口内炎の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物
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口内炎の症状や原因について解説したうえで、口内炎の予防・改善に役立つ栄養素を豊富に含む食べ物や、口内炎のときでも食べられる刺激の穏やかな食べ物を紹介します。
口内炎とは
口内炎とは、頬の内側や歯茎など口の中の粘膜に生じる、痛みをともなう炎症の総称です。一般的に口内炎と呼ばれる症状は、アフタ性口内炎を指します。体調が悪いときにできやすく、中心部は白色か黄色に腫れるのが特徴です。
口内炎の主な症状・特徴
口内炎の症状は、軽度なものから重度なものまで幅広いですが、一般的に口内炎と呼ばれるアフタ性口内炎の主な症状は次の通りです。
- 白い斑点が数個
- 頬や歯茎、舌にできる
- 痛みがある、食べ物や飲み物がしみる
- 通常、1週間ほどで治る
- 体調が悪いときにできやすい
口内炎の原因
口内炎の主な原因は次の通りです。
- 栄養の不足・偏り
- ストレスや疲労による免疫力の低下
- 加齢による治癒力の低下
- 唾液量の不足(口腔内が渇くことにより殺菌力が低下)
- 刺激物の摂取
- 胃腸の不調
- 歯列矯正器具や入れ歯、詰め物などの不具合
口内炎の種類
口内炎には次の種類があります。
アフタ性口内炎
アフタ性口内炎は、いわゆる一般的な口内炎です。口の中にできる小さな腫瘍のことをアフタといい、アフタが多発する状態をアフタ性口内炎といいます。
原因ははっきりしていませんが、生活習慣の乱れなどによる免疫力の低下が大きく影響していると考えられます。口の中に小さな傷ができ、そこへ細菌やウイルスが感染した際に抵抗力がないと症状が悪化し、口内炎の状態になります。
治りは比較的早く、1~2週間で治り、傷も残りにくい口内炎です。なお、アフタが繰り返し生じる状態を再発性アフタ性口内炎と呼びます。
口腔カンジダ症
口腔カンジダ症は、主にカンジダ・アルビカンスというかび菌の一種が原因で引き起こされる口腔粘膜感染症です。
カンジダ菌は多くの人が保有する菌であり、健康体であれば口腔カンジダ症を発症することはあまりありませんが、がん・糖尿病といった基礎疾患のある人や、乳幼児・子ども・高齢者・妊婦など体力や抵抗力の低い人がかかりやすいと考えられます。
口腔カンジダ症にはさらに症状によって「急性偽膜性カンジダ症」「急性萎縮性カンジダ症」「慢性肥厚性カンジダ症」「慢性萎縮性カンジダ症」に分けられます。
急性偽膜性カンジダ症
急性偽膜性カンジダ症は、口腔カンジダ症の中でもっとも多い症状です。口の粘膜に白い苔状の物質(偽膜)ができ、はがすと腫れたように赤くなり、このとき出血するケースもあります。
急性萎縮性(紅斑性)カンジダ症
急性萎縮性(紅斑性)カンジダ症は、抗生物質を使い続けると引き起こされる症状です。舌や口の粘膜が赤くはれて、ヒリヒリとした痛みを伴います。
慢性肥厚性カンジダ症
慢性肥厚性カンジダ症は、急性偽膜性カンジダ症が慢性化した状態で、白い苔状の偽膜が厚くなりはがれづらくなります。はがれにくいため、さらなる重症化を招きやすい状態です。カンジダ性白板症とも呼ばれます。
慢性萎縮性(紅斑性)カンジダ症
慢性萎縮性(紅斑性)カンジダ症は、義歯性口内炎とも呼ばれる症状で、入れ歯の付けっぱなしなどが原因で発症することの多い口腔カンジダ症です。
白板症
白板症(はくばんしょう)とは、口の粘膜の頬や歯茎、舌などに白いものができる症状です。口腔カンジダ症でできる偽膜と異なり、こすっても取れないのが特徴。
ビタミンの不足や喫煙などが原因で引き起こされることが多く、前がん病変(悪性化しやすい病変)の代表的なもののひとつでもあります。
紅板症
紅板症(こうばんしょう)は、口の粘膜が鮮やかな赤みをもったビロード状になる症状です。白板症と同じく、栄養の不足や、喫煙などの刺激が原因で発症します。
50歳以降で起こることが多く、白板症よりもがん化する可能性が高い病変なので、手術によって取り除くことが推奨されます。
口腔扁平苔癬
