ライムの栄養と効果効能・調理法・保存法
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ライムの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、ライムに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
ライムとは
ライム(Lime)は、熱帯地域を原産とするミカン科ミカン属の柑橘類です。
果汁をアルコール類やジュースに絞ると爽やかな風味を楽しめます。レモンやゆずと同じく、生食には向かない香酸柑橘(こうさんかんきつ)の一種です。
ライムの果実は、直径6~8cmほどの球形で、果皮は黄味がかった緑色をしています。完熟すると果皮が黄色くなり酸味が弱まるため、通常は緑色の状態のうちに収穫して利用されます。
現在、国内で流通しているライムのほとんどはメキシコからの輸入品で、1年中出回っています。愛媛県などで生産される国産ライムの旬は、9月下旬~1月ごろです。
ビタミンやミネラルなどの栄養素が豊富なライムは、大航海時代にビタミンC不足で発症する壊血病から船乗りを救った果物としても知られています。
ライム・レモン・かぼす・すだちの違い
香酸柑橘を代表するライム・レモン・かぼす・すだちは、どれもミカン科ミカン属に分類される果物です。それぞれの味や栄養素の違いを説明します。
ライム
ライムには特有の苦味があり、レモンなどと比較して酸味が少ないのが特徴です。
ほろ苦いライム果汁は、アルコール類との相性がよく、ジントニック・モスコミュールなどのカクテルに利用されたり、ビールと組み合わせられることもあります。
ビタミンCの含有量はレモンやかぼすより少ないものの、ライムにはカリウム・カルシウムなどのミネラル類が多く含まれています。
また、かぼすやすだちは国内で多く栽培される柑橘ですが、ライムの国内生産量はごくわずかでほとんどが輸入品という違いもあります。
レモン
柑橘類のなかでも特に強い酸味を持つレモンは、調味料として使われるほか、料理や飲み物に直接絞ったり、生ものの臭みを和らげるためにも利用されます。
香酸柑橘のなかではトップクラスのビタミンC含有量を誇り、レモン果汁100gあたり50mgのビタミンCが含まれています。ビタミンCを多く摂りたいときはレモンがおすすめです。
レモンの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
かぼす(香母酢)
かぼすは、大分県の特産柑橘です。かぼすの果実は100g程度と比較的大きく、焼き魚やふぐ料理の風味付けに用いられます。
かぼす果汁に含まれるビタミンCはレモンに次いで多く、栄養豊富な柑橘です。また、ラットにかぼすの果汁粕を食べさせるとコレステロールの上昇抑制作用が見られたという研究データもあります。
かぼすの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
すだち(酢橘)
徳島県で多く生産されるすだちは、30~40gの小ぶりな果実を実らせます。すだちは、かぼすより酸味がマイルドで香り豊かなのが特徴で、果汁にはビタミンCやミネラルが豊富です。
すだちの果皮にはスダチチンと呼ばれる特有のポリフェノールが含まれており、糖尿病やがん予防への効果が期待されています。
すだちの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
ライムの品種・種類
ライムの種類は、メキシカンライムとタヒチライムに大別されますが、フィンガーライムなど変わった形の品種も存在します。それぞれの特徴は次の通りです。
メキシカンライム
メキシカンライムは、メキシコで主に栽培され、日本にも多く輸入されている代表品種です。原産地はインドですが、メキシコで定着したことからメキシカンライムと呼ばれるようになりました。
果実の重量は30~50gと小ぶりで、ジューシーな果汁と豊かな風味が楽しめます。
タヒチライム
タヒチライムは、もともとタヒチ島で栽培が始まり、アメリカのカリフォルニアに導入された品種です。タヒチライムは他の品種より耐寒性があるため、日本でも栽培されています。
果実は100g程度と大玉ですが、種が無いため扱いやすいのが特徴です。
フィンガーライム
指のような細長い形をしたフィンガーライムは、オーストラリア原産でミカン科の果実です。果肉がキャビアのようにつぶつぶしているため、別名「フルーツキャビア」「キャビアライム」とも呼ばれます。
フィンガーライムは、そのユニークな見た目とプチプチした食感はさることながら、ビタミン・ミネラルなど栄養価の豊富さでも注目されているフルーツです。
ライムに含まれる成分・栄養素
ライム100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。参考として、同じ柑橘類であるレモンの成分表を並記しています。
食品名 | 単位 | ライム 果汁 生 | レモン 果汁 生 |
廃 棄 率 | % | 0 | 0 |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 27 | 26 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 113 | 109 |
水 分 | g/100 g | 89.8 | 90.5 |
たんぱく質 | g/100 g | 0.4 | 0.4 |
アミノ酸組成によるたんぱく質 | g/100 g | - | - |
脂 質 | g/100 g | 0.1 | 0.2 |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | - | -0.1 |
飽和脂肪酸 | g/100 g | - | -0.02 |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | - | -0.01 |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | - | -0.03 |
コレステロール | mg/100 g | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 9.3 | 8.6 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | -1.9 | -3.1 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.2 | Tr |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 0 | 0 |
食物繊維総量 | g/100 g | 0.2 | Tr |
灰 分 | g/100 g | 0.4 | 0.3 |
ナトリウム | mg/100 g | 1 | 2 |
カリウム | mg/100 g | 160 | 100 |
カルシウム | mg/100 g | 16 | 7 |
マグネシウム | mg/100 g | 9 | 8 |
リン | mg/100 g | 16 | 9 |
鉄 | mg/100 g | 0.2 | 0.1 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.1 | 0.1 |
銅 | mg/100 g | 0.03 | 0.02 |
マンガン | mg/100 g | 0.01 | 0.03 |
ヨウ素 | µg/100 g | - | - |
