過剰に働くことでⅠ型アレルギーが起こります。
ケミカルメディエーターには、ヒスタミンやロイコトリエン、プロスタグランジンがあり、気道収縮や炎症反応の亢進、血管拡張などの作用を引き起こします。これらの作用により、呼吸困難やかゆみ・腫れなどの炎症といった症状が起こる仕組みです。
アレルギーの原因
アレルギーの原因となるアレルゲンは、食べ物や花粉、薬物などがあります。
食物アレルギー
食物アレルギーとは、食べ物に含まれる成分にアレルギー反応を起こす疾患です。特に、次の食べ物は特定原料と呼ばれ、重いアレルギー症状を引き起こす恐れがあるとされています。
- 鶏卵
- 牛乳
- 小麦
- ピーナッツ
- そば
- 甲殻類
上記以外にも、魚卵や果物、大豆などアレルゲンとなりうる食べ物は多くあります。
しかし、すべての人でアレルギーが起こるわけではなく、体質や年齢によって反応の有無や症状の程度はさまざまです。
乳幼児期に強いアレルギー反応が見られても、大人になるにつれ症状がなくなることもあります。また、加齢によって免疫機能が後退するとアレルギー反応も弱くなると考えられています。
花粉アレルギー
花粉症は、スギ・ヒノキ・ブタクサなど植物の花粉に由来するアレルギーです。花粉症患者は年々増加しており、症状に悩まされている人も多いでしょう。
花粉症も他のアレルギーと同様に、花粉を異物と判断して体内から追い出そうとする反応により起こります。植物種により花粉が飛ぶ時期が決まっているため、症状は季節性です。ただし、飛ぶ時期が異なる複数の花粉にアレルギーがあると、年間をとおしてアレルギー症状がでる場合もあります。
ダニ・ハウスダストアレルギー
ダニアレルギーとは、ダニやダニの死骸や糞に対して起こるアレルギーです。ダニや、ダニの排泄する糞に含まれるタンパク質が、アレルゲンとして働きます。
ハウスダストアレルギーとは、ダニやフケ、カビなどほこりに含まれるアレルゲンになります。ダニ・ハウスダストアレルギーは、季節性の花粉症とは異なり、通年性であることが特徴です。
薬物アレルギー
薬物アレルギーとは、薬に含まれる成分に対して起こるアレルギー反応です。抗菌薬やホルモン剤、鎮痛剤、造影剤などの薬品でアレルギーが起こりやすいと考えられています。
薬物アレルギーも、他のアレルギーと同様の症状を起こしますが、薬物アレルギーによる皮膚炎を特別に薬疹(やくしん)と呼びます。
アレルギーの予防・改善に効果的な栄養素
アレルギーの予防・改善に効果的な栄養素について解説します。
免疫機能を制御するビタミンA
アレルゲンは鼻や目の粘膜、皮膚から侵入するため、アレルギー予防・改善には、皮膚や粘膜を健康に保つことが必要です。
ビタミンAには、皮膚や目を健康に保つ効果があるだけでなく、免疫機能を制御する役割もあります。ビタミンAは、過剰な免疫反応を抑制し、アレルギーを起こりにくくします。
ビタミンAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA
抗菌ペプチド産生に関与するビタミンD
ビタミンDには、免疫を正常に機能させ、アレルギー症状を緩和する作用があります。さらに、ビタミンDはカテリジンや、β-ディフェンシンといった抗菌ペプチドと呼ばれるタンパク質の産生を促進します。
カテリジンとβ-ディフェンシンは、皮膚のバリア機能を高める役割を持っているため、アレルギーによる皮膚症状を改善するのに効果的です。
ビタミンDの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA
抗アレルギー作用が期待されるポリフェノール
ポリフェノールとは、植物に由来する色素や苦味成分です。ポリフェノールには抗酸化作用があり、老廃物である活性酵素を除去し、免疫機能を維持する効果があります。
また、ポリフェノールは炎症を抑える効果もあり、アレルギーを引き起こすヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターの放出を抑制します。
ポリフェノールの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
アレルギーの予防・改善におすすめの食べ物・飲み物
アレルギーの予防・改善に効果的な食べ物・飲み物について解説します。
ヨーグルト
ヨーグルトは、ビフィズス菌に代表される乳酸菌を多く含む食べ物です。腸内環境を整えるのに役立つ微生物を総称したものを、乳酸菌と呼びます。ヨーグルトには、腸内環境を改善し、免疫機能を正常に保つ効果があります。
また、ヨーグルトに含まれる乳酸菌には、アレルギー症状の引き金となる炎症反応を、抑制する効果があることが報告されています。抗アレルギー作用のある食べ物として、期待が高まる食べ物です。
ヨーグルトの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
れんこん