口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)は、頬の粘膜にできやすい炎症で、幅1~2mmほどの白いレース状か網状の模様になるのが特徴です。
40~50歳代で発症することが多く、10歳以下の子どもでは起こらないとされています。一部の扁平苔癬は自然治癒が期待できますが、慢性的に炎症を繰り返す場合にはがん発生の母地となりやすいと考えられます。
ヘルペス性口内炎
ヘルペス性口内炎は、38~40℃ほどの高い発熱と倦怠感が3~4日ほど続き、アフタ性口内炎のような小さい腫瘍が口の粘膜にできる症状です。痛みを伴うため食事をとりづらく、唾液の分泌量が多くなるほか、口臭がきつくなるなどの特徴があります。
単純ヘルペスというウイルスが原因で引き起こされ、子どもの方がかかりやすい傾向にありますが大人も接触により感染します。
手足口病
手足口病は、一部ウイルスの感染によって、口の粘膜や手足の末端部に水ぶくれ状の発疹が現れる病気です。患者の80%が5歳未満の子どもで、乳幼児が話さなくなったり、食べなくなったりした場合に特に疑われます。
夏季に流行しやすく、7月にピークを迎えます。症状は、1~3日ほど発熱することもありますが、1週間ほどで自然に治癒します。1~2ヶ月後に手足の爪がはがれることもあるものの、すぐに新たな爪が生えます。
ただし、痛みにより食事がとれなくなることで、脱水症状などの合併症を引き起こす可能性がある点に注意が必要です。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、一般的に夏風邪として認識される代表的な疾患のひとつ。発熱や口の粘膜にできる発疹を伴う急性ウイルス性咽頭炎で、6月から7~8月ごろの初夏に流行しやすく、乳幼児などの子どもがかかりやすい病気です。
手足口病と違い、手や足に発疹は出ません。また手足口病では発熱しても37~38℃程度であることが多いのに対して、ヘルパンギーナでは39~40℃の高熱が出ます。
口内炎の予防・改善に効果的な栄養素
口内炎の予防・改善に効果的な栄養素について解説します。
ビタミンB2:脂質の代謝をサポート
ビタミンB2は、酵素の働きをサポートする補酵素として、糖質や脂質の代謝に関わる栄養素です。ビタミンB2が不足すると、糖質や脂質がうまくエネルギーとして利用されなくなってしまい、その結果ニキビなどの肌荒れや口内炎を引き起こします。
ビタミンB2の1日の摂取目安量は、成人男性で1.6mg、成人女性で1.2mgです。ただし、妊娠中期~授乳中の方は、少し多めを心がけましょう。
これは牛や豚のレバーで摂取した場合、およそ50gで十分な量です。
ビタミンB2を多く含む食べ物
レバー(特に豚レバー)・海苔・モロヘイヤ・ブロッコリー・アボカド・マンゴー
ビタミンB2の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB1:糖質の代謝をサポート
ビタミンB1は、ビタミンB2と同じく代謝をサポートする栄養素です。特に糖質を代謝するために重要なビタミンで、スムーズなエネルギー変換に必須なことから疲労回復のビタミンとも呼ばれます。そのため、疲労による免疫力の低下などが原因の口内炎に効果的です。
ビタミンB1の1日の摂取目安量は、成人男性で1.4mg、成人女性で1.1mgです。妊婦・授乳婦の場合さらに+0.2mgの摂取が推奨されます。
これは、焼いた豚肉なら50~70g、玄米なら270~350g(茶碗2~3杯)程度で満たせる量です。普段から十分な食事を摂取できている人なら、主食を玄米に切り替えるだけで摂取目安量はほぼ達成することができます。
ビタミンB1を多く含む食べ物
豚肉・米ぬか・小麦胚芽・パン酵母・ごま・ライ麦・ぬか漬け
ビタミンB1の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・おすすめレシピ|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンB6:タンパク質の代謝をサポート
ビタミンB6も代謝に関わる栄養素のひとつで、主にタンパク質と脂質の代謝をサポートします。不足すると、タンパク質や脂質をエネルギーとしてうまく利用できず、貧血や皮膚炎、口角炎などを引き起こします。