セレン | µg/100 g | - | - |
クロム | µg/100 g | - | - |
モリブデン | µg/100 g | - | - |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 0 | 0 |
β-カロテン | µg/100 g | 0 | 0 |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 0 | 13 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 0 | 6 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 0 | 1 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.2 | 0.1 |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 |
ビタミンK | µg/100 g | 0 | 0 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.03 | 0.04 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.02 | 0.02 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.1 | 0.1 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.05 | 0.05 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 17 | 19 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.16 | 0.18 |
ビオチン | µg/100 g | - | - |
ビタミンC | mg/100 g | 33 | 50 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 | 0 |
アルコール | g/100 g | - | - |
硝酸イオン | g/100 g | - | - |
テオブロミン | g/100 g | - | - |
カフェイン | g/100 g | - | - |
タンニン | g/100 g | - | - |
ポリフェノール | g/100 g | - | - |
酢酸 | g/100 g | - | - |
調理油 | g/100 g | - | - |
有機酸 | g/100 g | - | - |
重量変化率 | % | - | - |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ライムの効果・効能
ライムに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
風邪やウイルスに負けない体を作るビタミンC
ビタミンCは、アスコルビン酸とも呼ばれる水溶性ビタミンの一種です。ビタミンCには強力な抗酸化作用があり、がん予防・生活習慣病予防・アンチエイジングなど、体内に取り入れることでさまざまな効果を発揮します。
ライムには、ほかの柑橘類と同じく多くのビタミンCが含まれています。ビタミンCには鉄の吸収を促して免疫機能の働きを維持する機能もあるため、ライムは体の免疫力を向上させたいときにぴったりのフルーツです。
また、ビタミンCには、シミの原因であるメラニン色素の抑制、肌のハリツヤを保つコラーゲンの生成を助ける作用など、美容にうれしい効果もあります。
高血圧など生活習慣病を予防するポリフェノール
ライムには、エリオシトリンやヘスペリジンなど、柑橘類特有のポリフェノールが豊富に含まれています。ポリフェノールは抗酸化物質の一種で、生活習慣病や老化の原因となる活性酸素を取り除く働きがあります。
特に、ライムやレモンに豊富なエリオシトリンは、高血圧や糖尿病合併症への予防効果があるとして注目されている成分です。
疲労回復効果のあるクエン酸
クエン酸は、柑橘類・梅・酢などに含まれる有機酸の一種で、酸味のもととなる成分です。クエン酸には代謝を高める作用があり、疲労回復や血流改善効果があると言われています。
ライム果汁には、温州みかん果汁の約6倍のクエン酸が含まれています。柑橘類のなかでも多くのクエン酸を含むライムは、代謝促進のための栄養素を効率的に摂取することができるフルーツです。
ビタミンB群で脂肪燃焼を促進
ライムに含まれるビタミンB1・ビタミンB2などのビタミンB群には、脂質・糖質の代謝を促す効果があり、ダイエットや肥満予防にも効果的です。
実際に、ライム果汁・シナモンパウダー・はちみつで作ったジュースやライムウォーターは、デトックスや脂肪燃焼効果が期待できると話題を呼んでいます。
脂肪が燃えにくいと感じるときには、普段飲むお酒や食事にライムの絞り汁を取り入れてみてください。
明るい気持ちになれるライム精油のアロマテラピー
ライムの果皮から抽出した精油には、憂鬱な気分や不安を払拭する効果があるとされ、アロマテラピーで広く利用されています。
ライムの精油は皮膚に使用することもできます。肌を引き締める収れん作用や、ニキビや吹き出物に効果的な殺菌作用が期待できます。
ただしライムの精油には光毒性があるため、皮膚に使用した状態で日光に当たると肌トラブルを引き起こす可能性があります。使用後12時間は太陽の光に当たらないように気を付けましょう。
ライムの食べ方
ライムの栄養素を損なわない洗い方・調理方法・食べ方などを解説します。
ライムの皮の洗い方
ライムの皮にはワックス・防カビ剤・防腐剤・農薬などが残留している可能性があるため、食べる前に良く洗ってください。水洗いだけで不安なときは、塩や重曹、野菜・果物用の洗剤で洗いましょう。
ライムの切り方
ライムをカクテルやジュースに使用する場合は、包丁でくし型に8等分してから、中心のスジの部分を一つひとつ切り取ってください。
ライムは見た目にも鮮やかな食材なので、飾り切りにして料理に添えるのもおすすめです。
ビタミンCやミネラルを摂るならドリンクがおすすめ
ライムに豊富なビタミンCやミネラル類は、水に溶けだしやすい性質を持っています。ライムの栄養素を余さず摂取したいときは、皮ごとお酒やジュースなどの飲み物に入れるか、果汁を絞って飲むのがおすすめです。
ライムに含まれるビタミンCには二日酔いの原因となるアセトアルデヒドの分解を助ける働きがあるため、アルコール類に入れれば悪酔いや二日酔い対策にもなります。
ライムの保存方法
ライムの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
常温・冷蔵保存
カットする前のライム果実は、冷暗所または冷蔵庫の野菜室で保存できます。冷蔵の保存期間は数週間程度です。乾燥を防ぐため、ビニール袋に入れるかラップで包んでおきましょう。
カットしたライムは、冷蔵庫に入れるのが基本です。切った断面からすぐに乾燥してしまうため、タッパーなど密閉できる容器に水で濡らしたキッチンペーパーを敷いてからライムを入れます。くし形のライムなら、互い違いに並べるようにしましょう。
冷凍保存
使い切れないライムを長期保存する場合は、冷凍がおすすめです。
くし形にカットするか、スライスしてから凍らせて、使用する際は凍ったまま料理や飲み物に入れてください。ライムを絞った果汁を冷凍することもできます。