烏龍茶の栄養と効果効能・入れ方・保存法

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烏龍茶の旬や原産地、主要な品種などの基本情報、似た飲み物との違い、烏龍茶に含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない入れ方や保存法などを紹介します。

烏龍茶とは

烏龍茶(Oolong Tea)とは、椿の仲間であるカメリア・シネンシスの葉から作られる中国茶の一種です。緑茶や紅茶もカメリア・シネンシスの葉を加工したもので、それぞれ製造方法を変えることで色や味の異なるお茶を作っています。

烏龍茶の原料となる茶葉は、中国・福建省と江西省の境界線にある山脈が原産地です。雨が多い地域のため湿度が高く、ミネラルが豊富な自然豊かな土地で栽培されています。

同じ茶葉から烏龍茶や緑茶、紅茶ができるのは、発酵方法の違いが要因です。茶葉を発酵させないものが緑茶、完全に発酵させると紅茶になります。烏龍茶を含む中国茶は半発酵と呼ばれる製法で作られており、青茶と呼ばれます。

烏龍茶の製法は、做青(さくせい)と呼ばれる特別な工程を挟むことが特徴です。茶葉の撹拌・静置を繰り返して、においや色を引き出します。

烏龍茶の旬は、4月~9月です。春から秋口にかけて茶葉の摘み取りが行われますが、その摘採時期によって味わいや香りが変わります。

春先の烏龍茶は、コクがあり濃厚な香りが特徴です。夏に摘採される烏龍茶は、渋味や苦味がより強くなり、香りは淡白になります。秋の烏龍茶は味わいは淡白ですが、香りは清涼感があり、さっぱりとした印象です。

烏龍茶と緑茶・紅茶の違い

同じ茶葉でも、加工方法によって緑茶・紅茶・白茶・黄茶・黒茶・烏龍茶などの青茶に分類されます。発酵度の違いで色や風味が異なり、各地のお茶文化により品種が発展してきた背景があります。

緑茶

緑茶は発酵させずに、茶葉を加熱・乾燥させて作られます。茶葉は緑色で、日本で最も生産量の多いお茶です。

静岡県の生産量が3万700トンと最も多く、次いで鹿児島県、三重県と太平洋・東シナ海側の暖かい地域で生産が盛んです。緑茶には、煎茶や玉露、抹茶、ほうじ茶など多数の種類があります。

白茶(しろちゃ・ぱいちゃ)

白茶は、茶葉が芽ぶいたときに摘採するため、芽の部分の産毛が白く見えることからその名前が付きました。白茶は、紅茶や青茶などと比べて加工過程がほとんどなく、茶葉を乾燥させただけの微発酵茶です。

白茶の味は甘さが感じられるのが特徴で、清涼感が強く飲みやすいお茶です。日本では馴染みの少ないお茶ですが、原産地の中国ではよく飲まれています。

黄茶(おうちゃ)

黄茶とは、茶葉を酸化させて揉切したあとに、蒸れさせる工程を入れて作られるお茶です。弱後発酵茶とも呼ばれ、蒸れさせることで色と香りが増します。

黄茶の味は緑茶よりも薄く、物足りなさを感じるかもしれません。しかし、繊細でわずかに甘みのある味は癖がなく飲みやすいお茶です。

紅茶

西洋のイメージのある紅茶ですが、緑茶や烏龍茶と同じ茶樹から作られます。烏龍茶よりも茶葉の発酵を進めて酸化を促進し、揉切と呼ばれる工程でカテキンの赤味を引き出したのが紅茶です。

紅茶は中国・福建省が起源ですが、ヨーロッパ向けに嗜好を合わせて改良されました。ダージリンやアールグレイなど、多くの品種があります。

黒茶

黒茶とは、後発酵製法で作られるお茶で、茶葉が黒いのが特徴です。茶葉を一定の湿度と温度で管理して微生物により発酵させて作られます。発酵後に蒸圧と呼ばれる工程を踏み、蒸気に当てて圧縮する過程で茶葉が黒く変化します。

黒茶の品種は、プーアル茶が有名です。独特な香りが特徴で、しっかりと発酵させることでコクが生まれます。

烏龍茶の品種・種類

烏龍茶には、生産地や製法の違いにより多くの種類があります。一般的に流通している烏龍茶の品種について説明します。

武夷岩茶(ぶいがんちゃ)

