クコの実の栄養と効果効能・調理法・保存法
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クコの実の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、クコの実に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
クコの実とは
クコの実はナス科クコ属の果実で、英語では「ゴジベリー(goji berry)」「ウルフベリー(wolf berry)」と呼ばれています。直径1~2.5cmほどの小さな実で、杏仁豆腐や中華のおかゆのトッピングとして用いられます。
原産国は中国から日本にかけての東アジア。古くから中国で栽培されており、滋養強壮に良い「不老長寿の薬」として重宝されてきました。
少ない副作用で身体を養う「上品薬」として生薬や薬膳、漢方薬の材料として利用されています。クコの実は、日本の気候でも栽培は可能ですが、市販されているもののほとんどが中国産です。
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、アミノ酸、ポリフェノールなど健康・美容面に有効な栄養を豊富に含有。近年では、欧米でもスーパーフードとして注目を集めています。
クコの実の品種・種類
クコの実にはいくつか種類がありますが、代表的な2種は「Lycium Chinense (枸杞:クコ)」と「Lycium Barbarum(寧夏枸杞:ネイカクコ)」です。
「枸杞」は中国全土で栽培されている、一般的に手に入れやすい種類。
「寧夏枸杞」は中国の寧夏という西北部で栽培されており、クコの実の中でも最高級品として漢方薬や薬膳の材料に使われています。
クコの実に含まれる成分・栄養素
クコの実100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
成分名 | 値 | 単位 |
エネルギー | 345 | kcal |
水分 | 4.8 | g |
たんぱく質 | 12.3 | g |
脂質 | 4.1 | g |
炭水化物 | 75.3 | g |
ナトリウム | 510 | mg |
カリウム | 1400 | mg |
カルシウム | 47 | mg |
マグネシウム | 77 | mg |
リン | 180 | mg |
鉄 | 4 | mg |
亜鉛 | 1.2 | mg |
銅 | 0.69 | mg |
マンガン | 0.71 | mg |
ヨウ素 | 2 | μg |
セレン | 3 | μg |
クロム | 6 | μg |
モリブデン | 13 | μg |
レチノール | - | μg |
α-カロテン | 33 | μg |
β-カロテン | 800 | μg |
β−クリプトキサンチン | 4400 | μg |
β−カロテン当量 | 3000 | μg |
レチノール活性当量 | -250 | μg |
ビタミンD | 0 | μg |
α-トコフェロール | 5.7 | mg |
β-トコフェロール | 0.1 | mg |
γ-トコフェロール | 0.8 | mg |
δ-トコフェロール | 0 | mg |
ビタミンK | 10 | μg |
ビタミンB1 | 0.28 | mg |
ビタミンB2 | 0.4 | mg |
ナイアシン | 4.6 | mg |
ナイアシン当量 | 6.7 | mg |
ビタミンB6 | 0.32 | mg |
ビタミンB12 | Tr | μg |
葉酸 | 99 | μg |
パントテン酸 | 0.71 | mg |
ビオチン | 23.6 | μg |
ビタミンC | 9 | mg |
レチノール活性当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
クコの実の効果・効能
中医学(中国漢方)では、肝臓と腎臓の機能を高めると言われているクコの実。クコの実に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
コレステロール値・中性脂肪値を下げる