れんこんには、粘膜を保護する効果があり、アレルギー予防や完全に効果的と考えられています。れんこん特有のねばねばをムチンと呼び、これが粘膜強化に役立つ成分です。
また、れんこんは食物繊維も豊富で、腸内環境を整える効果があります。アレルギーが悪化する原因として、腸内環境の乱れが考えられているため、れんこんに含まれる食物繊維はアレルギーの改善に役立ちます。
れんこんの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
キノコ類
キノコ類には、免疫機能を制御するのに効果的なビタミンDが多く含まれています。ビタミンDは、特にエリンギやまいたけに豊富に含まれ、アレルギーの予防効果が期待されます。
また、キノコ類はビタミンDだけでなく、ビタミンB群も豊富な食べ物です。ビタミンB群のなかでも、ビタミンB6は抗アレルギー作用を持っているとされるため、キノコ類はアレルギーを予防・改善する効果があると考えられています。
まいたけの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
エリンギの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
緑茶・烏龍茶
緑茶や烏龍茶は、ポリフェノールを豊富に含む飲み物です。ポリフェノールにはさまざまな種類があり、緑茶や烏龍茶に含まれるのはフラボノイドやカテキン、タンニンといったポリフェノールが多く含まれます。
フラボノイドには、アレルギーの原因となる炎症反応を抑制する効果があり、抗アレルギー作用が期待されています。また、茶葉に含まれるメチル化カテキンは、アレルギーを引き起こすヒスタミンの放出を抑制する栄養素です。
烏龍茶の栄養と効果効能・入れ方・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
アレルギーの予防・改善に効果的な生活習慣
アレルギーを予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。
アレルゲンを減らす
アレルギーを予防・改善するには、まずは原因となるアレルゲンを減らしましょう。症状を引き起こしているアレルゲンがわかっているなら、原因物質を除去します。
食物アレルギーが酷い人では、同じ空間にアレルゲンがあるだけで症状を引き起こすことがあります。また、自分は食べないからと、家族用に対象の食べ物を調理するときも注意しましょう。摂取しないように気を付けていても、調理中に食材が混入する可能性があるからです。
ダニやハウスダストが原因なら、部屋の掃除をこまめにしましょう。ダニが発生しやすい布製品を減らし、ダニのつきにくい製品に変えることも1つの方法です。
花粉によるアレルギーは、マスクや花粉用ゴーグルで粘膜への付着を防げます。原因にかかわらず、アレルゲンの除去は、アレルギーの改善に効果的です。
脂質の多い食べ物は避ける
アレルギーを起こすケミカルメディエーターであるプロスタグランジンや、ロイコトリエンは、脂肪酸を由来とする脂質の仲間です。そのため、脂質の多い食事はアレルギー発症に密接に関わっていると考えられています。
アレルギーの予防や改善には、ケミカルメディエーターの原料となる脂質を減らすことも有効です。脂質を減らし、バランスのよい食事を心がけましょう。
生活リズムを整える
アレルギーの発症には、腸内環境の破綻が大きく影響しています。腸内環境を整えるには、乳酸菌を含む食べ物や食物繊維の豊富な食べ物を摂るほか、生活リズムを整えることも大切です。
ストレスを減らし、良質な睡眠をとり、規則正しく食事を摂るとよいでしょう。
参考文献
- 病病気がみえるvol.6免疫・膠原病・感染症|アレルギーP32~39
- 食物アレルギーの原因食物とアレルゲン表示|ニッポンハム食の未来財団
- 花粉症環境保健マニュアル2019-2019年12月改訂版-|環境省
- ダニアレルギーって何?|アレルギー支援ネットワーク
- 薬物アレルギーとは|中外製薬
- 薬物アレルギー|東京大学医学部附属病院アレルギーリウマチ内科
- ビタミンDの効用|新百合ヶ丘総合病院
- ビタミンAのおもな特徴とアレルギー疾患を改善するはたらき|横浜弘明寺呼吸器内科・内科クリニック
- アレルギーを抑える食品|飛鳥薬局
- 乳酸菌|e-ヘルスネット
- ヨーグルト・乳酸菌飲料摂取によるアレルギーの発症抑制 : 疫学調査から|アレルギー(PDF)
- アレルギーとフラボノイド|日本補完代替医療学会誌(PDF)
- 緑茶抽出物成分(茶ポリフェノール, カフェイン)のI型アレルギーに対する効果|薬学雑誌(PDF)
- 茶葉中メチル化カテキンの抗アレルギー作用|生物物理化学(PDF)
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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