咳の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物

9551views

栄養素

咳の症状や定義、原因について解説したうえで、咳の予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。

咳とは

咳(cough)は、気道に異物が入るのを防ぎ、気道内から異物を取り除こうとする体の防御反応です。医学用語では、咳嗽(がいそう)と呼びます。

ほこり・ウイルス・煙などの異物が侵入すると、気道の粘膜にある咳受容体が反応し、咳が出ます。また、咳には痰(たん)を出す役割もあります。痰は、肺に侵⼊しようとする異物をからめとって体外に排出する粘液の一種です。風邪・気管支炎・喫煙・肺がんなど、さまざまな原因で痰が発生します。

痰がからむ咳を湿性咳嗽(しっせいがいそう)、痰の出ない咳を乾性咳嗽(かんせいがいそう)と呼びます。

咳1回につき、約2kcalを消費すると言われており、ひどい咳が続くと体力を消耗し、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。強い咳は筋肉痛・肋間神経痛・肋骨骨折を引き起こすことがあり、夜間に出る咳は不眠の原因にもなります。

咳の種類

咳は、症状が続く期間により大きく3種類に分けられます。

急性咳嗽(きゅうせいがいそう)

急性咳嗽は、3週間以内でおさまる一時的な咳のこと。急性咳嗽の原因の多くは、風邪・インフルエンザなどウイルス性の呼吸器感染症によるものです。これらの感染症が治癒すると共に咳の症状も落ち着きます。

遷延性咳嗽(せんえんせいがいそう)

遷延性咳嗽は、3~8週間ほど続く咳のことです。遷延性咳嗽の原因は多岐にわたりますが、風邪などの感染症による発熱・倦怠感などの症状が軽快し、咳の症状のみ残るケースが多くみられます。

慢性咳嗽(まんせいがいそう)

慢性咳嗽は、8週間以上続く慢性的な咳の症状です。遷延性咳嗽や慢性咳嗽などの長引く咳は、喘息・肺炎・肺結核・肺がんなど重篤な疾患の症状である可能性もあるため、注意が必要です。

目安として、3週間以上咳が続く場合は医療機関で咳の原因を特定し、適切な治療を行う必要があります。

咳の原因

咳の原因や、咳の症状がみられる疾患は以下の通りです。

  • 異物(ほこり・ウイルス・煙など)の気道への侵入
  • 大声の出し過ぎなどによる喉の炎症
  • 呼吸器感染症(風邪・インフルエンザなど)
  • 喘息
  • アトピー
  • 気管支炎
  • 花粉症
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 肺炎
  • 肺結核
  • 肺がん
  • 肺血栓塞栓症
  • 副鼻腔気管支症候群
  • 胃食道逆流症
  • 心臓病
  • 麻疹
  • 百日咳
  • 気胸

咳の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物

一時的な咳の原因のほとんどは風邪などの感染症によるものですが、3週間以上咳が長引く場合は肺がんなど重篤な疾患のサインである可能性も。

日常生活に支障が出るほどひどい咳が出たり、症状が長引いている場合は、自己判断せずに医療機関を受診するようにしましょう。

以下では、一時的に出る軽い咳の予防・改善に効果的な食べ物・飲み物について解説します。

はちみつ:市販薬より咳に効くという研究結果も

はちみつは、抗酸化作用や抗菌作用があり、咳を緩和するのに効果的な食材です。はちみつの粘りには乾燥した粘膜を潤す保湿効果もあり、喉のイガイガや痛みにも効果が期待できます。

イギリスのオックスフォード大学が行った近年の研究では、市販の咳止めシロップや風邪薬より、はちみつが咳や風邪の治療に効果的であることが示唆されています。

また、はちみつには素早くエネルギーに変換されるオリゴ糖やミネラル類も豊富で、風邪で弱った体への栄養補給としても最適です。

ただし、1歳未満の乳児は、はちみつに含まれるボツリヌス菌が原因で乳児ボツリヌス症を発症することがあります。乳児の咳の対策には、はちみつを利用しないようにしましょう。

はちみつの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

大根:喉の炎症を抑えるアリルイソチオシアネート

大根に含まれる辛味成分のアリルイソチオシアネートには殺菌作用があり、喉の炎症を和らげて咳を出にくくする効果が期待できます。

アリルイソチオシアネートは、大根をすりおろすことで生成されるため、咳の対策として食べるときは大根おろしがおすすめです。

また、大根にはアミラーゼなどの消化酵素が多く含まれているのもポイント。消化に優れているため、風邪によってダメージを受けている胃腸に負担をかけず、栄養素を摂取することができます。

大根の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

れんこん:咳を予防するタンニンやビタミンCが豊富

れんこんは、殺菌作用・抗炎症作用のあるポリフェノールのタンニンが豊富で、咳の予防・改善に役立ちます。

また、れんこんには免疫力をアップする効果のあるビタミンCや、腸内環境を整える食物繊維が、野菜類のなかでも特に多く含まれています。れんこんに含まれる栄養素は、感染症にかかりにくい丈夫な体を維持するのを助けます。

