デトックスにおすすめの食べ物・飲み物
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デトックスの定義について解説したうえで、老廃物や毒素の排出を助ける栄養素を豊富に含む、デトックスにおすすめの食べ物や飲み物を紹介します。
デトックスとは
デトックス(detox)とは、体内に溜まった老廃物や毒素などの有害な物質を排出させること。解毒という意味を持つ英単語の「detoxification」を短縮したものです。
デトックスにより老廃物を排出し、毒素を解毒することで、ダイエット効果・肩こり解消・便秘の改善など、体にとって嬉しい作用が期待できます。
体内の老廃物は、呼吸・汗・尿・便などから排出されます。これらの排出を促したり、老廃物を分解する内臓の働きを高める栄養素がデトックスに効果的です。
デトックスで改善が期待できる症状(老廃物が溜まると起こる症状)
老廃物が溜まったときに起こる症状は次の通りです。これらの症状は、デトックスにより改善が期待できます。
- むくみ
- 肩こり
- 痩せにくい体質
- 便秘
- 倦怠感
- 疲れやすい体質
- 不眠
- 肌荒れ
- 蕁麻疹
- ニキビ
- 体臭
- 口臭
老廃物が溜まる原因
体内に老廃物が溜まり、排出されにくくなる原因としては以下のようなものが考えられます。
血行不良・リンパの滞り
血液やリンパ液には、体内の老廃物を回収・運搬して体の外へ排出させる役割があります。血管やリンパ管の流れが悪くなると老廃物をスムーズに運び出せなくなり、むくみや肩こりといった体の不調が引き起こされるのです。
溜まった老廃物が血管やリンパ管を塞いでしまうと、さらに流れが停滞するようになるという悪循環にも陥ります。
筋力の低下
血液やリンパの流れが悪くなる原因はさまざまですが、筋力の低下が一因です。特に、足や手など末端部の筋肉が衰えると、血液を心臓まで戻せなくなり、水分や老廃物が末端部に停滞してむくんでしまいます。
足のむくみの改善には、心臓に血液を戻すポンプの役割を果たすふくらはぎの筋肉を鍛えることが有効です。
水分不足
体内の水分バランスが崩れると、老廃物を運び出す役割のある血流やリンパの流れが悪くなります。
老廃物や毒素は、尿や汗から排出されます。水分不足により排尿や発汗の機能が低下することも、老廃物を体外に出しにくくなる要因です。
肝臓の機能低下
肝臓は、アルコールをはじめとしたさまざまな物質を分解・解毒する臓器です。
お酒の飲み過ぎや暴飲暴食により肝臓が疲弊すると、二日酔いの原因物質であるアセトアルデヒドなどを分解しきれず、毒素が体内に溜め込まれてしまいます。
肝臓の働きをサポートする食べ物・飲み物は、以下の記事で詳しく紹介しています。
肝臓にいい食べ物・飲み物・食事方法|NANIWA SUPLI
腎臓の機能低下
腎臓は、血液をろ過し、体の中に溜まった老廃物や水分を尿として体外へ排出する臓器です。腎臓の働きが悪くなると、尿素・クレアチニンなど増えすぎると体に悪影響を及ぼす毒素や、老廃物の排出が滞ります。
腎臓の機能が低下して有害物質が溜まると、尿毒症など深刻な疾患を引き起こすこともあります。
便秘
必要な栄養素が吸収されたあとの食品の残りカスは、老廃物として便と共に排出されていきます。便が腸内に長く停滞すると、悪玉菌が増殖したり、便の腐敗・発酵が進んだりして、体に有害な毒素が発生します。
腸内にとどまった便は、肌荒れや体臭・口臭を引き起こすことも。老廃物を適切に排出するためには、腸内環境を整えて便秘を改善することが大切です。
便秘を予防・解消したい人におすすめの食べ物・飲み物は、以下の記事で詳しく紹介しています。
便秘の予防・解消におすすめの食べ物・飲み物【食物繊維・有機酸】|NANIWA SUPLI MEDIA
デトックスにおすすめの栄養素
デトックスにおすすめの栄養素と、その栄養素を豊富に含む食べ物・飲み物について解説します。
食物繊維:便秘を改善して老廃物をスムーズに排出させる
食物繊維には便秘を解消する作用があり、腸のデトックスに効果的です。食物繊維は、水溶性食物繊維・不溶性食物繊維の2種類に大きく分けられます。
水溶性食物繊維は、海藻類・こんにゃく・りんごなどに多く含まれ、便に水分を与えて柔らかくし、排出させやすくする効果があります。
不溶性食物繊維は、豆類・芋類・きのこ・硬い繊維の多い野菜・エビ・カニなどに豊富で、腸をのぜん動運動を促し、便の量を増やす働きがあります。
ただし、不溶性食物繊維ばかりを大量に摂取すると便が硬くなり、便秘が悪化することも。もともと便秘でお悩みの方は、不溶性食物繊維を摂取しすぎないようにしましょう。腸のデトックスには、2種類の食物繊維をバランスよく摂取するのが理想です。