クコの実に含まれる「ベタイン」という成分には、脂質代謝を改善する働きがあり、コレステロール値や中性脂肪値を下げる効果があります。
また、肝細胞の再生を促したり、血行を促進したりといった作用もあり、肝硬変や高血圧などの生活習慣病の予防効果も期待できます。
ダイエット効果を助ける
ルチンとヘスペリジンといったポリフェノールには血流を改善する働きがあり、その結果代謝が上がりやすくなります。
また、糖質をエネルギーに変換する上で必要になるビタミンB1や、脂肪燃焼の際に使われるビタミンB2も含んでいることから、ダイエット効果が期待できます。
美白・美肌促進に効果的
クコの実に含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を助けたり、シミの原因となるメラニンの生成を抑制してくれたりと、美肌作りには欠かせない成分です。
また、クコの実の抽出エキスには、紫外線を浴びた肌の炎症を抑えたり、色素沈着した肌の回復を早めたりする効果があることが報告されています。
アンチエイジング効果
クコの実は、高い抗酸化作用を持つことで有名なアサイーよりも強い抗酸化力を持っていると言われています。
クコの実に豊富に含まれるポリフェノールは、活性酸素による細胞の損傷を軽減したり、細胞を若々しく保つのを助けたりする働きがあります。
また、クコ多糖類(lyceum barbarum polysaccharides:LBP)には抗酸化作用があり、細胞の免疫機能を高めて生活習慣病やがん細胞の増殖を抑える効果があります。
クコ多糖類とは、6種類の単糖類、ガラクツロン酸、18種類のアミノ酸、タンパク質などから構成される複合多糖類の一種で、クコの実の主要な活性成分として知られます。
眼精疲労を回復する
クコの実に含まれるビタミンAは、目や粘膜を正常に保つ働きがあります。
また、ゼアキサンチンには抗酸化作用があり、目の水晶体や網膜などの老化を防ぎ、老眼・白内障の予防、視力の回復に効果を発揮します。
白髪生成を予防する
クコの実に含まれるβカロテン、ビタミンC、ビタミンC、ビタミンB1、ルチン、マグネシウムなどは、コラーゲン生成促進や抗酸化作用、血流改善効果があります。
これらの成分は、頭皮環境を整えたり改善したりするのに効果が期待できます。
クコの実の食べ方
クコの実の栄養素を無駄なく摂取する食べ方を解説します。
薬膳スープ・薬膳鍋
中国では、豚や鶏を使ってスープをつくる時、クコの実を一緒に入れて煮込んで、薬膳スープにして食べることがあります。
また、鶏の水炊きなどに入れて、ほんのりとした甘酸っぱさを楽しむ方法も。
お菓子
パウンドケーキに混ぜたり、クッキーの生地に混ぜ込んで食べることもできます。
飲み物
紅茶や緑茶、ウーロ茶やハーブティーなどのお茶に、蒸らしてやらわかくしたクコの実をくわえます。クコの実を焼酎に漬けると、甘味のあるリキュールになります。
なつめとクコの実でつくるナツメ茶は、めまいや頭痛、動悸、不眠の改善に効果があると言われています。
トッピング
杏仁豆腐の上に乗せたり、ヨーグルトにかけたり、グラノーラやサラダに混ぜたりする方法もあります。
クコの実を調理する際の注意点
クコの実に含まれるビタミンC、ビタミンB1、ルチンなどの成分は熱に弱いため、加熱のしすぎは避けた方が良いでしょう。
スープや鍋に入れる場合は、仕上げに入れるようにすると損失が最小限に抑えられます。
クコの実の副作用
中国の古典薬学書では、クコの実は副作用が少ないとされています。
しかし現在は、食べ過ぎると身体が火照ったり、鼻血が出たり、目が赤くなったり、といった症状を引き起こす恐れがあることが示唆されています。
また、消化不良に陥りお腹がゆるくなる可能性があるため、胃腸が弱い人は摂取量に注意しましょう。
1日の目安量は、ティースプーン1杯(10粒前後)と言われています。
クコの実の保存方法
クコの実の栄養素を損なわない保存方法を解説します。
ドライフルーツのクコの実は基本的に常温で保存できます。ただし、気温が高い夏場は、クコの実の糖分が溶け出し、クコの実同士がくっついてしまうことがあるので、冷蔵庫での保存が好ましいです。
一度開封すると、湿気を吸い込んで虫やカビが発生する恐れがあるので、開封後はなるべく早く食べ切るようにしましょう。