レタスの栄養と効果効能・調理法・保存法
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レタスの旬や原産地、主要な品種などの基本情報、キャベツとの栄養価の違い、レタスに含まれる栄養とその効果効能、栄養素を損なわない調理法や保存法などを紹介します。
レタスとは
レタス(lettuce)は、キク科アキノノゲシ属の植物です。全体の約95%が水分でできています。シャキシャキとした食感があり、サラダには欠かせない食材の1つです。
原産地は、地中海沿岸から西アジア。レタスの歴史は古く、紀元前の古代エジプトではすでに栽培されていました。日本には奈良時代に中国より伝わったとされています。
日本に伝わった当時のレタスは現在のような丸く結球した形ではなく、葉レタスでした。現在のような丸い形になったのは江戸時代末期で、本格的な栽培が始まったのは明治時代以降です。
ハウス栽培もされているためレタスは通年出回っていますが、旬は4月〜9月。主な生産地は長野県、茨城県、群馬県、兵庫県で、長野県は全国の約1/3を生産しています。
レタスの品種・種類
レタスは「結球レタス」「葉レタス」「立ちレタス」「茎レタス」の4種類に大きく分類されます。
結球レタス(玉レタス)
結球レタス(玉レタス)は葉が丸まった球状で、一般的にレタスと言えば結球レタスを指します。歯切れや食感が良いことから「クリスプヘッドレタス」と呼ばれることもあります。
淡色野菜に分類され、主にサラダなどの生食に適しています。
葉レタス(リーフレタス)
葉レタスは、一般的なレタスと違い、葉が重なり合って球状にはならず、葉が開いた状態に育つレタスです。緑黄色野菜に分類されます。
代表的な品種として、葉先が赤褐色になる「サニーレタス」、全体的に鮮やかな緑井とで葉先がくるっとカールした「グリーンカール(グリーンリーフ)」、葉先がギザギザしている「シルクレタス」などが挙げられます。
立ちレタス
立ちレタスは、葉が丸く巻かず、縦長に立った状態で生長するレタスです。葉が厚めで、パリッとした食感があります。
少し苦味があるのも特徴で、シーザーサラダに使われる「コスレタス(ロメインレタス)」が第ホ湯的な品種です。結球レタスと同じく淡色野菜に分類されます。
茎レタス
茎レタスは、太く長い茎と、その上部に付いた葉を食用とするレタスです。全体の長さは約30cm、茎の直径は3~5cmほど。「セルタス」「ステムレタス」とも呼ばれています。
焼き肉を巻いて食べる「サンチュ」も茎レタスの仲間です。
レタスに含まれる成分・栄養素
レタス100gに含まれる成分・栄養素は下記表の通りです。
食品名 | 単位 | レタス 土耕栽培 結球葉 生 | レタス 水耕栽培 結球葉 生 | サラダな 葉 生 | リーフレタス 葉 生 | サニーレタス 葉 生 | サンチュ 葉 生 | コスレタス 葉 生 |
% | 2 | 2 | 10 | 6 | 6 | 0 | 9 | |
エネルギー(kcal) | kcal/100 g | 12 | 14 | 14 | 16 | 16 | 15 | 17 |
エネルギー(kJ) | kJ/100 g | 50 | 58 | 57 | 67 | 67 | 65 | 71 |
水 分 | g/100 g | 95.9 | 95.3 | 94.9 | 94 | 94.1 | 94.5 | 94.5 |
たんぱく質 | g/100 g | 0.6 | 0.8 | 1 | 1.4 | 1.2 | 1.2 | 1.2 |
アミノ酸組成によるたんぱく質 | g/100 g | 0.5 | -0.6 | 0.8 | -1 | -0.7 | -1 | -0.8 |
脂 質 | g/100 g | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.1 | 0.2 | 0.4 | 0.2 |
トリアシルグリセロール当量 | g/100 g | Tr | -0.1 | 0.1 | -0.1 | -0.1 | -0.2 | 0.1 |
飽和脂肪酸 | g/100 g | 0.01 | -0.02 | 0.01 | -0.01 | -0.02 | -0.03 | 0.02 |
一価不飽和脂肪酸 | g/100 g | Tr | (Tr) | Tr | (Tr) | (Tr) | -0.01 | Tr |
多価不飽和脂肪酸 | g/100 g | 0.03 | -0.05 | 0.06 | -0.05 | -0.07 | -0.13 | 0.03 |
コレステロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
炭水化物 | g/100 g | 2.8 | 2.9 | 2.7 | 3.3 | 3.2 | 2.5 | 3.4 |
利用可能炭水化物(単糖当量) | g/100 g | 1.7 | -2 | 0.7 | -0.9 | -0.6 | - | -1.2 |
水溶性食物繊維 | g/100 g | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.5 | 0.6 | 0.4 | 0.4 |
不溶性食物繊維 | g/100 g | 1 | 0.9 | 1.6 | 1.4 | 1.4 | 1.5 | 1.5 |
食物繊維総量 | g/100 g | 1.1 | 1.1 | 1.8 | 1.9 | 2 | 2 | 1.9 |
灰 分 | g/100 g | 0.5 | 0.6 | 1 | 1 | 1.1 | 1 | 0.6 |
ナトリウム | mg/100 g | 2 | 2 | 6 | 6 | 4 | 3 | 16 |
カリウム | mg/100 g | 200 | 260 | 410 | 490 | 410 | 470 | 250 |
カルシウム | mg/100 g | 19 | 34 | 56 | 58 | 66 | 62 | 29 |
