ぶどうの栄養と効果効能・調理法・保存法

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Grape

ぶどうの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、ぶどうに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。

ぶどうとは

ぶどう(葡萄/Grape)は、クロウメモドキ目ブドウ科ブドウ属の果実で、世界で最も多く栽培されている果物です。世界で生産されるぶどうの7割以上はワインの原料として使われ、日本で栽培されるぶどうの9割は生食用として用いられています。

ぶどうは、栽培の歴史が最も古い果物で、紀元前3000年ごろに原産地であるコーカサス地方やカスピ海沿岸で栽培が始まったとされています。その後、紀元前200年ごろにシルクロードを横断して中国に伝来し、日本には奈良時代に伝わりました。

日本で古くから栽培されているのは甲州種で、鎌倉時代に現在の山梨県甲州市で栽培が始まったとされています。

ぶどうの旬は品種によって変わりますが、多くは7〜10月です。「デラウェア」などの小粒のものは7〜8月、「巨峰」などの大粒のものは8〜9月、「ピオーネ」は8〜10月に多く出回るようになります。

ぶどうの品種・種類

ぶどうの品種は、世界で10,000種以上あり、果皮の色(黒・赤・緑)で分類することができます。以下では、国内で主に生食用として流通しているぶどうを果皮の色で分類して紹介します。

黒色のぶどう

果皮が黒色のぶどうは、巨峰やピオーネなどの品種が代表的です。濃い紫色をしており、アントシアニンを豊富に含んでいます。

巨峰

巨峰は、日本人に好まれるぶどうとして人気が高く、国内で最も栽培されている品種です。果皮は濃い紫色で果肉は淡い緑色。しっかりとした食感と強い甘みが楽しめます。8〜9月に旬を迎えます。

ピオーネ

ピオーネは、巨峰とカノンホール・マスカットを交配させた品種です。1粒あたり15〜20gと大粒で、果肉がしっかりしているので食べごたえがあります。ピオーネには種ありと種なしがありますが、種なしは「ニューピオーネ」と呼ばれます。

キャンベル・アーリー

キャンベル・アーリーは、アメリカで誕生したぶどうです。日本には明治30年に伝わり、現在では主に北海道や青森県で栽培されています。1粒の重さは5〜6gと小さく、甘みと酸味のほどよいバランスが特徴です。

マスカット・ベリーA

マスカット・ベリーAは、生食用のほかに赤ワイン用の品種として有名なぶどうです。厚い果皮、強い甘み、たっぷりの果汁が特徴。山梨県、兵庫県、岡山腱で栽培されており、8〜10月頃に市場に出回ります。

赤色のぶどう

果皮の色が明るい赤色をしているぶどうは、甲州やデラウェアが代表的です。

甲州

甲州は、山梨県が原産のぶどうです。やや小ぶりで、やわらかい果肉、控えめな香り、強い甘みが特徴。種の周りはほのかな酸味が感じられます。生食用のほかに、ワイン用として用いられます。

デラウェア

デラウェアはアメリカ原産のぶどうで、食べやすい種なしぶどうとして人気のある品種です。粒は小さめで、糖度が高く、ほのかな酸味が感じられます。果皮と実が分離しやすいのも特徴で、強くつまむとするっと実が出てきます。

甲斐路(かいじ)

甲斐路は、山梨県特産のぶどうです。粒の形は先端が尖った卵形で、みずみずしく、マスカットを思わせる爽やかな風味があります。芯が各粒の種にまで届いているため粒が落ちにくく、比較的日持ちします。旬は9〜10月頃。

緑色のぶどう

果皮の色が鮮やかな緑色をしているぶどうは、シャインマスカットなどが代表的です。青色と分類されることもあります。

シャインマスカット

シャインマスカットは、皮ごと食べられる黄緑色のぶどうです。1粒1粒が大きくて、果肉がしまっているため食感が良く、糖度が高いのも特徴。皮ごと食べられることを活かして、種なしで育てられることの多い品種です。

ハウスものは6月下旬から、露地ものは8月中旬ごろから出回ります。

ロザリオ・ビアンコ

ロザリオ・ビアンコは、シャインマスカットに並ぶ人気の緑色のぶどうです。1粒の重さが8〜15gと大ぶりで、果肉は締まりがあり、強い甘みとジューシーな果汁を感じられます。

