セントジョーンズワートの栄養と効果効能・調理法・保存法
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セントジョーンズワートの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た食品との違い、セントジョーンズワートに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
セントジョーンズワートとは
セントジョーンズワートはハーブの一種で、聖ヨハネの処刑日ごろに花を咲かせることから「聖ヨハネの草(St. John’s wort)」と名づけられました。日本名では「西洋弟切草(セイヨウオトギリソウ)」とも呼ばれています。
原産地はヨーロッパやアジア西部などで、古代ヨーロッパでは魔除けにも使われていたと言います。腎疾患や不眠症、うつ病などの改善や創傷治癒に使用された歴史もあり、もっとも古い記録では古代ギリシアで医学利用されていた記録が残っています。
現在、うつ病の症状改善が特に注目されており、多くの研究が進められています。その作用が医学的に証明されたことから、ヨーロッパではうつ病の治療薬として使われている食品です。日本においては精神を安定させる作用を活かし、サプリメントの原料として活用されています。
セントジョーンズワートの効果・効能
セントジョーンズワートに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
うつ病の改善作用
セントジョーンズワートには、軽度および中等度のうつ病に対して症状の緩和や改善を促す作用があることがわかっています。神経伝達物質であるセロトニンを増加させる働きがあることから、それらの物質が減少することで起きるうつ病に効果が期待できると考えられています。
ある研究で軽度または中等度のうつ病を抱える患者375人に、300mgのセントジョーンズワートを6週間摂取させたところ、うつ病症状の緩和が確認されました。
ほかにも不安神経症を併発しているうつ病患者に、セントジョーンズワートと、ハーブの一種であるカバを継続摂取させた研究では、うつ病の改善を自覚する患者が多かったと言います。
ただし重度のうつ病や、12週間以上の長期使用による効果は十分なエビデンスがない状態です。
セロトニンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
セロトニンを増やす食べ物・飲み物|NANIWA SUPLI MEDIA
不眠を解消
セントジョーンズワートは脳内でセロトニンの分泌を促進するため、睡眠障害への効果も期待されています。セロトニンはメラトニンを生成する神経伝達物質のひとつで、メラトニン不足による不眠や疲労、慢性的なストレスの解消が見込めます。
メラトニンの効果・1日の摂取目安量・多く含む食品・効率よく摂取する方法|NANIWA SUPLI MEDIA
更年期障害の症状緩和
セントジョーンズワートには、セロトニンの分泌低下によって起こる更年期障害を緩和する働きが期待されています。また、生理前に抑鬱感やイライラなどの症状が現れる、月経前症候群(PMS)も同様の作用により緩和されると考えられています。
ただし上記の効果に対する研究は少なく、現時点では確証を得るためのエビデンスがないのが現状です。
皮膚の炎症を抑える
セントジョーンズワートには、切り傷や筋肉痛、打ち身などの症状緩和作用があると言われています。その場合、摂取するのではなく肌に塗布するのが効果的です。また、乾癬をはじめとする皮膚疾患の炎症を抑える作用も、実験により明らかにされています。
ただし塗布した部分が日光に当たると、重度の皮膚反応が起きる可能性が指摘されており、使用には十分な注意が必要です。
セントジョーンズワートの食べ方や注意点
セントジョーンズワートの栄養素を損なわない食べ方や摂取する際の注意点などを解説します。
ハーブティーにして摂取する
セントジョーンズワートはサプリメント以外に、お茶としてよく利用されるハーブです。ハーブティーにすると素朴な香りとともに、優しい甘みとピリリとしたスパイシーさを感じることができます。
セントジョーンズワート単品で飲みづらい場合は、ほかのハーブとブレンドする方法もあります。または味のはっきりしたアールグレイのような紅茶と合わせるのもおすすめです。
セントジョーンズワートの副作用
セントジョーンズワートは多量に摂取した場合、副作用が起きる危険性があります。懸念される主な副作用は以下です。
- 光線過敏症
- 不眠症
- 不安症状
- 口腔乾燥
- めまい
- 疲労
- 錯乱
- 性機能不全
- 便秘
- 躁病(双極性障害の患者に限る)
性機能不全が挙げられていることから、男性の過剰摂取には特に注意したほうが良いでしょう。
薬との相互作用に注意
セントジョーンズワートは薬によって相互作用を起こし、その作用を弱めてしまうことがわかっています。セントジョーンズワートに特定の薬の分解を早める作用があるためと考えられています。薬の組み合わせや飲み方には十分気をつけましょう。
現在、相互作用が懸念される主な薬剤は以下です。
- MAOIや三環系抗うつ薬などの抗うつ剤
- 経口避妊薬
- シクロスポリン(抗生物質)
- ジゴキシン(心疾患薬)
- インジナビルやネビラピンを含むHIV感染症治療薬の一部
- イリノテカンやイマチニブを含む抗がん剤の一部
- シンバスタチンをはじめとするスタチン類の一部
- ワルファリンをはじめとする抗凝固剤
- 鉄サプリメント
特に抗うつ剤や、セロトニンに影響を与える薬剤と一緒に摂取すると、副作用が増加して重篤化する恐れもあります。服用中の人は必ずかかりつけ医に相談してから、セントジョーンズワートを取り入れるようにしてください。
妊婦は摂取不可
セントジョーンズワートは妊娠中や授乳中には摂取してはいけない食品です。動物実験では、セントジョーンズワートによって先天異常が確認されました。
また、授乳中にセントジョーンズワートを摂取していると、乳児に眠気やぐずり、ひどい場合は疝痛(コリック)が見られる場合があります。疝痛とは乳児特有の激しい腹痛のことです。
アロマとして取り入れる
セントジョーンズワートはアロマオイルとしても使われています。その香りにはストレスを和らげ、精神を安定させる効果が期待されています。薬との相互作用が気になる方は、アロマとして取り入れるのもひとつの手です。
セントジョーンズワートの保存方法
セントジョーンズワートの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
セントジョーンズワートを使った製品は、指定された保存方法に従い、正しく保管しましょう。ハーブは湿気や温度の変化に弱いので、鮮度を損なわないためにも高温多湿の場所を避けるのが栄養素を損なわないコツです。
ドライハーブの場合は、密閉できる容器に入れて冷暗所に保存しましょう。フレッシュハーブは水を入れたコップに刺しておいたり、濡れたキッチンペーパーで包んで保管したりする方法があります。鮮度が落ちないうちに早めに使い切ることも大切です。