武夷岩茶とは、中国・福建省で作られる烏龍茶です。岩場の間に茶樹が生えることから、岩茶と名が付きました。

武夷山で採れた土地で作られた茶葉のみを使っており、烏龍茶の中でも特に貴重な種類です。武夷岩茶には、大紅袍や小紅袍、鉄羅漢など多数の品種があります。

鉄観音(てっかんのん)

鉄観音も、中国・福建省を原産地とする烏龍茶の代表的な品種です。烏龍茶特有の苦味が少なく、フルーティーな香りのため、人気があります。

お茶として抽出されると黄金色をしており、日本で一般的な茶色よりも明るい色味が特徴です。

黄金桂(おうごんけい)

黄金桂の原産も中国・福建省です。鉄観音よりも茶葉が小さく量が採れないため、以前は希少価値の高い品種でした。

黄金桂は色味が薄く、すっきりとした味わいが特徴の烏龍茶です。キンモクセイのような独特の香りをしています。

水仙(すいせん)

中国・福建省や広東省で栽培される烏龍茶で、生産量の多い品種です。抽出すると赤褐色をしており、日本の烏龍茶のイメージに近い色味をしています。

香ばしい香りと苦味が特徴で、後味がさわやかで食事にも合います。

凍頂烏龍茶(とうちょううーろんちゃ)

凍頂烏龍茶は、台湾の凍頂山を原産とする品種で、台湾を代表する烏龍茶です。抽出すると色が薄く、黄色っぽいため緑茶に似ています。

また味も緑茶に近く、烏龍茶の香ばしさよりもフルーティーな味わいの強いお茶です。

烏龍茶に含まれる成分・栄養素

烏龍茶100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。

烏龍茶の茶樹は、水分とミネラルが豊富な土壌で育てられているため、ミネラルが豊富に含まれています。特にカリウムとマンガンを多く含みます。

また、ポリフェノールの一種であるタンニンを豊富に含むことも、烏龍茶の栄養素の特徴です。

食品名単位ウーロン茶 浸出液
廃 棄 率%0
エネルギー(kcal)kcal/100 g0
エネルギー(kJ)kJ/100 g0
水 分g/100 g99.8
たんぱく質g/100 gTr
アミノ酸組成によるたんぱく質g/100 g-
脂 質g/100 g0
トリアシルグリセロール当量g/100 g-
飽和脂肪酸g/100 g-
一価不飽和脂肪酸g/100 g-
多価不飽和脂肪酸g/100 g-
コレステロールmg/100 g0
炭水化物g/100 g0.1
利用可能炭水化物(単糖当量)g/100 g-
水溶性食物繊維g/100 g-
不溶性食物繊維g/100 g-
食物繊維総量g/100 g-
灰 分g/100 g0.1
ナトリウムmg/100 g1
カリウムmg/100 g13
カルシウムmg/100 g2
マグネシウムmg/100 g1
リンmg/100 g1
mg/100 gTr
亜鉛mg/100 gTr
mg/100 gTr
マンガンmg/100 g0.24
ヨウ素µg/100 g0
セレンµg/100 g0
クロムµg/100 g0
モリブデンµg/100 g0
レチノールµg/100 g0
α-カロテンµg/100 g-
β-カロテンµg/100 g-
β-クリプトキサンチンµg/100 g-
β-カロテン当量µg/100 g0
レチノール活性当量µg/100 g0
ビタミンDµg/100 g0
α-トコフェロールmg/100 g-
β-トコフェロールmg/100 g-
γ-トコフェロールmg/100 g-
δ-トコフェロールmg/100 g-
ビタミンKµg/100 g0
ビタミンB1mg/100 g0
ビタミンB2mg/100 g0.03
ナイアシンmg/100 g0.1
ビタミンB6mg/100 gTr
ビタミンB12µg/100 g0
葉酸µg/100 g2
パントテン酸mg/100 g0
ビオチンµg/100 g0.2
ビタミンCmg/100 g0
食塩相当量g/100 g0
アルコールg/100 g-
硝酸イオンg/100 g-
テオブロミンg/100 g-
カフェインg/100 g0.02
タンニンg/100 g0.03
ポリフェノールg/100 g-
酢酸g/100 g-
調理油g/100 g-
有機酸g/100 g-
重量変化率%-
備考浸出法: 茶 15 g/90 °C 650 mL、0.5分
β-カロテン当量(μg)=β-カロテン(μg)+1/2α-カロテン(μg)+1/2クリプトキサンチン(μg)
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
 Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
 (0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)