皮はやや厚く、実がしっかりとくっついているため、比較的剥きにくいぶどうです。皮が気にならない人は剥かずにそのまま食べる方が良いでしょう。

マスカット・オブ・アレキサンドリア

マスカット・オブ・アレキサンドリアは北アフリカ原産で、「果物の女王様」「ぶどうの女王」と呼ばれるぶどうです。美しい見た目と豊かな風味から、長年高級ぶどうとして贈答用などに用いられてきました。

大きな粒は糖度が高くて甘みが強く、適度な酸味、上品で芳醇な香りがあります。皮が薄いため、そのまま食べることができます。

翠峰(すいほう)

翠峰は、主に岡山県で栽培されているぶどうです。大粒で楕円形をしており、しっかりとした食感と甘み、ほのかな酸味があります。旬は8月下旬ごろです。

ぶどうに含まれる成分・栄養素

ぶどう100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

食品名単位ぶどう 生干しぶどう(レーズン)ストレートジュース濃縮還元ジュース70 %果汁入り飲料10 %果汁入り飲料ぶどう 缶詰
廃 棄 率%15000000
エネルギー(kcal)kcal/100 g593015547525284
エネルギー(kJ)kJ/100 g2471259230197218218351
水 分g/100 g83.514.584.887.286.886.978.9
たんぱく質g/100 g0.42.70.30.30.2Tr0.4
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g0.2-1.5-0.3
脂 質g/100 g0.10.20.20.3TrTr0.1
トリアシルグリセロール当量g/100 gTr-0.1-0.1-0.1(Tr)(Tr)(Tr)
飽和脂肪酸g/100 g0.01-0.03-0.03-0.04-0.01-0.01-0.01
一価不飽和脂肪酸g/100 gTr-0.01-0.01-0.01(Tr)(Tr)(Tr)
多価不飽和脂肪酸g/100 g0.01-0.03-0.03-0.04-0.01-0.01-0.01
コレステロールmg/100 g0000000
炭水化物g/100 g15.780.714.512.112.913.120.4
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g14.4-76.5-13.9-11.7
水溶性食物繊維g/100 g0.21.20.10.10.1Tr0.2
不溶性食物繊維g/100 g0.32.9TrTrTr00
食物繊維総量g/100 g0.54.10.10.10.1Tr0.2
灰 分g/100 g0.31.90.20.10.1Tr0.2
ナトリウムmg/100 g112121563
カリウムmg/100 g130740302417388
カルシウムmg/100 g665354310
マグネシウムmg/100 g631149614
リンmg/100 g1590775110
mg/100 g0.12.30.10.30.10.10.9
亜鉛mg/100 g0.10.30.1TrTrTr0.2
mg/100 g0.050.390.020.020.010.010.09
マンガンmg/100 g0.120.20.130.070.110.080.02
ヨウ素µg/100 g0
セレンµg/100 g0
クロムµg/100 g0
モリブデンµg/100 gTr
レチノールµg/100 g0000000
α-カロテンµg/100 g000000
β-カロテンµg/100 g21110000
β-クリプトキサンチンµg/100 g000000
β-カロテン当量µg/100 g2111000010
レチノール活性当量µg/100 g2100001
ビタミンDµg/100 g0000000
α-トコフェロールmg/100 g0.10.500000.2
β-トコフェロールmg/100 g0000000
γ-トコフェロールmg/100 g0.20.300000.1
δ-トコフェロールmg/100 g0000000
ビタミンKµg/100 g00Tr0000
ビタミンB1mg/100 g0.040.120.020.02Tr00.02
ビタミンB2mg/100 g0.010.030.01Tr000.01
ナイアシンmg/100 g0.10.60.10.2Tr00.1
ビタミンB6mg/100 g0.040.230.050.060.050.010.03
ビタミンB12µg/100 g0000000
葉酸µg/100 g4911TrTr2
パントテン酸mg/100 g0.10.170.060.04000
ビオチンµg/100 g0.7
ビタミンCmg/100 g2TrTrTr000
食塩相当量g/100 g0000000
アルコールg/100 g
硝酸イオンg/100 g
テオブロミンg/100 g
カフェインg/100 g
タンニンg/100 g
ポリフェノールg/100 g
酢酸g/100 g
調理油g/100 g
有機酸g/100 g0.6
重量変化率%
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

ぶどうの効果・効能

ぶどうに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

ポリフェノールによる眼病予防

黒色と赤色のぶどうには、ポリフェノールの一種である「アントシアニン」が豊富に含まれています。

ぶどうの果皮は黒・赤・緑の3色に分類されますが、未熟なうちはどれも緑色です。果実が成長するにつれて、黒や赤の色素が作られていきます。この色素は、アントシアニンというポリフェノールの一種で、天然色素でできています。