食物繊維の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率のよい摂取方法|NANIWA SUPLI MEDIA
乳酸菌:悪玉菌を減らして腸内環境を整える
便秘により便が長く腸内にとどまると、悪玉菌が増加して便が腐敗し、毒素や有害なガスが発生します。腸のデトックスをするためには、悪玉菌の増殖を抑制する善玉菌の摂取が不可欠です。
乳酸菌は、炭水化物などの糖類を発酵させて乳酸を作り出す微生物の総称で、善玉菌の代表的存在です。
乳酸菌は、ヨーグルトやチーズなどの乳製品や、味噌・醤油・ぬか漬け・キムチ・納豆などの発酵食品に多く含まれています。忙しくて時間がないときは、コンビニや駅の売店でも買える乳酸菌飲料が手軽でおすすめです。
また、乳酸菌のエサとなり、その働きを活発化させるビフィズス菌や水溶性食物繊維も合わせて摂っておきたい栄養素です。
乳酸菌の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
抗酸化ビタミン:デトックスを妨げる過酸化脂質を抑制
ビタミンA・C・Eは、体に有害な過酸化脂質を抑制する抗酸化ビタミンです。
過酸化脂質は、中性脂肪・コレステロールなどの脂質が活性酸素により酸化したもので、老化やがんの原因となります。過酸化脂質そのものが毒素であるうえ、老廃物の排出を阻害する厄介な存在です。
ビタミンAは、野菜類・果物類などにβ-カロテンとして多く含まれており、活性酸素を除去・抑制する働きがあります。
ビタミンCには抗酸化作用に加え、コラーゲンの生成を助けて美肌を維持する作用があり、ニキビなど肌荒れの対策にも役立ちます。ビタミンCは、アセロラ・キウイフルーツ・レモンなどの果物に豊富に含まれています。
ビタミンEは、細胞内で過酸化脂質が発生するのを抑える効能があり、デトックスに効果的なビタミンのひとつです。ナッツ類・植物油・とうがらしからビタミンEを多く摂取することができます。
デトックスにおすすめのビタミンA・C・Eをバランス良く含んでいるのは、にんじん・ほうれん草・かぼちゃなどの緑黄色野菜です。抗酸化作用を期待してコンビニでサラダを選ぶなら、緑黄色野菜が多く配合されているものがおすすめです。
ビタミンAの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA
β-カロテンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンEの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ポリフェノール:抗酸化作用で有害物質を除去
ポリフェノールは、植物に含まれる苦味・渋味・色素の成分で、強力な抗酸化作用を持っています。ポリフェノールの摂取により活性酸素の働きを抑えることで、体内に溜まった老廃物を排出しやすくなります。
ポリフェノールを多く含む代表的な食べ物・飲み物は、コーヒー・赤ワイン・緑茶・チョコレート・ブルーベリー・ぶどう・豆類・生姜などです。
ポリフェノールの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB群:代謝をアップして老廃物を出しやすい体に
ビタミンB群は、栄養素の代謝とエネルギー生成に関わるビタミンで、デトックスにおすすめの栄養素のひとつです。代謝を助けるビタミンB群には、老廃物を体外に出しやすくする効果が期待できます。
ビタミンB群にはビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシン・パントテン酸・ビタミンB6・ビタミンB12・葉酸・ビオチンが含まれます。これらの成分はお互いに助け合いながら作用しているため、どれかひとつだけではなくバランスよく摂取することが大切です。
ビタミンB群の栄養素は、豚肉・レバー・うなぎ・納豆などに多く含まれています。
ビタミンB群の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA
カフェイン:血行促進・利尿作用によるデトックス効果
コーヒーやお茶類に含まれるカフェインには末梢血管を拡張して血流を促進する作用があり、デトックスにも効果的です。
また、カフェインには利尿作用があり、尿からの老廃物の排泄を増やせるという効果もあります。カフェインの摂取により血流が良くなることで、腎臓を通過する血液の量が増え、尿の量が増加します。
カフェインの効果効能・1日の摂取目安量・効果的な摂取方法・副作用|NANIWA SUPLI MEDIA