また、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンの合成にも関わっていることから、必要量の摂取が精神の安定にもつながると考えられます。特に、PMS(月経前症候群)などの不安症状改善に効果的です。
ビタミンB6の1日の摂取目安量は、成人男性で1.4mg、成人女性で1.1mg、妊婦が+0.2mg、授乳婦が+0.3mgです。
これは、鶏むね肉で摂取した場合、およそ120~140gで十分な量となります。
また、バナナ1本におよそ0.4mgのビタミンB6が含まれているため、1日1本摂取することで30~40%ほどの必要量をカバーすることができるでしょう。
ビタミンB6を多く含む食べ物
ニンニク・バジル・パセリ・小麦胚芽・レバー・豚肉・ささみ・鶏むね肉・マグロ刺身・カツオ刺身・バナナ・アボカド
ビタミンB6の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
ナイアシン:皮膚の炎症を予防する
ナイアシンは、500種類もの酵素をサポートしており、その他のビタミンB群と同様に糖質・脂質・タンパク質などあらゆる物質の代謝・エネルギーづくりに関わっています。
ナイアシンは、DNAやホルモンの生成にも関わっており、細胞の生まれ変わりをサポートすることで皮膚や粘膜の健康を維持して炎症などを予防します。
ナイアシンの1日の摂取目安量は、成人男性が11~13mg、成人女性が9~10mg、授乳婦はさらに+3mgが必要です。
なお推奨量は、それぞれさらに+2~3mgとなっています。
これは、鶏むね肉ならおよそ60gで必要量を満たし、同じく鶏むね肉およそ90gで、最も必要量の多い15~17歳男性のナイアシン推奨量を満たせる計算です。
ナイアシンを多く含む食べ物
マイタケ・たらこ・インスタントコーヒー・かつお節・米ぬか・パン酵母・らっかせい・鶏むね肉・ささみ・豚レバー・しいたけ
ナイアシンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
パントテン酸:皮膚や粘膜の健康維持
パントテン酸もビタミンB群の一種で、エネルギーの代謝に関わっています。さらにそれ以外にも、皮膚や粘膜の健康維持を助けるという重要な働きがあり、肌荒れや皮膚炎の予防改善に効果があります。
パントテン酸の1日の摂取目安量は、成人男性・成人女性ともに5~6mgです。
パントテン酸自体はあらゆる食品に含まれており、2018 (平成30) 年の国民健康・栄養調査では、男性で平均5.96 mg/日、女性で平均5.23 mg/日とほぼ目安量を満たしていることが分かっています。
そのためパントテン酸が不足している人は、そもそも食事量が少ない可能性が考えられます。多く含む食品などはあまり気にせず、まずは食事量を確保しましょう。
パントテン酸を多く含む食品
レバー・しいたけ・からすみ・ブロッコリー・アボカド・バナナ
パントテン酸の効果・1日の摂取目安量・多く含む食品|NANIWA SUPLI MEDIA
ビタミンC:ストレスへの抵抗力を高める
抗酸化作用による美容効果や、免疫力を高める効果のあるビタミンCは、口内炎予防のためにもぜひ摂取したい栄養素です。
さらに、抗ストレスホルモンの分泌にも関与してストレスへの抵抗力を高める効果も期待できるため、日頃からストレスにより疲れがたまっているという方は積極的に摂取しましょう。
ビタミンCの1日の摂取目安量は、成人男性・成人女性ともに85mg、推奨量は100mgです。これは、最もビタミンCを豊富に含む果物であるアセロラで摂取した場合、およそ5~6gで推奨量を満たします。
ビタミンCを多く含む食べ物
アセロラ・ケール・パセリ・せん茶・グアバ・海苔・トマピー・パプリカ・ブロッコリー・芽キャベツ・キウイ・柿・かぼちゃ・ゴーヤ・春菊
ビタミンCの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
口内炎の予防・改善におすすめの食べ物・飲み物
口内炎の予防のために日頃から摂取したい栄養素を効率よく摂取できるメニューや、口内炎のときでもしみずに食べられる食べ物や飲み物を紹介します。
