押し麦の栄養と効果効能・調理法・保存法

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押し麦の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、よく似た野菜との栄養価の違い、押し麦に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

押し麦とは

押し麦(rolled barley)とは、大麦を精白(殻をとって白くすること)したあと、ローラーなどで押しつぶして調理しやすく扁平状にしたもののことです。

大麦はそのままでは吸水性が悪く調理しにくいため、一般的に食用で用いられる大麦は加工して押し麦にします。

日本では白米に混ぜ込み麦ごはんとして親しまれていますが、サラダやスープに入れると、ぷちぷちとした食感を楽しむことができます。

押し麦とその他の麦の違い

押し麦とその他の麦の違いについて解説します。

小麦

小麦(wheat)は、小麦粉の原料となるイネ科の穀物です。

小麦にはグルテンが含まれているため、ふっくらと焼き上げるパンやケーキのスポンジに適している一方で、吸水性が良くないため白米に混ぜて食べるのには向きません

小麦の食物繊維は主に不溶性で、精白した部分(小麦粉)にはあまり含まれず、外皮や胚芽などの表皮の部分(小麦ふすま、小麦ブランとも)に多く含まれています。

ちなみに小麦と大麦の名前の由来は、実の大きさではなく成長過程における見た目から。大麦は小麦よりも大柄に見えることから、大麦と呼び名が付いたと言われています。

大麦

大麦(barley)は、押し麦の原料となる穀物です。世界最古の穀物のひとつとされており、紀元前7,000年ごろ(約9,000年前)には栽培が行われていたといいます。

日本には小麦よりも早く伝来し、平安時代にはすでに、白米と混ぜて麦ごはんとして食べられるようになりました。

食用にする場合はプレスして押し麦として利用しますが、大麦の用途は広く、麦茶のような飲料に用いられるほか、麦焼酎やウイスキー、ビールといったアルコールの原料としても用いられます。

アルコール類の原料として用いられる大麦が二条大麦(大粒大麦:だいりゅうおおむぎ)という種類なのに対して、食用として用いられる大麦は六条大麦(小粒大麦:しょうりゅうおおむぎ)と呼ばれます。

小麦が、膨張性や伸展性に優れるグルテンというタンパク質を多く含むのに対して、大麦はグルテンを一切含まず、代わりにホルディンというタンパク質を含んでいます。

食物繊維は不溶性と水溶性をバランスよく含み、中心部(胚乳部)に存在するため摂取しやすい点も特徴です。

はだか麦

大麦のなかでも、皮が剥きやすいものをはだか麦と呼びます。はだか麦に対して、皮が剥きにくいものを皮麦と呼びます。

二条大麦にも六条大麦にも、それぞれはだか麦と皮麦がありますが、通常「はだか麦」といった場合、六条大麦のはだか麦のことを指します。

なお、原種に近いのは皮麦ですが、はだか麦も紀元前6,000年ごろ(約8,000年前)には栽培が始まっていたとされています。

もち麦

はだか麦にはさらに、うるち性遺伝子型を有する品種と、もち性遺伝子型を有する品種があります。

もち麦と呼ばれるのは、もち性遺伝子型を有するはだか麦です。一般的な押し麦には、うるち麦が用いられます。

うるち麦がアミロースを多く含み粘り気が少ないの対し、もち麦はアミロペクチンが豊富で、もっちりした粘り気があるのが特徴です。

また、もち麦は大麦の特徴的な栄養素のひとつであるβ-グルカン(水溶性食物繊維)が、うるち麦の1.5倍ほども含まれます。

ライ麦

ライ麦(rye)は、小麦や大麦と同じくイネ科の穀物です。黒麦とも呼ばれます。

18世紀以前は、パン用穀物として多く使用されていましたが、小麦に比べてぼそぼそとした食感になることから、19世紀ごろから徐々に小麦が主要穀物として重宝されるようになりました。

しかし、ライ麦は小麦粉よりも栄養面で優秀であり、豊富な食物繊維やビタミンB群が含まれていることから、現在は健康志向の食品として用いられるケースの多い麦です。

栄養が豊富なだけでなく、小麦パンに比べてライ麦パンはカロリーや糖質も低いことから、減量やダイエットにも適しています。

オーツ麦(オートミール)