アントシアニンは、長時間目を酷使しつづけることで起こる疲れ目などの視機能を改善したり、白内障をはじめとする眼病を予防したり、目の健康を保つ上で重要な働きを持っています。また、内臓脂肪の蓄積を抑えてメタボリックシンドロームを予防する効果もあります。

ブドウ糖による疲労回復効果

ぶどうの甘み成分であるブドウ糖は、体を動かすエネルギー源となる重要な栄養素です。ブドウ糖は脳の唯一のエネルギー源であり、脳を活性化させて集中力や記憶力を高める効果があります。

また、人の体は糖質が不足すると疲労を感じるため、体内に吸収されやすいブドウ糖を摂取することで疲労回復効果が期待できます。

カリウムによるナトリウム排出作用

カリウムは人体に必須なミネラルの一種で、細胞内液の浸透圧を維持・調整する働きがあります。この働きによって高くなりすぎた血圧を下げたり、血の巡りを良くして体内にある過剰な水分(ナトリウム)を排出してむくみを解消したりする効果があります。

ペクチンによる整腸作用

ペクチンは食物繊維の一種で、腸内にある善玉菌である乳酸菌を増殖させて腸内環境を整える働きがあります。また、腸内のほかの物質と結合して便のカサを増やし、腸のぜん動運動を促す働きもあります。これらの働きによって、便秘の予防・改善が期待できます。

さらにペクチンには、コレステロールが吸収されるのを予防して、コレステロール値を下げ、動脈効果や高血圧を予防する効果もあります。

ぶどうの食べ方

ぶどうの洗い方と食べる際の注意点を解説します。

ぶどうの洗い方

ぶどうの栽培には農薬が使用されることが多いので、気になる人は重曹を溶かした水で洗って残有農薬を洗い流すと安心でしょう。

果皮の表面にある白い粉は農薬ではなく、「ブルーム」と呼ばれる天然物質です。乾燥から守るために果物が自発的に分泌するもので、人体に影響はなく、洗い流す必要はありません。

ぶどうを食べる際の注意点

ぶどうに含まれるアントシアニンは、体内に吸収されると24時間以内に尿として体外に排出されてしまうため、アントシアニンの効果を十分に得たい場合は、毎日続けて摂取することが大切です。

また、アントシアニンをはじめ、ぶどうに含まれる栄養素は皮に多く含まれるため、栄養を無駄なく摂取するためには皮ごと食べるのが良いでしょう。

ぶどうの保存方法

ぶどうの栄養素を損なわない保存方法を解説します。

常温保存

ぶどうは常温で置いておくとすぐに傷んでしまうため、すぐに冷蔵もしくは冷凍保存しましょう。

冷蔵保存

小粒と大粒では、冷蔵保存の方法が異なります。

まず、デラウェアなどの小粒のぶどうの場合、傷んでいる粒を取り除きましょう。乾燥を防ぐために房ごとキッチンペーパーで包んだら、保存容器に入れて冷蔵庫で保存します。

巨峰やシャインマスカットなどの大粒の場合、枝を2〜3mmほど残してキッチンバサミで1粒ずつ切り離してください。実を持って引きちぎると、皮がさけて傷みやすくなってしまうので注意しましょう。

粒を切り離したら、保存容器にキッチンペーパーを敷き、その上に隙間なく並べていきます。キッチンペーパーを上からかぶせて容器の蓋を閉め、冷蔵庫で保存します。

冷蔵保存での保存期間は約1週間です。

冷凍保存

冷凍保存する場合も、小粒と大粒で保存方法が異なります。

小粒のぶどうは房の軸に流水をあてて全体を濡らし、キッチンペーパーで優しく水気を拭き取りましょう。房全体をラップで包み、保存袋に入れて冷凍庫で保存します。

大粒のぶどうは、枝を2〜3mm残して1粒ずつ切り離し、水洗いした後キッチンペーパーで水気を拭き取ってください。冷凍用保存袋に平らになるように入れて、冷凍庫で保存します。

冷凍の保存期間は約1ヶ月です。

解凍方法

冷凍保存したぶどうは、常温で少し置くと表面が溶けて、皮をむいてそのまま食べることができます。

小粒の冷凍ぶどうは、粒を指で5秒ほどつまむと、指の熱で表面が溶けて皮がむけやすくなります。

大粒の冷凍ぶどうは、粒のおしりの部分に流水をあてて爪で切れ目をいれると、表面が溶けて皮がつるんとむけます。

皮ごと食べられる品種なら、皮をむかずに食べてもよいでしょう。