下痢の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物
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下痢の症状や定義、原因について解説したうえで、下痢の予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や飲み物を紹介します。
下痢とは
下痢、または下痢症とは、腹部の不快感や腹痛を伴い、水分を多く含んだ液状に近い便を排出する状態をいいます。
健康な状態で排出される便がバナナ状をしているのに対し、下痢便は水分を異常に含んでおり、泥状便や水様便となって排出されるのが特徴です。
なお、健康的な便と下痢便の中間の状態を軟便といい、一般的には下痢便と混同されやすいですが、厳密には異なります。
下痢の原因
下痢の原因には、次のようなものがあります。下痢を改善する方法は原因によっても異なるため、まずは原因を確かめることが大切です。
消化不良
腸で消化しきれない量の食べ物を摂取すると、消化しきれなかった食べ物が水分とともに排出され下痢となります。
また、アルコールや冷たい飲み物を摂り過ぎると、ぜん動運動が過剰になり、水分を吸収しきる前に排出され下痢となる場合もあります。
ストレス
次に、ストレスも下痢の原因のひとつとして挙げられます。
試験や会議、学校・会社に行く前、冷房のかけすぎによる身体の冷え、といった精神的な不安・苦痛・緊張によって自律神経のバランスが崩れると、腸が過敏に反応してぜん動運動が異常に高まり、腹痛や腹部の不快感、下痢が引き起こされます。
ストレスによる下痢症状の原因の多くを占めるのが「過敏性腸症候群(IBS)」です。
過敏性腸症候群は、検査ではまったく異常がみつからないにもかかわらず、腹痛を伴う下痢が続いたり、下痢と便秘を交互に引き起こしたりする症状のことを指します。
食中毒・食あたり
食中毒による下痢は、O-157やサルモネラ菌、ノロウイルスといった細菌やウイルスが体内に入り、急性の下痢の症状があらわれます。
食中毒による下痢は、腸が水分を分泌して菌やウイルスを早く体外へ出そうするために起こるものです。そのため、これを無理に薬でとめてしまうと、毒素が体内で停滞し消化管を傷める原因になります。
下痢や嘔吐が長時間続くことで水分や電解質が体外に排出され、脱水症状を起こす危険性があります。血便や脱水の症状がみられたら、すぐに医師の診察を受けましょう。
その他
その他にも、薬の副作用によって下痢になることもあります。これは、腸の粘膜に障害を起こし、腸管内の分泌液が過剰になることが原因です。
また、乳製品を摂取した際、消化酵素の「ラクターゼ」の欠乏により乳糖が分解できず、下痢を引き起こしてしまう「乳糖不耐症」という症状も、下痢の原因として挙げられます。
下痢の種類
下痢は、その症状の続く期間や原因の違いによって、いくつかの種類に分かれます。
急性下痢
急性下痢は急激にくる一過性の下痢であり、通常1~2週間でおさまります。
冷えによる下痢、心因性の下痢、細菌による下痢 、消化不良による下痢、牛乳などのアレルギーによる下痢があります。 このタイプの下痢は、市販の下痢止め薬の使用ができます。
慢性下痢
慢性下痢は、2~3週間以上下痢が続いたり再発を繰り返す下痢を指します。
腸の疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、大腸がんなど)による下痢、胃・膵臓・肝臓の疾患による下痢、代謝異常による下痢(甲状腺機能亢進症、糖尿病など)、心因性の下痢があります。
また最近では、ストレスや不安、緊張が原因で起こる、「過敏性腸症候群(IBS)」が増えてきています。これは、腸に異常がないのに慢性的に下痢が続く、下痢と便秘を繰り返すといった症状がみられるのが特徴です。
浸透圧性下痢
浸透下痢は、食べ過ぎや飲み過ぎによって腸管内で栄養分が吸収できず、水分が取り込まれて下痢になる状態を指します。
乳製品の乳糖が分解できずに下痢になってしまう「乳糖不耐症」や、食べすぎによる消化不良、アルコールの飲み過ぎで翌日に起こる下痢などが浸透圧性下痢に含まれます。
分泌性下痢
分泌性下痢とは、口から腸に入った細菌やウイルスの影響で、腸液の分泌が多くなり引き起こされる下痢です。薬の副作用で腸粘膜が傷ついた際にも同様の下痢が起こります。
大腸は水分を吸収するだけではなく、水分の分泌という働きもあります。分泌性下痢は、その分泌量が多くなり、便の水分量が多くなって下痢になってしまうのです。