オーツ麦(oats)も、小麦・大麦・ライ麦などと同じくイネ科の穀物です。オーツ麦は英語名のOatから来ており、日本語では、燕麦(えんばく)と呼びます。

オーツ麦を潰して乾燥させたものが、オートミール(oatmeal)です。

オートミールにはさまざまな種類があり、外皮を取り除いただけのもの、押し麦と同じように吸水性を高めたもの、加工してシリアルとして食べられるようにしたものなどが、すべてまとめてオートミールと呼ばれます。

洋風の朝食のイメージが強いオートミールですが、和風だしにもよくマッチするので、粥やお茶漬けのようにして、米の代用として使うことも十分に可能です。

押し麦に含まれる成分・栄養素

押し麦100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位おおむぎ、押麦、乾おおむぎ、押麦、めしおおむぎ 七分つき押麦おおむぎ 米粒麦
廃 棄 率%0000
エネルギー(kcal)kcal/100 g346124341343
エネルギー(kJ)kJ/100 g144852114271435
水 分g/100 g12.768.61414
たんぱく質g/100 g6.72.210.97
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g5.82-9.5-6.1
脂 質g/100 g1.50.52.12.1
トリアシルグリセロール当量g/100 g1.20.41.8-1.8
飽和脂肪酸g/100 g0.430.140.58-0.58
一価不飽和脂肪酸g/100 g0.130.040.2-0.2
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.620.20.91-0.91
コレステロールmg/100 g0000
炭水化物g/100 g78.328.572.176.2
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g72.424.2-71.268.8
低分子量水溶性食物繊維g/100 g2.40.6
高分子量水溶性食物繊維g/100 g4.31.56.36
不溶性食物繊維g/100 g5.52.142.7
食物繊維総量g/100 g12.24.210.38.7
灰 分g/100 g0.70.20.90.7
ナトリウムmg/100 g2Tr22
カリウムmg/100 g21038220170
カルシウムmg/100 g2162317
マグネシウムmg/100 g40104625
リンmg/100 g16046180140
mg/100 g1.10.41.31.2
亜鉛mg/100 g1.10.41.41.2
mg/100 g0.220.080.320.37
マンガンmg/100 g0.860.240.85
ヨウ素µg/100 g00Tr
セレンµg/100 g1Tr1
クロムµg/100 g00Tr
モリブデンµg/100 g1139
レチノールµg/100 g0000
α-カロテンµg/100 g
β-カロテンµg/100 g
β-クリプトキサンチンµg/100 g
β-カロテン当量µg/100 g0000
レチノール活性当量µg/100 g0000
ビタミンDµg/100 g0000
α-トコフェロールmg/100 g0.1Tr0.20.1
β-トコフェロールmg/100 g00Tr0
γ-トコフェロールmg/100 g000.10
δ-トコフェロールmg/100 g0000
ビタミンKµg/100 g0000
ビタミンB1mg/100 g0.110.020.220.19
ビタミンB2mg/100 g0.03Tr0.070.05
ナイアシンmg/100 g3.40.83.22.3
ナイアシン当量mg/100 g51.3
ビタミンB6mg/100 g0.130.030.140.19
ビタミンB12µg/100 g0000
葉酸µg/100 g1031710
パントテン酸mg/100 g0.40.130.430.64
ビオチンµg/100 g2.70.83.5
ビタミンCmg/100 g0000
食塩相当量g/100 g0000
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g
重量変化率%280
備考歩留り:玄皮麦45~55 %、玄裸麦55~65 %乾35 g相当量を含む歩留り: 玄皮麦60~65 %、玄裸麦65~70 %別名: 切断麦白麦を含む歩留り: 玄皮麦40~50 %、玄裸麦50~60 %
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

