ライチの栄養と効果効能・調理法・保存法

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ライチ

ライチの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、ライチに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ライチとは

ライチは、ムクロジ科レイシ属の植物になる果実です。漢字では「茘枝(れいし)」、英語では「Lychee」といいます。

うろこ状の硬い皮におおわれており、皮をむくと白色の果肉が出てきます。世界三大美女のひとり、楊貴妃が美容効果を得るため、こよなく愛していたと言われています。

ライチの原産地は、中国の嶺南地方(現在の広東省のあたり)からベトナム北部。日本へは、江戸時代の終わり頃に伝わりました。

世界のおもな生産国は中国、台湾、タイ、インド、マダガスカルなどです。日本国内で出回っているライチのほとんどは輸入もので、その90%以上が中国と台湾から輸入しています。

日本国内でも生産はされていますが、全体の約1%にとどまっています。これは、ライチの栽培に適した地域が限られていることが影響しています。

国産ライチの旬は6月中旬〜7月の約1ヵ月。中国や台湾から輸入されるライチは、5月中旬・下旬〜8月にかけて日本に入ってきます。

ライチの品種・種類

ライチの栽培品種は多く、原産国である中国では100種以上もあると言われています。また、一般的にライチと呼ばれるものにはいくつか種類があります。代表的な品種は「グリーンライチ」と「黒葉(こくよう)」です。

グリーンライチ

グリーンライチは、「プリンセスグリーンライチ」と呼ばれることもある品種です。楊貴妃がその美味しさのあまり微笑んだことから「妃子笑」という商品名で、中国海南島産などで流通しています。

果皮は黄緑色の部分が多く、先端が尖ったイボでおおわれており、果肉は白色です。

また、台湾産のグリーンライチは「玉荷苞(ぎょくかほう)」という品種名で出回っています。

黒葉(こくよう)

黒葉は、果皮表面にイボはなく平坦で、全体的に赤茶色をしています。冷凍品に使われることの多い品種です。

糖度が高くて甘く、果汁をたっぷりと含み、芳醇な香りが特徴です。

ライチに含まれる成分・栄養素

ライチ100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位ライチー 生
廃 棄 率%30
エネルギー(kcal)kcal/100 g63
エネルギー(kJ)kJ/100 g264
水 分g/100 g82.1
たんぱく質g/100 g1
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-
脂 質g/100 g0.1
トリアシルグリセロール当量g/100 g-0.1
飽和脂肪酸g/100 g-0.02
一価不飽和脂肪酸g/100 g-0.03
多価不飽和脂肪酸g/100 g-0.03
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g16.4
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-15
水溶性食物繊維g/100 g0.4
不溶性食物繊維g/100 g0.5
食物繊維総量g/100 g0.9
灰 分g/100 g0.4
ナトリウムmg/100 gTr
カリウムmg/100 g170
カルシウムmg/100 g2
マグネシウムmg/100 g13
リンmg/100 g22
mg/100 g0.2
亜鉛mg/100 g0.2
mg/100 g0.14
マンガンmg/100 g0.17
ヨウ素µg/100 g-
セレンµg/100 g-
クロムµg/100 g-
モリブデンµg/100 g-
レチノールµg/100 g0
α-カロテンµg/100 g0
β-カロテンµg/100 g0
β-クリプトキサンチンµg/100 g0
β-カロテン当量µg/100 g0
レチノール活性当量µg/100 g0
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g0.1
β-トコフェロールmg/100 g0
γ-トコフェロールmg/100 g0
δ-トコフェロールmg/100 g0
ビタミンKµg/100 g0
ビタミンB1mg/100 g0.02
ビタミンB2mg/100 g0.06
ナイアシンmg/100 g1
ビタミンB6mg/100 g0.09
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g100
パントテン酸mg/100 g0
ビオチンµg/100 g-
ビタミンCmg/100 g36
食塩相当量g/100 g0
アルコールg/100 g-
硝酸イオンg/100 g-
テオブロミンg/100 g-
カフェインg/100 g-
タンニンg/100 g-
ポリフェノールg/100 g-
酢酸g/100 g-
調理油g/100 g-
有機酸g/100 g-
重量変化率%-
備考試料: 冷凍品別名: れいし廃棄部位: 果皮及び種子
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ライチの効果・効能