マグネシウム | mg/100 g | 8 | 10 | 14 | 15 | 15 | 19 | 12 |
リン | mg/100 g | 22 | 30 | 49 | 41 | 31 | 39 | 39 |
鉄 | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 2.4 | 1 | 1.8 | 0.5 | 0.5 |
亜鉛 | mg/100 g | 0.2 | 0.1 | 0.2 | 0.5 | 0.4 | 0.2 | 0.3 |
銅 | mg/100 g | 0.04 | 0.01 | 0.04 | 0.06 | 0.05 | 0.01 | 0.03 |
マンガン | mg/100 g | 0.13 | 0.38 | - | 0.34 | 0.43 | 0.69 | 0.23 |
ヨウ素 | µg/100 g | 1 | - | - | 7 | - | - | - |
セレン | µg/100 g | 0 | - | - | Tr | - | - | - |
クロム | µg/100 g | 0 | - | - | 3 | - | - | - |
モリブデン | µg/100 g | Tr | - | - | 5 | - | - | - |
レチノール | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-カロテン | µg/100 g | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 6 | 0 |
β-カロテン | µg/100 g | 240 | 710 | 2200 | 2300 | 2000 | 3800 | 510 |
β-クリプトキサンチン | µg/100 g | 0 | 2 | 0 | 10 | 0 | 7 | 0 |
β-カロテン当量 | µg/100 g | 240 | 710 | 2200 | 2300 | 2000 | 3800 | 510 |
レチノール活性当量 | µg/100 g | 20 | 59 | 180 | 200 | 170 | 320 | 43 |
ビタミンD | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | mg/100 g | 0.3 | 0.3 | 1.4 | 1.3 | 1.2 | 0.7 | 0.7 |
β-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0.1 | Tr | 0 | 0 |
γ-トコフェロール | mg/100 g | 0.2 | 0.3 | 1.1 | 0.9 | 0.8 | 0.8 | 0.5 |
δ-トコフェロール | mg/100 g | 0 | 0 | 0 | Tr | 0 | 0 | 0 |
ビタミンK | µg/100 g | 29 | 58 | 110 | 160 | 160 | 220 | 54 |
ビタミンB1 | mg/100 g | 0.05 | 0.03 | 0.06 | 0.1 | 0.1 | 0.06 | 0.06 |
ビタミンB2 | mg/100 g | 0.03 | 0.03 | 0.13 | 0.1 | 0.1 | 0.1 | 0.06 |
ナイアシン | mg/100 g | 0.2 | 0.3 | 0.3 | 0.4 | 0.3 | 0.4 | 0.3 |
ビタミンB6 | mg/100 g | 0.05 | 0.05 | 0.06 | 0.1 | 0.08 | 0.08 | 0.05 |
ビタミンB12 | µg/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
葉酸 | µg/100 g | 73 | 44 | 71 | 110 | 120 | 91 | 120 |
パントテン酸 | mg/100 g | 0.2 | 0.06 | 0.25 | 0.24 | 0.14 | 0.08 | 0.23 |
ビオチン | µg/100 g | 1.2 | - | - | 2.9 | - | - | - |
ビタミンC | mg/100 g | 5 | 5 | 14 | 21 | 17 | 13 | 8 |
食塩相当量 | g/100 g | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
アルコール | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
硝酸イオン | g/100 g | 0.1 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.2 | 0.4 | 0.1 |
テオブロミン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
カフェイン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
タンニン | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
ポリフェノール | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
酢酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
調理油 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
有機酸 | g/100 g | - | - | - | - | - | - | - |
重量変化率 | % | - | - | - | - | - | - | - |