レバニラ
レバーには各種ビタミンB群がたっぷりで、ニラにはアリシンも含まれているので、口内炎などの皮膚粘膜の炎症予防にはもってこいのメニューです。ただし濃い味付けは刺激になるので、なるべく薄味に仕上げましょう。
ゆでたまご
たまごにはビタミンB6がたっぷり含まれています。コンビニでも手軽に買えるので、いつもの食事にたまごを1つ加えれば、各種ビタミンやタンパク質の補給にもなります。
サラダ(豆類やブロッコリーを積極的に)
ビタミン補給といえば定番のサラダ。しゃきしゃきとした葉野菜は食べやすいですが、淡色野菜だけでは肝心のビタミンがなかなかとれないので、ビタミンB2やビタミンCを豊富に含む豆類やブロッコリーなどを積極的に取り入れていきましょう。
緑茶・ハーブティー
口内炎の予防・改善には、口の中を清潔に保つことも重要です。そこで、抗酸化作用や殺菌作用のある緑茶やハーブティーを普段から飲むのがおすすめ。風邪やインフルエンザなどの感染症予防にも効果が期待できます。
口内炎の予防・改善のために心がけたい生活習慣
口内炎を予防・改善するために心がけたい食生活や生活習慣について解説します。
日頃から疲れをためないようにする
1日少なくとも6~7時間は睡眠時間を確保し、睡眠不足による疲労の蓄積や免疫力の低下を防ぎましょう。
深い睡眠のためには、寝る前にゆっくりとぬるめの湯に浸かり、風呂上がりには血行と自律神経を整えるためにストレッチをするのも効果的です。
また、過剰なストレス源に心当たりがある人は、それを遠ざける努力をしましょう。
香辛料など刺激になる食べ物を控える
香辛料や塩分の多い食べ物は刺激になるため、口内炎の誘因となります。辛いもの・極端に硬いもの・熱いもの・味が濃いものなどを避けるようにしましょう。
糖質やアルコールの摂り過ぎに注意
糖質やアルコールを過剰に摂取すると、その分解にビタミンB群を消費してしまいます。炭水化物、甘いもの、お酒の摂り過ぎには注意しましょう。
ただし、普段から糖質制限などで炭水化物を控えている場合は、むしろエネルギーが不足している可能性も。糖質制限といってもすべての糖質を制限するのではなく、必要最低限のエネルギーは摂取しましょう。
口の中を清潔に保つ
口内炎を予防するには、口の中を清潔に保つことも大切です。
口内炎の原因のひとつは、傷口に菌が入り込むこと。そのため食事のあとは歯磨きを徹底して、口の中をできるだけ清潔に保つようにしましょう。難しい場合は、うがい薬で殺菌だけでもする習慣をつけてください。
ただし、歯ブラシのやりすぎによって口の粘膜や歯茎を傷つけすぎるのもいけません。磨く際は、優しく磨きましょう。
また、口の中が乾燥するだけでも雑菌が繁殖しやすくなるので、定期的に水分をとって口を湿らせるようにすると口内炎予防につながります。
かみ合わせを矯正する
いつも同じ場所に口内炎ができるという人は、かみ合わせの悪さが原因で傷ついている可能性が考えられます。歯列矯正というとやや大げさに感じられますが、マウスピースなど、気軽に取り組めるものもあるので検討してみてはいかがでしょうか。
ただし、矯正器具や入れ歯などが原因で傷ついている場合もあるので、すでに歯列矯正に取り組んでいる人は器具が合っているかどうかチェックしてください。
生理前は特に注意
口内炎などの炎症は、体が熱を持っていると特に起こりやすくなります。そのため生理前、基礎体温が高くなった状態は特に炎症が起きやすいので、刺激物を控えるなど、ここまでに紹介した生活習慣を特に意識して生活するようにしてください。
記事の監修
AYA ARAHARA
ヨガインストラクター。
ホテル、外資系化粧品メーカー、美容業の広報/PRとして業務を経て、アロマテラピーや美容業界の実用書等の、編集・執筆活動のほか、ライフワークとしてヨガインストラクターとしても活動している。
近著としては、「ママになっても美しい人の食事術」(PHP研究所)編集協力、「枯れないからだ」(河出書房新社)編集協力など多数。最新作は「寝る前5分の新習慣! 極上の眠りに導く安眠ヨガ」が好評発売中!
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