烏龍茶の効果・効能

烏龍茶に含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。

体内を健康に保つミネラル

烏龍茶に豊富に含まれるミネラルは、人間の身体を健康に維持するために必要な栄養素です。体内で作ることができないため、食べ物や飲み物から摂る必要があります。

烏龍茶には、特にカリウムやマンガンが多く含まれています。カリウムは、神経や筋肉を正常に動かすために働く栄養素です。カリウムが不足すると、神経異常が起こることがあります。

マンガンは、体内活動にかかわる酵素を活性化させる働きを持つ栄養素です。骨の生成や神経を正常に保つ役割を果たします。

脂肪の吸収を抑制するポリフェノール

烏龍茶には、重合ポリフェノールと呼ばれるポリフェノールの一種が豊富に含まれます。重合ポリフェノールは、脂肪を分解する酵素・リパーゼの働きを阻害することで、腸管からの脂肪吸収を抑制する成分です。

また、重合ポリフェノールには血中の中性脂肪を、体外へ排出させる働きを促進します。ポリフェノールが脂肪の吸収を抑制するため、ダイエットや生活習慣の改善に効果的と考えられています。

動脈硬化を予防するカテキン

烏龍茶に多く含まれるカテキンには、動脈硬化を予防する効果があります。カテキンは、動脈硬化の原因となる脂肪の吸収を抑えたり、血圧を下げる働きをします。

抗酸化作用で老化を予防するタンニン

タンニンは、植物に含まれるポリフェノールの一種で、烏龍茶や紅茶、ワインなどに多く含まれています。タンニンには抗酸化作用があり、脂質の酸化を防止することで老化予防に効果的です。

烏龍茶の飲み方

烏龍茶の栄養素を損なわない入れ方・飲み方などを解説します。

お湯の温度と茶葉の量

烏龍茶を入れるときは、沸騰した直後(約100℃)のお湯を使うのがおすすめです。温度の高いお湯で入れる方が、烏龍茶の魅力である香りを最大限に引き出せます。

烏龍茶を入れるときの茶葉の量は、使う茶葉の品種によって適量が異なります。目安としては、カップ1杯(150ml)に対して4~6gです。茶葉の量で色や味が変わるため、好みの量に調節しましょう。

烏龍茶の

烏龍茶を入れる前に、空の急須にお湯を注いで捨てます。急須を温めることで、お湯の温度が下がるのを防ぐためです。

急須が温まったら茶葉を入れ、熱湯を注いで蓋をして1分程度蒸らします。そのあと、湯のみに烏龍茶をすべて注ぎます。

二煎目は、最初よりも短い時間で蒸らしましょう。蒸らす時間は、30秒~40秒がおすすめです。三煎目はさらに蒸らし時間を短くすると、美味しい烏龍茶が入れられます。

妊娠中に烏龍茶を飲むときの注意点

烏龍茶には、紅茶やコーヒーなどの飲料と同様にカフェインが多く含まれています。そのため、妊娠中に烏龍茶を大量に飲むことは控えましょう。

女性の1日のカフェイン摂取量は、妊娠中の女性で300mgまでとされています(カナダ保健省)。烏龍茶100mlに含まれるカフェインは約20mgです。500mlのペットボトルで烏龍茶を飲んだ場合は、3本(1.5L)程度でカフェインの摂りすぎとなります。

烏龍茶の保存方法

烏龍茶の栄養素を損なわない保存方法を解説します。

未開封の場合

市販の烏龍茶は真空パックで販売されているため、未開封の場合は室温・冷蔵保存ともに有効です。湿度が低く、温度差が少ない冷蔵保存は、酸化により風味を損なうことなく年単位で保存できます。

開封後の場合

開封したあとの烏龍茶を保存するときは、冷蔵保存よりも室温保存がおすすめです。冷蔵庫の開け閉めで温度差が生じ、烏龍茶のパックが結露することで風味が失われやすくなります。

開封後の烏龍茶は、空気に触れて酸化が進むことで風味が失われるため、なるべく早く消費するようにしましょう。やむを得ず長期間保存するときは、密閉できる容器に入れ、周囲の食品のにおいがつかないように保存します。

参考文献

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