カリウム:塩分の排出を促してむくみを解消
カリウムは、体内の水分のバランスを維持し、細胞の浸透圧を調節しているミネラルです。
カリウムには体内の余分な塩分(ナトリウム)を体の外に出しやすくする働きがあります。体内の塩分が多くなると、それを薄めるために水分や老廃物を溜め込みやすくなり、むくみが引き起こされます。
カリウムは、野菜・果物・海藻など植物性の食品に豊富です。むくみにお悩みの方や塩辛い食事が多い方は、特に意識してこれらの食品を食べるようにしましょう。
コーヒー・紅茶・ハーブティーなどからもカリウムを摂取できます。
カリウムの効果効能・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
デトックスの方法と老廃物を溜めないために心がけたい生活習慣
食事や生活習慣の改善から取り入れられるデトックスを紹介します。体に老廃物を溜め込まないために心がけたい生活習慣について解説します。
水をこまめに飲む
老廃物や毒素は、汗・尿と共に排出されていきます。汗や水の量を増やすには、十分な量の水をこまめに飲むことが効果的です。
水を飲むことで血流・リンパなど体の巡りを良くし、老廃物をスムーズに運び出せる効果もあります。むくみや便秘の改善にも効果的です。
1日に必要な水分量は、体重60kgの成人男性で2.5リットルと言われています。ただし、これには飲み水だけではなく食事から摂取する水分も含まれるため、1日1リットル以上は飲み物から水分を補給できるように心がけましょう。
ミネラルウォーターにフルーツや野菜を加えた「デトックスウォーター」は、科学的根拠のあるデトックス効果は認められていません。しかし、爽やかな風味によるリフレッシュ効果や、水分を多くとることによるむくみ・便秘などの改善効果は期待できるでしょう。
入浴
入浴することで、血行改善・発汗・リラックス効果など、デトックスに嬉しい効能を多く得られます。シャワーだけで済まさず、できるだけ毎日湯船に浸かるようにしましょう。
心臓や血圧に負担をかけずに汗を流すには、みぞおちあたりまでお湯に浸かる半身浴がおすすめ。入浴時間を長くすれば、全身浴と同じくらい体をあたためることができます。
汗をたくさんかくためには、岩盤浴やサウナもおすすめです。
お酒を飲み過ぎない
効果的にデトックスするには、お酒の飲み過ぎは禁物です。酒類に含まれるアルコールは、肝臓でアセトアルデヒドという毒性の強い物質に変換されます。お酒を飲み過ぎるとアセトアルデヒドが分解しきれず、体内に蓄積してしまうのです。
お酒を飲み過ぎたときは、肝臓の働きをサポートするタウリンを含むしじみ・エビ・タコ・牡蠣や、毒素の排出を助ける水分を多くとるようにしましょう。
リンパの流れを促すマッサージ
溜まった老廃物による肩こりやむくみが気になるときは、リンパの流れや血流を促すリンパマッサージがおすすめ。プロによる施術はもちろん、セルフマッサージでも適切に行うことで良い効果が得られます。
顎周辺・鎖骨・脇など、太いリンパ管のあるリンパ節の部分を中心に、軽く指圧したりさすったりしてみてください。
運動する
不要になった老廃物を排出させるには軽い運動も効果があります。特に、ストレッチやヨガなど、凝り固まった筋肉や筋を伸ばして血行を促進できる運動がおすすめです。運動時に汗をかけるとなお良いでしょう。
参考文献
- アセトアルデヒド | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 過酸化脂質 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 食物繊維 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 抗酸化ビタミン | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 抗酸化物質 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 厚生労働省eJIM | ビタミンB6 | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ
- 厚生労働省eJIM | ビタミンB12 | サプリメント・ビタミン・ミネラル | 一般の方へ
- カリウム | e-ヘルスネット(厚生労働省)
- 「健康のため水を飲もう」推進運動 | 厚生労働省
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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