備考 | 別名: たまちしゃ廃棄部位: 株元 | 別名: たまちしゃ廃棄部位: 株元 | 廃棄部位: 株元 | 別名: ちりめんちしゃ、あおちりめんちしゃ廃棄部位: 株元 | 別名: あかちりめんちしゃ廃棄部位: 株元 | 別名: かきちしゃ株元を除いたもの(株元つきの場合、廃棄率:9 %) | 別名: ロメインレタス、たちちしゃ、たちレタス廃棄部位: 株元 |
レチノール当量(μg)=レチノール(μg)+1/12β-カロテン当量(μg)
Tr(trace) :微量含まれているが、成分の記載限度に達していないもの。
(0):測定されていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
-:未測定
出典:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
レタスの効果・効能
レタスに含まれる栄養素が持つ効果・効能・働きを解説します。
ビタミンC:免疫力を高める・アンチエイジング効果・美白効果
レタスにはビタミンCが含まれています。ビタミンCは、強い抗酸化作用をもったビタミンの一種です。
抗酸化作用により、活性酸素を除去して細胞の老化を防ぐ、免疫力を高めて感染症やがんを予防する、などの効果があります。
また、コラーゲンの生成にも関わっており、肌にハリを与えたり、傷の治りを早めたり、毛細血管を丈夫にしたりするのに効果的です。
さらに、シミやそばかすの原因となるメラニンの発生を抑制することで、美白効果を高める効果も発揮します。
カリウム:血圧を下げる・むくみを改善する
カリウムは人体に必須のミネラルの1つで、細胞の浸透圧を維持したり、調整したり、水分を保持したり、体外に排出したり、といった重要な働きがあります。
この働きにより、血圧を下げて脳卒中や高血圧などの病気を予防する、筋肉や心筋の活動を正常を保つ、血流を改善してむくみを改善する、などの効果があります。
食物繊維:便秘の予防・解消
食物繊維には水溶性と不溶性の2種類がありますが、レタスには不溶性食物繊維が多く含まれています。
不溶性食物繊維は便のかさを増やして腸を刺激する作用があり、便秘を予防・解消する効果があります。
β-カロテン:目の機能を改善する
β-カロテンは緑黄色野菜に多く含まれる天然の色素で、体内でビタミンAとして働く栄養素です。
β-カロテンを摂取することで、活性酸素を除去して細胞の老化を予防する、ビタミンAとして目の機能を改善する、目や皮膚の粘膜を健康に保つ、といった効果が期待できます。
葉酸:胎児の発育リスクを軽減する
葉酸を十分に摂取することで、DNAの形成に関わる物質SAMが増え、神経管閉鎖障害など胎児の発育リスクを軽減することができます。
これらの障害は妊娠初期に起こるため、妊娠を控える人は、妊娠前から葉酸を摂取することが推奨されています。
その他にも、葉酸には心不全や心筋梗塞、脳梗塞などの病気・障害の発生リスクを軽減する効果があります。
レタスとキャベツの栄養素の違い
レタスとよく似た葉野菜にキャベツがありますが、キャベツはアブラナ科アブラナ属の野菜でレタスの仲間ではありません。
栄養素の違いとして、まず食物繊維が挙げられます。レタスは不溶性食物繊維を多く含んでいるのに対し、キャベツは水溶性食物繊維を多く含んでいます。また食物繊維の総量としては、キャベツの方が多く食物繊維を含んでいます。
また、ビタミンCはキャベツの方が多く含んでいる一方、β-カロテンはレタスの方が多く含んでいます。
レタスの食べ方
レタスの栄養素を損なわない洗い方・調理方法を解説します。
レタスの洗い方
葉がいくつも重なっているため、葉の間に残っている土や汚れを落とす必要があります。1枚ずつ葉をはがし、優しく水洗いしましょう。
この時、最初に芯をくり抜き、空いた穴に水を流すと葉がはがれやすくなります。
レタスの調理方法
レタスに含まれるビタミンCは水溶性のビタミンです。水に溶け出す栄養素ですので、流水にさらしすぎると損なわれてしまいます。加水調理する場合は、ゆで汁を捨てずにスープなどにすることで効率的に摂取できます。
また、ビタミンCは熱に弱い性質も持ちますが、短時間で加熱すれば問題ありません。レタスは火の通りやすい野菜ですので、スープなどの具材として用いる場合は仕上げの段階で加えるとよいでしょう。
レタスの保存方法
レタスの栄養素を損なわない保存方法を解説します。
冷蔵保存
レタスは常温保存には向きません。気温の低い冬場であっても冷蔵庫で保存するようにしましょう。
濡らしたキッチンペーパーを使う方法
レタス丸ごと1個を冷蔵保存する場合、まずレタスの芯を手でくり抜き、空いた部分に水で濡らしたキッチンペーパーを詰め込みます。その後、ラップや新聞紙で包み、ポリ袋に入れたら芯を下にして冷蔵庫の野菜室に入れます。保存期間は約1週間です。
小麦粉を使う方法
また、小麦粉を使って長持ちさせる方法もあります。まず、茎の部分を少し切り落とし、切り口に小麦粉をまぶします。こうすることで小麦粉がレタスの水分が逃げるのを防ぎ、鮮度をキープしてくれるのです。
小麦粉をまぶした後はポリ袋に入れて、口をしっかりと結び、芯の部分を下にして冷蔵庫の野菜室に入れます。保存期間は約3週間です。
カットレタスを保存する方法
カットしたレタスは、水気を丁寧に拭き取り、キッチンペーパーで包みます。保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。保存期間は1〜2日です。時間が経つにつれて酸化していくので、なるべく早く食べ切るようにしましょう。
冷凍保存
冷凍保存する場合は、まずレタスを水洗いをして、キッチンペーパーで水気を丁寧に拭き取ります。食べやすい大きさに手でちぎったら冷凍用保存袋に入れ、空気を抜いてから口を閉じ、冷凍庫で保存します。保存期間は約2週間です。
みずみずしい食感などは損なわれてしまうので、解凍後はスープなど加熱して使うのが良いでしょう。