ライチに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

ロイコシアニジン(ポリフェノール):アンチエイジング効果

ライチには、「ロイコシアニジン」というポリフェノールの一種が含まれています。

ロイコシアニジンには強い抗酸化作用があり、紫外線やストレス、喫煙などによって発生する活性酸素を除去し、体が酸化することを予防する効果があります。

活性酸素が大量に発生すると、がんなどの生活習慣病や、シミやシワなど肌トラブルを引き起こします。

ライチに含まれるロイコシアニジンを摂取することで、これらの病気やトラブルを予防することができるのです。

ビタミンC:美白効果・免疫力アップ

ライチには豊富にビタミンCが含まれており、ライチ4個ほどでレモン1個分のビタミンCを摂取することができます。

ビタミンCには、シミやそばかすの原因となるメラニン色素の沈着を防いだり、コラーゲンを合成してシワの予防をしたりといった美白効果が期待できます。

またそのほかにも、鉄の吸収を助けて貧血を予防したり、免疫力を高めて感染症やがんを予防したり、ステロイドホルモンを作りストレスに強くしたり、といった効果もあります。

葉酸:造血作用・心不全などの病気を予防

ライチに含まれる葉酸は、水溶性ビタミンで「造血のビタミン」と呼ばれています。

葉酸は細胞の生まれ変わりをコントロールする核酸をサポートする働きがあり、赤ちゃんの新しい細胞や血液がつくられる妊娠期や授乳期のお母さんにとって重要な栄養素となります。

さらに、葉酸は心不全や心筋梗塞、脳梗塞などの病気のリスクを予防する効果もあります。

カリウム:むくみを改善

カリウムは、人体に必須のミネラルのひとつです。

カリウムを摂取することで、細胞の浸透圧を調節して血圧を下げたり、筋肉や心筋の活動を正常に保ったり、血の巡りを改善して体内にある過剰な水分を排出し、むくみを改善したり、といったさまざまな効果が期待できます。

ライチの食べ方

ナイフで表面の渋皮に切れ目を入れて、指で剥きます。

少々硬い皮ですが、切れ目を入れると簡単に剥くことができます。果肉の中には大きな種があるので、一気に真ん中まで歯を入れないように注意が必要です。

ライチを食べる際の注意点

「空腹時にライチを食べると死に至る」「ライチは食べ過ぎると死んでしまう」という話を耳にすることがありますが、これは2013年頃からインドの北東部にある村で起きた死亡事件が関係しています。

15歳以下の子どもが、未熟なライチに含まれる「ヒポグリシン」という毒素成分によって急激な低血糖を引き起こし、死亡してしまったのです。

ある論文によると、患者の多くは貧困層で、体脂肪率は低く、また十分な食事を摂っていませんでした。

血糖値を維持するための体脂肪が少ないため、ヒポグリシンが代謝異常を起こし、低血糖からの合併症により神経や内臓でさまざまな病気を引き起こしてしまったのではないかと考えられています。

ライチの保存方法

ライチの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

常温保存

生のライチは日持ちしません。約5日で味が落ちてきてしまいます。

常温でそのまま保存していると、変色したり風味を損ねたりしてしまうので、購入後はなるべくすぐ食べるようにしましょう。

冷蔵保存

冷蔵保存の場合は、乾燥を防ぐためにライチを新聞紙で包んで保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。冷蔵での保存期間は約1週間です。

冷凍保存

ライチは冷凍保存することもできます。皮がついた状態で水洗いし、水気を拭き取ります。その後冷凍用保存袋に入れて平らにしてから冷凍庫に入れます。

冷凍での保存期間は約1年です。解凍する際は、凍ったライチを冷蔵庫に移してしばらく待ちます。急ぐ場合は、20〜30分ほど水につけて解凍しましょう。

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