ぜん動運動性下痢
ぜん動運動性下痢とは、食べ物を肛門に送るための腸の運動(ぜん動運動)が過剰に活発になったり、逆に動きが悪くなったりすることによって水分の吸収が不十分になり起こる下痢のことです。
「過敏性腸症候群(IBS)」と「バセドウ病」が、ぜん動運動性下痢の代表的な病気です。
下痢の予防・改善に効果的な食べ物・飲み物
下痢の予防・改善に効果的な食べ物について解説します。
すでに下痢の場合
まずはすでに下痢の症状に悩まされている場合におすすめの食べ物・飲み物です。
お粥・おじや・煮込んだうどん
下痢になると体内の水分が失われ、体力も消耗されていきます。症状が落ち着いてきたら、お粥やおじや、煮込んだうどんなどの、胃腸に負担が小さくエネルギー源となる食べ物を摂取していきましょう。
卵・豆腐
卵や豆腐には、傷ついた腸の粘膜を修復するために必要なタンパク質が多く含まれています。
たまごの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
豆腐の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
りんごのすりおろし・バナナ
下痢で脱水症状になると、体内の体液のバランスが崩れてカリウムが不足してしまいます。足りなくなったカリウムを補うために、りんごをすりおろしたものやバナナを食べると良いでしょう。
りんごの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
バナナの栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
スポーツドリンク・経口補水液
下痢時は体内から塩分などの電解質や糖分が抜けて、だるさを感じます。そのため、水やお茶よりも、スポーツドリンクや経口補水液が理想的です。
このとき、一度に大量に飲もうとせず、胃腸に負担をかけないように少量をこまめに飲むようにしましょう。
普段から下痢になりやすい場合
続いて、慢性的な下痢の予防・改善におすすめの食べ物を紹介します。
ヨーグルト・納豆
普段から下痢になりやすい人は、腸内環境が乱れている可能性があります。人間の腸内には細菌が100兆個生息しており、腸内環境を整えるためには乳酸菌をはじめとした善玉菌を増やすことが必要です。
善玉菌は腸内に住み着くことがないため、乳酸菌を直接摂取できるヨーグルトや納豆を毎日食べるようにしましょう。
納豆の栄養と効果効能・調理法・保存法|NANIWA SUPLI MEDIA
オリゴ糖・水溶性食物繊維を多く含む食材
乳酸菌を増やす働きのあるオリゴ糖や、大麦・大根・ごぼう・わかめ・昆布など水溶性食物繊維を多く含む食材を食べることも大切です。
オリゴ糖の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
下痢の予防に効果的な食生活・習慣
下痢を予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。
暴飲暴食を避ける
暴飲暴食をすると腸に負担をかけます。
冷たい飲み物やアルコール飲料を大量に摂取すると、水分を摂り過ぎたり、腸に過度な刺激を与えたりして、下痢の原因となるので避けるようにしましょう。
また早食いも下痢の原因となります。消化不良を起こして、発生したガスが腸の粘膜を刺激し、下痢を引き起こすことがあるので、食事にはゆっくりと時間をかけしっかりと咀嚼するようにしましょう。
食品の調理法や衛生面に気をつける
下痢の原因の1つに、食あたりや食中毒があります。
生の肉や海鮮など、加熱調理していない料理は食中毒を引き起こしやすく、夏場の魚介類には病原体が多く生息しているため、十分な加熱調理を徹底しましょう。
また、細菌やウイルス感染による下痢を避けるために、要冷蔵の食品を常温で出しっぱなしにしない、手を石鹸でよく洗う、食器を洗剤でしっかり洗う、といったことにも気をつけましょう。
ストレスを溜め込まないようにする
ストレスは腸の動きや血液の流れを乱し、腸内環境を悪化させます。適度な運動をしたり、ゆっくりと入浴したり、十分な睡眠をとったりして、生活習慣を整えつつ、ストレスを解消させるようにしましょう。
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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