押し麦の効果・効能

押し麦に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

整腸作用による下痢・便秘の改善効果

押し麦(はだか麦)には、白米の10~20倍もの食物繊維が含まれています。

食物繊維は、胃や腸で消化吸収されず、腸に残留して腸内細菌のエサとなって腸内環境を改善したり、便のかさを増やして腸のぜん動運動を促進したりします。

腸の活動が正常になると、下痢や便秘が改善し、たまっていた便が排出されることでぽっこりとした下腹がスッキリする可能性も。

ダイエット・ストレス抵抗・アレルギー抵抗力アップにも効果

腸内環境が整うと、下痢や便秘が解消するだけでなく、新陳代謝の促進などにもつながり、太りにくくなる、ストレスに強くなる、アレルギーに強くなる、などさまざまな効果が期待できます。

またダイエット効果に関しては、押し麦は白米に比べてカロリーが低く、炊いた状態でおよそ70%程度までカロリーを抑えることができます。(100gあたり、白米約170kcalに対して押し麦124kcal)

このことから、普段の主食を麦ごはん(白米に押し麦を混ぜ込んだもの)に置き換えるだけでも、一定のダイエット効果が得られるでしょう。

β-グルカンのコレステロール低下効果

押し麦に含まれる水溶性食物繊維・β-グルカンには、LDLコレステロールを低下させる働きがあります。

LDLコレステロールを低下させることで動脈硬化予防につながるほか、がん予防にも効果的であることが分かっています。

なお、β-グルカンの含有量は皮麦よりもはだか麦が多く、さらにうるち麦よりももち麦に多く含まれる傾向にあります。

ビタミンB1による疲労回復効果

なかには、疲労回復に役立つビタミンB1を強化した押し麦や、ビタミンB1を豊富に含んだ胚芽押し麦なども存在します。

ビタミンB群は体内の代謝を促進する効果があり、特にビタミンB1は炭水化物(糖質)を円滑にエネルギーに変換するために欠かせない栄養素です。

ビタミンEによる抗酸化作用

胚芽を残した押し麦には、ビタミンB1に加えてビタミンEなども豊富に含まれています。

ビタミンEには、活性酸素を抑制する抗酸化作用があり、さらにフリーラジカルを排除して過酸化脂質の生成を抑制・阻止します。

ビタミンEの健康効果はそのほかにも、血行促進、ホルモンバランスや自律神経の安定、肌の代謝をサポートする美肌効果、と多岐にわたります。

押し麦の調理方法

押し麦の洗い方や調理方法を解説します。

押し麦の洗い方

押し麦を白米に混ぜ込み、麦ごはんとして炊く際は、お米と一緒に研いで表面の肌ヌカを洗い流しましょう。研ぐ前のお米に注いだ水が白く濁るのは、肌ヌカが付着しているためです。

肌ヌカとは、精麦の際に麦のまわりに付着した粉のことで、押し麦は他の雑穀に比べて肌ヌカが多く付着しています。

雑穀米の場合は少量なので、お米を研いだ後に混ぜ込むことが多いですが、麦ごはんの場合はある程度の量を混ぜ込みますので、ヌカを落とさないとごはんの黄ばみや臭いのもとになってしまうのです。

なお、ヌカは精麦の際に付着した粉なので、その部分にも栄養は含まれています。無駄なく摂取したい場合は、あまり研がずに炊いても健康上の問題はありません。

ただし、長時間炊飯器に入れたまま置いておくと黄ばみや臭いが出やすくなりますので、気を付けてください。

押し麦の食べ方

麦ごはんとして食べる場合は、好みによって分量を調節しましょう。多い人では白米と1:1の割合で混ぜるそうです。白米だけで炊くときよりも、水の分量を多めにすることで、パサつきにくくなります。

押し麦の食べ方は、麦ごはんだけではありません。たっぷりのお湯で15~20分ほど茹でて冷まし、サラダにトッピングとして混ぜれば、ぷちぷちとした食感をプラスできる上に満腹感も得られます。

そのほかにも、スープに入れたり、多めの水で炊いて粥やリゾットにしたりしてもいいでしょう。

押し麦の保存方法

押し麦は、白米と同じように炊いた後で小分けして冷凍保存が可能です。冷凍保存の期間は、おおよそ2~3週間を目安にしてください。

参考文献

「旬」商品のご紹介 | えひめの食サイト