免疫に作用するビタミンCは、花粉症対策にも有効とされているため、花粉症による咳にお悩みの方にもれんこんがおすすめです。

れんこんの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

生姜:風邪に有効な殺菌作用のあるジンゲロール

生姜の香り成分であるジンゲロール・シネオールには殺菌作用があり、風邪などの感染症による咳の予防・改善に効果的です。

生姜には血流を良くして体を温める作用もあるため、免疫力を高めて風邪を引きにくくする効果もあります。

咳に有効なジンゲロールには空気に触れると減少する性質があるため、生姜をすりおろしたり切ったりした直後に食べるのが最も効果的です。チューブタイプのおろし生姜より、生の生姜に多くのジンゲロールが含まれています。

生姜の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA

のど飴:医薬品・医薬部外品がおすすめ

喉に作用する生薬・ハーブの入ったのど飴は、喉をうるおして咳を改善する効果があり、咳を止めたいときに役立ちます。

のど飴は、成分や効能によって医薬品・医薬部外品・食品に分類されています。ひどい咳には、有効成分による効果・効能が認められている医薬品・医薬部外品ののど飴がおすすめです。

特に、医薬品ののど飴は、咳・痰・のどの痛みなど幅広い症状への効能が認められています。ただし、医薬品は販売に許可が必要なため、ドラッグストアや薬局でしか購入できないのがデメリットと言えます。

一方、医薬部外品ののど飴は、医薬品より効き目はおだやかですが、コンビニやスーパーでも販売されているため、手に入れやすいのが魅力です。

咳が出るときには避けたい食べ物・飲み物

喉や気道への刺激となる食べ物・飲み物は、咳を誘発したり悪化させたりするおそれがあります。咳が出るときや喉が敏感になっているときには、以下の食べ物・飲み物の摂取を控えましょう。

香辛料などの刺激物

唐辛子・わさび・からし・コショウなどの刺激物や辛い食品は、喉に刺激を与えて咳を誘発します。喉の粘膜を傷付けて炎症を起こす可能性もあるので、喉が弱っているときは辛いものを食べないようにしましょう。

酸味の強い食品

酸味の強い食品も、喉や食道に刺激を与えます。酢・梅干し・柑橘類などの酸っぱい食材は、咳が出るときや喉に痛みがあるときは控えてください。

アルコール類

アルコール類は、喉への刺激となり咳の症状を悪化させることがあります。特に、炭酸が入っているものや、キンキンに冷やしたお酒には注意が必要です。

アルコールを飲むことで喘息の症状が悪化する「アルコール誘発喘息」と呼ばれる疾患もあります。

極端に熱い・冷たい飲食物

熱すぎる食べ物・飲み物は、喉から水分を奪って気道の粘膜を乾燥させ、咳を悪化させます。

反対に、冷たすぎる食べ物・飲み物も、気管を収縮させて咳を誘発するため避けましょう。咳が出るときは、喉への刺激とならない常温か、ぬるま湯程度の温度の食べ物・飲み物がおすすめです。

咳の予防・改善に効果的な生活習慣

咳を予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。

部屋の湿度を40~60%に保つ

部屋の空気が乾燥している場合は加湿して、気道の粘膜のうるおいを維持することが咳の予防に効果的です。喉や気道の粘膜が乾燥すると、異物を追い出す繊毛の働きが鈍り咳が出やすくなります。

冬場やエアコン使用時など特に空気が乾燥するシーンでは、加湿器を使用して部屋の湿度を40~60%に保ちましょう。加湿器が使えない場合、濡れたタオルや洗濯物を部屋に干しておくだけでも湿度が上がります。

また、空間を過湿することに加え、こまめに水分補給して喉のうるおいを保つのも席予防に効果的です。

マスクをする

マスクは、咳の原因となる冷たい空気・ほこり・煙などをブロックしてくれます。喉の乾燥予防にも効果的なので、乾燥する場所やほこりの多い場所ではマスクを付けるのがおすすめです。

マスクには風邪などのウイルスの飛沫感染を防ぐ効果もあるため、人混みに行くときはマスクを着用するようにしましょう。

うがいをする

うがいは、喉に付着した異物を洗浄して取り除く効果があるほか、気道を守る粘液の分泌や血行を促進する効果もあり、咳の予防・改善に有効です。

外出先から帰宅したときや、掃除などでほこりを吸い込んだあとは、こまめにうがいをするようにしてください。

喉元を冷やさない

喉元が冷えると繊毛運動が弱くなり、気道に異物が入りやすくなります。咳を予防したいときは、首や喉を冷やさないように心がけましょう。

タートルネックなど首までカバーできる衣服や、マフラー・ストールなどで喉元を保護するのが効果的です。

こまめに掃除する

アレルギー性の咳は、ほこり・ダニ・カビ・ペットの毛・ハウスダストなど、家のなかにあるアレルゲンが原因で引き起こされるケースも多くあります。

咳の原因となるアレルゲンを取り除くため、こまめに家を掃除するようにしましょう。

禁煙する

喫煙は、慢性的な咳やたんの原因になります。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、たばこの煙が原因で発症するケースがほとんどです。

たばこの煙は、たばこを吸っている本人だけでなく、受動喫煙として周りにいる家族や友人の喉や気管にも悪影響を及ぼします。

参考文献

記事の監修

美容作家、評論家、ヨガインストラクター

AYA ARAHARA

ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
https://aya-works.com/

LINE公式アカウントを追加
LINEお友達追加